
そこに引っ張られて空間があいてくるところもできてきます。肺胞領域は縮むと同時に膠原線維が増殖してカチカチになり、元々あった一部の空間は周りに引っ張られて大きな孔=嚢胞みたいなものを形成します。

また、末梢の細気管支壁が周りの肺胞に引っ張られて拡張してきます。これは気管支そのものに病変が生じて拡張する、気管支拡張症とは全く異なるメカニズム、肺胞の病変に牽引されて生じるものですので、特に牽引性気管支拡張、といいます。
正常CTでは、通常気管支は割と中枢のものしか見えない、末梢は見えないハズですが、牽引性気管支拡張がすりガラス影や線維化内に存在すると、径が大きくなってハッキリと見えるようになってきます。

拡張した気管支が結構末梢まで、すりガラス影の中に見えますね。
逆にいうと、すりガラス影でも、牽引性気管支拡張が見られたら、そのすりガラスは間質性肺炎のみならず線維化が含まれていることを意味します。つまり、牽引性気管支拡張の存在は、すりガラス影における線維化の存在を意味する、ということです。
単純化すると、
- すりガラス影のみ:線維化のない間質性肺炎
- 牽引性気管支拡張のあるすりガラス影:線維化のある間質性肺炎
と考えることができます。
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