昨日のご質問は、
「間質性肺炎利用者の夜間咳嗽(主治医はフスコデシロップを処方しています)を軽減させる方法や自宅で本人ができる呼吸リハビリをお願いできればうれしいです。」
というものでした。ちょっとお答えが遅くなってスミマセン。
まずは間質性肺炎症例における夜間の咳ですが、コレが結構難しい、のです。なぜか。咳の原因、理由がさまざまであるから。当然、原因によって使用すべき薬も異なります。ハズレの薬では全く効きません。
もっとも直接的な原因は、線維化、炎症そのものによる刺激です。これは現病の治療(ステロイド、免疫抑制薬、抗線維化薬)以外に、介入することはなかなか難しい。結果、主として中枢性鎮咳薬を使用することになります。そうすると、ご質問のフスコデや、よく使われるのはリン酸コデインなどですが、そういう弱オピオイド系薬を使ってもなかなか止まらない、というケースが見られます。そのときは塩酸モルヒネまで行くことも…。
ただ、他にも原因があって、まあ、多いのは後鼻漏でしょうか。特に在宅酸素をしている方は鼻腔が冷えたり乾燥したり、ということから水様鼻汁が結構あるのです。それが前に出ていると「鼻水」と認識されるのですが、後ろに垂れると「のどに痰が絡む、咳が出る」という症状に。
夜間に限らず臥床で咳が出る、うつぶせになると(前に流れるので)咳が軽減する、などのことがあれば、点鼻ステロイドや抗ヒスタミン薬(第1世代)を使ってみるといいでしょう。
それ以外に、例えば喘息の要素があることも。夜間の咳、というキーワードに加えて、季節性であったり、急に冷えたりのときに咳が多い、とかでしたら、アドエアやシムビコートを就寝前に使ってみてもいいかもしれません。効果があれば喘息です。効果がなければ中止で。
また、胃食道逆流でも臥床で咳が出ることがあります。前屈位で増強するようならさらにあやしい。この場合はPPIなどの制酸薬が効果的です。
そこまでやっても原因がよくわからない、あるいは上記のどれも効かない、となってくると、困ったときの漢方薬、となることがあります。
ただ、漢方薬はそれこそ、「証」を見て合うものを選ばないと、全く効かない。患者さんが漢方嫌いになったりしますので…。簡単に挙げると、乾燥症状を伴う乾性咳嗽には麦門同湯、誤嚥がありそうなら半夏厚朴湯。それ以外に、麻杏甘石湯が良かったりすることもあります。他にもいくつかありますが、ちょっとマニアックになってくるので、この辺で。
何気なく投与している酸素についてちゃんと考えるを最初から読む
咳の鑑別を最初から読む
2013年09月13日
在宅酸素療法・在宅人工呼吸療法症例におけるご質問・間質性肺炎症例の夜間咳嗽
posted by 長尾大志 at 23:22
| Comment(1)
| 3学会合同呼吸療法認定士認定試験対策講座
喘息の既往や後鼻漏・胃逆流などは頭にありませんでした。
訪問時に症状などを確認し、先生のアドバイスにある薬や吸入薬・漢方などを在宅主治医と相談したいと思います。
今後とも先生のコメントを楽しみに勉強を続けたいと思います。