I先生はがんセンターで研鑽を積まれ、昨年よりウチに来られています。最近は基礎講座で研究をされていますが、以前の研究がChestに掲載され、学位論文(となる予定)であります。(CHEST. 2012; 142:151-158. )
タイトルは「癌関連間質細胞がT期肺腺癌患者の予後に与えるインパクト」。
肺癌患者さんの予後がよろしくないことは周知の事実ですが、具体的には、T期の腺癌患者さんであっても実際には術後再発が問題となり、5年生存率は40%程度と報告されています。その術後再発を抑えるために、術後化学療法が試みられてきたわけですが、I期においては生存に対するメリットが確立されておらず、標準治療とはなっていません。
したがってI期腺癌患者さんにおける再発危険因子を同定することが必要なのです。それによってI期の患者さんをリスク別に層別化し、術後化学療法の有用性を検証すべき再発ハイリスク群を抽出することが可能となるわけですね。
これまでに報告されている再発危険因子として、腫瘍サイズ、胸膜浸潤、血管内腫瘍浸潤、リンパ管侵襲などが挙げられますが、これらはすべて癌細胞に焦点を当てたものでした。
癌組織には癌細胞だけでなくその周りに間質細胞が存在します。この間質細胞が癌組織における「微小環境」を構成しており、腫瘍の進展がこの「微小環境」によっても規定されることが近年明らかになってきています。
微小環境を構成する主な細胞成分は線維芽細胞とマクロファージで、腫瘍促進的なマーカーを発現している細胞が多いと、予後に大きく関与する、ということを最終的に示された、意欲的なご発表でした。
さすがに細かいところの手直しはほとんど無く、専門外の先生にstoryをわかりやすく、というところを工夫した程度でした。
I先生はお話ししてみると相当な天然なんですが、研究に向かう態度は真摯であり、そこのギャップがまた魅力的であります。現在婚活中でもあり、興味のある方はアプローチされてみてはいかがでしょうか。
2012年08月31日
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