2013年07月12日

胸部CT道場33・飛び飛びに白くなる陰影29・粒状影のいろいろ28・ランダム分布の粒状影4・粟粒結核

■粟粒(ぞくりゅう)結核

粟粒結核は結核菌が血行性に多臓器に播種し、粟粒大の病変を作ったものです。


まずは陰影というよりも、臨床情報ですが…。
結核のリスクファクターを覚えておられるでしょうか。主に細胞性免疫が低下するような状況なのです。


  • 多量喫煙

  • 糖尿病患者

  • 胃切後患者

  • AIDS

  • 他の血液疾患

  • 他の担癌患者

  • 人工透析

  • ステロイド治療

  • 免疫抑制薬治療

  • 珪肺患者



こういう基礎があるとあやしい。まあ、担癌状態に関しては、転移性肺腫瘍のリスクでもありますが…。



粟粒(ぞくりゅう)結核の陰影はまさに「粟粒(あわつぶ)」。ランダム分布を有するびまん性の1〜3mm大の小粒状影が多数散らばって見えます。


粟(あわ)、って若い人はご存じの方の方が少ない印象です。雑穀の類ですが、日常食べることがあまりないですからね−。鳥のエサ、というとおわかり頂けるでしょうか。米粒(5mm大)よりは少し小さい、1〜3mm大の粒です。


すなわち粟粒結核においては、いわゆる小葉中心性粒状影やリンパ路に存在する粒状影(これらは5mm大)より小さな、比較的粒のそろった微細な(粟粒大の)粒状影が特徴なのです。


62粟粒結核.jpg


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posted by 長尾大志 at 18:19 | Comment(2) | 胸部CT道場
この記事へのコメント
先生にご質問があります。
肺結核と粟粒結核では,細気管支と血管に病変の首座が分かれると思うのですが,そういった分布の違いでCTで鑑別ができたりするのでしょうか。
Posted by 徳島大学の学生です。 at 2017年08月12日 10:43
粟粒結核はランダム分布、肺結核は小葉中心性分布なので典型例では鑑別可能です。ただ粟粒結核でしばしば細気管支病変(小葉中心)を合併してくることもあり、必ずしもきれいに分けられないこともあります。
言えることは、CTを丹念に見れば、「その陰影」がどの病変を指しているかがわかる、ということです。
Posted by 長尾 大志 at 2017年08月13日 14:03
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