2012年08月16日

酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシス10・まとめ

ここまで長々と書いてきましたが、まとめに入りましょう。


血ガスを採ったら、まずpHを見る。


そして、PaCO2とHCO3-を確認。


pHに動きがある場合、つまりアシデミア、またはアルカレミアである場合、その理由はPaCO2とHCO3-が教えてくれるわけです。



pH<7.350のアシデミアで、

  • PaCO2>45 HCO3≒24→急性呼吸性アシドーシス

  • PaCO2>45 HCO3>26→呼吸性アシドーシスの代謝性代償

  • HCO3<22 PaCO2≒40→急性代謝性アシドーシス

  • HCO3<22 PaCO2<<35→代謝性アシドーシスの呼吸性代償



pH>7.450のアルカレミアで、

  • PaCO2<35 HCO3≒24→急性呼吸性アルカローシス

  • PaCO2<35 HCO3<22→呼吸性アルカローシスの代謝性代償

  • HCO3>26 PaCO2≒40→急性代謝性アルカローシス

  • HCO3>26 PaCO2>>45→代謝性アルカローシスの呼吸性代償

と考えられます。



呼吸性アシドーシスの原因は、CO2が貯留する、すなわち換気量が減少することによります。ですから鑑別疾患は、

  • (分時)換気量が減少してU型呼吸不全の病態を呈する、気管支疾患(喘息、肺気腫などの閉塞性障害)

  • 神経筋疾患などによる呼吸筋の運動障害

  • 中枢性換気応答低下状態

となります。


基本的にこうなると、人工呼吸が必要と考えましょう。


呼吸性アルカローシスの原因は逆に、CO2が減少する、すなわち換気量が増加することによります。ですから鑑別疾患は、(分時)換気量が増加する病態、

  • 過換気症候群

  • 低酸素血症による呼吸中枢刺激


が挙げられます。


こちらは、換気を鎮めることが必要です。
過換気症候群の際の紙袋による再換気は有名ですね。低酸素に対しては原疾患の治療と酸素投与。



代謝性アシドーシスの原因は様々です。まずはアニオンギャップ(AG)を計算しましょう。

AG=(Na+)−{(Cl-)+(HCO3-)}
(正常値12±2mmol/L)


AGが増えている場合、乳酸、ケトン体、リン酸、メタノールなどが増えていると考えられますので、病態でいいますと乳酸アシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、飢餓状態、尿毒症、メタノールなどの中毒や敗血症などが鑑別に挙がります。


AGが増えない場合、下痢や尿細管性アシドーシスなどが考えられます。


代謝性アルカローシスの原因としては、嘔吐などによる胃液(酸性)の喪失、利尿薬投与などが挙げられます。


代謝性の治療は、病態に応じてのものとなりますので、ここでは総論のみにとどめておこうと思います。



ともかく、血ガスを採ったときには、まずここまでの原則を理解しておきましょう。


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