2012年08月21日

酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシス14・医師国家試験を解いてみよう4

引き続き、医師国家試験の過去問を解いてみましょう。


86D-4

15歳の男子。2ヶ月前から全身倦怠感があり、1ヶ月前から多飲と多尿とが出現した。2週間前から悪心と嘔吐とを繰り返し、今朝から意識混濁を来たし救急車で搬送されてきた。脈拍96/分、呼吸数28/分、整。血糖736mg/dl、尿ケトン体3+。

この患者で予想される動脈血の所見はどれか。

  pH  PaCO2 HCO3- Na  Cl
a 7.00  43   11  137  102
b 7.18  23   9  136  96
c 7.21  36   14  136  108
d 7.40  40   24  141  107
e 7.46  32   32  145  98



意識混濁、高血糖と尿ケトン体3+ということから、糖尿病性ケトアシドーシスの診断は問題ないと思います。代謝性アシドーシスの鑑別ということで、アニオンギャップ(AG)の計算も必要です。

覚えていますか?
AG=(Na+)−{(Cl-)+(HCO3-)}
(正常値12±2mmol/L)でした。


  • a:アシデミアがあり、その理由としてHCO3-が低値、すなわち代謝性アシドーシスであります。AG=24と増大しており、AG増大する代謝性アシドーシスに矛盾しません。しかし、それでいてPaCO2が低下を示しておらず、呼吸性代償が働いていないのは話が合いませんね。

  • b:アシデミアがあり、その理由としてHCO3-が低値、すなわち代謝性アシドーシスです。PaCO2が低下し、呼吸性代償が起こっています。AG=31と増大しており、すべて糖尿病性ケトアシドーシスに合致します。

  • c:アシデミアがあり、その理由としてHCO3-が低値、代謝性アシドーシスです。しかしAG=14と正常範囲であり、糖尿病性ケトアシドーシスに合致しません。

  • dとe:アシデミアではありません。HCO3-低値でもないし。



練習できましたか?酸塩基平衡については、このあたりでいったん〆としておきましょう。



ここでお知らせです。

毎日更新が原則のこのブログですが、明日以降、ネット環境に接続できず、どうしても更新することができないと予想されます(夏休みともいう)。毎日楽しみに?ご覧頂いている方が万一おられましたら、申し訳ございませんが、再開をしばしお待ちください。


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