@IPFをしっかり同定すること(続き)
Aステロイドを使うべき例を見極めること
前回HRCTにおけるUIPパターンの特徴(ATSガイドラインに掲載されているもの)をご紹介しましたが、さらに付け加えてご紹介いただいた所見。
・しばしば蜂巣肺とtraction bronchiectasisの異同が問題になるが、胸膜面に(嚢胞によって)凸凹が見られる場合それは蜂巣肺、胸膜面がなめらかな場合、肺末梢の変化はないと解釈できるのでtraction bronchiectasisと考えている。
・1円玉程度の狭い範囲に正常、網状影、蜂巣肺が同居していたら、それがheterogeneietyである。
また、1時点で診断を決めてしまうのではなく、経過での悪化や、治療反応性など、「時間」を勘案して診断を考えるようにしている、とのことでした。確かにHRCTで当初診断に迷うことや、病理で初期診断を決めても後に膠原病が出てくることもあり、「決めつけてしまわない」ことがカギかとも思いました。
ステロイドを使うべき例は、前回挙げた「HRCTにおけるUIPに矛盾するパターン」を参考にします。また、「膠原病や血管炎のにおい」がしたら、ステロイド+免疫抑制剤を積極的に使う、とも言われていて、大いに賛同しました。
ピルフェニドンについては、本来IPFの軽症、中等症の時期から使いたい、ということで、導入の基準として%VC>70%、労作時SpO2 <90%の症例で、特定疾患申請をして使われているとのこと。また、NSIPでも、線維化が進行している症例では効果が見られたこともあるようです。
B肺癌の発症、急性増悪を起こしやすいことに注意する。
結局のところIPF患者さんが亡くなる原因の多くは肺癌発症か、急性増悪です。これは実感としても、統計上も確かなことです。
特に急性増悪の多くは冬場に起こっていることから、「如何に冬を越すか」が大切である、ということをおっしゃっておられて、これも共感しました。そもそも冬は血管収縮しやすいことがあるからか、皆さん調子が悪くなられる。
そこへ感冒が加わり、ドッと急性増悪。↓↓↓
急性増悪の治療はどこも共通で、パルス、CsA、IVCY、それに施設によってはPMXと。リコモジュリンも試験的に使われることがあるようです。
ということで復習完了。明日からまた、診断手順に戻ります。
2013年12月09日
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