例えばtree-in-budのような分岐する細気管支影や、tram lineのような気管支の肥厚像、拡張像が共存する所見もあれば「小葉中心性粒状影」と言える。
広義間質(気管支血管束、小葉間隔壁、胸膜)の肥厚に粒が乗っかっているように見えれば、リンパ路に存在する粒状影と考えられる。
そういう所見がなくて、粒がバラバラに存在していれば、ランダムと言えるのではないか、ここまで書きました。
もう一点、ヒトは多くの場合、立位、あるいは座位で過ごしています。その体位だと肺の血流は下の方が多く流れていることは間違いないですね。従って、血流に乗ってやってくる系の疾患では、陰影が下肺優位に見られることが多いです。
そういう、血行に乗って散布され、粒状の病変を作る疾患はそれほど多くなくて、
- 悪性腫瘍の血行性肺転移
- 粟粒結核
あたりです。
これらの鑑別はある程度可能ですが、なかなかわかりにくいこともあります。
■悪性腫瘍の血行性肺転移
まずは陰影というよりも、臨床情報ですが…。
悪性腫瘍の既往、あるいは現在腫瘍を有しているかどうかが鑑別に重要な情報となります。当然、そういうことがあれば転移を疑う根拠になるでしょう。
肺癌の肺内転移の場合、比較的大きな腫瘤が1個+びまん性に拡がる粒状影、というふうに原発巣が大きくて転移巣は(大きさにばらつきはあるものの)小さいことが多いので、これも鑑別の根拠になります。
陰影そのものの特徴としては、腫瘍の場合、原発巣から少しずつじわじわと転移の「タネ」がばらまかれ、それが芽吹いて大きくなってきます。ばらまかれた時期によって発育の度合いが異なるため、1つ1つの粒は大きさが不揃いである、ということが見受けられます。

もちろん進行が早く、一斉に転移の芽が吹いてきたようなケースですと、比較的粒がそろっている印象のものもありますから決めつけることは出来ませんが…。
転移性腫瘍と癌性リンパ管症との共存が見られることもしばしばで、純粋にランダムとか、リンパ路とかの区別が困難だったりもします。逆に、びまん性に拡がる粒状影に広義間質の肥厚があれば、結核は考えにくいですのでこちらかな、と推測することは出来るでしょう。
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