第3世代のセフェム系抗菌薬も、進化について2種類の方向性がありました。1つは、グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌の耐性菌対策。もう一つは、グラム陽性球菌を捨てて緑膿菌へのスペクトラムを得ること。
前者の代表がセフトリアキソン、後者の代表がセフタジジムです。
■セフトリアキソン(CTRX:ロセフィン):現在肺炎業界で、SBT/ABPC同様のエースと申し上げていいでしょう。いずれが前田か大島か(*前田敦子は現在、AKB48を卒業しています)。
セフェム系、あるいはペニシリン系においても問題となった耐性菌を克服した、素晴らしい抗菌薬です。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)にも極めて有効で、ペニシリンや1,2世代のセフェムが苦手としてきたBLNAR型インフルエンザ菌にも有効、さらには多くのグラム陰性桿菌に有効なのです。
また、緑膿菌には無効(何度も言いますよ、ここが一番大事!)ということで、市中〜軽症の院内肺炎に対して、「ほぼ」万能と言えるスペクトラムを持ちます。
あえて「」付きで「ほぼ」と書いたのには理由があります。理由はわかりますか?
マイコプラズマ・クラミドフィラ・レジオネラなどの非定型菌には無効!
正解。でも、だけじゃないです。もう一声!
嫌気性菌です。第2世代よりも弱いとされています。
…だもんで、誤嚥にご縁のありそうな肺炎には向かない。
とっても大事なところですので、まとめて、区別して覚えておきましょう。
- CTRXは、PRSPやBLNARなど、耐性菌に強いが、嫌気性菌に効力が弱い。
- SBT/ABPCは、嫌気性菌には強いが、BLNARにはダメ。
ですから、これらの使い分けは
- 誤嚥にご縁がありそうならSBT/ABPC。
- インフルエンザ菌にご縁がありそうで、地域のBLNAR率がある程度高ければCTRX。
と考えていただければいいのではないでしょうか。
CTRXとSBT/ABPCはどちらもエース級の働きをしていますが、似て非なるもの(生い立ちからして)なんですね。
子役から芸能界に入っていた大島優子とたまたまオーディションを受けた前田敦子。
切れのあるダンスと脱力系ダンス、びしっとした表情とふとした表情の魅力など、それぞれにそれぞれの特徴、良さがあるのです。プロデューサーは必ず特徴を生かして起用するわけですから、私たちも抗菌薬の特徴をよく理解して起用すべきなのです。
ちなみに私はどちらかが推し、というわけではありません。念のため。
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