2012年10月08日

今日の症例・Parkinson病、COPDのある患者さんの急な悪化

抗菌薬の話があまりにも続きそうなので、閑話休題。


前のシリーズでやった血ガス所見の実践例を見てみましょう(随分前ですが、覚えていますか?)。

症例は80歳代の男性です。


<主訴>
呼吸困難

<現病歴>
元々、パーキンソン病、肺気腫で加療中であった(介護施設入所中)。某月31日の晩までは普通に食事をし、元気に過ごしていたが、某月1日の夜中に不隠となり、「呼吸があらかった」ために明け方SpO2を測定すると80%と低値を認めた。そこで当院救急外来を受診され、加療のため入院となった。

<既往歴>
肺気腫→アドエア、テオドールで加療中。
パーキンソン病 メネシット、レキップ内服中。
肺炎→1ヶ月前、K総合病院で入院。

<喫煙歴>40本×50年 ex-smoker
<職歴>主に営業
<粉塵暴露歴>特になし
<ADL>しんどくなる前までは身の回りの事は可能であった。
<アレルギー>特になし


<入院時身体所見>
血圧128/56、努力呼吸、呼吸数:37回/分、HR:104bpm 整
SpO2:47%(room air)→95%(マスク5L) るいそうあり。
意識レベル:JCS2-20
頸静脈怒張なし
肺音:両肺でwheeze(+), 左呼吸音減弱
心音:頻拍のみ
両下肢 浮腫なし

<入院時検査所見>
HB (g/dl ) 13.3   WBC (1000 ) 18.6 H
PLTS (1000 ) 175
PT-P (秒 ) 11.4  APTTP (秒 ) 23.4 L
PT-INR ( ) 0.98
TP (g/dl ) 6.6    ALB (g/dl ) 3.9 L
AST (U/l ) 40 H  ALT (U/l ) 9
LDH (U/l ) 430 H  T-BIL (mg/dl ) 0.96
NA (mmol/l) 143   CL (mmol/l) 104
K (mmol/l) 3.7    UN (mg/dl ) 36.0 H
CRE (mg/dl ) 1.50 H  eGFR 35.1
CRP (mg/dl ) 1.26 H  BNP 497.06 H

<血液ガス>(room air)
pH:7.235, PaO2:28.2mmHg, PaCO2:78.5mmHg


胸部レントゲン写真を供覧しましょう。


120826CR.jpg


悪化時。


120901CR.jpg


入院後経過。何かついていますね…。


120905CR.jpg


酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシスを最初から読む

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