血液ガスを採ったときに得られる結果に、BE(Base excess)とAG(Anion gap)があります。私も初心者の頃はこの2つがごちゃ混ぜになって、結局よくわからなかった、苦い記憶があります。
BEの定義としては、その血液をpH7.4に戻すために必要な酸、あるいは塩基のことで、酸や塩基がどれだけ過剰であるかを示す数値です。代謝性障害による変動を表しますので、HCO3-と意味合いは同じということになります。
特に初心者の方は、少しでも覚えることを減らすため、あえて見ない方がいいかもしれません。HCO3-を見ておけば充分でしょう。
一方AG(Anion gap)というのは、Anion=陰イオンのことですから、陰イオンを計算するための式になります。
人体は電気的に中性のはずですから、陽イオンと陰イオンの数は同じ。陽イオンはほとんどがNa+で、陰イオンはCl-やHCO3-、普段はそれらの濃度がつりあっているのですが、それ以外の有機酸など、訳のわからん酸が増えてくると、そこの差(gap)が増えてくるのです。
AG(Anion gap)は、Na+と、通常測定しやすいCl-やHCO3-との差(gap)で求められます。
AG=(Na+)−{(Cl-)+(HCO3-)}
となり、正常値は12±2mmol/Lです。
K+を含む式もありますが、ややこしいのでこちらだけにしておきましょう。
AGが増えてくるときに増加していると考えられる酸は、乳酸、ケトン体、リン酸、メタノールなどがあります。
ということは、代謝性アシドーシスのうち、上に挙げたような酸が増えてくるような病態であるとAGが増加する、ということになり、鑑別に役立つのです。
病態でいいますと、乳酸アシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、飢餓状態、尿毒症、メタノールなどの中毒や敗血症などが、AGが増加するものとして挙げられます。
酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシスを最初から読む
2012年08月13日
酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシス7・BE(Base excess)とAG(Anion gap)
posted by 長尾大志 at 19:14
| Comment(2)
| 酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシス
現在神奈川県で集中ケア認定看護師のコースに通っています。酸・塩基でアニオンギャップの増大は理解できましたが、アニオンギャップに低下についてのメカニズムも納得はしたのですが、「だからどうなる」というところが理解できません。様々な本を読んでみましたが答えが出ません。長尾先生のアドバイスが頂けたらと思いメールをさせていただきました。突然の無礼とは思いますがお力を貸してください。よろしくお願いします。
浜田郁子
まずは、アニオンギャップが増えているか減っているか、そこで鑑別を絞りましょう、ということです。