2012年09月07日

肺炎と抗菌薬〜3つのガイドラインの根底に流れる「共通の考え方」4〜耐性菌について・MIC (Minimum inhibitory concentration最小発育阻止濃度)とは

現在の感染症を考える上で、耐性の問題を避けて通るわけには参りません。抗菌薬を使うと、一定の割合で、それに対する耐性菌が生き残ってくる以上、現在使われている抗菌薬には、何らかの形で耐性菌が存在する、と考えておく必要があります。


1耐性菌機序図.JPG


上の図は結核菌の耐性獲得図ですが、一般細菌でも理屈は同じ。ある抗菌薬を使い続けると、感受性のある菌はバタバタ死んでいくものの耐性を獲得した菌は生き残り、やがて耐性菌ばかりになる、ということです。


その耐性の問題を考える上で、知っておくべき用語として「MIC」があります。


MICはMinimum inhibitory concentration(最小発育阻止濃度)、つまり、細菌の発育を阻止できる最小の濃度です。どういうことか。


培地に菌を植えると、生えてきますね。


2培地に菌.JPG


しかし、その培地に、その菌に対して有効な抗菌薬を充分量染みこませておくと…


3培地に菌と抗菌薬.JPG


菌は生えません。


ですから、ある菌に対して、色々な濃度の抗菌薬を染みこませた培地を作り、どの段階の濃度から菌が生えるか、これを見ることで、菌の発育を阻止する最小の濃度(=MIC)を知るわけです。


4MICの測定.JPG


たとえば、下の図のようであれば、1μg/mlで生え、2μg/mlでは生えない、ということですから、菌の発育を阻止する最小の濃度は2μg/mlである、すなわち、MICは2μg/ml、ということになります。


5MICの測定.JPG


MICについては色々な事柄があり、実は大変ややこしい世界なのですが、まず取っつきとしては、MICが小さければ、その抗菌薬はその菌によく効き、MICが大きいと効きにくくなる、と考えましょう。


肺炎ガイドラインを最初から読む

トップページへ

posted by 長尾大志 at 19:05 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。