2012年10月03日

肺炎と抗菌薬〜3つのガイドラインの根底に流れる「共通の考え方」20〜抗菌薬の種類と特徴8・セフェム系抗菌薬4・第3世代セフェム1・セフトリアキソン

第3世代。セフェム黄金時代と没落?の歴史を振り返らなければなりません。


第3世代のセフェム系抗菌薬も、進化について2種類の方向性がありました。1つは、グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌の耐性菌対策。もう一つは、グラム陽性球菌を捨てて緑膿菌へのスペクトラムを得ること。


前者の代表がセフトリアキソン、後者の代表がセフタジジムです。



■セフトリアキソン(CTRX:ロセフィン):現在肺炎業界で、SBT/ABPC同様のエースと申し上げていいでしょう。いずれが前田か大島か(*前田敦子は現在、AKB48を卒業しています)。


セフェム系、あるいはペニシリン系においても問題となった耐性菌を克服した、素晴らしい抗菌薬です。


ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)にも極めて有効で、ペニシリンや1,2世代のセフェムが苦手としてきたBLNAR型インフルエンザ菌にも有効、さらには多くのグラム陰性桿菌に有効なのです。


また、緑膿菌には無効(何度も言いますよ、ここが一番大事!)ということで、市中〜軽症の院内肺炎に対して、「ほぼ」万能と言えるスペクトラムを持ちます。


あえて「」付きで「ほぼ」と書いたのには理由があります。理由はわかりますか?




マイコプラズマ・クラミドフィラ・レジオネラなどの非定型菌には無効!

正解。でも、だけじゃないです。もう一声!




嫌気性菌です。第2世代よりも弱いとされています。
…だもんで、誤嚥にご縁のありそうな肺炎には向かない。



とっても大事なところですので、まとめて、区別して覚えておきましょう。


  • CTRXは、PRSPやBLNARなど、耐性菌に強いが、嫌気性菌に効力が弱い。

  • SBT/ABPCは、嫌気性菌には強いが、BLNARにはダメ。



ですから、これらの使い分けは


  • 誤嚥にご縁がありそうならSBT/ABPC。

  • インフルエンザ菌にご縁がありそうで、地域のBLNAR率がある程度高ければCTRX。



と考えていただければいいのではないでしょうか。


CTRXとSBT/ABPCはどちらもエース級の働きをしていますが、似て非なるもの(生い立ちからして)なんですね。


子役から芸能界に入っていた大島優子とたまたまオーディションを受けた前田敦子。


切れのあるダンスと脱力系ダンス、びしっとした表情とふとした表情の魅力など、それぞれにそれぞれの特徴、良さがあるのです。プロデューサーは必ず特徴を生かして起用するわけですから、私たちも抗菌薬の特徴をよく理解して起用すべきなのです。


ちなみに私はどちらかが推し、というわけではありません。念のため


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posted by 長尾大志 at 16:23 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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