2012年11月16日

肺炎と抗菌薬〜3つのガイドラインの根底に流れる「共通の考え方」43〜肺炎治療の流れ14・院内肺炎に対する治療に反応しない場合の対応3

正しく効果判定をしているにもかかわらず、抗菌薬治療に反応していない、また、感染症以外の状況が除外できている、すなわち、感染症であるにもかかわらず抗菌薬治療に反応していない場合、いくつかの要因が考えられます。


院内肺炎ガイドラインでは親切なことに、それについても取り上げられています。
一つずつみてみましょう。


■病原微生物側の要因

スペクトラムは正しくても病変が膿瘍や膿胸を形成している場合、その場所には血管があまり存在せず、薬剤が移行しにくい点や局所で薬剤不活化酵素が産生される、ということがいわれており、思ったような治療効果が得られないことがあります。


また、菌血症があると、肺以外の臓器にも感染が散布されることがありますが、抗菌薬移行のよくない部位に感染症が生じると治療効果が得られにくくなります。たとえば、肝膿瘍、感染性心内膜炎、骨髄炎やカテーテル感染などです。肺の炎症以外にそういった合併症がないかどうかは確認が必要です。



スペクトラムは当たっている菌であるにもかかわらず、耐性度が強いために抗菌薬の効果が得られない場合もあります。
代表は耐性緑膿菌ですが、最近ではESBL産生菌やアシネトバクターなども問題になることがあります。


これらの場合、やはり感受性パターンを参考にして抗菌薬を選択していきますので、そもそも菌を検出しないことには話が始まりません。従って、菌を検出する努力は必須といえるでしょう。



それから、いわゆる一般抗菌薬がそもそも効かない病原微生物もいます。


代表は抗酸菌、ウイルス、真菌、ニューモシスチスなど。ウイルス感染は今もって診断、確認が困難ですが、その他の病態では(努力次第で?)診断が可能であります。



■宿主側の要因

合併症がある場合、そちらも治療しなければ肺炎も改善しません。


たとえば糖尿病、低栄養、白血球減少などは免疫力が低下する病態であり、そちらを解決しないことには肺炎の改善も望めないわけです。


臥床状態や繰り返す誤嚥、カテーテル留置など、物理的に菌が入って来やすい状態、定着しやすい場所があるとこれも難治の原因となるため、対策が必要です(しばしば困難ですが)。



■薬剤の要因


施設によってはしばしばみられる状態として、たとえば、抗菌薬の投与量が足りない、というのがありがちです。
メ○ペン 0.5g×2回/日 みたいな使い方では、効くものも効きません。


PK/PDも考慮して(保険適応上の)最大量を、最大限生かして投与するために、PK/PDブレイクポイントがガイドラインに掲載されています。これで最大殺菌作用を得るMICになる投与量と投与回数を選択できます。


あとは組織移行性の問題、それと併用薬との相互作用によって血中濃度が低下する、そのあたりのことが言われています。


そんなん、基本じゃないか…と思うのですが、治療がうまくいかないときは、今一度、基本に立ち返ることが重要、ということでしょう。


さて、院内肺炎もこのぐらいにしておきましょう。ということは…。


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posted by 長尾大志 at 18:36 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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