第2世代のセフェムは、20年近く前には肺炎に頻用されてたんですけどね〜。最近(特に若い先生が)使う機会が減ってきました。
第1世代のセフェム、セファゾリン(CEZ:セファメジン)はペニシリナーゼを産生するグラム陽性球菌と、大腸菌、クレブシエラといったところを得意とするのでした。
次に臨床で問題になったのは、弱毒性のグラム陰性桿菌と嫌気性菌です。
第2世代のセフェムは、これらをターゲットに作られました。
第2世代でもそのターゲットによって、大きく分けて2つの系統に別れます。わかりやすくするために、いわゆる呼吸器系の感染を起こしてくる弱毒性のグラム陰性桿菌(インフルエンザ菌、モラクセラ)と、腹腔内感染の原因となる嫌気性菌(腸内細菌)に分けて考えましょう。
■セフォチアム(CTM:パンスポリン):グラム陽性球菌に加え、インフルエンザ菌、モラクセラにスペクトラムを広げました。βラクタマーゼにも抵抗性があるのですが、最近増えているBLNARにはアキマセン。それから嫌気性菌にもダメ。
そんなわけで、私が研修医になった頃は肺炎といえばこれだったのですが、昨今では誤嚥性肺炎も増え、特に若い先生には人気がありません。まあ、BLNARの少ない地域で誤嚥がなさそうなら大丈夫かと…。
■セフメタゾール(CMZ:セフメタゾン):CTMよりさらに嫌気性菌へとスペクトラムを広げ、腹腔内感染症に対しての1st choiceとして華々しくデビュー…したのでしょうか。私が消化器を回っていた頃は毎日使っていました。腹部手術の術前(術後)投与にも頻用されているかと思います。
また、SBT/ABPC登場前は誤嚥性肺炎に対してもよく使われていました。ただ、グラム陽性球菌やインフルエンザ菌にはCTMよりちと劣るようですので、厳密に言えば想定原因菌によって使い分けるのが理想でしょう。まあ、肺炎にCMZしか使わない施設でも、ちゃんと治っていましたが…。
さて、何よりも大きな第2世代のメリットと言えば…
緑膿菌に効かない
ということでしょう。いくら使っても、耐性を獲得させない。何度も繰り返しますが、緑膿菌に効く薬は、とことん出し惜しみしましょう。
(とはいえ、肺炎業界では第2世代の出番は少なし…。)
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2012年10月02日
肺炎と抗菌薬〜3つのガイドラインの根底に流れる「共通の考え方」19〜抗菌薬の種類と特徴7・セフェム系抗菌薬3・第2世代セフェム
posted by 長尾大志 at 18:35
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| 肺炎ガイドライン解説
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