2012年09月06日

肺炎と抗菌薬〜3つのガイドラインの根底に流れる「共通の考え方」3〜菌をもらった場所別の原因菌・若い元気な人=市中肺炎

病原性を持つ菌で、肺の環境を好み、かつ、エアロゾル・微少な飛沫として空中に浮かぶことができる(つまり肺に入る経路を持つ)菌、それが肺炎の原因菌になりうるわけです。


元気な人、若い人が、保育園、幼稚園、学校、会社、人混みなどで吸い込むような菌は、やはりそういう場に出入りできるくらいの状態の「病気の人」、あるいは「健康だけれども保菌している人」が喀出した「咳」「痰」「しぶき」に含まれている菌ということになります。


すなわち、軽い上気道炎、咽頭炎、副鼻腔炎、気管支炎、慢性気道感染の原因となる菌や鼻咽頭に常在しそうな、次のような菌(微生物)が挙げられます。


  • 肺炎球菌

  • H.influenzae(インフルエンザ菌)

  • マイコプラズマ・クラミドフィラ

  • ウイルス(インフルエンザ、水痘他)



他に、クラミドフィラ・シッタシ(オウム病の原因)は鳥、レジオネラは水環境(24時間風呂、温泉etc…)を経て感染する。これらも、いわゆる「市中での生活」をしていないと感染機会はなさそうですね。


市中肺炎の原因菌はこれらであることが多いため、エンピリック(経験的)治療はこれらの菌をターゲットとして行われます。


スペクトラム的には、肺炎球菌やH.influenzae(インフルエンザ菌)には通常ペニシリンなどのβラクタムが有効ですが、マイコプラズマやクラミドフィラにはβラクタムが効かない。ということで、これらの鑑別が必要になるわけです。


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posted by 長尾大志 at 17:22 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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