2013年05月21日

肺胞洗浄液の構成成分とその意義・肺胞洗浄液の成分について・細胞成分14・リンパ球が増える場合8・間質性肺炎の鑑別7・原因が特定できる=特発性群じゃないやつ1・薬剤性間質性肺炎

これまでに挙げた以外の間質性肺炎について、肺胞洗浄液の分画はどうなっているのでしょう。果たして、「間質性肺炎としての分類はともかくとして、肺胞洗浄液の分画がリンパ球優位であれば、ステロイドを投与する価値があろうかと思われる。」はこでも通用するのでしょうか。


間質性肺炎の分類を思い出してみましょう。特発性群はもう済みましたので、特発性以外の、原因が特定できるやつを見てみます。


原因が特定できる間質性肺炎は、原因ごとに予後、治療法が異なるため、分類も原因ごとに行うのでしたね。


主な原因は、以下の通り。

薬剤
膠原病
粉塵曝露(職業・環境)
 過敏性肺臓炎・じん肺・金属肺
 放射線肺臓炎・酸素中毒
感染
 ウィルス・ニューモシスチス・結核
 サイトメガロ・マイコプラズマ・真菌



薬剤性肺障害(薬剤によって起こった肺の障害)にも色々あって、分類のやり方も微妙に色々なものがあります。ここでは日本呼吸器学会の「薬剤性肺障害の診断・治療の手引き」に準じて臨床像を分類してみます。つまり、下に挙がっている疾患は本来薬剤以外の原因で起こるものですが、薬剤によって同様な臨床像を呈したものをその分類に当てはめているわけです。


  • 間質性肺炎(特発性群のうちAIPをのぞく6病型に準じたもの)

  • ARDS・急性肺損傷(AIP様病変を含む)

  • 好酸球性肺炎

  • 過敏性肺炎

  • 肉芽腫性間質性肺疾患

  • 肺水腫

  • capillary leak syndrome

  • 肺胞蛋白症

  • 肺胞出血

  • その他、気道病変、血管病変、胸膜病変など



これだけ見ると気が遠くなりそうな分類ですが、幸いなことに上に挙がっている(元々の)疾患に準じた予後、治療反応性を持っていると考えていただいて大間違いはありません。


しかも!ご安心下さい(笑)。肺胞洗浄液の分画も、おおよそ準じておるものであります。すなわち特発性間質性肺炎群のNSIPやCOPに似たタイプの薬剤性肺障害は肺胞洗浄液のリンパ球分画が増加し、ステロイド反応性が良好ですし、好酸球性肺炎タイプのものは肺胞洗浄液の好酸球分画が増加し、やはりステロイド反応性が良好、さらにARDS・AIPに似たものでは好中球が増加していて、予後不良となります。同じですね!


ということですから、

「間質性肺炎としての分類はともかくとして、肺胞洗浄液の分画がリンパ球優位であれば、ステロイドを投与する価値があろうかと思われる。」

と理解していただいて結構であります。


ここまで、臨床病態的、あるいは肺胞洗浄液の分画から薬剤性肺障害を分類してみましたが、大元の原因、ということで考えますと、やはり原因薬剤による分類が予後、治療反応性を予見する、と言ってしまえると思います。


すなわち、例えばパラコートが原因の場合、病理組織はDADをとり、予後不良であるし、
イレッサが原因の場合、病理組織にかかわらず予後不良であるし、
ミノマイシンが原因の場合、好酸球性肺炎をとり、予後は比較的良好である、というようなことです。


ただ、昨今はたくさんの薬を内服されていることも多く、どれが原因か絞りきれない、ということも決して少なくありませんから、上のような臨床病態的分類、ならびに肺胞洗浄液の所見も理解しておかれると良いでしょう。



肺胞洗浄液と言えば、あと、肺胞洗浄液を使用したDLSTがあまり当てにはならない、ということ、それと、アミオダロンによる肺障害ではリン脂質貯留によると考えられる泡沫状マクロファージが特徴的、ということが特記されています。


今日の記事は思いっきりかいつまんで書いておりますので、薬剤性肺障害の勉強をしたい方は日本呼吸器学会の「薬剤性肺障害の診断・治療の手引き」を参照されることをオススメします。

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posted by 長尾大志 at 19:06 | Comment(0) | データの解釈
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