2018年12月12日

心不全のメカニズム・うっ血とは?

心不全で肺うっ血、といいますが、そもそも「うっ血」とはどういう状態でしょうか。

うっ血(鬱血)は、血液がうっ滞(鬱滞)している状態。うっ滞とは、停滞してたまっている状態ですから、うっ血は、血液がたまってしまってなかなか流れない状態を指します。

通常はポンプでもって、血流が保たれているのが…

スライド3.JPG

ポンプ機能がおかしくなると、ポンプの先の血流は細くなり、ポンプの手前にはなかなか流れない血液が充満してくるわけです。

スライド4.JPG

血流が細くなると酸素などが十分送れなくなり、臓器障害が起こります。これが循環不全です。

血液の充満、つまりうっ血が起こると、水が余ったことによる諸症状が生じます。

まとめると、心臓のポンプ機能の失調によって、ポンプの先では循環不全が起き、ポンプの手前ではうっ血が起こる、というわけですね。

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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posted by 長尾大志 at 20:45 | Comment(0) | web喘息講座

2018年12月10日

喘息予防・管理ガイドライン2018における(特に治療の)変更点6・ステップダウン

喘息治療が軌道に乗り、症状がなくなって状態が安定したら、治療ステップを下げる、ステップダウンをしていきます。

具体的には、以下の通りです。

・週に数回以上症状があって、ICS/LABA合剤(標準量/中用量)を開始したとします。

・それで速やかに症状が消失し寛解した⇒
ICS/LABA低用量へ

・さらに寛解状態が続く⇒
ICS低用量へ

・それでも寛解状態を維持する⇒
さらに半量、1日1回だけ投与、とするか、終了し症状があるときにSABA頓用とする。

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2018年12月06日

喘息予防・管理ガイドライン2018における(特に治療の)変更点5・ICSおよびICS/LABA合剤

ステロイド薬+長期作用型気管支拡張薬(β2刺激薬)の合剤(ICS/LABA)

商品名:アドエアレジスタードマーク、レルベアレジスタードマーク、シムビコートレジスタードマーク、フルティフォームレジスタードマーク

明らかな差や優劣はないといっていいので、吸入デバイスなどの簡便さ、説明のしやすさ、併用する吸入薬とデバイスを揃える、などの条件で決めて頂いていいのではないかと思います。

アドエアレジスタードマーク(DPI/pMDI)=フルタイドレジスタードマーク(吸入ステロイド)+セレベントレジスタードマーク(β2刺激薬)

レルベアレジスタードマーク(DPI)=アニュイティレジスタードマーク+ビランテロール(β2刺激薬)
*アドエアレジスタードマークは1日2回製剤でレルベアレジスタードマークは1回製剤、同じメーカーでもあり、徐々に新しく吸入手技も簡単なレルベアレジスタードマークに移行しつつある。

シムビコートレジスタードマーク(DPI)=パルミコートレジスタードマーク(吸入ステロイド)+ホルモテロール(β2刺激薬)

フルティフォームレジスタードマーク(pMDI)=フルチカゾン(フルタイドレジスタードマークの成分)+ホルモテロール(β2刺激薬)
*ホルモテロールは、サルブタモール(SABAであるサルタノールレジスタードマークの成分)と同じくらい、即効性があり、回数を増やすとその分効果が高まることが知られている。


副作用はICSによる、喉の違和感、嗄声(させい)、口内炎、それにβ2刺激薬にまつわる動悸・不整脈・手のふるえ・めまいなどといったものがあります。


用量に関しては、アドエアレジスタードマークの中用量は250μgを1回1吸入、1日2回、つまり1日500μg、これは吸入ステロイドの量になります。シムビコートレジスタードマークは160μgを1回2吸入、1日2回、それで合計1日640μg、これも吸入ステロイドの量です。

アドエアレジスタードマークのpMDI製剤になると、125μg製剤を1回2吸入、1日2回、これでDPI製剤と同じく1日500μgになります。フルティフォームレジスタードマークはアドエアレジスタードマークのpMDI製剤と一緒で125μg1回2吸入を1日2回で1日500μg。レルベアレジスタードマークは中用量がアニュイティと同じで100μgか200μgという形になっていて、どちらも1回1吸入1日1回という簡便な使い方になっています。

ICS/LABAの低用量もICSと同じく、おおよそ中用量の半分、高用量は中用量の倍と思っていただければいいのですが、アドエアレジスタードマークは250μg 製剤の下が100μg製剤になり、アドエアレジスタードマークのpMDI及びフルティフォームレジスタードマークは50μg製剤になるので半分より少なくなってしまいます。レルベアレジスタードマークは低用量が100μg、高用量が200μgの2剤形です。

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2018年12月05日

喘息予防・管理ガイドライン2018における(特に治療の)変更点4・ICSおよびICS/LABA合剤

ICSとICS/LABA合剤についてまとめておきましょう。

ICS

商品名:フルタイド・アニュイティ・パルミコート・キュバール・オルベスコ・アズマネックス

ICSの副作用は、咽頭、喉頭〜食道のカンジダ症、口内炎、嗄声です。多くの場合はうがいをまめに行うことで対処できます。

嗄声だけはうがいではなかなか防止できず、薬を変更したり、減量したり、喉の奥にある声帯を直接霧吹きで洗ったり、いろいろな工夫がなされています。吸入直後に飲食すると軽減することもあるようです。

個人的には、粒子径の小さいpMDI(霧状の噴霧器)製剤に換えて対処することが多いですが、根本的には薬剤の減量が一番効果的と思いますので、できるだけ早く安定化するようコントロールすることを目標にしています。

ここで勘違いしないでいただきたいのは、嗄声を恐れる限り、コントロール不十分で減量、という選択肢は好ましくない、ということです。あくまで、コントロールが先決です。


種類と特徴

フルタイド/アニュイティ:作用が強力、操作が簡単、カウンターで薬剤の残量確認が確実。フルタイドは1日2回製剤でアニュイティは1回製剤、同じメーカーでもあり、徐々に新しく吸入手技も簡単なアニュイティに移行しつつある。

パルミコート:妊娠・出産・授乳時のリスクが少ない、FDAにおける妊婦への安全性ランク・カテゴリーBである唯一の吸入ステロイド薬。吸入感?がなく、吸ったかどうか不安になる。カウンターは薬剤の残量がわかりにくい。

キュバール:粒子径が小さく、末梢気道まで到達し、喉頭の違和感が少ない。特殊な器具を使わないと、残量が全くわからない。

オルベスコ:粒子径が小さく、末梢気道まで到達し、喉頭の違和感が少ない。投与量が400μg以下であれば、1日1回吸入で1日中効果が持続するといわれている。特殊な器具を使わないと、残量が全くわからない。

アズマネックス:粒子径が小さく、末梢気道まで到達し、喉頭の違和感が少ない。カウンターで残量確認が確実。

このように一長一短ありますので、それぞれの特徴に基づいて使い分けます。
薬剤によって1回に噴霧できる量も違うので、吸入回数が多くなってしまうものもあります。薬価も、ものによって違います。


薬剤によって力価、つまりステロイドとしての強さが異なるため、実際の使用量も薬剤によって異なります。大概の薬剤は400μg/日が中用量(標準的な量)なのですが、パルミコートは800μg/日でアニュイティは100-200μg/日が中用量です。

低用量:100μg-200μg
中用量:400μg
高用量:800μg

低用量、高用量の場合もパルミコートは上記の倍になります。
アニュイティは100μg/日か200μ/日しかありませんので、100μg/日が低〜中用量、200μ/日が中〜高用量、という感じになります。

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posted by 長尾大志 at 18:37 | Comment(0) | web喘息講座

2018年12月03日

喘息予防・管理ガイドライン2018における(特に治療の)変更点3

この喘息の状態(4段階の分類)に対して、各々対応する4段階の治療ステップというものが決まっています。評価した重症度に応じて治療薬を決めるわけです。

  • 治療ステップ1|吸入ステロイド(低用量)/吸入ステロイドが使えない場合、ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)・テオフィリン徐放製剤を考慮する。まれにしか症状がない場合、コントローラーなしということもある。

  • 治療ステップ2|吸入ステロイド(低〜中用量)/吸入ステロイドでコントロール不十分な場合、通常はLABAを加えたICS/LABA合剤を使用する。他に加えられるコントローラーとして、LAMA・ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)・テオフィリン徐放製剤がある。

  • 治療ステップ3|吸入ステロイド(中〜高用量)/通常ICS/LABA合剤を用い、さらにLAMA・ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)・テオフィリン徐放製剤を併用する。

  • 治療ステップ4|吸入ステロイド(高用量)/ICS/LABA合剤にLAMA・ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)・テオフィリン徐放製剤、そしてさらに抗IgE抗体・抗IL-5抗体・抗IL-5受容体抗体・経口ステロイド薬・気管支熱形成術(サーモプラスティ)を併用する。

喘息予防・管理ガイドライン2018より引用改変



……やっぱり、シンプルな方がよくないですか?私見を交えて治療案を。

  • 症状の頻度が週1回以下なら、低用量の吸入ステロイドを。
    ・吸入ステロイドが(手技の問題や副作用で)使えないとき、内服のロイコトリエン拮抗薬(LTRA)・テオフィリン徐放製剤を代わりに使う。
    ・よほど頻度が少なくて、「薬を使いたくない」希望あれば、コントローラーなしで経過を観察、頻度が上がってきたら治療を開始する。

  • 週に数回以上症状がある場合、ICS/LABA合剤を使用する。
    ・それで速やかに症状が消失する場合、ステップダウンする。
    ・それでもコントロール不良なら、コントローラーを追加する。
    @ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)
    ALAMA
    Bテオフィリン徐放製剤

  • これらを併用、フルに使ってもコントロール不良なら、下記併用を考慮する。
    @抗IgE抗体|アトピー型喘息の場合。通年性吸入アレルゲンに対して陽性、かつ血清総IgE値が30〜1,500 IU/mL。
    A抗IL-5抗体|好酸球性気道炎症のある場合。
    B抗IL-5受容体抗体|好酸球性気道炎症のある場合。
    C経口ステロイド薬
    D気管支熱形成術(サーモプラスティ)|上記のいずれも効果が得られなかった場合。


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posted by 長尾大志 at 17:58 | Comment(0) | web喘息講座

2018年11月30日

喘息予防・管理ガイドライン2018における(特に治療の)変更点2

喘息のガイドラインが(も)、2018年に『喘息予防・管理ガイドライン2018』に変わりました。まあご多分に漏れず、変わったところは新製品のところですね。診断のところとかも細々と変わっているところはあるんですが、一般の先生方にとって大事なところといえば治療のところかと思います。


■ LAMA(スピリーバレジスタードマーク)の位置づけ

これも何となく、メーカー臭がしないでもありませんが…。

これまで気管支喘息における気管支拡張薬はβ2刺激薬が中心で、LAMAは重症の時に…という位置づけであったものが、2018からは治療ステップ2という、比較的軽症の段階からLAMAを「使ってもよい」となりました。

ここで治療ステップについて少し触れておきます。

喘息が軽症の時にはあまり薬を使わなくても比較的たやすくコントロールが出来ますが、重症とか慢性になってくると、コントローラーを何種類も併用しなくては症状がコントロールできなくなります。

そこで、大体どのくらいの状況だったら、こういう治療で行きましょう、という目安をガイドラインでは示されています。あまり細かいものを知らなくても、現場では

・コントロール不良だったらコントローラーを加える
・3-6ヶ月間コントロール良好だったら、コントローラーを減らす/止める

という原則でいけそうではありますが、参考までに取り上げておきましょう。

まず喘息の状態ですが、症状の頻度、強度によって分類します。

  • 軽症間欠型|症状が週1回未満・症状は軽度、短時間

  • 軽症持続型|症状が週に数回(毎日ではない)

  • 中等症持続型|症状が毎日・発作治療薬をほぼ毎日使う

  • 重症持続型|症状が毎日ある・しばしば増悪する

喘息予防・管理ガイドライン2018より引用改変


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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(2) | web喘息講座

2018年11月29日

喘息予防・管理ガイドライン2018における(特に治療の)変更点1

喘息のガイドライン、『喘息予防・管理ガイドライン2018』に変わりました。細々と変わっているところはあるんですが、一般の先生方にとって大事なところといえば治療のところかと思います。治療のトピックは…

  • LAMA(スピリーバレジスタードマーク)の位置づけ

  • 各種抗体薬

  • サーモプラスティー


ですね。しかしながら、今日は今から

プログラム.jpg

に向かいますので、詳しくは明日以降に。

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posted by 長尾大志 at 12:21 | Comment(0) | web喘息講座

2013年05月06日

ストレスと喘息

本日も灰田先生の記事(ドクターサロン vol.57 No4 2013)より。


ストレスと喘息の絡みで臨床的に一番の問題は、パニック障害や過呼吸になったときです。しばしば、そもそも喘息発作との鑑別が困難であることが問題になります。加えて、合併していることも少なからずあり、喘息発作→過呼吸、パニックとなって、対処が大変であったりします。喘息のコントロールがよろしくないことで、精神的にも不安定になる例も少なからず見られます。


ともかく鑑別には、まずβ刺激薬吸入。これで改善が見られる成分は(あえて「成分」というのは、精神的な要素はすべてが改善しない可能性があるからです)、喘息の要素であるということです。


β吸入で完全によくなればそれは症状のほとんどが喘息であって、それに随伴する症状は喘息の悪化要因、あるいは喘息発作によって誘発された精神症状である、ということになりますが、β吸入でよくならなければそれは情動性の要素が大きい、というように判断します。


喘息の要素が大きければ、この状況の問題は喘息であることを患者さんによくよく説明し、喘息のコントロールは吸入ステロイドなどを使うことできっちりできること、コントロールがつくことで精神的にも安定することが期待できること、等を理解していただき、治療計画をお示しします。


きちんと理解していただければ、精神的にも安定され、治療に協力していただけることで、ずいぶん状態がよくなることが経験されます。


問題はβ吸入でよくならない成分です。灰田先生がいろいろと苦労されたケースを書かれていますが、実際なかなか大変なのです。餅は餅屋で精神科にお世話になることが多いのですが…。


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2013年05月05日

病歴聴取と喘息

今日も灰田先生の記事(ドクターサロン vol.57 No4 2013)より。以前から書いていることですが、呼吸器内科疾患では病歴聴取がカギとなることが多々あるため、初学者の方が病歴聴取の練習を行うのに、呼吸器内科で研修を行うのは大変有用であります。


それで喘息なのですが、喘息自体、環境の影響を非常に受けやすいことが特徴です。ですから、環境によって症状に変化があるかどうか、細かく状況を尋ねる必要があるのです。


例で挙げられているのは、イソシアネートやクロムといった化学物質吸引による職業性喘息。それ以外にも様々な物質で起こるのですが、やはりその「場」に入ると発作が起こる、そういう病歴が大事です。


実は職場で起こるこういう発作はなかなか複雑であることも多く、先日書いた間接喫煙も影響がありますし、いわゆるストレスも少なからぬ影響があることがあります。明らかに喘息の原因になる、悪化させるという物質だけでもたくさんあって、ヘアスプレー、香水、線香など、他人から発せられるもの、その場にたまたま存在する?ものも含めて、原因探しを行います。


さんざん原因探しをしても、どうもそういったものがない、でも職場に行くと発作が出る、というようなときには職場の人間関係、ストレスなども疑う必要があります。そうしたことを考える際には、いろいろな患者さんの背景となるようなことをお聞きする。そういった研修を積むことは本当に大事なことなのです。


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posted by 長尾大志 at 14:26 | Comment(0) | web喘息講座

2013年05月04日

アルコールと喘息

今日も灰田先生の記事(ドクターサロン vol.57 No4 2013)より。タバコがダメと来たら、次はアルコールですね。


アルコールを飲むと明らかに具合が悪くなる方は結構居られます。アルコールは浮腫を起こしますから、直接発作の原因になります。体調によっては大発作にもなり、浮腫というのは危険であります。


アルコールそのものに反応して喘息が悪化するばかりかと思っていたら、アルコール飲料に含まれる防腐剤(サリチル酸、サルファイトなど)に反応している場合もあるそうです。これはアスピリン喘息の機序ですね。


また、別の機序としてはアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)変異によるエタノールの代謝障害、これによって血中のアルデヒドが上昇し、悪酔いというかいわゆる『酒に弱い』状態になります。日本人に「酒に弱い」人が多い理由としてよく知られているこの障害、人口の半数がこれだといわれています。


ということは喘息患者さんの半数にもこの障害があるということですが、実はこのアセトアルデヒド、ヒスタミンの遊離を促進して喘息を悪化させるというデータがあるのです。これもアルコールによる喘息悪化の一因なのですね。


とまあ、いろいろとよろしくないことがありますが、喫煙との違いは、問題が自分だけで収まること。間接飲酒、みたいな、周りに迷惑をかけることは(暴れる、とか、絡む、とか以外には(゚д゚lll)…)少ないようですね。


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posted by 長尾大志 at 20:49 | Comment(0) | web喘息講座

2013年05月03日

間接喫煙の弊害

某社が配布している小冊子(ドクターサロン vol.57 No4 2013)を見ていると、気管支喘息と環境整備について、著名な半蔵門病院の灰田美知子先生が述べられている記事を見つけました。参考になるところが大いにありますのでのでシェアしたいと思います。


その中で、間接喫煙についての記載がありました。間接喫煙は直接喫煙とは異なり、吸気中のタバコ煙は拡散した状態にあります。つまり吸入する有害物質の量は直接に比べて格段に少ない。おそらくそれ故に、直接喫煙に比べ、健康への影響は薄まるといいますか、少なくとも有害物質の蓄積によって発病する疾患については、なかなかデータが出てこないようです。


しかし喘息の場合は、微量であっても刺激になる、アレルギー機序がメインですから、間接喫煙で喘息の薬がほとんど効かなくなるというデータが出ているそうです。例に挙がっていた、事務所の中で他の方が全員喫煙され、患者さんだけが吸わない、という環境で、いくら喘息の治療をしても治らなかったケースを紹介されていましたが、まさに同じ状況のケースを最近経験していましたので、納得してしまいました。



その方もガッツリとコントローラーを使用して、サッパリよくならない。喘息に間違いはないのに、どうしたものか、としばし頭を抱えたのですが、改めてよくよく職場のことを聞いてみると、周りはヘビースモーカーだらけ。上司に相談して配置換えをしてもらったところ、これがピタリと決まって、見違えるように症状が軽快され、最終的にICSを離脱できた…というケースでした。


それ以外にも、意識すると結構タバコ煙が悪さをしているケースがあります。皆さんも、今一度、「生活環境」に注意して病歴を聴取してみましょう。

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posted by 長尾大志 at 14:53 | Comment(0) | web喘息講座

2012年04月15日

バイオウェザー・気候の変化が人体に及ぼす影響・気管支喘息と気候の関係

ここ1〜2年、極端な気候、異常気象と言われる状態が多く、疾患を発症されたり、調子を崩されたり、というケースが多く見受けられます。


温度や湿度、気圧などの「急な変化」は生体にとってストレスとなり、種々の変調の原因となるのです。


バイオウェザーという言葉もできているようです。



有名なところでは、気管支喘息。

そもそも喘息は季節の変わり目に発症、あるいは増悪しやすいことがよく知られています。春は花粉や黄砂、秋は夏に繁殖したダニの殻や糞、死骸が関係しているとされていますが、温度、湿度、気圧の変化が起こりやすい、という側面も見逃せません。


データとしてあるのは、前日と比較して平均気温が3〜5℃以上低下した日や、5時間以内に3℃以上気温が低下した日には、発作が起こりやすいというものです。


ということは、急な気温の低下が、リスクであるということですね。
ですから秋だけでなく春先でも、急に気温が下がるときなど、調子を崩される方が多いです。
また、秋や冬だと、最低気温が5℃以下になるときは発作が起きやすいといわれています。


湿度に関しては、乾燥が発作の誘因になります。喘息患者さんにとって、冬場のジョギングなどは(環境の観点からいいますと)、全く勧められないわけです。温水プールのスイミングであれば、暖かくて湿った空気を吸うことになりますから、喘息の方にとってはいい環境、ということになります。


運動で喘息が誘発されるメカニズムとして、呼吸数が増える結果急速に気道が(外気によって)冷やされ、乾燥する、というメカニズムが考えられています。結局のところ、温度と湿度なのです。


他に、台風や前線などのように、急に気圧が低くなると発作が起きやすい、ということも知られています。気象に関しては避けようがありませんが、早めの対処につなげられるよう、患者さんにしっかりと情報をお伝えしたいものですね。

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posted by 長尾大志 at 22:20 | Comment(0) | web喘息講座

2011年12月24日

座談会「気管支喘息のより良い治療とは−ブデソニド/ホルモテロール配合剤の使用経験と今後の期待−」が冊子?になりました。

Medical Tribune12月15日号がお手元にある方は、同封のチラシに上記の座談会が載っています。


7月、祇園祭で大混雑の京都某所で行われた座談会が、このたび活字になりました。できあがるまで、結構時間がかかるのだなーということ、全部で1時間ぐらい、結構いろいろお話しさせていただいたのですが、冊子にすると5分ぐらいの内容になっていて、しかも大事なところはしっかり盛り込まれている。この編集のすごさには感心しました。


個人的には、(爆笑)となったくだりがカットされていて(当たり前)少し残念です。あと、私の写真が、あれだけ撮ってこれしかないんですか、という感じではありますが、
「写真写りが悪い」と自分で言う人は、本人の認識と実物に差があるにすぎない
といわれているので、これが私の現実と、素直に受け止めたいと思います(苦笑)。


てっきり地方版と思っていたので、全国版になってビックリです。

権利関係が大丈夫でしたら、PDFを公開いたします。
また、原本を何部かいただきましたので、ご希望の方は先着順にお渡しします。

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posted by 長尾大志 at 13:48 | Comment(0) | web喘息講座

2011年11月29日

今日の症例・喘息治療と妊娠・出産・授乳6

30歳代、小児喘息持ち越し患者さん、児は5ヶ月で、授乳中。
入院後、シムビコート、キプレス、アレジオンを内服しておられる、という方です。


授乳に関しては妊娠よりも判断が難しい面があります。

妊娠の場合、催奇形性という判断材料がありますが、授乳の場合、乳汁移行という問題と、児が乳汁とともにその薬剤を摂取したときの安全性・危険性という側面があるからです。


おおまかにいうと、吸入薬はやはり吸収される量が少ない、ということで、乳汁中に出る量も微量ということはいえます。妊娠の時と同じく、安全、とお墨付きがあるのはパルミコートですが、その他の薬剤に関しても有益性投与となっていて、まあ使っても良さそうです。


問題は内服薬です。吸入薬よりは多く乳汁中へ移行すると想定されるわけですが、児への影響なども勘案し、添付文書上は…



キプレスは慎重投与となっています。

理由として、動物実験で乳汁中への移行が報告されているから、ということです。それでは、児がキプレスを(乳汁経由で)摂取するとどうなるか。


小児への投与は、1歳以上で可能であり、1歳〜6歳は1日4mg、となっています。1歳以上であれば安全性が確立しています。とすると、お母さんの内服量が1日10mgなので、まずは安全そうです。


問題は1歳未満の場合です。1歳未満の乳児、新生児、低出産体重児に対する安全性は確立していない、とのことです。そういうことを踏まえての「慎重投与」となるわけです。



一方、アレジオンは「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けてください」となっています。


キプレス同様、動物実験で乳汁中への移行が報告されている、ということで、乳汁経由で児が摂取した場合、3歳未満の児に対する安全性は確立していない。よって、キプレスよりも強めの表現になっています。


妊娠と違って、授乳は、特に男性の医師にとっては、「止めてください」とか、「しばらく止めてください」と言いやすいので、こんな表現になるのでしょうかね。




4児を母乳で育てているのを隣で見ていただけではありますが、個人的には、授乳を止めるというのは、こちらが思っているほど、そうそう気軽にできるものではないと思うんですけどね…。


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posted by 長尾大志 at 18:13 | Comment(0) | web喘息講座

2011年11月28日

今日の症例・喘息治療と妊娠・出産・授乳5

別の30歳代女性。

小児喘息を放置しており、年に数回病院で点滴を必要とする程度の発作があったものの、継続治療はされていませんでした。


2年前他院で喘息といわれアドエア開始していましたが、症状がなくなったこともあり、1年前妊娠を契機に止めてしまわれていました。
まあこれは結構よくある話で。主治医からきちんと説明してもらえないと、治療中断となりやすいです。


そして案の定というか、今年の8月以降咳、息切れが生じてきて、メプチンで対処されていたのですが、徐々に悪化あり、11月に喘息発作で入院となってしまわれました。


児は5ヶ月で、授乳中。
入院後、シムビコート、キプレス、アレジオンを内服開始されました。


さて、授乳中の患者さんに対して、どうしますか。


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posted by 長尾大志 at 13:12 | Comment(0) | web喘息講座

2011年11月27日

今日の症例・喘息治療と妊娠・出産・授乳4

というわけで、30歳代女性、アドエア使用中、妊娠5週と判明。


さて、どうしますか?


昨日までの話を理解した上で、妊婦さんへの投薬を考えましょう。
ただでさえ妊婦さんは不安でいっぱいです。

きっちり投薬の意義、リスクが説明できない主治医は信頼を失いますよ。



この方の場合、アドエアである程度症状が抑えられていたこともあり、選択肢としては安全策でパルミコート、そのままアドエア、どちらもありかと考えました。

そして、一通りの説明を行いました。まずは、喘息発作が起きないようにする、それがおなかの赤ちゃんにとってもっとも大事なことであると。その上で、できる限り安全な薬でそれを達成できるようにしましょう、とこんな感じです。


いろいろ説明して、実際大丈夫だとは思いますけどとも申し上げたのですが、患者さんは、やはり母親としては安全が保障されている薬がよいと。
こうおっしゃったので、アドエアをパルミコートに変更しました。量は少し多めです。



あなたは、あなたの処方している薬について、しっかり説明できるレベルまで理解していますか?

そこまで上級医は教えてくれますか?


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posted by 長尾大志 at 11:44 | Comment(0) | web喘息講座

2011年11月26日

今日の症例・喘息治療と妊娠・出産・授乳3・喘息患者さんの妊娠 使用可能な薬

喘息ガイドラインでは、喘息薬が、特に児に催奇性があるかどうかについて触れています。
それによると妊娠中の喘息患者さんに使用できると考えられる薬は、以下の通りです。




 吸入薬
  • 吸入ステロイド薬

  • 吸入β刺激薬(気管支拡張薬)

  • インタール吸入

  • 抗コリン薬



 内服薬
  • テオフィリン系薬

  • 内服β刺激薬(気管支拡張薬)

  • 内服ステロイド薬

  • 抗ロイコトリエン薬

  • 抗ヒスタミン薬



 注射薬
  • ステロイド薬

  • アミノフィリン(ネオフィリン)





これは最新のアレルギー学会のガイドラインから引用しましたが、まあほとんどの薬は有益性投与となっておるわけです。


少し前には、抗ロイコトリエン薬も安全とは言い切れないと言われていましたが、発売後時間が経過し症例が集積されて、ここに含まれるようになってきました。長時間作用型の気管支拡張薬は、まあ微妙なのですが、「データには乏しいが、安全であると考えられている」という、メーカーに配慮した表現となっております。


また、抗ロイコトリエン薬・抗ヒスタミン薬以外の内服抗アレルギー薬は使わない方がいいとされています。


喘息患者さんが妊娠されたときは、上に書いた薬の中から効果と副作用をよく考慮して選択し、治療することになルのですが、実際には効果と副作用の点から吸入ステロイドを軸に、必要に応じてそのほかの薬を組み合わせるのが主流です。


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posted by 長尾大志 at 14:53 | Comment(0) | web喘息講座

2011年11月25日

今日の症例・喘息治療と妊娠・出産・授乳2

海外データの豊富なブデソニド(パルミコート)だけがFDAカテゴリーB(妊婦さんに使ってもまず安全)に入っているわけですが、じゃあ、他の吸入ステロイドや合剤はダメなのか?


どの薬にも、例の使用上の注意、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること」が、必ず書いてあります。

つまり、自信を持って有益性が危険性を上回ると言い切れない薬は使うべきではない、まあ当たり前のことですが、ちゃんと言い切れますか?ということです。


喘息治療における有益性と危険性を考えてみましょう。



<有益性>

喘息の場合、治療上の有益性とは、喘息の症状が胎児に与える影響を減らすことです。


強い喘息発作が起こると、母体が酸素をうまく取り込めず低酸素血症になります。そうなると、胎児低酸素血症になり、発育不良その他の問題を起こします。


また、コントロールがきちんと出来ていない場合、ストレスの多い出産時に強い発作が起こることがあります。そうなると、母体、児の両方にとって極端な場合、命の危険もあるのです。


これらの問題を回避することは、言うまでもなく有益なことといえるでしょう。



<危険性>

危険性とは、薬によって胎児が悪影響を受けることです。

いろいろな統計を確認しましたが、吸入ステロイドや気管支拡張薬の通常量の使用では、催奇性を含めて問題は報告されていません。吸入薬は、吸収されて全身に巡る量は極めて少ないので安心と言われていますし、実際問題があった事例の経験も見聞しておりません。


もちろん薬は薬なので100%の安全を保証するものではありません。
信頼できる呼吸器科の医師の判断で使用し、喘息のコントロールを行うべきだということです。



現在の考え方では、喘息発作の症状がある妊婦さんが、症状をコントロールできるだけの吸入ステロイド、および吸入の気管支拡張薬を使用することは、

「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される」

ことがほとんどです。
もちろん主治医の管理、指導の元で使用する上での話です。


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posted by 長尾大志 at 09:14 | Comment(0) | web喘息講座

2011年11月24日

今日の症例・喘息治療と妊娠・出産・授乳1

30歳代女性、アドエア使用中、妊娠5週と判明。


さて、どうしますか?



特に若い女性の喘息患者さんを診ていると、時々ありますね。

まあ、安定している方であれば早々にパルミコートに切り替えるのですが、それなりに症状があったりすると、アドエア(シムビコート)などの合剤を引っ張るケースもあるわけで。


妊娠が判明するのはだいたい5-6週の器官形成期。なのですが、妊娠が判明するのはだいたいその辺かその後なんですね。


おきまりの添付文書では、吸入薬については「有益性投与」つまり、有益性が副作用などの危険性を上回れば投与していいですよという、よくある玉虫色のことしか書いていない。


それはそうで、製薬会社として、何かあったときの責任*をとらされないようにこういう書き方にしているわけです。


*イレッサの訴訟が記憶に新しいですが、副作用があると思われるときはそのように明示し、最終的には医師の判断と患者さんの同意を以て投与すべし、というのが世の趨勢です



妊娠・出産・授乳などに関する「リスク」はまだまだわかっていないことが多いのが現状なのです。


もうずいぶん前ですが私が産まれる前後、つわりの治療薬であるサリドマイドという薬がありました。その薬を妊婦さんが使って、その結果手足が短い赤ちゃんが産まれる、いわゆる「サリドマイド問題」が起きました。


その頃から薬がお腹の赤ちゃんに与える影響が社会問題となったのです。その後妊娠中にはむやみにお薬を飲まないように、という考え方が徹底されてきました。


薬の妊娠中の安全性は、動物実験によって確かめられています。しかし、人体で起こることを100%予測できるわけではありません。


全く薬を使っていない妊娠においても数%の「問題となる妊娠」があるわけで、果たしてその薬が妊娠に影響するかしないのか、ということを確認するには膨大なデータが必要です。


その薬を使った群で、「問題となる妊娠」が発生する確率が、使っていない群よりも統計学的に有意に高い、となりますと、「問題を引き起こす」とされ、そうでなければ「問題を引き起こすとはいえない」とされるのですが…。


「問題を引き起こすとはいえない」のレベルから、「問題を引き起こさない、安全である」と言い切るに至るにはかなりハードルが高く、さらに症例、データの蓄積が必要です。なので、吸入ステロイドの中では比較的古くからあり、海外データの豊富なブデソニド(パルミコート)だけがFDAカテゴリーB(妊婦さんに使ってもまず安全)に入っているわけです。

じゃあ、他の吸入ステロイドや合剤(FDAカテゴリーC=Bのワンランク下)はダメなのか…?


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posted by 長尾大志 at 09:51 | Comment(0) | web喘息講座

2011年06月12日

喘息死ゼロ作戦

先日、とある講演会場で耳にした話。


実は都道府県別に見ますと、喘息で亡くなる方の割合がかなりばらついていて、おそらく地域での取り組みの差が原因ではないか、といわれています。

多いのは○○県や○○県、なぜか結構西日本に多いですね。



喘息死ゼロ作戦というのは、厚生労働省によるアレルギー対策の一環です。

(直接リンクは許可を得ていませんので付けませんが、「喘息死ゼロ作戦」で検索すると厚生労働省のHPが出てきて、県別の死亡率がでています。)


そこでは、吸入ステロイドが普及すると喘息で亡くなる方が減る、ということがわかっていますので、喘息で亡くなる方を減らすためには吸入ステロイドを普及させる必要がある、ということを唱えられています。


そのため、厚生労働省が旗を振って、喘息死ゼロ作戦を全国的に行おうとしているわけですが…。普及のための予算もすでについていて、各県には既に割り振られているのですが…。県によっては、何もしていない。医務薬務課にはお金はきているのに、まったく何も行われていないそうです。実はうちの県も…。

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posted by 長尾大志 at 13:27 | Comment(0) | web喘息講座

2011年06月11日

喘息死を減らすために

先日、とある講演会にて。

講師の先生は福井県の先生でしたが、福井県は喘息で亡くなる方が、全国7位というかなり多い地域でした。


喘息で亡くなる方は、吸入ステロイドを使われていないことが多く、吸入ステロイドが普及すると喘息で亡くなる方が減る、ということはわかっていますので、いかに吸入ステロイドを普及させるか、というところがポイントです。


地域の主な病院の呼吸器科の医師は当然、ガイドラインに則って吸入ステロイドを使いますから、いかにして非専門医、開業医の先生に吸入ステロイドを使っていただくか、というところのご苦労を伺いました。


そこでの取り組みとして、喘息カードというものを導入することで開業医の先生と病院の専門医の連携を助ける、という試みを紹介されていました。


そこには、まず発作の時にどう対応したらよいか、ということが書かれています。そして、かかりつけ医と救急時に受診する医療機関の連絡先、さらには現在使われている薬剤名と量、アスピリン喘息や薬に対するアレルギーの有無などを記入する欄があり、常に携帯しておけるサイズに収まっています。


これを携帯しておくことで、急な発作時の対応がしやすくなります。また、開業医の先生にガイドラインに則った治療をしていただきやすくなります。


ぜひ全国的に広めていただきたい、素晴らしい試みだと思いました。

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posted by 長尾大志 at 21:04 | Comment(0) | web喘息講座

2011年03月11日

web喘息講座19・喘息と診断されたあとの、患者さんの疑問・質問3・喘息は治りますか?喘息の薬はいつまで続けなければならないのですか?

この答えは、「治るまで」です。

「治るのですか?」と聞かれると思いますが、その答えは、
「軽症の患者さんに、早期治療開始すれば、十分治る可能性はある。」です。


web喘息講座7・吸入ステロイドを早めに使い始める方が、喘息の進行が抑えられるので、喘息が治る可能性もあり、結局使う薬が少なくてすむで引用したデータでは、早期治療群において、5年後に結構な数の患者さんが吸入ステロイドを止められた、となっています。

薬を使わなくても症状が出ない、つまり、治っているのです。

しかし逆に考えると、軽症であっても、吸入ステロイドの開始が遅れると慢性化、リモデリングが進行するということです。


炎症が強く、リモデリングが進行していると思われる以下のようなケースは、なかなか治りにくい、吸入ステロイドを止めるのが難しいといえます。


1.長期間慢性に炎症が続いているほど、リモデリング
 (気管支が硬く、分厚くなっている)が強く、
  長期間吸入ステロイドが必要


2.炎症の度合いが強いほど(発作の回数が多いほど)、
  大量に吸入ステロイドが必要→
  減らしていくのにも時間がかかる


3.併用薬が多いほど(コントロールが難しいほど)、
  長期間、大量に吸入ステロイドが必要


4.治療に入るまでの期間(コントロールされていなかった期間)
  が長いほど、長期間吸入ステロイドが必要


5.治療をしていても、実際しっかりコントロールされていない
  期間が長いと、トータルの治療期間は長い
 (ですから、治療はできるだけしっかり行う必要があります)


6.入院や人工呼吸のような治療を必要とする
  大きな発作が起こった方は、ステロイドを止めない方がよい



患者さんとほとんど初対面なのに、

「あなたの喘息は一生治りません。一生薬は手放せませんよ。」

と言ってしまわれる先生がおられるということをよく耳にします。


確かに上の様なケースだと、長期間吸入ステロイドを使うことになるでしょう。が、最初にそういう言い方をされると、多くの患者さんは医師に対し、いい感情を持たれません

結果的に、治療アドヒアランス(どれだけきっちり治療を続けるか)が悪化し、さらにコントロールが悪くなったりします。

患者さんにお話しする、説明するにも、いろいろな配慮が必要なのです。
最初に書いた様に言われた方が、治療にも前向きに取り組めるのではないでしょうか。



予定よりも少し長くなりましたので、web喘息講座はいったん終わります。

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posted by 長尾大志 at 11:18 | Comment(0) | web喘息講座

2011年03月10日

web喘息講座18・喘息と診断されたあとの、患者さんの疑問・質問2・喘息に良い食べ物、生活習慣はどんなですか?

喘息に良い食べ物、生活習慣については良く尋ねられると思います。そんなときに、さっと項目をいくつか答えられるようにしておきたいものですね。

ガイドラインに載っていたり、ある程度のデータがあったり、というのは、以下のようなものです。このあたりをお勧めいただければ、と思います。


  • 禁煙

  • 動物性脂肪を摂りすぎない

  • 乳酸菌・ビフィズス菌・オリゴ糖を含む乳製品は良い

  • 魚類・全粒製品・野菜や果物は良い

  • 室内のカビの防止

  • ウイルス感染を避ける

  • ハウスダスト対策

  • ペット対策

  • 環境が不潔である方が良い

  • 二歳未満の児に抗生物質を投与しない

  • 空気の汚染に注意




項目ごとの詳しい解説は、こちらをごらんいただければと思います。患者さん向けのブログです。


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posted by 長尾大志 at 11:55 | Comment(0) | web喘息講座

2011年03月09日

web喘息講座17・喘息と診断されたあとの、患者さんの疑問・質問1・どうして私は喘息になったのですか?

実はなかなかお答えするのが難しい質問です。

しかし、喘息になりやすいリスク因子はある程度わかっていますから、そこに患者さんがどの程度当てはまるかで、ある程度お答えすることはできるでしょう。

リスクとして大きい要因としては、以下のものを挙げておくといいでしょう。


  • 遺伝素因がある

  • アレルゲンに繰り返し曝露する・他のアレルギー疾患がある

  • 衛生仮説




遺伝素因がある

喘息はじめ、アレルギー疾患は、遺伝的素因+環境因子によって発病すると考えられています。

アレルギー体質を持っている人でもアレルギーの病気を発症しない人もいます。
しかし、アレルギー体質が全くない人はアレルギーの病気にはならないでしょう。

遺伝的素因も、単一の遺伝子に起因するものではなく、多因子であろうと考えられています。ということは、必ず遺伝するものではないが、遺伝する可能性がある程度高い、ということです。


いくつかの研究データをあげてみます。

■喘息が発症する要因の75%が遺伝といわれている

■両親が喘息の時、喘息になる確率は3-5倍高くなる

■一卵性双生児の1人が喘息の時、もう1人が喘息になる確率は7倍高くなる

ここで注目すべきことは、一卵性双生児の両方が、100%同じように喘息になるわけではないということです。つまり、遺伝の要素はもちろんあるのですが、遺伝ばかりでもないということです。


アレルゲンに繰り返し曝露する・他のアレルギー疾患がある

以前からずっと鼻炎があった、こういう人が喘息を発症することが少なくありません。
コントロールされていないアレルギー疾患の存在はリスクになります。

また、アレルゲンへの曝露は、何度も繰り返すほど反応が大きくなります。
例えば花粉症でも、毎年花粉を浴び続けるとある年突然発症する。
喘息の場合ですと、大きな要因はハウスダスト、ダニです。

住宅の気密性、断熱性が増し、エアコンもあって1年中温度が一定に保たれていると、ダニの温床になります。ずっとそういう空気を吸い続けることが発症の要因になると思われます。


衛生仮説

細菌・真菌・LPS(菌体成分)などが多い不衛生な環境では、Th1系の活性化が起こり、Th2系が抑制されます。

逆に非常に衛生的な環境では、Th1の活性化が起こりにくく、Th2系優位となる。
このTh2系はアレルギー反応に深く関わっているのです。

ですから、特に免疫系が形成される幼少期に、過度に清潔な環境にいることは、アレルギー発症の引き金になるというのが、衛生仮説です。最近アレルギー疾患が増えていることをよく説明する説ではないかと思います。


これら以外に、リスクとなる生活習慣も色々あります。
それについては明日まとめて述べることにします。


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posted by 長尾大志 at 14:49 | Comment(0) | web喘息講座

2011年03月08日

web喘息講座16・喘息と診断されたあとの、患者さんの疑問・質問

内科医の仕事には、 ムンテラとはmundtherapie(mund=口、therapie=治療)たるべきでも書いたように、患者さんとお話しするという大事な仕事があります。

こういう時代なので、ネットにも色々情報は落ちているわけですが、ゴミみたいな情報も多く、やはり患者さんは、ご自分の主治医に話を聞きたい、ご自分の病状について教えて欲しい、と思っているものです。

喘息のような慢性に経過する疾患ですと、なおさら、いろいろなことが気になるもの。
何かと、尋ねられることも多いと思います。そのときに、妥当な回答ができるかどうかで、患者さんとの信頼関係も変わってくると思われますので、正しい知識を付けておくことは大事ですね。

そういうわけで、患者さんから尋ねられることの多い疑問・質問のうち、特に知っておいて欲しい事柄をいくつか、取り上げてみましょう。


  • どうして私は喘息になったのですか?

  • 喘息に良い食べ物、生活習慣はどんなですか?

  • 喘息は治りますか?喘息の薬はいつまで続けなければならないのですか?



1つずつ、明日から紹介していきます。

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posted by 長尾大志 at 18:02 | Comment(0) | web喘息講座

2011年03月07日

web喘息講座15・リリーバー

今回は、リリーバーとして使われる薬の紹介をします。
今後コントローラーの普及に伴い、使用されることが少なくなる(はず)と思われます。


短期作用型気管支拡張薬(β刺激薬)

吸入薬
商品名:サルタノールインヘラー・メプチンエアー・ベロテックエロゾル・ ベネトリン吸入液・メプチン吸入液

以前は「喘息の薬」といえばこれでした。

気管支のまわりには平滑筋という筋肉があり、発作時にはその平滑筋が収縮して気管支(空気の通り道)が狭くなるのです。

β刺激薬は、発作時に起こっている平滑筋の収縮をやわらげる働きがあり、遅くとも吸入して数十分後には効果が現れます。

喘息の発作のときに、一番よく効くのがこの薬です。しかし、一時期これの使いすぎで亡くなられた方が多い、とマスコミなどで話題になりました。

その薬剤はベロテックで、これを使っている方がたくさん「不安だ」と相談しに来られました。亡くなられた方に共通しているのは、以下のようなことです。

■コントローラーを適切に使わず気管支拡張薬だけで喘息に対処しようとしていた。
■短時間に何十回も吸入していた。


もうおわかりですね。いずれもちゃんとした治療・指導を受けていれば避けられたはずなのです。

なお、副作用としては長期作用型気管支拡張薬と同じく、動悸・不整脈・手のふるえ・めまいなどがあります。


内服薬
商品名:ベネトリン・ブリカニール・ベロテックなど

吸入に比べて効果が出るのに時間がかかり、また、副作用も多いことから、今ではあまり使われていません。

吸入薬と同じく、副作用として、動悸・不整脈・手のふるえ・めまいなどがあります。



ステロイド内服薬

商品名:プレドニン・メドロール・デカドロン・リンデロン

ほぼコントローラーと共通です。発作が出たときに数日間〜2週間だけ少し多めの量(3〜6錠)を内服します。作用はβ刺激薬ほど早くありませんが、使い方が定期的ではなく発作時なのでこちらで説明しました。

薬の説明としてはコントローラーのところで書いたとおりですが、このような短期間の使い方では後々問題になる副作用はほとんどないのが特徴です。


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posted by 長尾大志 at 10:20 | Comment(2) | web喘息講座

2011年03月06日

web喘息講座14・吸入ステロイド以外のコントローラー6・喘息の新薬ゾレア

コントローラーの項の最後に載っている、抗IgE抗体という薬は、あまりなじみがないかもしれません。

喘息の発症、症状発現メカニズムに大きな役割を果たしていると考えられているIgEという物質はご存じでしょう。

IgEがマスト細胞(肥満細胞)にくっつくと、マスト細胞がヒスタミンを放出し、このヒスタミンがアレルギーのいろいろな症状を引き起こすのです。


抗IgE抗体は、そのIgEにくっついてIgEがマスト細胞にくっついて活性化するのを阻止する、これまでにない作用の薬です。
IgEを標的にして狙い撃ちをするのです。


これまでの治療でうまくコントロールできなかった難治例、重症例の患者さんに使用して、結構効果があるようです。また、アトピーなどの症状にかなり効果があるようです。


必ずしも、血液検査で測定したIgEがすごく高い方でなくても、効果が得られているようです。(とはいっても、ほぼ0の方は使えません)


ただ、しばらくすると効果が薄れてくるので、月1回注射を打つ必要があります。


問題は、薬価が非常に高いということ。

1本7万円です。人によっては、1回に2本、3本と必要な場合もあります。
(投与量はIgEの数値と体重によって決定します)


それがネックとなって、うちでもまだ使い始めた方はおられません。3割負担でも、月に数万円「余計に」かかるとなると、なかなか難しいのではないでしょうか。

効果は、確かにあるようですが…。価格に見合った?価値があるかは、未知数です。


以上で、コントローラーの紹介を終わります。


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posted by 長尾大志 at 10:11 | Comment(0) | web喘息講座

2011年03月05日

web喘息講座13・吸入ステロイド以外のコントローラー5・内服ステロイド薬

商品名:
プレドニン・メドロール・リンデロン・デカドロン・セレスタミン

以前はよく用いられましたが、吸入ステロイドの普及であまり定期的に使われることはなくなりました。現在では、吸入ステロイドや他の薬を限度一杯まで使ってもなお強い症状がある患者さんに限って使われています。

副作用には、以下のようなものがあります。


<大量使用で>

  • 細菌などに感染しやすくなる

  • 糖尿病になる、悪化する

  • 胃潰瘍になる

  • 精神に影響する

  • 顔がむくむ・肥満になる



<長期使用で>

  • 副腎機能が低下する

  • 骨粗鬆症

  • 高脂血症・高血圧

  • 筋力が低下する

  • 白内障・緑内障

  • 小児は成長が妨げられる可能性がある


他にもいろいろありますが、割合が多いのはこのあたりです。


ステロイドが怖い」とよく言われ、患者さんでも拒否感が強い方はおられますが、必要な場合にも使わないのは本末転倒です。

よくよく必要性を見極めて、喘息をしっかりコントロールし、その上でなるべく早く薬を減らせるように、と考えるのが私たち呼吸器科医の仕事です。


セレスタミンはステロイドと抗アレルギー薬を配合したものですが、このグループに入れました。けっこう気軽に使われるケースが多いのですが、長期に使われている場合は要注意です。

一般的な内服ステロイドの使い方については、いずれ項を改めて説明しようと思います。


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posted by 長尾大志 at 13:00 | Comment(0) | web喘息講座

2011年03月04日

web喘息講座12・吸入ステロイド以外のコントローラー4・テオフィリン系薬

商品名:テオドール・テオロング・ユニフィル・ユニコン・スロービット

吸入ステロイドの普及以前はコントローラーの主役でした。ただ、患者さんによって体内での代謝が違い、効きすぎて副作用が出たり、効かなかったりということがありました。

そのために必ず血中濃度を確認する必要があり、使いにくいという点で敬遠されてきています。なお、教科書や添付文書では、10-20μg/ml程度に調節、となっていますが、現在の使い方は吸入ステロイドと併用して1日200mg程度投与し、5-10μg/mlあたりで調節、という感じです。

そしてもう1つ、使いにくい理由が「相互作用」です。

テオフィリンと一緒に使うとテオフィリンの血中濃度が上がってしまい、中毒を起こしてしまうような薬がたくさんあるのです。

本当にたくさんあるのでここでは全てを書くことはしませんが、テオフィリン系の薬と、その他の薬をあわせて処方する場合は、必ず相互作用がないことを確認しておきましょう。

テオフィリン系以外に、抗アレルギー薬の中にも相互作用がいろいろあるものがあります。こちらも要確認です。

このように使いにくい面のあるテオフィリンですが、最近では吸入ステロイドと少しだけテオフィリンを併用し、抗炎症効果を期待する使い方が見直されています。

吸入ステロイドの使用量を減らすことが出来るというものです。


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posted by 長尾大志 at 09:21 | Comment(0) | web喘息講座

2011年03月03日

web喘息講座11・吸入ステロイド以外のコントローラー3・抗ロイコトリエン薬以外の抗アレルギー薬

これらは、実際のところ効果が今ひとつであり、吸入ステロイドの普及に伴って、その役割を終えつつある、という印象です。


吸入薬
商品名:インタールエアゾル

ほとんど副作用がないことから、子供を中心にこれまでたくさん使われてきましたが、作用も強くありません。気管支の炎症をきっちり鎮めるものではないようです。


内服薬
商品名:ベガ・ブロニカ・アイピーディー・リザベン・ザジテン・アレジオン・ニポラジン・アゼプチンなど多数

主にメディエーター阻害薬を中心に、機序としては喘息に対して有効!というふれこみで発売された薬もありますが、どれも臨床的効果としては芳しくありませんでした。

ただ、鼻炎・花粉症・アトピー性皮膚炎など、他のアレルギーをお持ちの患者さんに使うと、効果的なようですので、喘息コントロールをこれだけで、というよりも、補助的な使い方をされています。


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posted by 長尾大志 at 09:35 | Comment(0) | web喘息講座

2011年03月02日

web喘息講座10・吸入ステロイド以外のコントローラー2・抗ロイコトリエン薬

商品名:オノン・シングレア・アコレート・キプレス

喘息に対して効果を実感できる抗アレルギー薬のグループです。

ただし、効く(responder)人と効かない人(non-responder)がいますので、1ヶ月ほど使ってみて効かない場合はやめた方がいいです(なかなか、効果の判定は難しいことも多いのですが…)。

薬価が高く、患者さんの支払いが少々お高くなりますが、副作用は比較的少ないので、使いやすいですし、鼻炎の症状(特に鼻閉)にも効果があるというメリットがあります。

コントローラーとして期待される効果は、吸入ステロイドと併用することで吸入ステロイドの使用量を減らすことが出来る、というものです。

■軽症の患者さんにこれだけ処方してコントロール。
■軽症以上の患者さんに吸入ステロイドと一緒に処方する。
このどちらかの使い方です。


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posted by 長尾大志 at 17:37 | Comment(0) | web喘息講座

2011年03月01日

web喘息講座9・吸入ステロイド以外のコントローラー1・長期間作用型β刺激薬、およびステロイド薬+長期間作用型β刺激薬の合剤

気管支拡張薬とは、発作が起こったときに強力に気管支を拡張し、発作を鎮める薬です。平滑筋に作用して平滑筋の収縮を和らげる、β刺激薬が代表です。

使用してすぐに効く短期作用型気管支拡張薬(β刺激薬)がリリーバーとしてよく使われますが、コントローラーとして使われるのは、立ち上がりが遅い代わりに持続的に気管支を拡張させる、長期作用型気管支拡張薬です。

吸入薬、貼付薬、内服薬がありますが、いずれも、抗炎症効果はなく、それだけを使っていると喘息が悪化するので、必ず吸入ステロイドと併用しなくてはなりません。


吸入薬
商品名:セレベント

吸入ステロイドと併用することで症状を改善させ、吸入ステロイドの使用量を減らすことが出来るというエビデンスがあります。

どうせ吸入ステロイドと一緒に使うので、最近では後に述べる合剤を使われることが多くなっています。


貼付薬
商品名:ホクナリンテープ

これは1日1回貼るだけでよいので手軽に使え、
患者さんには人気です。

お子さんにも使いやすいですね。
あとに述べるような副作用が出ても、はがせば治まります。

ただ、テープなので皮膚の弱い方はかぶれることがあります。

また、結局吸入ステロイドを使わなければならないので、最近では後に述べる合剤を使われることが多くなっています。


内服薬
商品名:メプチン・スピロペント・ホクナリン

これは古い薬で、テオフィリン系薬と共にかつてはコントローラーの主役でしたが、持続時間、効果ともに中途半端で、今では、どうしても吸入が出来ない方にやむを得ず使うぐらいです。


吸入・貼付・内服薬、いずれも副作用として、β刺激作用の動悸・不整脈・手のふるえ・めまいなどがあります。



ステロイド薬+長期作用型気管支拡張薬(β刺激薬)の合剤

吸入薬
商品名:アドエア、シムビコート

アドエア=フルタイド(吸入ステロイド)+セレベント(β刺激薬)
シムビコート=パルミコート+ホルモテロール(日本未発売のβ刺激薬)

(ホルモテロールは、サルブタモール(サルタノールの成分)と同じくらい、即効性があり、回数を増やすとその分効果が高まることが知られています。)


いずれも、吸入する回数が減る、バラバラに処方するより値段が安くなる、といったメリットだけでなく、その2つを別々に吸うより効果も高い、といういいことずくめの製品です。

欠点としては、特に高用量のアドエアで、喉の違和感、嗄声(させい)が起きやすいことがあります。それ以外に動悸・不整脈・手のふるえ・めまいなどといった、β刺激薬にまつわる副作用があります。

しかし、メリットが多いことから、コントローラーの多くがこの薬になってきています。


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posted by 長尾大志 at 18:27 | Comment(0) | web喘息講座

2011年02月28日

web喘息講座8・吸入ステロイド以外のコントローラーについて

コントローラーの序列は、おおよそこんな風だと思います。
上の方が効果、副作用のバランスが取れていると考えて下さい。

  • 吸入ステロイド

  • 長期間作動型β刺激薬

  • ロイコトリエン拮抗薬

  • テオフィリン

  • 抗アレルギー薬

  • 全身ステロイド

  • 抗IgE抗体



最近では、吸入ステロイド+長期間作動型β刺激薬の合剤が広く使われるようになり、それ以降のコントローラーの出番が少なくなっています。

発作が繰り返し生じ、リリーバーを必要とするような「不安定な状態」であれば、コントローラーを増やす、または追加することで、発作が出ない状態、つまり「安定した状態」に持っていくわけです。

追加していく順番というか、優先順位は、まあ上からということが多いです。
明日以降、上から順番に説明していきます。

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posted by 長尾大志 at 12:49 | Comment(0) | web喘息講座

2011年02月27日

web喘息講座7・吸入ステロイドを早めに使い始める方が、喘息の進行が抑えられるので、喘息が治る可能性もあり、結局使う薬が少なくてすむ

最近、吸入ステロイドを早期に導入した方が
喘息のその後の経過は良いということがわかってきました。

軽症の喘息患者さんを2群に分けます。

当初から吸入ステロイドを使っていた患者さん群と、当初はリリーバーのみを使用し、2年経過してから吸入ステロイドを使用開始した患者さん群では…


■その後重症の喘息発作が起こる率が倍近く違います。
 (早期開始群の方が、重症発作を起こしにくい)

■5年後に使っている吸入ステロイドの量が倍近く違います。

■5年後に吸入ステロイドを止められた人の数が6倍も違います。
 (早期開始群は治るということです)

■5年後の併用薬を使っている割合が5倍以上違います。
 (早期開始群は併用薬をほとんど使わずにすみます)

■5年後の肺機能が10%ほど違います。


逆に考えると、軽症であっても、吸入ステロイドの開始が遅れると
慢性化、リモデリングが進行するということですね。

そうなると、吸入ステロイド他の薬が
なかなか止められなくなるのです。


上のデータには、子供も含めた研究が含まれています。そんなこともあり、最近のガイドラインでは、子供にも吸入ステロイドを早めから導入する方向で勧められるようになってきました。


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posted by 長尾大志 at 18:38 | Comment(0) | web喘息講座

2011年02月26日

web喘息講座6・喘息の治療薬について・吸入ステロイド

大人の場合、コントローラーといえばまず吸入ステロイドのことを指すくらい、効き目と副作用の少なさの点で他の薬を圧倒しています。

本来「ステロイド」は強力に炎症を抑える一方で、いろいろと副作用があり内服薬や点滴薬をあまり長期間使うのは好ましくありません。

しかし「吸入ステロイド」は、薬剤を直接病変部に運んで作用させることから、点滴や内服のステロイドに比べて、副作用が大変少なく、また効果がすぐれている点から、現在は喘息治療の柱となっています。


商品名:フルタイド・パルミコート・キュバール・オルベスコ・アズマネックス

副作用は、咽頭、喉頭〜食道のカンジダ症、口内炎、嗄声です。
多くの場合はうがいをまめに行うことで対処できます。

嗄声だけはうがいではなかなか防止できず、薬を変更したり、減量したり、喉の奥にある声帯を直接霧吹きで洗ったり、いろいろな工夫がなされています。

個人的には、粒子径の小さいpMDI(霧状の噴霧器)製剤に換えて対処することが多いですが、根本的には薬剤の減量が一番効果的と思いますので、できるだけ早く安定化するようコントロールすることを目標にしています。

(ここで、勘違いしないでいただきたいのは、嗄声を恐れる限り、コントロール不十分で減量、という選択肢は好ましくない、ということです。あくまで、コントロールが先決。)


吸入ステロイドの使い分けは、以下の特徴に基づいています。

フルタイド:作用が強力、操作が簡単、カウンターで薬剤の残量確認が確実。

パルミコート:妊娠・出産・授乳時のリスクが少ない、FDAにおける妊婦への安全性ランク・カテゴリーBである唯一の吸入ステロイド薬。吸入感?がなく、吸ったかどうか不安になる。カウンターは薬剤の残量がわかりにくい。

キュバール:粒子径が小さく、末梢気道まで到達し、喉頭の違和感が少ない。特殊な器具を使わないと、残量が全くわからない。

オルベスコ:粒子径が小さく、末梢気道まで到達し、喉頭の違和感が少ない。投与量が400μg以下であれば、1日1回吸入で1日中効果が持続するといわれている。特殊な器具を使わないと、残量が全くわからない。

アズマネックス:粒子径が小さく、末梢気道まで到達し、喉頭の違和感が少ない。カウンターで残量確認が確実。

とまあ、それぞれ一長一短があります。
あと、1回に噴霧できる量も違うので、吸入回数が多くなってしまうものもあります。
薬価(薬の値段)も、ものによって違います。


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posted by 長尾大志 at 22:31 | Comment(0) | web喘息講座

2011年02月25日

web喘息講座5・喘息の治療

昔の喘息の治療は、「発作が出たら治療」「症状を治すのが治療」だったのですが、今となってはこれは大間違いです。


今は「発作を出さないように予防」「健康な人と変わらない生活を送る」「リモデリングを起こさない、進行させない」のが治療の目標です。

症状が出ている期間は、炎症+リモデリングが進行していると考えられており、喘息と診断がついたら、症状を出さない、発作を出さないようにすることが目標になっています。

発作が出た場合にはリリーバーを使いますが、あくまで、コントローラーを補助する目的であり、治療のメインはコントローラーになります。発作が繰り返し生じ、リリーバーを必要とするようであれば、コントローラーを使う(または、増やす)ことで、発作が出ない状態に持っていくわけです。


長期管理薬=コントローラー:発作の予防のために、普段から使っておく薬。

発作治療薬=リリーバー:発作時に使用する薬、吸入して速やかに効果が出る。


最終的には、リリーバーを使わなくても症状なく安定した日常生活が送れるようコントローラーを調節し、(薬を使っていることをのぞけば)健康な人と何ら変わらない生活を送ることができる、これが目標であり、多くの方は実現可能なのです。

ただし、「早期に診断され、早期に治療開始されること」が前提条件です!

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posted by 長尾大志 at 11:37 | Comment(0) | web喘息講座

2011年02月24日

呼吸器内科医がいない病院の若い先生むけ、web喘息講座4・リモデリングとは

喘息という病気の本性は、主にアレルギーを原因とする、「気道(気管支)の炎症」です。

炎症を起こした気道(気管支)の壁は徐々に厚くなり、その結果空気の通り道が細くなって来ます。

bronchus2.jpg

慢性に喘息がある方では、長期間気道壁の炎症があって厚くなった気管支がかたくなり、なかなか元の厚さに戻らなくなるために、ますます喘息が治りにくくなります。これを専門用語で「リモデリング」といいます。

リモデリングが起こると、喘息が慢性状態になると言えます。

咳や喘鳴、呼吸困難など、少しでも喘息症状が出ている期間は、炎症+リモデリングが進行していると考えられています。つまり、喘息症状をそのまま放置すると、喘息は慢性化するのです。

喘息なのに、必要な治療をしてもらえないと、その患者さんの喘息は慢性になるのです。ですから、喘息と診断がついたら、症状を出さない、発作を出さないようにすることが目標になっています。

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posted by 長尾大志 at 11:51 | Comment(0) | web喘息講座

2011年02月23日

呼吸器内科医がいない病院の若い先生むけ、web喘息講座3・喘息の診断

ここからは、基本的に、喘息予防・管理ガイドライン2009に則って話を進めて参ります。
やはり若い先生方に、ガイドラインを逸脱した話は好ましくない、ましてや不特定多数の方々の目に触れる、web上ではなおさら、と思うからです。


喘息ガイドライン.jpg


ところが、実際の臨床の場では、しばしばガイドラインを逸脱するような出来事が起こるわけです。患者さんもさまざまな方がおられますから、説明の仕方によっては、2度と外来に来られなくなる、ということもあるわけです。

そこで、色々とガイドラインにはない、ある程度普遍的に使えるコツとでもいうべきやり方もあるのですが、それはあくまでオプションということで、直接尋ねていただければと思います。


喘息の診断は、喘息を喘息たらしめている、症状の反復、可逆性の気流制限、他の心肺疾患の除外で臨床的に診断されます。とはいえ、ガイドラインにすら、「定義と同じく診断基準も確立していない」とあり、診断に困ることもしばしばです。

また、大学や専門医療機関で行われているような検査は一般の病院ではほとんど施行できないのが実情です。

例えば気道の好酸球性の炎症を知るために、喀痰中の好酸球をカウントする、生検で好酸球浸潤を見る、呼気中のNOを測定する、あるいは、気道の過敏性、可逆性を直接測定するということなどは、なかなかハードルが高い検査で、仮に検査をできたとしても、解釈がまた難しいのですね。

ですので、一般病院において、喘息の診断は、臨床的に行っているところが多いと思います。シンプルに申しますと、レントゲンなどで他の疾患が除外できたら、あとは気道の可逆性を確認すれば診断可能です。

*他の疾患の除外:特に高齢者の場合、COPDと心不全はなかなか鑑別が困難なこともあります。



気道可逆性試験

これは、要するにβ刺激薬の吸入で症状や検査所見が改善するかどうかを見るものです。

今使える短時間作用型β刺激薬は、
サルタノール、メプチン
ベネトリン(ネブライザー用)
です。

これらを使用して、明らかな症状の改善、肺機能やPEF(ピークフロー)の明らかな(1秒量の12%以上、かつ200ml以上の)改善があれば、有意な可逆性があると判断されます。

なお、β刺激薬の吸入による効果が判然としない場合には、経口ステロイド薬を2〜3週間投与することで可逆性が見いだされることもありますが、少しリスクが高いように思います。

また、PEFを測定できる場合には、早朝の気管支拡張薬使用前のPEF値と、正午から午後2時の間でのβ刺激薬吸入後のPEF値の差が20%以上あるときには、喘息の可能性が高いと考えていい、とされています。

一時、製薬メーカーが提唱?していた、抗ロイコトリエン薬の試験投与、吸入ステロイド単独の投与では効果発現が遅かったり、効果が限定的であったりして、判断に迷うことが少なくないので、勧められません。

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posted by 長尾大志 at 20:03 | Comment(0) | web喘息講座

2011年02月22日

呼吸器内科医がいない病院の若い先生むけ、web喘息講座2・喘息っぽい病歴

私たち呼吸器内科医が、「あ、この人、喘息っぽいな」と思う患者さんには共通点があります。

キーワードは

■繰り返し
■可逆性

で、喘息の特徴というか、定義とも言われています。
具体的な患者さんのセリフとしては、以下のごとくになります。


・以前から風邪の後咳がしばらく続く、ということがしばしばあったけど、自然に治っていた。
・以前から季節の変わり目に咳が出ることが何回かあったけど、自然に治っていた。
・以前から花粉症や鼻炎があり、あまり治療を受けていなかったけど、自然に治っていた。


「〜けど、自然に治っていた。」これが、喘息患者さんの呼吸器内科受診、定期受診を阻む、魔法のキーワードなのです。

特に軽症のうち、発症間もない喘息は、しばしば自然に治るのです(可逆性)。
いかにこのタイミングで介入できるかが勝負なのですよ。


ある調査では、診療所に受診された患者さん、受診理由の最多は「咳」とのこと。

もちろん、経過が2,3日の「急性の咳」は、上気道炎や感冒であることがほとんど。鎮咳薬で事足りることも多いのですが…。


経過が2〜3週間以上の「慢性の咳」はいろいろな病気を含んでいます。

そのうち、レントゲンに異常所見が見られるもので、多いのは、慢性気管支炎(COPD)、肺癌、結核などですが、さまざまな鑑別疾患があります。


レントゲンで所見がない場合、喘息(咳喘息を含む)をはじめ、こちらも多くの鑑別診断があるのですが、放置した場合、治療されなかった場合に、問題になるのは喘息です。


(参考)喘息以外の鑑別疾患

  • 副鼻腔気管支症候群・後鼻漏

  • 胃・食道逆流症

  • 感染後咳嗽・アトピー咳嗽

  • 慢性気管支炎

  • 百日咳

  • 薬剤性咳嗽(ACE阻害薬)

  • 心因性・習慣性咳嗽



喘息は、治療開始が早いほど、治癒する可能性もあるのですが、治療が遅れれば遅れるほど、慢性化し、可逆性がなくなっていきます。

ですから、まずは疑う。
疑いのないところに、診断なし。

病歴から、喘息を疑わなければなりません。
上に書いたものを含めて、もう一度喘息を疑わせる病歴を挙げます。

  • 長引く(2〜3週間以上)咳

  • 過去に繰り返す咳の既往

  • 全く症状がない時期(時間帯)の存在

  • 夜に多い咳、咳で目覚める、あるいは眠れない

  • 発熱はない

  • 花粉症や鼻炎などのアレルギー疾患に以前から罹患している

  • 喫煙、または、間接喫煙

  • 室内犬、猫などのペット飼育

  • 労作によって息切れし、咳き込むことがある

  • 家族歴



このあたりがいくつか当てはまれば、次のステップは診断です。

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posted by 長尾大志 at 18:30 | Comment(0) | web喘息講座

2011年02月21日

呼吸器内科医がいない(つまり、呼吸器内科的研修ができない)多くの病院の若い先生むけ、web喘息講座を開講します(喘息について、学生さんや若い先生に知っておいて欲しい大切なこと)

喘息、という病気は、人口の7〜10%もの罹患率といわれる、大変にポピュラーな病気であるにもかかわらず、一般医家の先生方になかなか理解していただけていないのが現状かと思います。

咳という主訴で医療機関にかかる患者さんは大変多い(ある統計では、あらゆる主訴の中で一番多いといわれています)のですが、この中には喘息患者さんが相当数含まれていると思われます。

ところが、呼吸器内科がいない(つまり、呼吸器内科的研修ができない)多くの病院の若い先生は、先輩の医師から「咳の対処には、咳止めを」としか習っていない。

そういった施設でずっと放置されていた結果、喘息が慢性になって、治らなくなってしまっている方がたくさんおられます。

また、喘息と診断されていても、不適切な治療によって、日常生活が著しく損なわれている方も少なくありません。そんなこんなで本当に困っておられる、多くの患者さんの声を聞く機会があり、将来呼吸器内科を目指す先生のみならず、多くの若い先生方に正しい喘息診療のイロハを知っておいていただきたい、そう考えました。


喘息の放置は、多くの患者さんの人生を左右することになるだけに、より多くの先生方に、ぜひ正しい知識を身につけていただきたいと思います。

webを通してではありますが、私が滋賀医大の若い先生たちにお伝えしている、喘息診療の基本的事柄をお教えします。


まずは、最も大切なメッセージです。

喘息かもしれない患者をいかに拾い上げ、吸入ステロイドの早期導入を図るかが、患者さんのその後の「人生を決定づける」と言っても過言ではありません。

各論は明日からスタートです。

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posted by 長尾大志 at 12:33 | Comment(0) | web喘息講座

2011年02月18日

吸入ステロイドの使い分け

連日の研究会で、昨日は上記の内容のご講演を聴いてきました。

講演されたのは、岐阜で開業されている宮川先生。
喘息の業界では、知らない人はいない、著名な先生です。
開業でご多忙にもかかわらず、多くのご研究、データを出されていて、
本当に頭が下がります。

これまでに3,000名の患者さんを診てこられたとのことで、
そのお言葉には重みがあります。
色々と疑問に思っている点が解決し、スッキリしました。

若い先生方の参考と備忘のため、ご講演のポイントを箇条書きで残しておきます。
(括弧)内は私の独り言です。



1978年〜1998年までは、ICS(吸入ステロイド)は
アルデシンとベコタイドしかなかった。
2002年以降、続々と発売されるようになる。

(長い間のご苦労が偲ばれます)


2001年ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)が発売されるが、以後は出ていない。
個人的には、LTRAはほとんど使わない。
患者さんの0.8%!にしか使っていない。

(これはびっくり!私たちは使いすぎ…)


LABA(長期間作用型β刺激薬)が出て以降、
ICS+LABAでほとんどの患者がコントロール可能になったから。
吸入だけで管理できるのなら、投与経路は1つの方が管理しやすい。

(たぶん、薬価の問題もあるのでは。LTRAは高いからなー)


1993年には患者さん1,000人に対しSABAを年間3,500本使っていたが、
今では患者さん1,600〜1,800人に対し、SABAを年間500本しか使っていない。
この数字は、新しい(改良された)ICSが出るごとに減っている。

(ICSの改良の効果を目の当たりにしました)


小児期は喘息罹患率、男女比は6:4なのに、
成人になると4:6と女性が多くなる。

(なんでだろう〜?)


ICSでコントロール不良の場合、アドオンよりまず、
剤形を変えるべき。

アドエアで開始
   ↓
コントロール不良、または、局所副作用
   ↓
キュバール・オルベスコ+セレベントへ。

これでだいたいコントロール可能となる。


合剤のLABAは、動悸、振戦がほとんどない。
3,000人の患者さんで、喘息、心血管に対する有害事象はゼロ。

(たま〜に聞きますが)


DPI(ドライパウダー)製剤は、早く深く吸うべし。
pMDI(霧状の噴霧器)製剤は、ゆっくり深く吸うべし。キュバールとオルベスコはオープンマウス法でよいが、フルタイドとアドエアは、必ずスペーサーを使うこと。

ソバをすすれる人はDPIを吸入できるだけの吸気流速がある。
ソバをすすれないなら、pMDIにすべき。

デュオペーサーやオルベスコ用のスペーサー(無料)は、CFCフロン用であり、現在のpMDI製剤に使われているHFAフロンだと、スペーサーに付着する薬剤が多く、効果が落ちる。
有料のスペーサーをアレルギー学会では推奨している。


キュバール、オルベスコには、無水エタノールが含まれているので、気持ち悪くなる人もいる。


シムビコートが発売されてから、アドエアをシムビコートに替えた患者さんにアンケートを取ると、56%の人はシムビコートがよい、27%の人はアドエアがよい、残りはどちらも同じ、という回答であった。

シムビコートの不評な点として、カウンターが見にくい、長期投与不可(現在は長期投与可能)である点があったが、効果そのものについては満足度が高かった。

(昨日の会の主催がアステラス+アストラゼネカだった、ということを差し引いても、シムビコートの効果はなかなかのものであることは私も実感しています)


成人でPEF(ピークフロー)300以下ではかなり苦しい。320を越えると、かなり楽になる。


肺機能は、横で声をかける人によって、かなりバラツキがあり、自施設ではあまりやっていない。PEFで十分と思う。


ICSだけで、副腎抑制、感染症は問題ないと思っている。肺炎の人にでも、ICSは使っている。全身ステロイドは別の話。

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posted by 長尾大志 at 10:54 | Comment(0) | web喘息講座