2014年01月21日

ユニタルク(R)=商品名(滅菌調整タルク)が使えるようになりました。

これまでにも何度かご質問を頂いておりました、胸膜癒着術に使うタルクですが、ようやく保険適応となる商品(ユニタルク(R))が市販されました。


滋賀医大でもようやく使えるようになり、昨日説明会を聴いてきたのでご報告。


タルクについては、悪性胸水の癒着術に、他薬(ピシバニールなど)よりも効果的である、しっかりくっつく、と言われてはいましたが、いろいろな事情で保険適応がなかったのです。


私自身がこれまで、保険適応外の使用は原則行わない、という施設にばかり居たものですから、適応になっていない薬剤などについては積極的に情報収集をしてこなかったところがあります。タルクなどはまさにそれで、使われていない理由もうろ覚えで「発癌性が高い」と一時言われていた、先輩医師からの話を鵜呑みにしておりました。

それを一時ここに記載していたことがあり、お叱りを受けたことは以後の貴重な教訓になっております。


いろいろな事情の一つは、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)の発症であります。まれではありますが、ARDSの発症が報告されていて、そこから安全性に関する疑問符がついていた様子です。


いろいろな調査で、タルクの粒子径が小さなものだと肺に侵入してARDSを起こすのではないか、とされ、粒子径の大きなフランス製?のタルク(Steritalc(R))では発症率が低かったことも確認されました。


ユニタルク(R)はSteritalc(R)と同一の原料を用いて生産されているということで、国内第U相試験ではARDSの発現なし、ということになっています。


それ以外にもタルクの使用量を5g以内に制限する、片側に限る、追加投与しないなどの注意事項がたくさんあります。注意して使わなくてはなりません。


ただそれを上回る「確実な癒着」というメリットがあることは間違いなさそうです。是非近いうちに使って見たいと思います。


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posted by 長尾大志 at 17:15 | Comment(3) | 気胸・胸水・ドレナージ
この記事へのコメント
お忙しいところ失礼します。

タルクの使用は1回に限る・片側肺に使用するとの注意がありますが、これは、ARDS発症予防の目的のためなのでしょうか?

あと先生は、ピシバニールやブレオ等の抗がん剤は癌の患者様に限り使用されていますか?
Posted by だいこ at 2016年04月04日 16:14
タルクが肺もしくは胸膜の血管系に急速にかつ高濃度で侵入する疑いのある手技(複数回、両肺での使用etc)でARDSが発症しうる、と製品情報にありますので、そういうことであろうと思います。

ピシバニール他抗癌剤といわれているものは、保険適用上癌患者さんにしか使えません。当施設では一切の適用外使用は行わない、という方針になっておりますので、癌の患者さんに限っての使用となります。
Posted by 長尾 大志 at 2016年04月05日 19:13
詳しくありがとうございました。
薬剤について勉強していたので助かりました。
また質問させてください。
Posted by だいこ at 2016年04月05日 22:56
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