上の図は結核菌の耐性獲得図ですが、一般細菌でも理屈は同じ。ある抗菌薬を使い続けると、感受性のある菌はバタバタ死んでいくものの耐性を獲得した菌は生き残り、やがて耐性菌ばかりになる、ということです。
その耐性の問題を考える上で、知っておくべき用語として「MIC」があります。
MICはMinimum inhibitory concentration(最小発育阻止濃度)、つまり、細菌の発育を阻止できる最小の濃度です。どういうことか。
培地に菌を植えると、生えてきますね。
しかし、その培地に、その菌に対して有効な抗菌薬を充分量染みこませておくと…
菌は生えません。
ですから、ある菌に対して、色々な濃度の抗菌薬を染みこませた培地を作り、どの段階の濃度から菌が生えるか、これを見ることで、菌の発育を阻止する最小の濃度(=MIC)を知るわけです。
たとえば、下の図のようであれば、1μg/mlで生え、2μg/mlでは生えない、ということですから、菌の発育を阻止する最小の濃度は2μg/mlである、すなわち、MICは2μg/ml、ということになります。
MICについては色々な事柄があり、実は大変ややこしい世界なのですが、まず取っつきとしては、MICが小さければ、その抗菌薬はその菌によく効き、MICが大きいと効きにくくなる、と考えましょう。
肺炎ガイドラインを最初から読む