2013年05月12日

学会見聞録・プロカルシトニンのusefulness2・empiric therapyと抗菌薬使用期間など

日本呼吸器学会ランチョンセミナー見聞録の続きです。


昨日の最後にお示ししたデータは耐性菌の蔓延を防ぐため、抗菌薬の使用期間をなるべく短くしよう、という考えに基づいています。


いくつかの研究でその試みがなされていますが、そもそものempirical timeを減らそうという試み(JAMA 2003)では、原因菌によって(緑膿菌などのグラム陰性桿菌)具合が悪いものもあったものの、おおむね良さそうな結果が得られていました。


また、PCTを使う研究では、5病日にPCTが90%以上減少していれば抗菌薬を中止し、その後毎日PCTを測定して、90%以上の減少に至ったらその時点で抗菌薬を中止できる、としたデータが紹介されました。いずれにしても5日間抗菌薬を使用したら、再悪化の率は2-3%ということで、思っているよりも抗菌薬使用期間は短くていいのかもしれない、という印象でした。


これにはさすがに「毎日PCTを測定するなんて日本では無理」という意見がフロアーからあり、それに対して「フランス、イタリア、ドイツ、スイス…などではPCTは何度も測定できるそうですが、アメリカでは権威者が否定的(苦笑)なんで困難なんですよ…」とのコメントでした。


また、ポロリと「ICUでは何となく抗菌薬続けといたらええやん、みたいな態度になってますからね〜」、みたいなこともおっしゃり、日本だけじゃないのだな〜と妙にホッとしたりしました。




最後のまとめとして、PCTは炎症が起こったときに、身体中の全ての臓器が産生するものであり、全身に及ぶ、severeな感染症で上昇するものであり、sepsisの診断には”classical, clinical, paraclinical signs”とPCTを組み合わせるのが有用である。ぶっちゃけ、PCTを測定して低ければ細菌感染の可能性は低く、高ければ(細菌感染の可能性は)高いと言える。

ICU症例の抗菌薬投与期間は、empirical ruleをより症例に合わせて決める方がよいが、それにはPCTを使用したガイドラインが一助になると思われる。

てな感じできれいにまとめられました。エレガントな講演でした。


*文中の引用部分は私の勝手な訳であり、実際に演者の先生が意図されたこととずれている可能性があります。こんな感じなんか〜という雰囲気を知っていただければ。
もっときっちりしたことを知りたい方は、原著にあたってお勉強しましょう。

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posted by 長尾大志 at 17:09 | Comment(0) | データの解釈
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