2013年02月13日

胸部レントゲン道場57・各論20・レントゲンで白くなる病態14・べったりと白くなる連続性の陰影・間質性肺炎による拡散障害の理屈(脱線注意)・労作時低酸素血症の秘密

レントゲンに戻ってきていきなり脱線、というのも恐縮なのですが(恐縮してない)、間質性肺炎では拡散障害が特徴的であります。


拡散障害とは何か。リンク先をご覧頂きたいのですが、かいつまんでいうと、肺胞内に入った酸素が血中になかなか拡散していかない(いけない)状態のことです。


拡散させる能力を見る検査が、肺機能検査で出てくる「拡散能」です。当然酸素の拡散能が大事なのですが、測定が難しいことから通常は一酸化炭素(CO)を用いたDLcoを拡散能の指標として用います。で、DLcoが低下する病態を拡散障害と言います。


6(狭義の)間質に炎症が起こる.JPG


間質性肺炎では、間質が炎症のために浮腫を来たし分厚くなってきます。その結果、本来ごく薄い肺胞腔と毛細血管の間が分厚くなり、酸素の拡散がしにくくなる、拡散障害といわれる状態になるのです。


9間質が分厚くなるので拡散障害になる.jpg


拡散障害がある、ということは、労作時の低酸素が著しいことにつながります。実はこれ、間質性肺炎の重要な特徴なのです。是非理解していただきたいと思います。



安静時の酸素受け渡しを図で考えます。船みたいなのがヘモグロビンで、○が酸素と思ってください。普段は肺胞でヘモグロビンが酸素を受け取って、どんぶらこ〜?と運び、組織で荷下ろしをしています。


10安静時.jpg


それが労作時に、酸素の需要が増したときには、通常心拍数が増えて、単位時間あたりの酸素受け渡し効率を上げるわけです。例えば組織の酸素需要量が安静時の倍だとすると…。


11労作時に酸素需要が増す.jpg


血流を増やして、単位時間あたりに流れるヘモグロビンの量を2倍にすれば…。


12労作時には血流を増やして賄う.jpg


運ばれる酸素が2倍になって、組織の需要に見合った酸素が供給されますね。


13組織の需要に見合った酸素が供給される.jpg


では、間質性肺炎のときにはどうなるでしょうか?

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posted by 長尾大志 at 19:27 | Comment(0) | A-aDO2のややこしい話
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