先週の土曜日の話でいささか旧聞ではありますが、滋賀医科大学呼吸循環器内科(湖筍会)の定期総会(いわゆる同門会)で、退官される三ツ浪教授による特別講演がありました。聴講していていろいろと思うところがありましたので、備忘のため記しておこうと思います。
■学生による診療所実習を行ったところ、診療所の先生方から「良かった」「若い人が来るとやりがいがある」などのフィードバックがあった。
私も思うんですけど、若い人ってエネルギーがあるんですね。で、いろんなきっかけでそのエネルギーに火がつくと、すごいパワーを発揮する。これを見ているとすごくこちらの萎びた身体にもやる気がもらえる気がする…のです。
また、診療所の先生方は医師1人で診療されていることが多いとなりますと、いろいろとしんどいことが多いんじゃないか、と思うのです。私自身、一人で診療していて「?」と思うときに、誰かと言葉を交わして…ということがあります。それが若い先生で返事がもらえなくても、口に出してしゃべるだけで自分の中に「回答」が出てきたりするものです。誰か聴いてくれる人がいるだけでいい、みたいな。
もちろん看護師さんや他のスタッフの方もおられるでしょうが、なんというか立場的にお話ししにくい事柄もあるでしょう。
診療上難しいことがあって悩んでいても、普段はそれをなかなか出せないのが、学生相手だとしゃべられたりするかもしれません。
それとやはり「教える」ことによって自分での理解が深まる、ということも私自身が常に実感していることです。私のように体系立てて物事を学んでいないものが、少しはモノがわかるようになったのは、「教える」ことをはじめてからなのですね。それまでは本当に、イイカゲンな知識しかもっていませんでした。
ですから、ある程度のキャリアを持つ方は、どんどん若手に教えて頂きたい、と思っているのです。診療所の先生方も、そのようなことからポジティブなご感想を下さっているのかもしれません。
■理想の総合診療は、一次〜二次あたりまで総診で診て、二次以上の診療を専門科に引き渡す、というものになる。
そうですね…総合診療部の盛んなところは、大体スゴイ有名な先生がいて、その方に惹かれて多くの若い人が集まる、みたいな感じでスタッフの多い印象があります。
それで救急部門を(救急と合併した形で)一手に引き受け、さまざまな症例をある程度まで対応、その後専門医に引き継ぐ、みたいな形のところが多い印象があります。そうなると、たいていのことはそこでやってしまう、出来てしまうということになり、やる気のある若い先生たちには人気があるようです。
ウチでは、まあ、諸事情というヤツで、そうはいかなかった、ということです。
■家庭医は英米で既に1つの専門医という扱い。日本でもようやくこうなった。
日本では今までのところ、病院勤務の専門医がそれなりの年齢になったら開業して、家庭医のようなことをする、という流れであったわけですが、実は家庭医には特別な専門的スキルが必要で、研修で会得した医師が家庭医になることが出来る、とのことです。
何となく開業していろいろあるうちに何となくいろいろな知識を身につけて…みたいなことで、体系的に学ぶ機会がないと、例えば○○県には呼吸器の知識のある家庭医は少ない、のような事態になりかねないわけですね。
■仕事にモチベーションが保てないと辞めていくことになる。
非常に重要な視点であります。多少しんどくても、やはり仕事に楽しさ、やりがいを感じられることが人の幸せに通じるもの。仕事がつまらなければ、人生つまらないですね。ここの工夫も本当に大事ですね。
2014年02月22日
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