2012年08月28日

今日の症例・リンパ腫治療中に両側びまん性陰影を呈した1例2

リンパ腫化学療法施行中に生じてきた両側びまん性の陰影。低酸素血症。
鑑別に挙げるべきは何でしょうか。


陰影からはびまん性肺疾患の鑑別になります。病歴から挙げるべき鑑別疾患を考えてみましょう。


  • リンパ腫がある→リンパ腫再燃・増悪

  • 化学療法中(抗癌剤などを使用中)→薬剤性肺障害

  • 免疫抑制状態→(日和見)感染症



もちろんこれら以外に、間質性肺炎(CTからはOPパターン…)も鑑別に入るでしょう。


特に感染症を正しく診断する意味でも、気管支鏡、できればBALを行いたいところ。ハイ、行いましたよ…。

なんと回収液は真っ赤っか。こんな感じでした。


DAHBALF0007.JPG


気管支鏡BALにて徐々に濃くなる血清回収液を得たことになり、びまん性肺胞出血と考えました(後にヘモジデリン貪食細胞も確認)。


肺胞出血の原因としては、上記以外に血管炎、膠原病、Goodpasture症候群などを考える必要があります。また、ワーファリン内服中であり、PT-INRを確認しましたが、これは延長なし。


本症例では、元々あったリンパ腫の病変がほぼ消失していたことから、当初からリンパ腫再燃の可能性は低いと考え、mPSLに加えて感染対策にガンシクロビルとST合剤を開始されていたものの、効果を認めてはいませんでした。そこへBAL所見からmPSLパルスを開始。3日間終了時には酸素化、各種所見が改善傾向となりました。


そうこうしているうちにβ-Dグルカン、C7-HRPの陰性が確認され、BALFで細胞診は好中球優位であったものの、細菌培養陰性より、感染症の可能性はひとまず否定的と考えられました。

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posted by 長尾大志 at 19:13 | Comment(2) | 今日の症例
この記事へのコメント
いつも楽しみに拝読させていただいております。BAL所見について質問です。
呼吸器科医でないので不勉強で恐縮ですが、BAL所見の「血性が『徐々に』濃くなる」という点は肺胞出血自体を示唆するということですか?びまん性の肺胞出血を示唆するということですか?徐々に薄くなることもあるのですか?
2点目ですが、パルス前のステロイドは何mg入っていたのですか?それへの反応はほぼなかったということでしょうか?
不勉強な質問で申し訳ないです。
Posted by 他科医 at 2012年08月31日 20:00
コメントありがとうございます。

気管支からの出血の場合は、洗浄する当初は血性でも洗っていくと薄くなっていきます。肺胞から出てくる場合、だんだん濃くなります。それである程度判断可能です。あとは陰影から、「びまん性」と判断しました。

パルス前のmPSLは、ちょっと目立たない書き方でしたが、125mgと、少し少なめでした。量が少なかったため反応がなかったかと考えます。
Posted by 長尾 大志 at 2012年08月31日 23:47
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