しかしそこは重症院内肺炎相手ですから、思い切った狭域化のde-escalationは紹介されていません。緑膿菌は少なくとも一剤がカバーし続けるようになっています。
しかし、抗菌薬投与前の良質な喀痰培養で緑膿菌が検出されない、こうなりますと、緑膿菌による感染症の可能性は低くなります。
少なくとも「多剤耐性緑膿菌を考慮して2系統で緑膿菌を叩く」必要はなさそうかと。
従って、ガイドラインでは、抗菌薬投与前の良質な喀痰培養で緑膿菌が検出されない場合は、(副作用の多い)アミノグリコシドを中止する、とされています。
実臨床では、抗菌薬開始後の経過が順調で、喀痰から有意な菌が得られた場合、それに従って抗菌薬を変更する、ということはあっても良いでしょう。
また、キノロンの位置づけとしては、特に重症肺炎の場合、レジオネラ対策の意味合いが強いものです(CPFX300mg×2では1回投与量が少なく、緑膿菌には届かなかったりする)。ですから、臨床的にレジオネラを疑うような状況がなければ、キノロン薬を中止して良い、となっています。
レジオネラを疑う状況
- レジオネラ尿中抗原陽性
- 進行する重症肺炎
- 多肺葉性陰影
- 胸水
- 間質性陰影の混在
- (病院、病棟内での)集団発生
今ではクラビット全盛ですから、ガイドラインが改定される頃には、少し意味合いは違ってきているかもしれません。
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