2012年11月20日

肺炎と抗菌薬〜ガイドラインの実践にあたって

肺炎の記事に対して、とある病院で働いておられる研修医の先生からご質問を頂きました。


(引用ここから)
いつも無償で知識を与えていただいてありがとうございます。
今回の件に関連して質問です。

画像ではっきり肺炎像を呈しているが上気道症状に乏しい高齢者の肺炎を時折拝見します。
喀痰がとれない場合治療方針が曖昧になる気がするのです。

エンピリックにずっといっていいのか
効果判定の指標はどうするのか
治療期間はどうすればいいのか
喀痰誘発などは行うべきか

など僕にとっては問題が山積みなのですが
コメントいただけたら幸いです。
(引用ここまで)



ガイドラインの解説で強調していたことは、「良質な喀痰があれば、より精度の高い抗菌薬治療が可能になる」ということです。高齢者は典型的症状に乏しく、痰の喀出もままならないことが多いため、理想通りには参りません。そういうときのためのエンピリック治療でもあるのです。


すなわち、「状況証拠からできる限り原因菌を推測し、妥当と思われる抗菌薬を使用する」手順であります。



■エンピリックにずっといっていいのか

エンピリックに治療を開始して、良質な喀痰が得られない場合には、治療継続するかどうかは効果判定によって決めます。治療効果があるようなら、そのまま継続し、できる限り短期間で治療を切り上げます。


この場合、de-escalationは難しいでしょう。従って、当初の治療は(状態によりますが)できる限り狭域でありたいものです。



■効果判定の指標はどうするのか

効果判定も難しいことがありますが、最初におかしかった症状(呼吸数、SpO2 、意識レベル、ラ音、食欲など)や炎症マーカーの改善で判定することが多いでしょうか。


陰影だけあって、上記のような症状は全くなかった、ということであれば、逆に肺炎の診断が正しかったのか、再検討が必要かもしれません。



■治療期間はどうすればいいのか

もちろんケースバイケースですが、合併症がなければ型どおりに終わっていることが多いと思います。まあ、大学の症例では合併症があることがほとんどなので、型どおりに終わることは少なかったりしますが…。



■喀痰誘発などは行うべきか

基本姿勢として、喀痰誘発を試みては頂きたいと思います。生理食塩水、あるいは高張(3%)食塩水を吸入して頂く、喀出困難なら吸引痰で、とにかく判断材料を増やすことがより高級な診療の元となるのです。


また、これも施設によって温度差が大きいものですが、血液培養は入院患者さんなら必ず採っておきたいもの。


なにより検出した菌の存在意義が半端ないですし、菌血症の有無もわかります。「経静脈的に抗菌薬を使用する時には必須」としている施設もある一方、全然なところもあるようですが…。



以上、一般論ではありますが、お答えとさせていただきます。おそらく実際の事例に沿って具体的に説明した方がわかりやすいような気がするので、また具体的にわかりにくいポイントを尋ねてみてください。いつでもご質問は歓迎いたします。


それではI先生、今後も頑張ってください!


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posted by 長尾大志 at 18:06 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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