血ガスを採ったら、まずpHを見る。
そして、PaCO2とHCO3-を確認。
pHに動きがある場合、つまりアシデミア、またはアルカレミアである場合、その理由はPaCO2とHCO3-が教えてくれるわけです。
pH<7.350のアシデミアで、
- PaCO2>45 HCO3≒24→急性呼吸性アシドーシス
- PaCO2>45 HCO3>26→呼吸性アシドーシスの代謝性代償
- HCO3<22 PaCO2≒40→急性代謝性アシドーシス
- HCO3<22 PaCO2<<35→代謝性アシドーシスの呼吸性代償
pH>7.450のアルカレミアで、
- PaCO2<35 HCO3≒24→急性呼吸性アルカローシス
- PaCO2<35 HCO3<22→呼吸性アルカローシスの代謝性代償
- HCO3>26 PaCO2≒40→急性代謝性アルカローシス
- HCO3>26 PaCO2>>45→代謝性アルカローシスの呼吸性代償
と考えられます。
呼吸性アシドーシスの原因は、CO2が貯留する、すなわち換気量が減少することによります。ですから鑑別疾患は、
- (分時)換気量が減少してU型呼吸不全の病態を呈する、気管支疾患(喘息、肺気腫などの閉塞性障害)
- 神経筋疾患などによる呼吸筋の運動障害
- 中枢性換気応答低下状態
となります。
基本的にこうなると、人工呼吸が必要と考えましょう。
呼吸性アルカローシスの原因は逆に、CO2が減少する、すなわち換気量が増加することによります。ですから鑑別疾患は、(分時)換気量が増加する病態、
- 過換気症候群
- 低酸素血症による呼吸中枢刺激
が挙げられます。
こちらは、換気を鎮めることが必要です。
過換気症候群の際の紙袋による再換気は有名ですね。低酸素に対しては原疾患の治療と酸素投与。
代謝性アシドーシスの原因は様々です。まずはアニオンギャップ(AG)を計算しましょう。
AG=(Na+)−{(Cl-)+(HCO3-)}
(正常値12±2mmol/L)
AGが増えている場合、乳酸、ケトン体、リン酸、メタノールなどが増えていると考えられますので、病態でいいますと乳酸アシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、飢餓状態、尿毒症、メタノールなどの中毒や敗血症などが鑑別に挙がります。
AGが増えない場合、下痢や尿細管性アシドーシスなどが考えられます。
代謝性アルカローシスの原因としては、嘔吐などによる胃液(酸性)の喪失、利尿薬投与などが挙げられます。
代謝性の治療は、病態に応じてのものとなりますので、ここでは総論のみにとどめておこうと思います。
ともかく、血ガスを採ったときには、まずここまでの原則を理解しておきましょう。
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