12月15日に開かれる第80回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「医学生・研修医アワード」セッション予習です。
今日は審査員をやるセッションの予習。
■アレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)に対して気管支鏡による粘液栓子除去が有効であった一例
概要
50歳代女性。ABPMの診断で吸入ステロイド、CAM、ITCZ内服していたが、発熱、低酸素血症(SpO2 91%)、PEF低下(180L/分)あり、ABPMの増悪と考え入院加療となった。内服PSL0.5mg/kg使用したが改善なく、粘液栓を気管支鏡下に除去した。するとPEFが180→300、SpO2 97%まで改善した。
所感
ウチでもABPMの難治例を診ていますが、粘液栓を機械的に除去してもすぐまた溜まるんじゃないか、と思っていました。文献的考察と長期的に見てどうなのかを教えていただきたいと思います。
■非特異的胸膜炎から発症した顕微鏡的多発血管炎の一例
概要
80歳代男性。労作時息切れあり近医受診し、両側浸潤影および両側胸水を指摘された。当科紹介され胸腔鏡施行したが非特異的胸膜炎との診断であった。その後腎機能が急速に悪化し、MPO-ANCA高値も判明、MPAと診断された。胸膜炎で発症したMPAはまれである。
所感
発症様式がまれである、というだけでは何とも。先行する胸膜炎の臨床的意義、胸膜炎合併例の臨床的特徴などに踏み込んでいただきたいと思います。
この後、ウチの症例を挟んで…。
■骨髄異形成症候群(MDS)に肺胞蛋白症を合併した一例
概要
50歳代男性。MDS経過観察中。健診胸部レントゲン写真で浸潤影を指摘され肺炎の診断で入院。骨髄検査でAMLに移行しており、肺炎治療を行ったが最終的に永眠された。剖検で肺胞蛋白症とアスペルギルス症が認められた。
所感
SLEに肺胞蛋白症とアスペルギルス症を認めた症例の経験があります。アスペルギルスは結果なのか原因なのか?
■肺胞蛋白症の治療を通して呼吸管理におけるNasal high flow systemの有用性を認めた一例
概要
30歳代男性。抗GM-CSF抗体陽性、VATSにて確定診断を得た。PaO2>80torrと良好であったが自覚症状が高度であるためNasal high flow system(NHFS)使用下に反復区域洗浄を施行し安全に施行し得た。
所感
NHFSはウチでも珍重していまして、何か演題を出そうかなと思っていたのですが…やっぱり出ましたね。これまでPAPで肺胞洗浄をする際には挿管人工呼吸管理下で行われることが多かったと思いますが、今後はNHFSが主流になっていくのでしょうか。そのための要件はどんなことが挙げられるのかを伺いたいところです。
2012年12月14日
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