87D-36
75歳の女性。10日前から38℃の発熱、痰量増加および息切れが強くなり来院した。意識もうろう。発汗著明。呼吸数24/分。脈拍100/分、整。血圧110/60mmHg。全肺野に吸気時coarse crackle聴取。(中略 炎症所見と胸部X線写真で浸潤影)
予想される動脈血ガス所見(room air、自発呼吸)はどれか。
pH PaO2 PaCO2 HCO3-
a 7.20 50 80 30
b 7.28 120 65 30
c 7.40 95 40 24
d 7.44 40 35 22
e 7.53 60 30 25
この症例は状況として肺炎があり、意識もうろう、発汗著明となっていることから、肺炎、肺胞低換気によるCO2ナルコーシスを考えさせる問題のようです。
選択肢の動脈血ガス所見を解釈してみましょう。
- a:アシデミアがあり、PaCO2高値でHCO3-も高値であることから、呼吸性アシドーシスを代謝性に代償しようとしている状況と考えられます。低酸素血症もあることから、肺胞低換気に矛盾しない所見です。問題の答えとしてはこれです。
- b:アシデミアがあり、PaCO2高値でHCO3-も高値である点はaと同様ですが、これほどの高CO2になるのであれば低酸素血症にもなるはずで、この症例にはあわないようです。
- c:pH、PaCO2、PaO2いずれも正常範囲内です。
- d:低酸素血症があるのに、PaCO2正常(少し過換気気味)で、意識もうろう、というキーワードにはあわないようです。
- e:アルカレミア、低酸素と過換気があり、T型呼吸不全による呼吸性アルカローシスパターンです。
こんな感じで解釈できるよう、練習しましょう。
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