
そこに引っ張られて空間があいてくるところもできてきます。肺胞領域は縮むと同時に膠原線維が増殖してカチカチになり、元々あった一部の空間は周りに引っ張られて大きな孔=嚢胞みたいなものを形成します。
この大きな孔はやがて肉眼で見える程度の大きさになり、まるで蜂の巣を連想させるような孔だらけの構造(=蜂巣肺、蜂窩肺:honeycomb lung)になってきます。

蜂巣肺という言葉は肉眼で見えるようになった嚢胞(気腔)に焦点が当てられているようですが、本質的には嚢胞周囲にあるカチカチの線維化が病気の本態です。そう、穴ぼこだらけなんですけど、硬いんです。スイスチーズを思い浮かべましょう。
この線維化のために、本来ぐにゃぐにゃで簡単に伸び縮みをする肺組織が、硬く、動きにくくなってくるのです。機会があれば是非正常肺を触らせて頂きましょう。おそらく皆さんが思っている以上にぐにゃぐにゃで、軽いものです。それが、ゴムのカタマリのようにカチカチになってくるのです。
この蜂巣肺をCTで撮ると、嚢胞部分は空気ですので黒く、線維化部分は白く映ります。それでこのような、黒い丸が積み重なったような病変が見えるのです。

蜂巣肺の画像的な定義は、そこそこの壁厚の嚢胞が積み重なったもの、となりますので、この画像の感じを味わってください。
ただ、何度も言いますが、この嚢胞の薄い壁が硬いんです…。
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