肺炎診療において、臨床医(特に非専門の先生方)にとって大事なところ、実のところそれは抗菌薬の使い方よりも、「治療に反応しないケースでどう考えるか」ということではないでしょうか。
院内肺炎のガイドラインでは親切にも、「治療に反応しない患者への対応」と独立した項目で取り扱われています。
肺炎だ、広域抗菌薬だ、あれれ、良くならない…。という流れをあちこちの施設で眼にします。常に、診断と鑑別を正しく行う癖がついていれば、そのようなことにはならないはずが…残念。
まず、「本当に良くなっていない」のか、「実は良くなっているのに主治医がそう解釈できていない」のか、ここの間違い、結構多いです。
肺炎。胸部レントゲンに陰影、CRP6、広域抗菌薬投与、2日後に陰影増強、CRP12。
これを見て、「抗菌薬換えなくちゃ」と思った方、ちょっとヤバイですよ…。
肺炎治療の効果判定に、レントゲンを使うべからずでも書きましたが、胸部X線写真の改善は炎症が沈静化するより遅れます。高齢であったり、合併症があるとなおさら。
また、CRPも急性期に上がりきらなかったり、患者さんの状態によって当初低値であったりして、当てにならないことも多いわけです。
肺炎の効果判定は、患者さんのところに行ってわかる、以下の項目を使いましょう。
- 全身症状・症候:発熱、心拍数、脱水や経口摂取可能かどうか
- 臓器特異的な症状・症候:痰の量、性状、胸部ラ音、SpO2、呼吸回数、チアノーゼなど
これらに「改善」が見られたら、その治療は「効果あり」です。自信を持って続行、(あるいはde-escalation)しましょう。
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