吸入されて沈着した粉塵をマクロファージが貪食するのですが、貪食後きちんと消化・処理できずにその場所にとどまり、膠原線維が増生してきて結節状になる、という感じです。
吸入した珪酸は大きさ(2〜5μm)の関係で、細気管支で沈着しやすいため、細気管支にじん肺結節が形成される、と説明されていますが、そのお掃除の際にはリンパ流によって運ばれるため、その道筋であるリンパ路にも粉塵が沈着して結節を形成することがあります。
また、そのリンパ流によるお掃除(クリアランス)が、おそらく重力の影響で上葉においてはあまりよろしくないため、珪肺結節、粒状影は上葉優位であります。
この結節は線維のカタマリであるため、DPBや気管支肺炎といった炎症による粒状影と比較して密度が高く、境界明瞭、クリッとした輝度の高い(白さの強い)陰影になります。ですので、小さい割にはハッキリクッキリよく見えるのが特徴です。
また、進行に伴って粒状影が癒合し、大きな結節=塊状線維化巣(progressive massive fibrosis:PMF)を形成します。これは辺縁が内向きに凸であることが多く、縮む病変である=線維化していることが示唆されます。
また、リンパ路で運び出された粉塵が肺門〜縦隔リンパ節に沈着するため、リンパ節は腫大します。病変が進行するとリンパ節の外周がカチカチに石灰化し、卵殻状石灰化、と呼ばれる所見を呈する様になります。これはかなり特徴的なものです。
ですから、もちろん珪肺診断のポイントは粉塵曝露歴であることは間違いありませんが、
- 上葉優位の、境界明瞭、クリッとした輝度の高い小葉中心性粒状影
- 大きな、内向きに凸の結節=塊状線維化巣
- 卵殻状石灰化
などの所見から、他の疾患と鑑別可能です。
すぐに参照可能な珪肺症例はこちらです。

割とハッキリした小葉中心性粒状影と、大きな結節(塊状線維化巣)が見られます。
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