2012年10月04日

肺炎と抗菌薬〜3つのガイドラインの根底に流れる「共通の考え方」20〜抗菌薬の種類と特徴9・セフェム系抗菌薬5・第3世代セフェム2・セフタジジム

第3世代はセフェム黄金時代と没落の歴史。進化について2種類の方向性がありました。1つは、グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌の耐性菌対策。もう一つは、グラム陽性球菌を捨てて緑膿菌へのスペクトラムを得ること。


前者の代表セフトリアキソンは昨日紹介しました。今日は後者の代表、セフタジジムを取り上げましょう。


■セフタジジム(CAZ:モダシン):βラクタマーゼによって分解されにくくなり、緑膿菌を含む多くのグラム陰性桿菌に有効となりましたが、それと引き替えにグラム陽性球菌に対する効果は全般的に劣ってしまいました。


この第3世代にきて、グラム陰性桿菌のほとんど、緑膿菌にまでもスペクトラムが広がったため、「最強」の称号が付き、セフェムは黄金時代を迎えます。


…しかし、黄金時代は長く続きません。


CAZのみならず、第3世代セフェムで緑膿菌にスペクトラムを持つものは、グラム陽性球菌への効果が弱いことから、結果的にMRSAが生き残って蔓延る原因となりました。また、濫用によって緑膿菌は軒並み耐性を獲得し、より治療しにくくなってきているのです。


そんなこんながありまして、CAZなどは使われる機会が激減、まさに没落の途上にあると言ってしまいましょう。いや、まだまだ使える余地はあるのですが、もはや「何も考えずには」使えないので、敬遠される傾向にある、と言っておきましょうか…。


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posted by 長尾大志 at 14:29 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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