粘液産生性BACがある程度進行してくると、
- 病変の軽度な部分は小葉中心性粒状影
- 病変が拡がっている部分ではair bronchogramやCT-angiogram signを伴う浸潤影
を呈してくるのです。さあさあ、これまでのところをしっかり読んで頂いていると、「おー」と思われるのではないでしょうか。思われませんか…。( ̄ー ̄)
だって、小葉中心性粒状影は、細気管支の病変を表し、
浸潤影は、肺胞の病変を表すんでしたよね。
細気管支肺胞上皮癌は、その名の通り、細気管支と肺胞上皮、両方を侵す病変を作るため、両方の所見が見られるという、独特の陰影を呈する訳です。
これまでに挙げた疾患は、いずれも細気管支なら細気管支、肺胞なら肺胞と侵される場所がある程度区別でき、そのために陰影に特徴があって鑑別可能となっていたわけですが、ある意味ちょっと掟破りな感じなのです。
逆にそれゆえに、
- 病変の軽度な部分でみられる小葉中心性粒状影と、
- 病変が拡がっている部分でみられるair bronchogramやCT-angiogram signを伴う浸潤影が併存している場合、
粘液産生性BACが疑われる、ということになるのです。


画像所見だけで言うと、抗酸菌症や気管支肺炎でも同様の陰影をとりうるのですが、BACほど広範な浸潤影をとることは少なく、さらにここに症状という情報が加わると、かなり診断に近づきます。
抗酸菌症や気管支肺炎では急性、慢性の差はあれど発熱や倦怠感などの感染症状があるのに対し、粘液産生性BACでは粘液産生に起因する咳、痰はあるもののそういった感染症状に乏しい、というのは有力な情報ですね。
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