2012年08月20日

酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシス13・医師国家試験を解いてみよう3

引き続き、医師国家試験の過去問を解いてみましょう。


87D-36

75歳の女性。10日前から38℃の発熱、痰量増加および息切れが強くなり来院した。意識もうろう。発汗著明。呼吸数24/分。脈拍100/分、整。血圧110/60mmHg。全肺野に吸気時coarse crackle聴取。(中略 炎症所見と胸部X線写真で浸潤影)

予想される動脈血ガス所見(room air、自発呼吸)はどれか。

  pH PaO2 PaCO2 HCO3-
a 7.20  50  80   30
b 7.28  120  65  30
c 7.40  95  40   24
d 7.44  40  35   22
e 7.53  60  30   25


この症例は状況として肺炎があり、意識もうろう、発汗著明となっていることから、肺炎、肺胞低換気によるCO2ナルコーシスを考えさせる問題のようです。


選択肢の動脈血ガス所見を解釈してみましょう。

  • a:アシデミアがあり、PaCO2高値でHCO3-も高値であることから、呼吸性アシドーシスを代謝性に代償しようとしている状況と考えられます。低酸素血症もあることから、肺胞低換気に矛盾しない所見です。問題の答えとしてはこれです。

  • b:アシデミアがあり、PaCO2高値でHCO3-も高値である点はaと同様ですが、これほどの高CO2になるのであれば低酸素血症にもなるはずで、この症例にはあわないようです。

  • c:pH、PaCO2、PaO2いずれも正常範囲内です。

  • d:低酸素血症があるのに、PaCO2正常(少し過換気気味)で、意識もうろう、というキーワードにはあわないようです。

  • e:アルカレミア、低酸素と過換気があり、T型呼吸不全による呼吸性アルカローシスパターンです。



こんな感じで解釈できるよう、練習しましょう。


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