2014年02月23日

兵庫医大の教育〜チーム基盤型学習導入と評価の改善について〜

こちらも旧聞になってしまいますが、先週のFD教育方法の改善に係る研修会で、兵庫医科大学 副学長(教育担当)・医学教育センター長の鈴木敬一郎先生によります

兵庫医大の教育〜チーム基盤型学習導入と評価の改善について〜

というお話を拝聴いたしました。兵庫医大における多くの事例をご紹介頂き、たくさんの本学の先生方が熱心にメモをとっておられたのが印象的でした。あまり具体的なところを書くのもどうかと思いますので、その教育方針で印象に残ったところを備忘のため記しておこうと思います。


まず若者の気質として、「評価されないことは手を抜く」「一般教養、基礎はやらない」等々、私にとっても思い当たることの多い、耳の痛い話をされた後、それでも私立大学として、果たすべき責任がある、それは社会への責任(医師の育成)、学生への責任(授業料!!!に見合う教育)である。というお話から。


滋賀医大とは学生さんの気質も違うのでしょうが、大前提条件として放って置いても学生さんは勉強しない、生活態度(しつけ)も指導する必要がある、というスタンスで、なるほどこういう方法もあるのだなあ、と感じました。


責任を果たすためにこれまでに取り組んでこられた具体的な方策としていくつかの例を挙げられました。1つは本学でも行われている、早期に現場を体験させる試み。昨日も書きましたがこれは評判がいいそうです。


そして1つはチーム基盤型学習法で、グループごとにワークをさせてテスト、相互評価。これはチュートリアルとは少し違うものですが、教員の数が少なくて住む割にはすべての学生さんに参加機会を与えやすく、工夫次第でいろいろ出来るのだな〜と思いました。


学習姿勢の再構築として、遅刻、途中退出厳禁、私語、居眠りの禁止など事細かに挙げられていたのもう〜んそこまでされるんですね、と印象的でした。しかしそれよりも印象に残ったのは、「学生は試験にしか興味がなく、試験に出ることしか勉強しないので、勉強をするような試験をする」ということ。


私も以前から「授業を聞いていないと解けない問題」を出題していましたが、もっと踏み込んで「病見えではなく、教科書を読まないと解けない問題」「国家試験が出来るほど踏み込まないと卒業できない問題」を出題されているということです。

「病見え」の監修をした身としては少し肩身が狭かったですね…(´・ω・`)


各科目の試験を統合し、総合試験として医学教育センターがブラッシュアップをなさって、「適切な」試験を行うことで学生さんの学習を促す、ということでです。この「適切な試験」が大変で、過去問を公開して毎年試験問題を変える、教員の側にとってもハードなものだそうです。しかも教員の方々の努力により、良質な問題が多く、結局国試に役立つと言うことで、学生さんからの評判もいいそうです。


試験のポイントとして「再試験を甘くしない=出来なければ問答無用で落とす」というところがあります。


臨床実習においてもその方針は貫かれていて、マイナスポイントの累積で問答無用の留年となります。一度そうすると、次の学年からは学生さんの態度がコロッと変わり、とっても熱心になるそうです。また、マイナスポイントの累積であれば「あそこの科に落とされた」と恨みを買う?こともなく、合理的と思いました。


…大学としての目標が定まっていて、その達成のために様々な創意工夫、試行錯誤をされている。熱意がすごかったです。見習うべきところが多々あるなーと思いました。

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posted by 長尾大志 at 20:12 | Comment(0) | 日記
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