2012年10月24日

肺炎と抗菌薬〜3つのガイドラインの根底に流れる「共通の考え方」28〜抗菌薬の種類と特徴18・アミノグリコシド系抗菌薬・モノバクタム系抗菌薬

その使いにくさから、一時期完全に?忘れ去られた存在となったものの、ガイドラインで取り上げられたことで再び脚光を浴びつつある、そんな感じでしょうか。アミノグリコシド系。


こちらはそもそもから現在に至るまで、グラム陰性桿菌専用といっても良いスペクトラムを持ちます。特に緑膿菌に対して、しばらく使われていなかったことから感受性が保たれていたりしまして、治療のkey drugとなることもあります。


何が使いにくいか、といいますと、腎毒性や第8脳神経障害といった副作用、筋注があったり静注があったり血中濃度を見たり、という使用の煩雑さ、要するに「何も考えない」で使うことができない、という点であります。だから生き残った、良かった、という面もあるのですが。


モノバクタム系はアミノグリコシド系とよく似た、グラム陰性桿菌(緑膿菌を含む)専用スペクトラムで、アミノグリコシド系よりも比較的使いやすくて個人的には好きなのですが、なぜか当院の緑膿菌は一時モノバクタムがダメで、いつの間にやら採用中止となってしまいました。マイナーすぎるところもあって、採用しているところは少ないのではないかと思います。


でも、モノバクタム系のアズトレオナム(AZT:アザクタム)なんかを適切にびしっと使える先生、かっこいいな〜と思いますね。



アミノグリコシド系に限らず、抗菌薬を使う際には「書いてある最大量を使う」が原則ですが、アミノグリコシドの場合は効果が投与後の最大血中濃度に依存するため、1回投与量をできる限り高めてあげることが必要です。


例えばゲンタマイシン、保険による認可用量・用法は80〜120mg/日を1日2〜3回分割投与、となっていますが、Sanfordによる推奨用量は5mg/kg/日。体重30kgで150mg/日必要となります。


ですから、認可容量を超えず、かつ最も効果がありそうな投与法としては、どうしても120mg/回の1日1回、とせざるを得ません。それでも全然足りないわけで…まあそこら辺は、主治医の裁量で、ということになるでしょう。


用量やTDM(therapeutic drug monitoring:治療薬物モニタリング)の細々としたことに関しては、院内肺炎ガイドラインに詳しく書かれていますので、使ってみよう、という方は参照してください。


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posted by 長尾大志 at 18:37 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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