肺水腫はKerley’s B lineのところでも申しましたが、例えば心不全によって肺毛細血管圧、肺動静脈圧が上昇し、血管拡張、および血管周囲の間質に水が溜まってふくれあがる状態です。
そうなると特に肺の下の方、肺底区を中心に、「間質」に水が溜まります。下肺中心の静脈内、あるいは周囲の広義間質に水が溜まって肥厚(拡大)すると、通常目立った構造物が見られない肺の最外層で特に、広義間質が目立ってきます。

広義間質肥厚は胸部X線写真では、肺の最外層でのKerley’s B line(黄矢印)と肺紋理(血管、およびその周囲の広義間質を反映、橙矢印)が認識されやすいものですが、CTだと血管影の太まり、やたらと多角形の線が目立つ(赤矢印)、Kerley’s B lineに相当する、胸膜まで到達する線状影(緑矢印)、といった所見で表されます。


上の写真でもおわかりのように、肺の濃度も少し上がっていますね。それは、肺胞にも水があふれ出ているから。しかも水は肺胞腔内、肺胞隔壁内(狭義の間質)いずれにも滲出しているので、肺野全体的に(特に下の方で)濃度の上がるすりガラス影を呈します。なんと狭義、広義いずれの間質も侵すのですね。

急性好酸球性肺炎は心不全とは全く異なる疾患ではありますが、結果として起こる現象が似ています。好酸球の浸潤する炎症が肺の広義間質、それと狭義の間質にも!起こるため、広義間質の肥厚に加えてすりガラス影も呈することになります。
…この項で取り上げては見たものの、肺水腫も急性好酸球性肺炎も、実は粒状影は生じません。(/--)/ 機序的に水があふれ出すばかりで、肉芽腫など粒を作る病変がありませんから。
ただ、リンパ路、広義間質を取り上げたら無視するわけにはいかない疾患ですので、この場で取り上げました。
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