「全然、ちんぷんかんぷんだった \(//∇//)\」「長尾先生の話を聞いていたところしかわからなかった (|||▽||| )」みたいなことで、急遽補講を行うことになりました。
どうもお話を聞いていると、数式がドカドカ出てきてそこでフリーズ、みたいなことのようです。私も数式は苦手なのでおっしゃることはよくわかります。これまでも「いかに数式を使わず説明するか」に腐心して説明してきているので、数式を使ってしか説明できない人には「教える力」はあまり期待できないように思うのですが、カリキュラムも時間の制約も人の都合もある中で効率よくやるためには仕方ないのでしょうか…。
…という独り言はさておき、補講に向けてスライドを作るついでに、同じようにお困りの全国の受験生の皆さんに向けて記事を書こうと思います。
早速ですがDLcoの測定方法が「大切ですよ、って言わはったのにぱっぱっぱっとスライドを飛ばされて…何が何やら。」とのことでしたので取り上げます。
呼吸して肺胞に酸素が入ってきます。その酸素は肺胞を取り巻き、肺胞に接している毛細血管を走る血液中に移動します。この移動を拡散といいます。逆に言うと、酸素は拡散によって血中に拡がって移動していきます。

肺胞に入った酸素が血中に入るには肺胞の壁(図の緑色の部分)と毛細血管(実際にはもっと細いですが…)の壁(水色の部分)を越えていかねばなりませんが、その厚みは併せても0.3μmときわめて薄いもので、割とすんなり越えていくことができます。
血液に入った酸素は一部は血液自体(溶媒)に溶け込みますが、多くはヘモグロビン(Hb:図では船の形で表現しました)にくっついて運搬されます。こうやって、肺胞内に入った酸素が血中を運搬されるに至るまでの能率を拡散能といいます。
当然私たちが知りたいのは酸素の拡散能なのですが、酸素は元々体内に存在し、静脈血の中にも存在します。で、血液中にも溶ける。となると、例えば毛細血管を流れてくる静脈血の酸素濃度が高いと溶け込みにくくなりますし、血管内の血液が増えると、その分酸素は多く溶け込むので、本来の拡散能以外にも酸素の拡散を左右する要素があることになります。それでは困る、ということで、酸素と同様の拡散能力を持ちながら生体には存在せず、かつHbに強力にくっついて血液そのもの(溶媒)には溶けない一酸化炭素(CO)を用いて拡散能を測定します。
拡散能力のことをdiffusing capacity(D)といいます。肺の拡散能力は、diffusing capacity of the lungで、DLと表記します(Lが大文字の下付きでof the lungを表します)。
通常は一酸化炭素(CO)の拡散能力を測定し、O2拡散能力の代わりとし、DLcoと表記するのです。DLcoが低下する病態を拡散障害と言います。

3学会合同呼吸療法認定士認定試験対策講座を勉強する