2014年02月16日

第23回月輪呼吸器疾患研究会見聞録

12日夜、第23回月輪呼吸器疾患研究会が開催されました。


毎回、会の規模に見合わない?、高名な先生方をお招きして開催され、大変ありがたい機会となっております。D日本S友製薬さんには感謝しております。本来の研究会とはこのように、聴衆のニーズにあったものを淡々と継続すべきものだと思います。他社さんにも見習って欲しいものです。


閑話休題。今回は、

「胸腺腫」個別化治療の確立をめざして

というタイトルで、名古屋市立大学大学院医学研究科 腫瘍・免疫外科学の准教授 矢野 智紀先生にお話を頂きました。


呼吸器内科医としてはなかなか勉強する機会のない胸腺腫。特に外科の先生がしっかり診ていただいている施設だと、内科医は疎遠になりがちじゃないかと思うのですが、矢野先生には基本的な、基礎的なところから現在の治療の考え方まで、興味深く教えていただきました。


ご存じの方も多いかもしれませんが、名古屋市立大学第二外科の先代教授は、かの正岡分類(胸腺腫の病期分類)を作られた正岡昭先生なのですね。つまり胸腺腫のメッカ。そういう症例の多い、また研究も熱心にされている施設の先生のお話はやっぱり面白い。


正岡昭先生、二代目の藤井先生に関する意外な一面のお話も大変興味深かったのですが、やはり胸腺腫の位置づけ、治療の考え方を基礎的な側面から教えていただけたのが良かったです。


胸腺腫は腫瘍細胞と非腫瘍性のリンパ球がさまざまな比率で混じっている独特の腫瘍ですので、程度の差はあれ「悪性」である、それゆえに必ず切除すべきなのです。


また、重症筋無力症(Myasthenia Gravis:MG)との合併が必ず言われていますが、胸腺腫を合併しているMGと合併していないMGは状況が異なっているとのことです。合併していない方は胸腺腫でなくても過形成があり、そこでB細胞が増殖し、骨髄など他の器官で抗体を産生している。したがって、過形成のあるところを全部とる拡大胸腺切除術でvolume reductionを図るのが理に叶っているとのこと。


浸潤型胸腺腫の術前化学療法として、骨髄抑制などのないステロイドパルスをよく使われているというのは、根拠を含めてなるほど納得でした。


他にもいろいろと興味深いお話を頂けてよかったです。矢野先生、ありがとうございました。

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posted by 長尾大志 at 18:27 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録
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