血管や気管支は、肺門部で最も太く、1cm以上ありますが、そこから20回近く分岐を繰り返して、細気管支と呼ばれる領域になって参りますと、径が0.5mm程度になります。

先に述べましたとおり、正常の胸部レントゲン写真やCT上で見える肺の構造物は、大きさ(太さ・厚さ)が0.5mm以上である、血管(割と末梢まで)と気管支(中枢付近)であります。

上の写真で見えている白い棒状の、枝分かれしている構造物はほとんどが血管、ということです。気管支は中枢のホンの一部しか見えておりません。

これが正常CT像です。
さまざまな病気になり、さまざまな肺内の構造物
- 肺胞
- 気管支
- 血管(動静脈)
- リンパ管
- (広義の)間質
などがやられて参りますと、その構造物が
- 空気濃度に近くなって黒っぽく写ったり
- 水濃度に近くなって白っぽく写ったり
します。
肺胞や末梢の気管支、リンパ管は正常では(小さすぎて、細すぎて)見えませんが、病気になると水成分が増えたり結節ができたり、さまざまな機序で見える大きさになってきます。つまり、病気になることで可視化する、そのパターンを捕まえる作業が必要になるのです。
何が可視化したか、これを理解すれば陰影の成り立ちは理解できます。
そのためには可視化の機序を知っておいて頂く必要があります。なかなか、つらいところかもしれませんが、しばらくお付き合いください。
胸部レントゲン道場に入門する