2012年09月12日

肺炎と抗菌薬〜3つのガイドラインの根底に流れる「共通の考え方」7〜市中肺炎の原因となる主な耐性菌・マイコプラズマ

マイコプラズマという病原体は、細胞壁を持ちませんので、細胞壁の合成阻害薬であるβラクタム系抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系)は全く効果がありません。


そうはいっても、ちょっとぐらいは…イヤイヤ、全く効きません。原理的に効くわけがないのです。それは皆さんもよくご存じでしょう。



従って、特にマイコプラズマに対しては、マクロライド系、あるいは、キノロン系抗菌薬を使う、ということにガイドラインではなっています。


ところがマクロライド系の(恐ろしいほどの)頻用により、マクロライド耐性のマイコプラズマがどんどん出現してきている、ということが話題になっています。



日本での報告では、14員環、15員環マクロライドに高度耐性を示していて、リンコマイシンにも耐性はあるもののテトラサイクリン系やキノロン系薬はまだ有効なようです。


成人でのマクロライド耐性マイコプラズマの報告は増えてきているということですが、幸いなことに、私たちの周囲で実際マイコプラズマと診断されて、マクロライドが効かない、というケースはまだそれほど多くないように思います。


一方で、小児科領域では難渋するケースが多くなっている、ということも言われています。それだけ小児にマクロライドが濫用されたことの証ですね。


キノロンのメーカーさんの研究会なんかに行くと、「マクロライド耐性マイコプラズマの報告はこんなに増えて…」みたいな話を聞かされて、なんだかついついキノロンを使いたくなる今日このごろです。ここはキノロン温存のためにも、マクロライドに「最後のご奉公」、もう一がんばりしてほしい、とも思う気持ちがあるのですが…。


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posted by 長尾大志 at 18:39 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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