2011年05月26日

昨日の「今日の症例」(ややこしいな…) 回答

喘息が基礎にあって、頑固な中耳炎や皮疹がある…。何だっけ?



ちなみに、喘息が基礎にあって、多発性単神経炎、といえば?


そうです。Churg-Straussですね。
国試の知識で何とか…。


多発性単神経炎はあくまで、血管炎症状の一つであり、実臨床では、多彩な症状を示すため、なかなか診断に至らないこともあったりします。


ちなみに本症例は、血液検査で好酸球増多あり、MPO-ANCA陽性。さらに、皮膚生検で血管炎を証明され、Churg-Straussと確定診断されました。


知っていないと診断できない疾患ですよ〜。

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posted by 長尾大志 at 09:10 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月25日

今日の症例

最近の入院症例から。

40歳代 男性
12/27初診
主訴:咳。肺炎加療目的で紹介

生活歴、既往歴:never smoker。DMなし、HTなし。
現病歴:気管支喘息でICS治療を(他院で)している。最近の発作は2007年11月頃。
12/9中耳炎発症。
12/20頃から咳嗽あり、他院でキプレス、ユニフィル、アレロック処方された。
12/21から38℃発熱あり。
12/26ER受診。気管支肺炎を指摘され、CAM開始されている。咳が多い。痰は白色から茶色。

現症:全身状態良好。SpO2 95%(RA)。肺音ほぼきれい。

気管支喘息患者に合併した気管支肺炎として、CAMに加えキノロン内服開始された。


1/3受診
内服継続し、いったん解熱したが、12/28頃に左足の付け根、右腕が赤く腫れてきた。12/30から両側前腕の発赤と水泡が出現した。1/1頃から、夕方になると37℃後半も再び出る様になった。同時期から呼吸困難。昼より夜に仰臥位で息苦しい。喘鳴も少しあった。2日くらい眠れないので呼吸器科受診した。
本日皮膚科診。皮膚症状は薬疹かどうかは不明といわれた。改善傾向ではある。

現症:全身状態まずまず。会話は途切れ途切れに可能。
肺音:両側で呼気時にrhonchi+。37.0度。SPO2 92%(RA)。HR120/分。
胸部レントゲン写真:両側の気管支血管周囲束の肥厚と粒状影。
白血球数 13,500
血小板数 97,000
LDH 427 IU/l
CPK 330 IU/l
CRP 8.29 mg/dl

メプチンネブライザー吸入×2回→安静呼気ではwheeze消失。
SPO2 93-94%。
肺炎、気管支喘息の加療目的に緊急入院。
1/11退院となる。


ここまで、特に何の変哲もない??喘息+肺炎像でしょうか…。

いくつか、気になるキーワードがありますね。
さて、どのような疾患を鑑別に挙げましょうか?

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posted by 長尾大志 at 15:40 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月24日

慢性の咳・症例もう1例

50歳代の男性。

昨年11月 感冒様症状が出て以来、寒気を感じるたびに咳が止まらなくなった。痰はなし(乾性)。本年3月近医を受診し風邪薬を処方されたが、良くならなかった。
現在は外気温が下がったことが誘因になって咳が出る。


そういえば以前から風邪を引いたときに咳が出る。

既往歴:
21歳時、アレルギー性鼻炎で鼻粘膜を削る手術。

生活歴:
喫煙:20歳〜40歳 10本未満/日 以降禁煙
食事:食欲はあり、ムカつきなし 
内服薬:現在は特になし
職業:粉塵暴露歴無し


胸部レントゲン写真、副鼻腔を見てみましょう。


coughba1.jpg

coughba2.jpg

coughba3.jpg


肺内には問題となる所見はなさそうです。上顎洞の濃度低下はありますが、手術の影響もあり、乾性咳嗽なので後鼻漏の可能性は低いと考えられます。


繰り返しのepisode、気温変化に誘発される咳は咳喘息を示唆します。
咳喘息以外には、胃・食道逆流症などが鑑別にあがってきます。


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posted by 長尾大志 at 18:17 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月23日

慢性の咳・症例

ここで症例。70歳代の女性です。

3月頃より咳が続くため、近医受診。レントゲンでは異常なしと言われ、メジコン、ムコダインを処方されたがさっぱり良くならない、とのことで希望されて5月中旬に受診されました。

典型的な「良くあるケース」ですね。


まずは胸部レントゲンを撮ってみましょう。


coughern1.jpg


さて、どうですか。所見はありませんか??






鋭い方はおわかりかと。

CTを見てみましょうか。


coughernct.jpg


そうです。食道裂孔ヘルニアですね。


coughern2.JPG


ここにあるAirに気づくかどうかです。
患者さんは、胃食道逆流による咳と診断され、PPIと胃運動調整薬が処方されました。


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posted by 長尾大志 at 12:37 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月21日

咳の鑑別12・胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳・まとめ

ということで、胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳のうち、代表的な(症例数の多い)疾患について解説しました。以下、主な鑑別疾患とその原因を再掲します。


咳喘息:アレルギー
感染後咳嗽:アレルギー
アトピー咳嗽:アレルギー
後鼻漏:アレルギー・感染
百日咳:感染
胃・食道逆流症
心因性・習慣性咳嗽

薬剤性:ACE阻害薬
慢性気管支炎:感染
気管・気管支の腫瘍:腫瘍
気管・気管支結核:感染


胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳に対するアプローチは、まずはしっかり病歴を取ることです。鑑別をしぼったら、次に検査です。鑑別によって行っていく検査を挙げておきます。


■感染症かどうか?
 悪性疾患かどうか?
 
喀痰検査(繰り返し)・気管支鏡検査
血液検査(抗原・抗体・腫瘍マーカー)



■アレルギーかどうか?

呼吸機能検査・気道可逆性試験・気道過敏性試験
喀痰検査・気管支鏡検査(好酸球の有無)
血液検査(好酸球・IgE・好酸球顆粒蛋白(ECP)



■薬剤性かどうか?
 胃・食道逆流があるか?

病歴聴取(ACE阻害薬など薬剤使用歴・逆流症状などの有無)
24時間食道pHモニタリング



治療薬は以下のように、多岐にわたります。多くのドクターが咳を正しく診断して、1人でも多くの患者さんが救われることを希望いたします。

咳喘息 気管支拡張薬
感染後咳嗽 鎮咳薬
アトピー咳嗽 抗ヒスタミン薬
後鼻漏 抗ヒスタミン薬
百日咳 マクロライド
胃・食道逆流症 制酸薬
心因性・習慣性咳嗽 ?
薬剤性 薬剤中止
慢性気管支炎 禁煙・去痰薬
気管・気管支の腫瘍
気管・気管支結核 抗結核薬


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posted by 長尾大志 at 22:22 | Comment(3) | 咳の鑑別

2011年05月20日

咳の鑑別11・胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳・薬剤性の咳嗽

薬剤を使用したことで咳が出るケースで、大変注意が必要なのは、なんといっても薬剤性肺障害ですが、その場合には胸部レントゲン写真で異常が発見できるケースが多いため、ここでは取り上げません。


そうではなくて、単に咳が出る、という場合、原因薬の代表は

ACE阻害薬

です。

ACE阻害薬は降圧薬、あるいは心、腎などの臓器保護を目的に良く用いられます。最近では、ARBにそのお株を奪われて、新規に使われることも少なくなってきているようですが、まだまだ以前からの継続で、使われているケースも見られます。


ACE阻害薬はブラジキニンやサブスタンスPといった咳関連物質の濃度を上昇させることで直接咳受容体の刺激につながる、という機序で咳が出るため、極めて頑固な、鎮咳薬の効果が見られない咳が続きます。
あまりにもずっと続くため、あきらめておられる患者さんも少なくなかったりします。


これは、詳細な病歴聴取により、ACE阻害薬服用を確認、中止することですぐに(1週間以内に)咳が消失しますので、問診の重要性をあらためて強調しておきます。


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posted by 長尾大志 at 12:04 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月19日

咳の鑑別10・胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳・胃・食道逆流症

胃・食道逆流症は、胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳のうち、なかなか気づかれることのない原因の代表です。何年も、「鎮咳薬」で放置されている気の毒な患者さんも少なくありません。


というのも、通常、胃・食道逆流症は、消化器疾患であると思われているからです。で、消化器科の医師は、胃・食道逆流症で咳が出る、ということをご存じないことが多い。
結果、胃・食道逆流症と咳を結びつけて考えてもらえる機会がない=咳の放置、ということになるのです。


ここで何でも知っている(と期待されている)呼吸器内科の医師としては、ばっちり診断を付けて「さすが!」とならなくてはいけません。


まず、胃・食道逆流症を疑う症状、症候ですが、これは結構患者さんによって表現が違い、判断に迷うことも多いのですが、一般には、胸焼けのような症状とか、ゲップが多いなどと表現されます。
それ以外には、胸のつかえ感、酸っぱいものがあがってくる、喉〜胸部の異物感、違和感、嚥下時の引っかかり感など、多彩な表現をされることもあり、慎重な病歴聴取が必要です。


また、逆流が強くなるような状況、すなわち、かがんだときや食後(特に食べ過ぎたあと)、就寝時や起床時に咳が強くなる、ということも疑う材料になります。


注意点として、胃・食道逆流症が喘息の誘因になる、あるいは悪化させることがあり、併発していることも少なくない点があります。
また、就寝時〜起床時に症状が強いという点では喘息も同様です。

ということは、しばしば喘息との鑑別が困難であったり、片方の治療だけを行っても良くならない、という事態が想定されますので、注意しましょう。喘息、ならびに胃・食道逆流症のそれぞれについて診断、評価する姿勢が大切です。


診断には24時間pHモニターが使われますが、日常臨床ではそこまで行われることは少なく、PPIを投与して有効であれば胃・食道逆流症による咳嗽である、と臨床診断できることになっています。
上部消化管内視鏡では胃・食道逆流症の検出感度は低いものの、他疾患の鑑別のために施行することが望ましいとされています。


治療はそのままPPIの継続であり、通常は4週間以上の投与が推奨されています。
胃・食道逆流症の治療によって、喘息症状も改善することが知られています。


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posted by 長尾大志 at 12:58 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月18日

咳の鑑別9・胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳・後鼻漏

後鼻漏というのはあくまで、事象を表す言葉です。
「のどに何か常に絡んだような感じがある」という訴えが典型的ですね。


その原因疾患としては、アレルギー性鼻炎(花粉症)が多いのですが、副鼻腔炎やその他の鼻炎も含まれます。


これも、診断に至らずなかなか解決しないことが多くて、お困りの患者さんが多いように思います。


普通の鼻水(鼻汁)は「前鼻漏」ですが、これが咽頭側に落ちていくと、咽頭や気管の咳受容体を刺激し、主に湿性の(痰を伴う)咳が続くのです。


診断は直接咽頭を観察したり、後鼻鏡を用いて、咽頭に鼻からの分泌液が流れ込んでいる様子を観察することで診断できます。


治療は原因疾患によりますが、アレルギー性鼻炎であれば抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイドを用います。感染性の副鼻腔炎には抗生物質を使いますが、慢性の場合はマクロライド系薬をある程度の期間使われることもあるようです。


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posted by 長尾大志 at 16:59 | Comment(2) | 咳の鑑別

2011年05月17日

咳の鑑別8・胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳・感染後咳嗽・アトピー咳嗽

感染後咳嗽

主にウイルスによる上気道感染後、遷延性に咳が続くものです。
他に、マイコプラズマや百日咳のように、治癒後も咳嗽が残る感染症が知られています。


治療は特異的なものはなく、いろいろな鎮咳薬を組み合わせて用います。「日にち薬」も有効です。


この言葉が一人歩きして、咳喘息が見逃されている側面もありそうなので、注意が必要です。基本的には、感染後咳嗽は繰り返すことはないと考えましょう。繰り返す場合は咳喘息を疑います。



アトピー咳嗽

なかなか、咳喘息や感染後咳嗽との異同について、理解が難しい疾患概念です。

喉頭の掻痒感を伴う乾性の咳が主な症状で、喉頭のアレルギーによる咳、と考えておかれればわかりやすいと思います。


治療は咳喘息と異なり、ヒスタミンH1受容体拮抗薬ですが、重症例ではステロイドが必要になることもあります。喘息に移行することはありません


アトピー素因があり、β2刺激薬が無効な慢性の咳で、ヒスタミンH1受容体拮抗薬やステロイドを投与して有効であれば診断可能です。


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posted by 長尾大志 at 18:38 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月16日

咳の鑑別7・胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳へのアプローチ・咳喘息かどうかは本当に重要

胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳は、これだけあるわけですから、


咳喘息
感染後咳嗽
アトピー咳嗽
後鼻漏
百日咳
胃・食道逆流症
心因性・習慣性咳嗽
薬剤性
慢性気管支炎
気管・気管支の腫瘍
気管・気管支結核


次のアプローチは、以下のような観点から進めていく必要があります。

 感染症かどうか?
 悪性疾患かどうか?
 アレルギーかどうか?
 薬剤性かどうか?
 胃・食道逆流があるか?


残念ながら、これらの鑑別は病因が全く異なるわけですから、治療薬も全く異なることになり、正しく鑑別を行わないと、見当違いの(効かない)治療をダラダラ続けることになります。


前回書いたように、このうち、多い(多くなっている)のは、咳喘息や後鼻漏といったアレルギー性疾患です。

アレルギーは本当に増えていますね。アレルギー性鼻炎は人口の3-40%、喘息は10%とも言われています。まさに国民病といっても過言ではありません。理由としては喘息と診断されたあとの、患者さんの疑問・質問1・どうして私は喘息になったのですか?でも触れていますが、環境面や生活習慣面など、さまざまな要因があるようです。


そして、ここからが大事なことなのですが、特に喘息においては、 web喘息講座7・吸入ステロイドを早めに使い始める方が、喘息の進行が抑えられるので、喘息が治る可能性もあり、結局使う薬が少なくてすむででも触れたように、ステロイドは早期に治療開始した方が、治る可能性が高く、軽症であっても、吸入ステロイドの開始が遅れると慢性化、リモデリングが進行するということなのです


ですから、胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳を診たときに、喘息であるかどうかの評価は、その患者さんの人生を左右する、大変重要なものである、ということを意識していただきたいところです。


咳喘息の診断のコツは、以前にも書きましたが、まずは「疑うこと」が重要です。
私たち呼吸器内科医が、「あ、この人、喘息っぽいな」と思う患者さんには共通点があります。以下のような病歴があれば、積極的に疑いましょう。


  • 長引く(2〜3週間以上)咳

  • 過去に繰り返す咳の既往

  • 全く症状がない時期(時間帯)の存在

  • 夜に多い咳、咳で目覚める、あるいは眠れない

  • 発熱はない

  • 花粉症や鼻炎などのアレルギー疾患に以前から罹患している

  • 喫煙、または、間接喫煙

  • 室内犬、猫などのペット飼育

  • 労作によって息切れし、咳き込むことがある

  • 家族歴



このあたりがいくつか当てはまれば、次のステップは診断です。web喘息講座3・喘息の診断でも取り上げた通り、β刺激薬の吸入で症状や検査所見が改善するかどうかを見る、気道可逆性試験を行って診断します。


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posted by 長尾大志 at 13:04 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月15日

咳の鑑別6・胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳

胸部レントゲン写真で異常がない、慢性に続く咳の原因には
以下のようなものがあります。


咳喘息
感染後咳嗽
アトピー咳嗽
後鼻漏
百日咳
胃・食道逆流症
心因性・習慣性咳嗽
薬剤性
慢性気管支炎
気管・気管支の腫瘍
気管・気管支結核


診断学の授業でこれを挙げると、皆さん途方に暮れた顔をされますので、
当然語呂合わせがあるのですが、ここで取り上げるのはどうかと思いますので
授業で聞いて下さい。


病因は以下の通りになります。

咳喘息:アレルギー
感染後咳嗽:アレルギー
アトピー咳嗽:アレルギー
後鼻漏:アレルギー・感染
百日咳:感染
胃・食道逆流症
心因性・習慣性咳嗽

薬剤性:ACE阻害薬
慢性気管支炎:感染
気管・気管支の腫瘍:腫瘍
気管・気管支結核:感染



このうち、多い(多くなっている)のは、咳喘息や後鼻漏といったアレルギー性疾患です。
また、なかなか気づかれないのが、胃・食道逆流症と薬剤性の咳です。

胸部レントゲン写真で異常がなく、これらに当てはまらない咳は、積極的な治療の対象になりにくいと考えて良いかと思います。

次回からは、それぞれの疾患へのアプローチを考えましょう。


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posted by 長尾大志 at 17:44 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月13日

咳の鑑別5・慢性の咳にはまずレントゲン

2,3ヶ月前から咳と痰が続いている。
熱や鼻の症状はない。

こういう病歴の場合、種々の呼吸器疾患が鑑別にあがってきます。


まず胸部X線写真を撮ってみましょう。

X線で診断可能である疾患で、多いものは
肺炎・気管支拡張症・肺気腫(COPD)・結核・間質性肺疾患・肺癌
などが挙げられます。



胸部レントゲン写真で異常がある場合、次のステップとしては以下のような手順になります。

機能診断→呼吸機能検査(COPDや間質性肺炎などの診断に)

形態診断→胸部CT(もう一歩進んだ鑑別のために)

質的診断→喀痰検査・気管支鏡検査・外科的肺生検(検体を得るために)


となります。


感染や変性疾患、膠原病や肉芽腫性疾患、悪性腫瘍など、
多種多様な病因を持つ疾患群の鑑別は、
これらの検査を組み合わせて迫っていきます。


このあたりは、レントゲン、CTの項で改めて触れていきたいと思いますが、
なかなかレントゲンの講義をテキストで再現するのはハードルが高いですね。
もう少し時間をいただくことになると思います。




胸部レントゲン写真で異常がない場合、
実は最近大変多く、困っておられる患者さんが多いケースなのですが、
この鑑別について、次回から触れていきます。


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posted by 長尾大志 at 09:14 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月12日

咳の鑑別4・「感冒」の治療に、抗生剤はナンセンス???

急性の咳で、胸部X線写真やSpO2に異常がなく、
症状的にも「普通感冒」で矛盾がなければ、
対症療法で経過を見ていただくことになるでしょう。


その際によく使われる薬としては、
総合感冒薬や中枢性鎮咳薬、去痰薬に抗炎症薬などがあげられます。


中枢性鎮咳薬は、咳中枢の感度を鈍らせて咳を止めるもの。
一般的によく使われる「咳止め」ですね。

誤嚥がある場合には咳の感度が鈍ることで悪化の危険性があるため
誤嚥の有無に注意して使うべきです。



去痰薬は、痰を減らし、切りやすくして結果的に咳を減らすもの。


抗炎症薬は、喉などの炎症を抑えて咳を止めるものですが、最近では「ダーゼン」が、「期待される有効性が検証困難」として自主回収になるなど、効果に疑問符がつく例が多いようです。


総合感冒薬は、これらに加えて抗ヒスタミン薬・NSAIDsなどを配合し、多くの「風邪の諸症状」と言われる、咳・痰・咽頭痛・鼻症状・発熱などに広く効果を現すものです。



ここでよく問題となるのが、「抗生物質・抗生剤」です。

昔からの?ドクターが、上記の薬と合わせて抗生剤を処方するケースが多い一方、
「感冒」の治療に、抗生剤はナンセンス、とするドクターも増えています。


そもそも抗生剤の乱用が薬剤耐性菌、MRSAなどを生んだことはよく知られています。特に小児科で頻用されたニューマクロライドの現状は、惨憺たるものです。

また、最近では、二歳以下の小児に抗生剤を投与することがアレルギー疾患発症のリスクになるのではないか、という意見もあり、小児科で抗生剤を処方されないケースも多くなってきているようです。


では、全ての「感冒のような症状」の治療に、抗生剤はナンセンスなのか?



必ずしもそうとは思いません。


例えば、副鼻腔炎から上気道症状を来した場合、抗生剤を使わないと治りにくい。

例えば、COPDや間質性肺炎など、慢性呼吸器疾患がある場合、感染を契機に急性悪化を起こすことが知られており、また、細菌感染が起こることも多い。

これらのように、少なくとも痰の色が緑色や汚い色に変わるなど、細菌性炎症の存在が考えられれば、抗生物質を投与する適応はあると思います。



普通感冒(ウイルス感染)はせいぜい1週間〜長くても10日で軽快するはずのものです。

それでも軽快しない場合には、慢性の咳として、多くの疾患を鑑別する必要が生じてきます。ですので、急性の咳と診断したときにも、「良くならなければ、また来て下さい」と付け加えておくとよいでしょう。


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posted by 長尾大志 at 09:44 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月11日

咳の鑑別3・急性の咳の原因疾患のうち、絶対に見逃してはいけない、重篤な疾患

急性の経過でも、絶対に見逃してはいけない、重篤な疾患があるのですよ。


その疾患とは、このようなものです。


  • 急性感染症:肺炎・肺化膿症・胸膜炎

  • 急性循環障害:肺血栓塞栓症(肺梗塞)・うっ血性心不全

  • その他:誤嚥・胃食道逆流



これらはしばしば、急性に発症し、
特に病初期・高齢者の場合には感冒と区別がつかなかったりします。


ゆえに、基礎疾患がない若年者の、明らかな感冒様症状をのぞいては、
胸部X線写真を必ず撮影することをお勧めしています。


また、最近では、診察室にSpO2 モニターがおかれていることも多いので、
SpO2 の測定は必ずやっておかれるといいでしょう。
上記の疾患で特に急を要する場合、SpO2 に変動が生じることが多いからです。


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posted by 長尾大志 at 16:11 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月10日

咳の鑑別2・急性の咳

咳の鑑別、というか、呼吸器疾患の鑑別で、
重要なポイントは「経過の長さ」です。


急性なのか、慢性に経過するものか。
これをつかむと、かなり疾患が絞られます。


急性、というのは、せいぜい数日の経過。

例えば、2,3日前から咳と痰と鼻水とちょっと熱がある、
そんな症状の経過で、想定すべき疾患とは…。





急性に発症した「咳」を訴える経過で最も多い疾患

   風邪=普通感冒=上気道炎
(急性気管支炎・急性副鼻腔炎などの細菌性炎症も含む)


です。

こう書くと、ああそうか、普通感冒だな、じゃあ、急性の咳には、一般的な感冒薬、咳止め(中枢性鎮咳薬)を投与したらいいじゃない。と思われがちなのですが…。


ちょっと待ったー(古い)!
急性の経過でも、絶対に見逃してはいけない、重篤な疾患があるのですよ。


その疾患とは…


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posted by 長尾大志 at 18:06 | Comment(0) | 咳の鑑別

2011年05月09日

咳の鑑別1・どんな咳にも理由がある?

特に内科や診療所の外来をやり始めると、
「咳がでる」と言って来られる患者さんが多いことを実感されると思います。


ある調査では、診療所(プライマリ・ケア医)初診時の受診理由、
第1位は「咳」。

ちなみに2位は「発熱」、3位は「くしゃみ、鼻閉、鼻汁」とのこと。


それだけ、「咳」を主訴とする患者さんを診る機会は多いものです。
ところが、そこで思考停止に陥るドクターがどうも多いらしい。
鎮咳薬を出して、「ハイさようなら」。


呼吸器のほとんどの疾患の主訴が「咳」なんです。
咳は、ほんとうにさまざまな疾患の表現型です。
咳=鎮咳薬、ハイおしまい。では、あまりにもお粗末


どのような状態なら鎮咳薬でOKで、
どのような状態なら呼吸器科コンサルトか。

これを知っておくと、診療に深みが出て参ります。


これからしばらく、咳の鑑別について考えて参りましょう。


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posted by 長尾大志 at 12:12 | Comment(0) | 咳の鑑別