若い頃はこの概念が、イマイチよくわかりませんでした。肺炎じゃないのか?気管支炎じゃないのか?浸潤影は作るのか?マイコプラズマと違うのか?
…要するに、気管支から肺胞領域に至る部位の炎症であります。細気管支炎ほど範囲が限定されておらず、大葉性肺炎ほどべったりと肺胞がやられるわけではない。
まあ、マイコプラズマを含んで分類されることも多いので、マイコプラズマの説明で大体いいのですが、細菌性肺炎の場合、肺胞領域の病変は肺胞腔内を埋める滲出物であることも多く、粒の濃度的には浸潤影と同じ、真っ白である、と理解するとわかりやすいと思います。

ただ滲出物の産生がそれほど多くないと、ドバ−っと広範に拡がって大葉性肺炎みたいな浸潤影を作る、とまでは行かず、病変が限局してしまうのですね。それで粒状影。
そんな小葉中心性粒状影が癒合してくると、もうちょっと大きな、気管支に沿った浸潤影を作ってくることもありますが、大葉性肺炎までには至らない、ということを知っておきましょう。

気管支肺炎と大葉性肺炎の違いはこんな感じです。同じような濃度の白い陰影が、片や限局(気管支肺炎)し、片やドバーッと拡がって(大葉性肺炎)いる様子がおわかり頂けるかと思います。

気管支肺炎の場合、菌は気管支を通じて各地にばらまかれるため、葉をまたいで病変が形成されうるのに対し、大葉性肺炎ではKohn孔を通じて横方向?に病変が拡がっていきます。

その結果、気管支肺炎ではこのように、あちこちに斑状の(限局した)浸潤影が出来てきます。

昨今では抗菌薬の進歩などにより、大葉性肺炎を来す症例は少なくなっていますが、古典的には肺炎球菌、クレブシエラ、レジオネラが大葉性肺炎となる、といわれています。
それ以外のH.influenzae、黄色ブドウ球菌をはじめとする多くの細菌で、気管支肺炎のパターンをとるとされています。
マイコプラズマやウイルスは、そんなわけで、微妙に違う感はありますが、気管支肺炎に分類されてもいます。
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大葉性肺炎ではKohn孔を通じて横方向?に病変が拡がっていくとのことですが、小葉間隔壁はどのように抜けていく!?のでしょうか?