
例えば癌性リンパ管症。
細かいリンパ管の中に癌細胞が入り込み、目詰まりを起こした状態、と考えて頂くと理解しやすいと思います。目詰まりを起こした結果、リンパ管は腫れ上がり、周りの広義間質にも浸出液があふれ出します。その結果、広義間質の拡大像が見られるのです。

このように、広義間質がやたらと肥厚してきます。それ以外に、リンパ管内の癌細胞を反映し、肺門、縦隔その他のリンパ節が腫脹しますし、胸膜播種や肺内転移などがあれば胸水や粒状影を来すことも当然あり得ます。
サルコイドーシスとは機序的にもなんとなく違いがあります。サルコイドーシスはあくまで肉芽腫性変化(1つ1つはせいぜい0.3mm程度の大きさ)がメインで、その肉芽腫が集合して結節を作ったり広義間質の肥厚を来したりしている、つまりあくまで陰影は粒の集合体である、そのため広義間質の肥厚は結構ガタガタしているのです。
それに対し、癌性リンパ管症は滲みだしてきている液がメインであるので、広義間質の肥厚は「比較的まっすぐ」がまずありきで、そこに(転移などによって)粒が乗ってくる、という感じになります。これでニュアンス、伝わるでしょうか。




あと、リンパ路と言えばその名もリンパ腫、あるいはリンパ増殖性疾患があります。
画像で広義間質の肥厚が見られたら必ず鑑別に入れるべき疾患ですが、実際お目にかかることは少ない。名前は知ってるけど、診たことがない、そんな疾患ですね。
所見としては、広義間質の肥厚以外にリンパ腫だったら腫瘤影、リンパ増殖性疾患だったらすりガラス影が見られます。なかなかイイ画像がないので、また見かけたらupいたします…。
これらの「リンパ関連の」疾患以外にも、全く別の機序で、リンパ路・広義間質が肥厚する疾患があるのです。
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