V50やV25が使われる場面は気流閉塞、特に末梢気道における気流閉塞を表現するときです。末梢気道、つまり肺胞から出てすぐの気道が閉塞すると、呼出を開始してすぐに呼気流速がガクンと低下します。
そのため、フローボリューム曲線は下に凸のカーブを描きます。
フローボリューム曲線が下に凸になってくるとV50が低下し、さらにV25はもっと低下します。V50やV25は健常人であってもばらつきが大きく、正常範囲であるかどうかの評価は難しいため、この「下に凸度合い」の指標としてはV50やV25単独ではなく、V50/ V25をよく使います。
図のように正常肺においてV50/ V25は理論上2のハズですが、フローボリューム曲線が下に凸になってくるとV50の低下よりも V25の低下が著しくなり、V50/ V25が増加してきます。日本呼吸器学会によるCOPDガイドラインでは、V50/ V25の増大(3以上)などが末梢気道での気流閉塞を示す、としています。
従って、V50やV25の臨床的意義は、各々の数値よりも主にV50/ V25による「下に凸の度合い」を見ることになります。
フローボリューム曲線は、手技的にうまく吹けたかどうかも含めてその全体的なパターン(形)の認識が重要です。下に凸かどうかは形を見ていただければおわかり頂けると思いますが、参考値としてV50/ V25が3以上に上昇しているかどうかを見るとよいでしょう。
* Medical Technology41巻8号「臨床検査Q&A」に改変の上掲載予定
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