本来気管支と伴走する肺動脈の径はほぼ同じです。しかしながら、気管支が拡張してくると、明らかに伴走する血管よりも気管支の径が大きく、壁が分厚くなります(図の下)。
昨日はそんな気管支を短軸方向に切りましたが、長軸方向に切るとどんなふうに見えるか。気管支の中には空気が通っていますので、長軸方向に気管支を切ると、対面の壁が平行に走る2本の線として見えます。
通常、以前にも書いたように、気管支はよっぽど中枢の、壁厚が0.5mm以上ある場所以外は見えません。見えるレベルでは気管支は平行に走る2本の線として認識されます。
気管支拡張症では、中枢でもない場所に「平行に走る2本の線」が見えてきます。それを昔の人は「電車の軌道(=tram line)のようだ」と思ったのでしょう、その見た感じがそのまま用語となったようです。
実際は、破壊、修復などを反映して、多少デコボコ、ガタガタしていることも多く、きれいな電車の軌道、というわけにはなかなか参りませんが…。
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