第3世代の反省を踏まえて開発されたのが、第4世代セフェムであります。
■セフェピム(CFPM:マキシピーム)
■セフォゾプラン(CZOP:ファーストシン)
■セフピロム(CPR:ブロアクト、ケイテン)
これらはグラム陽性球菌に弱くてMRSAを蔓延らせた第三世代の反省から、グラム陽性球菌への活性が強化されました(とはいえ、第一世代と同程度あるいは以下)。グラム陰性桿菌への作用はCAZと同程度に保たれています。そういう意味ではほぼ万能の抗菌薬、と言えましょうか。
しかし、とき既に遅し。MRSAや耐性緑膿菌の台頭もあり、そういうときには役立たず、となっています。あと、嫌気性菌にはアカンので、誤嚥性肺炎には不向きです。
昨今しばしば使われる場面は、何だか分からないけど発熱していて、細菌感染を疑うとき、中でもグラム陰性桿菌、緑膿菌を疑うとき、かつ嫌気性菌を疑わないときであります。
その代表は、発熱を伴う白血球減少症(FN:febrile neutropenia)でしょう。腸内細菌や(素直な?)緑膿菌による菌血症、敗血症に対してはよい適応かと思います。
また、原因菌の不明な院内肺炎(中等症)のempiric therapyでもガイドラインで推奨されていますが、上記の通り、誤嚥がありそうならCLDMとの併用が勧められています。
肺炎ガイドラインを最初から読む
2012年10月05日
肺炎と抗菌薬〜3つのガイドラインの根底に流れる「共通の考え方」20〜抗菌薬の種類と特徴10・セフェム系抗菌薬6・第4世代セフェム
posted by 長尾大志 at 16:57
| Comment(2)
| 肺炎ガイドライン解説
不勉強で恐縮ですが、第4世代に関しては、マキシピームとファーストシンが両方採用され、「セフピロム」の採用が無い病院が多いように感じます。
使い分けや、先生がお使いいただいた印象など、いかがでしょうか?
また、学生向けの教科書上は、4世代≒セフェピムと記載がありますが、実際に周囲で使われるのはファーストシンが多く、学生さんから違いにつき、質問を受けることもありますが、エビデンスの弱さはありますが、ファーストシンのMRが持ってきた資料の受け売りを話してしまっております。先生なら、違いをどのように説明されますか?
私だったら学生には、第4世代間の差よりも、「第4世代でなければならない場面は少ない」ということを力説すると思います。