2017年05月15日

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)について

気管支拡張症の原因として時々見かけるアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis:ABPA)について、少し補足しておきます。


ABPAは平たくいうと、肺内に住み着いたアスペルギルスによってアレルギー性の炎症が起こり、喘息症状が生じて、かつ気管支拡張など肺の破壊が進行する疾患です。


最近ではアスペルギルス属以外の真菌でも、似たような病態を呈することが報告されていて、アレルギー性気管支肺真菌症(allergic bronchopulmonary mycosis:ABPM)と総称されることもあります。



特徴的な画像所見として、拡張した気管支の中に粘液栓といわれる、痰のカタマリが貯留してできた棍棒様の陰影が見られます。気管支拡張は上肺野優位で、比較的中枢の気管支に多く見られます。


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拡張した気管支の先に粘液栓が見えることもありますが、図のように気管支拡張なく粘液栓だけが見えることも多く、その場合は気管支と同じような走行で、分岐しているところが見えたりすることから粘液栓と判断します。


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2017年05月12日

乳房に惑わされて…??見るべきポイント

・対称性と位置

通常乳房は左右ほぼ同じ高さに、同じような大きさで位置します。「実際は左右差があるものですよ。」という声があろうことは承知しておりますが、あくまで画像上の問題です。乳癌の術後などになると画像上でもわかるほど左右差が出ますけれども…。


胸部X線写真では両側下肺野、やや外側よりに存在する高吸収域として認識されます。位置に関しては個人差が大きく、軟部組織の質量が大きいほど、また高齢になるほど、下部に位置することはおわかり頂けるかと思います。


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昨日の症例ではこのくらいの軟部組織厚です。他部位の倍近くの厚みがあるわけです。



・乳房下縁の線、特に肺野から軟部影にまではみ出す
・下になるほど白くなるが、下縁の線を境に肺野濃度が戻る

下の図では黄色い線が、乳房下部の接線による空気との境界線です。しばしば(個人差はあるものの)この線は肺外の軟部影にまで及び、「肺内の陰性ではない」ことを示唆します。


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下縁の線が横隔膜よりも上にある場合、肺内の陰影との鑑別は容易です。線を境に濃度が急に高くなり、上に行くにしたがって濃度が低下していきます。


両側下肺野の濃度が上昇している、といえばIPFなど間質性肺疾患を想起しますが、その手の疾患では、両側下肺野、横隔膜直上の陰影が最も強いことが多いものです。一方、乳房による濃度上昇は、線の下は元の濃度に戻りますので鑑別は容易です。


でも、乳房下部が横隔膜よりも下だったら、どう判断するか。たとえばこちら。


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下肺野の濃度が上昇しているように見えるけど…どうでしょう?


この症例では、横隔膜が少しぼやけている⇒シルエットサイン陽性、と考えられますので、下肺野の横隔膜付近に陰影があると判断しました。


それ以外には…



・側臥位で撮影すると乳房の位置がズレて白くなる部位が変わる

CT撮ったらわかるでしょ!


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それはそうですが、すぐ撮れない状況もあるわけで、そういう場合は側臥位で撮ると乳房の位置=濃度の高い箇所が移動しますので、それとわかります。



あと、画像ではありませんが、間質性肺疾患の存在を疑う場合には、聴診上fine cracklesの存在を確認します。それがなければその可能性は低い、と考えてもいいでしょう。

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2017年05月11日

乳房に惑わされて…??

乳房に惑わされる話…といっても、世の少なからずの男性諸氏が惑わされる、外見のお話ではございません。


乳房、特に厚みのある(胸厚な)ケースでは、軟部組織がX線を多く吸収し、特に下肺野において肺野濃度の上昇(何となく白っぽく見える)として見えることが経験されます。


例えば、こんな感じ。


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両側下肺野の濃度が上昇しています。初学者の学生さんなんかはよく惑わされて「両側下肺野にすりガラス影が…」なんて口走りがちなのですが、少し慣れるとすぐにわかるものです。見るべきポイントは…。


  • 対称性と位置

  • 乳房下縁の線、特に軟部影にまではみ出すもの

  • 下になるほど白くなるが、下縁の線を境に肺野濃度が戻る

  • 側臥位で撮影すると乳房の位置がズレて白くなる部位が変わる



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2017年05月10日

胸部X線写真とCTの位置関係

肋骨が分かると、胸部X線写真で見える陰影が、胸部CTでどの辺にあたるのか、だいたいの見当がつけられるようになります。これができるとちょっとドヤ顔ができますのでこっそりお教えしましょう。


そもそもですが、胸部X線写真は通常立位で撮影され、胸部CTは仰臥位で撮影されます。立位の方が重力によって横隔膜が多少低位になる、つまり肺が多少下に伸びますので、特に下肺野では位置がズレがちであります。それでも多少は参考になりますが、特に上肺野で使える技だと思ってください。


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骨以外の目印としては、気管分岐部がよく使われますが、1箇所しかありませんので、分岐部より上にあるか、下にあるか、というおおざっぱな目安にしかなりません。骨を使いましょう。



実際にやってみます。例えばこの写真。右上肺野にクッキリとした結節があります。


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胸部正面X線像で、第何肋骨の部分に病変があるかを確認します。できれば前と後ろ,両方確認しましょう。


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結節(黄色)は、前方では第1肋骨と第2肋骨の間、後ろでは第3肋骨と第4肋骨の間に存在することがわかります。


それからCTで、肋骨を数えながらスクロールしていきます。上から降りていって、まずは鎖骨を見つけます。


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鎖骨のすぐ後ろ(下)が、第1肋骨。


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第1肋骨の後ろ(下)が第2肋骨でしたね。その後ろが3…4…。


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第1肋骨と第2肋骨の間に点が見えてきました。


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前側は第1肋骨と第2肋骨の間、そして後ろ側は第3肋骨と第4肋骨の間に位置することがわかります。


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posted by 長尾大志 at 19:49 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年05月09日

「浸潤影」と「コンソリデーション」・reversed halo sign

で、しかも「コンソリデーション」。


ここへきていきなり「コンソリデーション」という用語が出てきて、面食らわれた方もおられるでしょうし、「やっと出てきたか」と胸をなで下ろされた?方もおられるかも知れません。


コンソリデーションは、「べたっと均質な、真っ白の陰影」を表す用語です。エアブロンコグラムが見られることも多いです。ん?浸潤影と同じじゃないの?と思われた方、その通りなのですが、ここで少し説明しておきます。


元々は「浸潤影」も「コンソリデーション」も、病理学から来た用語ですし、どちらもべたっとした、真っ白の陰影を指します。意味合いとして「浸潤=infiltrate」という言葉が、肺炎などの時に見られる細胞浸潤を指していたわけですが、それが胸部X線〜CT時代となって用語の混乱が見られた、ということで、もはや放射線科の先生方の間では「浸潤=infiltrate」という言葉は使わない、となってきているのです。


かのFleischner society用語集(Radiology 2008)にも、「infiltrateという用語はもはや勧められない。opacity(透過性低下)の方が好ましい。」と明記されています。


私を含めて(呼吸器)内科医の間では、まだまだ慣れ親しんだ「浸潤影」が使われていることも少なくないと思うのですが…放射線科の先生方は、もはや浸潤影とはおっしゃいませんね。



…てことで、斑状に分布するコンソリデーションとは、飛び飛びに複数存在する、べたっとした真っ白い陰影で、こんな感じです。


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CTでは、飛び飛びに複数存在する「べたっとした白い陰影」がよくわかります。


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OPパターンに特徴的なキーワードとして、


  • コンソリデーションは自然軽快もある・移動する

  • reversed halo sign



があります。


器質化肺炎の病変部は細胞浸潤や柔らかいポリープ様病変の形成が多く、自然軽快することがあります。また、ある箇所が軽快して他の部位に新たな病変が出現することもあり、あたかも病変が移動したような気がするので、「移動するコンソリデーション」みたいな言い方をするのですが、実際に移動するわけではありません(笑)。


それからreversed halo sign。これはそもそもhalo signが分からないと「ナンノコッチャ」なので、まずはhalo signの説明から。


haloとは暈(太陽に薄い雲がかかったときに、その周りに見られる光の輪)とか後光・光輪(聖像を囲む光の輪)といった意味で、胸部画像的には「中心の濃い陰影周囲に見えるすりガラス影」のことをいいます。


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当初は侵襲性アスペルギルス症で報告され、特徴的、といわれたこともありましたが、その後多くの疾患で見られることがわかってきたために、最近ではことさらに特別扱いされることもなくなってきた気がします。


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理屈としては中心部に血管が豊富、あるいは出血しやすい病変(濃厚な陰影)があり、その周囲に限局性に肺胞出血が生じてすりガラス影として見える、というものですが、他のhalo signを来す疾患(腫瘍など)では腫瘍細胞や炎症細胞の浸潤なども機序として考えられています。


で、reversed halo。これはhalo signの逆、つまりすりガラス影を濃厚なべったりした陰影が囲んでいるような所見です。


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上の症例であればこんな感じで説明されます。


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reversed halo signもhalo sign同様、当初COPに特異的、といわれていましたが、昨今では他の疾患でも報告されています。ただ、reversedという言葉が入っていて言えるとちょっとかっこいい?からか、よく使われているように思います。

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posted by 長尾大志 at 16:50 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年05月08日

OPパターン・補足

特発性間質性肺炎のうち、最も治療反応性がよく、予後良好とされているのが特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia:COP)です。


COPもNSIP同様、診断には病理学的検討が必要とされていますが、ステロイド反応性がいいので、HRCTでOPっぽかったらステロイド投与、みたいなことは広く行われているように思います。


その「OPっぽい」ポイント=OPパターンとはどんな所見か。言葉だけで言いますとNSIPと似ています。


  • 両側、下肺野優位の斑状分布コンソリデーション

  • コンソリデーション周囲のすりガラス陰影

  • 気管支血管束周囲、胸膜直下、末梢優位の分布

  • 網状影や蜂巣肺はなし



特徴的なことは、「斑状に分布するコンソリデーション」。斑状、とは、斑(ぶち)という言葉から想像されるように、ある程度まとまった病変部分が飛び飛びに存在している様子をいいます。こんな感じですね。


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2017年05月02日

これもすりガラス陰影

浸潤影は、本来空気が入っている肺胞内に水濃度の物質が溜まった状態のときに見られます。


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その部分をX線が通過すると、空気があるときよりもたくさんのX線が吸収されて、その場所は白く見えるようになります。


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で、例えば、あるエリアの肺胞のうち4割に水濃度の物質が溜まっていたとしましょう。


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すると水濃度の箇所でX線はぐっと吸収され、空気の箇所ではあまり吸収されない。結果、そのエリアの陰影は「4割方白い」ということになるはずです。


スライド81.JPG


一方、間質性肺炎があるエリアでは、びまん性に(あまねく広く)肺胞壁の浮腫・肥厚があり、そのエリア内の空気の割合が相対的に減っています。この図でしたら、4割方肺胞壁(水濃度)で6割方空気、という感じでしょう。


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そのエリアでは、あまねく広くX線が4割分吸収され、結果「4割方白い」ということになるはず。


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ということで、肺胞の状態がどうであっても、胸部X線写真では同じように「すりガラス影」的な濃度としてみられることがおわかり頂けるでしょう。ですから、胸部X線写真で「浸潤影」「すりガラス影」と、白いところの「白さ」を突き詰める所見をつけても詮ないことで、あまり情報としては意味がない。そういうわけで、昨今ではそのような言い方はせず、ただ白っぽい部分を「高吸収域」とか「濃度上昇域」とか総称することが多いと思います。


胸部X線写真では、白い部分そのものの性質よりも、それ以外の所見の方がモノをいうのです。例えばそのエリアが縮んでいるとか、エアブロンコグラムを伴うとか、網状影が併存しているとか。それによってある程度病変の性質を推測するのです。


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2017年05月01日

胸部X線写真におけるすりガラス陰影

これまで浸潤影とすりガラス影のメカニズムについて語ってきましたが、実はこれらは、主にCT画像における話であって、胸部X線写真では、実はこの辺の鑑別は難しいものです。


胸部X線写真でも、「すりガラス影」「浸潤影」のように見える陰影はあるのですが、CTで見たときの「すりガラス影」「浸潤影」と必ずしもイコールにはなりません、というか、別物であることが結構あるのですね。どういうことか、ここで説明しておきます。


肺の断面図を見てみましょう。胸部X線写真では、後ろから前に向かってX線が通過し、ある程度吸収されていくわけですから、図のようにX線(紫色の矢印)が吸収されていくと思ってください。


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2017年04月28日

被包化胸水・葉間胸水(vanishing tumor)

胸水の原因・病態、それに既往歴によっては、胸水が下からだんだん溜まる、とは限りません。例えば膿胸のようにpHの低い、フィブリンが多く存在するような場であれば、胸膜面にフィブリンが沈着して部分的な癒着を起こします。その結果胸水が包まれてパッケージされたような箇所ができてきます。こういう現象を「(胸水の)被包化」と呼んでいます。


胸水の被包化が起こると、胸水は横隔膜直上ではなく宙に浮いたような場所で貯留し、胸膜が部分的にぷくっとふくれたように見えます。


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肺尖部で胸水の量が多いと、以前紹介したような「胸膜に沿って厚みのある濃度上昇」になります。


葉間胸水でもしばしば同じような現象が起こります。側面から見ると、胸水があるところが部分的に肥厚してレンズといいますか、やはりぷくっとふくれて見えることが多いです。extrapleural signを呈する胸膜の腫瘤影と、見分けが難しいこともあります。


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上中葉間裂に溜まった胸水を正面から見ると、同じようにぷくっとしたニュアンスと、肥厚した毛髪線が見られますが、上下葉間に斜めに溜まった胸水を正面から見る形になると、図の左側のように、ぷくっという感じが見えず、ただ丸い感じに見えたりします。


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この「丸い感じ」が、腫瘤影に似ている、ということで、しばしば鑑別が問題になることもあります。心不全の時に見られる葉間胸水は、治療によって速やかに消退しますから、vanishing tumor(消失する腫瘍)みたいな呼ばれ方をされたりもしますね。

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2017年04月27日

仰臥位での胸水

ポータブル写真のように仰臥位で撮るときには、背部に胸水が貯留します。


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ですから、写真を見ると、胸郭内の濃度が全体的に上昇(下の方が少し濃い)して見えることが多いです。


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場合によっては、立位同様、胸水が肺の上、肺尖部に貯留し、厚みのある濃度上昇域として認識されたりします。いやむしろ立位より臥位の方が、こうなりやすいです。


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2017年04月26日

肺下胸水

胸水は立位では横隔膜のすぐ上に、肋横角を鈍にしながら貯留していきますが、症例によっては、横隔膜の形に添って貯留し、あまり肋横角の鈍化が目立たないことがあります。


そういう場合、肺下胸水、と呼ばれ、ただ横隔膜が挙上しているかのように見えるために、異常所見として認識しにくいものです。


ただ横隔膜が上がっている場合との鑑別点としては、特に左側で、胃泡と(見えている)横隔膜の間が離れていないかどうかを確認します。


横隔膜は通常、胃泡のすぐ上(1cm未満)にありますが、ここが分厚くなっていると、肺下胸水の可能性があるのです。


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まあ、正常でも1割程度は1cmを超える、ともいわれていますので、確認には次の方法を使います。


  • 胸水があると思われる(横隔膜の高い)側を下にした側臥位で写真を撮る。

  • 側面や斜位でX線写真を撮る。

  • 超音波検査をする。

  • CT検査をする。



まあ、すぐにCT撮れるんだったら苦労しないよ、というところでしょうが、患側が下の側臥位は検出感度が高いのでお勧めします。


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2017年04月25日

べったりと白い病態の、手っ取り早い見分け方

ある程度の大きさで連続性に拡がる、真っ白い領域がどんな性質の病変か、手っ取り早く見分けるコツをこっそり?お教えしましょう。



・胸水

立位で胸部X線写真を撮ると、胸水は下に溜まります。胸水があると、胸膜と肺の間(=胸膜直下)に水が入り込んでくるので、胸膜直下の付近が丸く持ち上がることが多いです(→○ページ)。


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また、粘りけの多い胸水であれば、胸膜に沿って厚みのある濃度上昇域として見えることもありますし、葉間胸膜にも水が入り込みます(→94ページ)。右の上中葉間裂に入り込むと毛髪線がハッキリ見え(→66ページ)、上下葉間裂に入り込むと、何となく下肺野の濃度が上昇しているように見えたりもします。


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・腫瘤

腫瘤の性質としては外側にモコモコと増殖していきます(→99ページ)から、ある程度の大きさのものになると、辺縁が外向きに凸に見えることが多いです。球っぽいこともあれば、モコモコ感が見られることもありますね。


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胸水も腫瘤も、容量が増える病変ですから、ある程度以上多く(大きく)なってくると縦隔を圧してきます。従って気管や縦隔は健側に圧されます(→97ページ)。また、胸水は肺外の病変ですし、腫瘤は通常内容物が密であり、病変内を走る気管支は押しつぶされますから、いずれもエアブロンコグラム(→117,118ページ)は通常生じません。


内容が疎な高分化腺癌などの場合、限局したすりガラス影の中にエアブロンコグラムが見えることもあります。



・無気肺

無気肺は容量減少を伴いますので、辺縁は内向きに凸になります(→101ページ)。また、通常は葉〜区域単位で見られることが多く、その頂点は葉、区域の入口部(つまり比較的中枢)ですから、中枢を頂点とした扇形(でちょっと辺縁が内向きに凸)のイメージで捉えておくと分かりやすいと思います。


スライド60.JPG


無気肺エリアの容量は減少しますから、気管や縦隔は患側に偏位し、患側の横隔膜は挙上します(→113ページ)。病変部の気管支内に空気は存在しなくなるため、エアブロンコグラムは生じません。



・浸潤影

浸潤影は容積があまり変わりませんので、構造物(縦隔や横隔膜)の動きが少ないことと、べたっと白い中にエアブロンコグラム(→117ページ)が見られる点などが特徴です。


辺縁は不明瞭なことも少なくありませんが、辺縁が見えるものでは比較的まっすぐで、モコモコ感とか縮んでいる感じは受けないことが多いです。


スライド61.JPG

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2017年04月24日

空洞と嚢胞

嚢胞よりもハッキリとした、厚めの隔壁に囲まれた黒いエリアを空洞といいます。空洞の内部には通常肺組織は残っておりませんので、中は真っ黒に見えます。


空洞の成り立ちは嚢胞とは異なりますが、特に壁の薄い空洞は、画像上(見ただけでは)嚢胞と区別が難しいことがあります。確固たる定義もあるようでないのですが、測定可能な(1mmくらいの)壁があると空洞、それより薄い壁敷かなければ嚢胞、とか、通常嚢胞は複数見られることが多い、あたりが見分けるポイントかなあ、と思います。


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2017年04月23日

第57回日本呼吸器学会学術講演会にて座長を務めました

昨日は、第57回日本呼吸器学会学術講演会に参加して参りました。


今回は日帰りでしたが、いろいろと予定が詰まっておりまして、忙しくバタバタしましたが、たくさんの先生方ともお目にかかれましたし、予定も万事うまくこなせた、つもりです。


ここに書けないことも多いのですが、書ける出来事としては、ポスターセッション「症例・その他1」座長。相方の、福井大学の早稲田先生とは初めてお目にかかりましたが、パワフルでキレキレのステキな先生でした。時間がちょっと押せ押せになり、無理矢理切り上げさせていただいたりもしましたが、まあなんとか無難に収まったかと思います。


他には書籍売り場での拙著の扱いが変わらずよくて、いいところに置いて頂いていたりしましたが、今年は全面的に「写真撮影厳禁」でしたので、写真はございませんでした。世知辛い世の中でございます…。

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2017年04月21日

肺野が黒くなる病態

昨今では、胸部X線写真はデジタル化されCR(Computed Radiography)写真、とも呼ばれていますが、デジタル化されて見やすく画像処理されており、フィルム時代に比べて、肺野の「黒さ」がわかりにくいことがあります。ですから概念としては、これらの病変は確かに「黒くなる」のですが、実際に画像を見た感じはそれほど黒く見えないこともあるのです。


そんなときはどう見るか。そういう病変は肺胞、肺組織の密度が少なくなっていますので、肺野末梢の血管影が細くなったり、少なくなったり、あるいはなくなったり、そういうところを見ます。まあ、それも含めて黒っぽい印象を受ける、といえばそうかもしれません。


正常の血管影(水の密度)は、肺内(ほぼ空気の密度)を、肺門を中心に放射状に、少しずつ枝分かれして細くなりながら拡がっていきます。


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立位で撮影されていれば、下肺野に行く血管は上肺野に行く血管よりも、重力によって多く血液が流れますから、太め(上の肺野に行く血管の1.5倍〜2倍くらい)に見えるといわれています。イメージとしてはこんな感じです。


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基本、同じ高さの血管は左右同じような太さだと考えてOKですから、肺野を見る時には左右の血管影に差がないか、同じ高さで比較をしながら追っていきます。


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さて明日は、第57回日本呼吸器学会学術講演会2日目です。ポスター座長のために日帰りで東京に行って参ります。いろいろ予定が入っていて、ちょっと更新する時間はないような予感がしますので、よろしくお願い申し上げます。

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2017年04月20日

陰影の辺縁から推測出来ること

結節影や浸潤影が、どのような性質を持っているのか。陰影の辺縁を見て推測することができます。


腫瘍性の病変は、モコモコ細胞分裂して大きくなりますから、辺縁は外向きに凸になります。


それに対して、辺縁が内向きに凸の病変は、病変が縮んでいる様子を思わせます。無気肺や線維化病変といった病変が有名ですが、肺癌の中でも(高分化)腺癌など、内部に線維化を伴うものはその線維化のために収縮機転が生じます。そのために、腫瘍でも腺癌などでは内向きに凸の辺縁が見られます。


結節影や腫瘤影に相当する大きさであっても、腺癌の場合、内部に線維化による収縮機転を来し、陰影の辺縁が内向きに凸になることが多いです。収縮に伴って周囲の組織が引っ張り込まれますが、近くの胸膜を引っ張り込んだものを胸膜陥入像といいます。

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2017年04月19日

カーリーのA線、B線、C線

肺の静脈圧が上昇して血管周囲に水が滲みだしてくると、元々の血管と周囲の水が一体化して、元の血管径よりも太く見えるようになります。CTで見たとしても、血管そのものと周囲の水は区別がつきません。


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太くなってよく見えるようになった血管影が線状影として見え、「カーリーのA線、B線、C線」と呼ばれています。名前がそれぞれ異なりますが、結局は似た機序で出ている線ですし、線なんだから全部「カーリーの線」でいいじゃないか、とも思います。液晶・CT時代になったこともあってか余り使われなくなった用語でもあると思いますが、折角ですのでご紹介しておきます。


A線:上肺野から中肺野で見られる、肺門から末梢に向かう直線〜少し曲がった線


B線はこちら


C線:A線やB線を形作るような線状影(広義間質や血管影)が、特に下肺野で重なり合うことで見られる網状影


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posted by 長尾大志 at 20:56 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月18日

両側肺門リンパ節腫脹とバタフライ陰影との違い3

バタフライ陰影は、心不全であることが多いので、心不全にまつわる所見が見えるかどうかを確認します。ここでご紹介しておきましょう。


  • 肺門付近・中枢の境界線がぼやけて拡がっている⇒バタフライ様

  • 肺門付近の陰影に引き続く血管影(肺紋理)が目立つ

  • 血管影(肺紋理)は特に頭側が太まる(cephalization)

  • 心拡大がある

  • 両側胸水が見られる

  • カーリーの各線や気管支壁肥厚など、広義間質の肥厚像が見られる



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通常は立位で胸部X線写真を撮影していますね。その際、肺門より上の血管よりも、肺門より下の(下肺野に向かう)血管の方が、重力のために血流が多くなります。つまり、下肺野に向かう血管影の方が目立つのが正常です。


ところが心不全では、下肺野の血管が攣縮・狭小化して上肺野に血流が再分布し、上肺野の血管影の方が目立つ現象(cephalization:角出し像)が見られます。さらに肺静脈圧が上昇してくると、血管壁から水分が滲みだしてきて、血管の周囲にある肺胞や(広義)間質に溜まってきます。

ちなみに重症心不全では臥位でポータブル写真を撮られることが多いため、その条件で上肺野の血管が目立っていてもcephalizationとは言えませんので注意が必要です。


結果、血管影自体が太まって見えたり、血管影周囲がぼやけたり、肺野の濃度が上昇して浸潤影〜すりガラス影のように見えたりしてきます。


その場合、肺の外側には比較的陰影が少なく、中枢から蝶が羽を広げているような陰影として見える、ということでバタフライ陰影、と名付けられました。肺の外側に陰影が少ない機序としては、末梢肺が呼吸運動によって動く際に、水分がポンプのように中枢へ送られやすい、あるいは末梢のリンパ流が発達していて、末梢の肺胞内に溜まったものが比較的送られやすい、などが考えられています。


後者の機序は特に、肺胞出血や肺胞蛋白症など、「肺胞内に何かがびまん性に貯留する疾患」において、比較的肺の末梢(胸膜直下)の病変が少ない(正常に近い)ことの説明にもなっています。末梢肺野に溜まったもの(血液や蛋白質)が、リンパのドレナージで掃除されている、というイメージです。


そのため、肺胞出血や肺胞蛋白症などで見られる「両側びまん性に、中枢>末梢に拡がるべたっとした陰影」を、以前はバタフライ陰影と呼ばれていたこともあるようですが、最近ではあまりそうは呼びません。


また、太まった血管影を反映して、肺野にやたらと線状影が見えるようになります。場所や長さ、特徴によってA線、B線、C線と呼ばれます。


なお、心不全のときにも肺動脈の拡張はあるのですが、バタフライ陰影に隠れて、中枢付近の血管影がぼやけていてよくわからないことも多いです。肺動脈がハッキリ拡張して見えるのは肺高血圧のときが多いです。

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2017年04月17日

両側肺門リンパ節腫脹とバタフライ陰影との違い2

両側肺門リンパ節腫脹とバタフライ陰影との違いを挙げますと、両側肺門リンパ節腫脹の方が…


  • 境界線が割とハッキリしている

  • 境界線は外向きに凸である

  • 縦隔リンパ節もしばしば腫脹するので、縦隔リンパ節腫脹を思わせる各種所見が見える



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2017年04月14日

両側肺門リンパ節腫脹とバタフライ陰影との違い

特にリンパ節腫脹が両側にある場合、初学者の方はバタフライ陰影と見間違えることがあるかもしれません。


バタフライ陰影は、心不全の時などに見られる、肺門を中心に蝶が羽を広げたように見える陰影です。


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何となくうろ覚えの状態で蝶が羽を広げたイメージを書いてみました…。画像としては、こんな風に見えます。


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両側肺門リンパ節腫脹との違いは…

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posted by 長尾大志 at 17:43 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月07日

リンパ節腫脹の見かた4

厳密にいうと、右肺から流れてきたリンパの流れは、縦隔の右側を通って右の静脈角に入ります。そして左下葉からのリンパ流も、気管分岐下リンパ節を経由して、主に縦隔の右側を通って右の静脈角に入ると言われています。


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ただ、左上葉からのリンパ流は、左肺門を経由し、縦隔の左側を通って、左の静脈角に注ぐとされていまして、左上葉の病変からやってきたものは気管の左側のリンパ節腫脹につながると。


スライド40.JPG


ですから逆に、気管の左側のリンパ節腫脹が考えられるような、大動脈弓のシルエットサイン陽性+気管の左が白い所見、とか、A-P windowの突出とかの所見があると、左肺野に原発巣を探す、という使い方もできます。


例はいいものがありませんが…。



さてこれから奈良県は王寺へ向かいます。こちらです。奈良県西和医療センターの皆さん、よろしくお願い申し上げます。


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posted by 長尾大志 at 10:53 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月06日

リンパ節腫脹の見かた3

逆に、右肺門の腫脹が見られたら、右の肺野に原発巣にあたる、結節ないし腫瘤影がないか探す、という観点も大切だと思います。例えば…


スライド34.JPG


右の肺門が目立ち、気管分岐角も開大している。で、右の肺野に原発巣があるかもしれない、と思ってよ〜く見ると…物陰にありました!いかがでしょう、意識して探さないと見落としそうな陰影ですね。


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リンパ節はこんな感じで腫脹しています。


スライド36.JPG


スライド37.JPG


で、心臓の裏側に腫瘤あり。


スライド38.JPG


まあ、いつもいつもそんなにうまくはいきませんが、うまくいくと気持ちいい。これが大事ですね。

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posted by 長尾大志 at 14:23 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月05日

リンパ節腫脹の見かた2

という、リンパの流れを理解しておくと、何の役に立つか。


特にリンパ節腫脹が問題となる肺癌の例で考えてみましょう。例えば、右の下葉に原発巣がある場合。


スライド31.JPG


原発巣からのリンパ節転移は、原発巣を通るリンパ流に癌細胞が乗って、流されて漂着したリンパ節で発生します。通常は原発巣に近いリンパ節の方が漂着しやすいため、その部位に転移が起こる可能性が高いのです。


つまり、右の下葉原発であれば、リンパ節転移が起こりやすいのは@右肺門、次にA気管分岐下リンパ節で、それからB気管傍リンパ節、となる。ですからステージ分類をするときのN因子は、

  • N0:所属リンパ節転移なし

  • N1:同側の気管支周囲かつ/または同側肺門および肺内リンパ節転移

  • N2:同側縦隔リンパ節かつ/または気管支分岐下リンパ節の転移

  • N3:対側縦隔、対側肺門、同側あるいは対側の前斜角筋、鎖骨上窩リンパ節への転移


と定められているわけです。つまり、原発巣より遠く離れたリンパ節に転移があるということは、よりステージが進んでいることを意味する、という。


ですから原発巣が右の下葉であれば、まずは右の肺門を見る。それから、気管分岐角の開大がないか、そして縦隔が腫脹していないかを見る、という感じで見ていくのです。例えば…


スライド32.JPG


スライド33.JPG

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posted by 長尾大志 at 19:32 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月04日

リンパ節腫脹の見かた

胸部X線写真では、胸部CTのように縦隔リンパ節や肺門リンパ節をハッキリと認識するのはいささか難しいものです。しかし、見かたのコツを知っておけば、胸部X線写真でもカッコよくリンパ節の腫脹を指摘出来たりするのです!こっそりと?そのコツをお教えしましょう。


リンパの流れ

そのためにはリンパの流れを理解しておく必要があります。肺胞において異物や外敵を損食したマクロファージは、リンパ管に入ってリンパ液の流れに乗って、リンパ節まで流されます。流れ着いたリンパ節では貪食した異物の抗原提示をして、Tリンパ球の活性化に一役買うのです。


で、リンパの流れですが、おおよそ、肺の外側から肺門に向かって、気管支や血管に沿って網の目状に張り巡らされたリンパ管を通って流れています。


スライド30.JPG


その流れに乗って最初に到着するリンパ節は、肺門リンパ節(茶色)。そのあと、気管分岐部にある気管分岐下リンパ節(青色)、気管傍リンパ節(紫色)を経由して、縦隔を上行し、最終的には静脈角(鎖骨下静脈と内頸静脈の合流部)で静脈に注ぎます。

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posted by 長尾大志 at 18:44 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年04月03日

大動脈弓を追う2

そして気管の走行を見ますと、右に偏位しています。○ページにある通り、気管が右に偏位している場合、その原因は


  • 左から何かが圧しているか

  • 右に何かが引っ張っているか



のどちらかです。


となると、気管の左右を見て、どちらかが白ければ、その白いところが原因で、


  • 左が白ければ、圧しているので左に腫瘤・胸水がある

  • 右が白ければ、引っ張っているので無気肺・線維化



であるとわかります。


この症例では、気管の左が白い。ということは、気管の左に何かできて、それが気管を圧している、と考えられるのです。検査の結果、小細胞肺癌と診断されました。


小細胞肺癌ですから、治療によく反応します。治療後の陰影を見てみましょう。


スライド27.JPG


矢印の部分は、治療前にはシルエットサイン陽性であった大動脈弓の上縁です。治療で腫瘤が縮小してきたことによって、見えるようになってきました。小細胞肺癌は陰影の変化が比較的早く起こるので、初学者の先生方が「陰影の変化」を掴むのに適していると言えます。


CTでも、大血管を巻き込む腫瘤に気管が圧排されている様子、そして治療後に腫瘤が縮小し、少し気管が戻っている様子がよくわかります。


治療前
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治療後
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posted by 長尾大志 at 17:47 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年03月31日

大動脈弓を追う

気管の左隣にリンパ節腫脹などが見えてくると、どんな風に見えるでしょうか。


元々気管の左隣に存在するのは、大動脈弓という大きな構造物です。で、大動脈弓の上には、大動脈から分岐した3本の動脈があるのですが、椎骨と重なったりしていることで、それほど存在感はありません。まあそれでも、確かに存在はしているのですが。


スライド24.JPG


のように、大動脈弓のてっぺんあたりまで、線が見えるのが通常です。


大動脈周囲のリンパ節腫脹があったりすると、こんな風に…


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気管の左、大動脈弓の上あたりが妙に白く見えて、大動脈の線も見えなくなります。大動脈弓とシルエットサイン陽性の陰影が気管の左側に見られる、ということです。

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posted by 長尾大志 at 16:54 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年03月30日

傍気管線を認識する

手術歴とかがありますと、気管周りは見えにくくなりますから、あくまで参考ではあります。また、上大静脈が気管の右隣に、紛らわしく見えることもあります。


また、気管のあたりが何かおかしいな…と感じたときには、「傍気管線」も使えることがあります。


ただし傍気管線も、正常でもハッキリ認識出来ないことがありまして、認識出来ない=異常、とは言い切れません。


例えば、以前の写真では見えていたのに見えなくなった、とか、先に挙げた気管周りの異常と共存している、とかになりますと、積極的に異常を疑っていくことになるでしょう。



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posted by 長尾大志 at 19:10 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年03月29日

気管の横に白い部分があるか

正常では、気管の右隣には、あまりこれといって構造物はありませんでしたね。上大静脈は気管より前にあって、接してはいません。


左隣は、大動脈弓と、それに続く下行大動脈、上方には、大動脈から分岐する3つの動脈があります。


ですから、気管の右隣に病変が生じてくると、右横に白い部分ができてくることになりますし、左隣に病変ができると、大動脈の周囲に白い部分が増えてくることになる。


昨日述べた「気管が追いにくい」所見と組み合わせることで、「なんかこの辺がおかしい」と目星をつける根拠になります。


例えば、昨日の症例だと…


スライド22.JPG


正常では肺しか診られないこのあたりが、なんか白くなっている。ここに何かあるのではないか。


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CTを撮ると、気管の右隣〜前面にかけてリンパ節があります。こいつが、

  • 気管の走行を見えにくくして、かつ

  • 気管の横の白い部分を形成している、ということになります。

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posted by 長尾大志 at 21:28 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年03月28日

ハッキリと気管が追えるか

ニュアンスとしてお伝えするのが難しいのですが、見慣れてくると、気管〜気管分岐部〜主気管支あたりをハッキリ追えるかどうか、わかるようになってきます。


通常だと、


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のように、スッスッと分岐のところが追えるのですが…。


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こちら、何か追いにくくないでしょうか。ハッキリしない、といいますか。


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たぶん、こんな感じなんでしょうけど、追いにくいのです。このような場合、気管に重なって、リンパ節など腫瘤が存在している可能性があります。

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posted by 長尾大志 at 18:33 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年03月27日

縦隔内にある構造物は、気管、食道や血管・心臓

縦隔内にある構造物は、気管、食道、血管、それに心臓です。それ以外に存在するのは、それら大きな構造物の間にある結合組織や脂肪組織と、幾ばくかのリンパ節といったところです。


で、正常の胸部X線写真や胸部CTで見えるのは、気管、食道、血管、それに心臓だけと考えてOKです。


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ほぼ正常症例のCT像。目印となる大動脈弓でのスライス(下)と、その少し上のスライス(上)です。

@上大静脈
A大動脈弓
B気管
C右腕頭静脈
D(右)腕頭動脈
E左腕頭静脈
F左総頸動脈
G左鎖骨下動脈
H食道


リンパ節もたくさんありますが、通常は見える大きさではありません。それが、肺癌や感染症その他の疾患で、リンパ節腫脹を来すと、そのリンパ節が目に見えるカタマリとして認識出来るようになります。もちろんCTの方が感度は高いのですが、胸部X線写真でも結構見えるものなのです。

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posted by 長尾大志 at 19:52 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年03月24日

縦隔とは

縦隔、とは、左右の肺の間にあるスペースのことです。あたかも家(特にマンションやアパートなど)にある「パイプスペース」のごとく、中を管(気管、食道や血管・心臓)が通っています。臓器でも、構造物でもないただの空間ですから、圧されたり、引っ張られたりすると、容易に動きます。


(解剖の教科書参照)


特に上の方にある、気管〜気管分岐、食道や大血管などは、圧されたり引っ張られたりする病変を見つけるのに便利です。気管周りを見るときに知っておきたい構造物とその見え方を確認しておきましょう。


気管〜気管分岐部〜左右の主気管支、上大静脈〜右房、大動脈弓あたりは、胸部X線写真ではこのように見えます。


スライド11.JPG


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気管は空気の棒みたいな黒い帯状の構造物として見えます。声帯狭窄部からほぼ正中を走り、気管分岐部で左右に分かれます。右主気管支はごく短いですが、左主気管支は結構長く、よく見えることが多いです。


上大静脈は鎖骨のあたりから見えるようになり、下に降りてそのまま右房(右2弓)に移行します。


上行大動脈は角度の関係で正面写真では見えません。大動脈弓〜下行大動脈はハッキリと見え、横隔膜を越えると見えなくなります。


スライド13.JPG


大動脈の高さでのスライスでは、上大静脈(橙)、大動脈弓(赤)は前から見たときに接線を形成しますから、正面像で線として認識出来るのです。


スライド14.JPG


鎖骨の高さになってくると、上大静脈も、大動脈から分岐した太い動脈(総頸動脈、鎖骨下動脈、腕頭動脈)も接線をなさないことが多く、正面像で線はあまり認識出来ません。


上大静脈の見え方には個人差があり、線がほとんど認識されないケースもしばしばあります。


スライド15.JPG


この症例では、気管の右側に線があるようなないような…。


スライド16.JPG


CTで見ると、上大静脈の接線が椎骨と重なっている…それで目立たない模様です。


スライド17.JPG


この症例はどうでしょう。上大静脈の線、見えるような、見えないような…。


スライド18.JPG


CTだとしっかり接線があるように見えるのですが、こんな感じで、正面像だとごく薄くしか見えないこともあるのです。

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posted by 長尾大志 at 18:18 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年03月23日

気管の動きを見るときのポイント

圧す病変、引っ張る病変がなくても気管や縦隔が偏って見えることがあります。例えばそもそも正面から撮られていない(ポータブル写真などに多い)、側彎がある、亀背・円背があるなど、いろいろな理由で気管の位置がずれて見えるのです。


ですから、気管の偏位にも意味のあるものとないものがあることになります。何らかの病変が気管の近傍に存在して、かつ気管が動いている場合には、その動きには意味がある。でも、気管近くに何も病変らしきものがなければ、その動きはあまり意味を持たない。


そこで、気管の偏位を認めたら、まずは撮影条件(ポータブルかどうか)、正面性を確認します。正面から撮られていなければ、気管の位置はあまり気にしなくていいでしょう。


そして気管の偏位を起こしうる原因となる陰影、ないし病歴を探しましょう。具体的には、気管の近くに何らかの陰影があるかどうか。それから、容量の変化を反映して、横隔膜が挙上、あるいは低下しているかどうか。あとは胸部(肺・心臓・食道など)の手術歴があるかどうか。


原因となる陰影、病歴がない「気管の偏位」には、診断的価値はあまりありませんので、時間が限られているカンファレンスなどでは、あえて所見として挙げないこともあります。

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posted by 長尾大志 at 18:16 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年03月22日

オッカムの剃刀

オッカムの剃刀、ご存じの方も多いと思いますが、患者さんに起こっている症状・所見が一元的に説明出来るような鑑別診断を考える、というやり方です。


これに対してヒッカムの格言、という、考え方があります。どの症例においても偶然に複数の疾患に罹患しうるため、症状に対して複数の原因を探すべきだ、という考えです。


通常の疾病は、ある一定の確率で起こるとすると、その疾病が合併する確率は


罹患率✕罹患率…


となりますから、単発の場合よりもずいぶん可能性が低くなるので、まずは単一の疾患で考えていこう、というのが臨床推論におけるオッカムの剃刀の根拠だと思います。


ただ、いろいろな症例を経験すると、ヒッカムの格言が当てはまるケースも経験されるわけで、実際臨床の現場では、オッカム、ヒッカム、どちらも考えるべきなのです。


高齢者では併存疾患が多い。高齢というだけで、いろいろな疾病の発症リスクが高まる。

それ以外に、

  • 糖尿病症例

  • COPD症例

  • AIDS/HIV感染症症例などなど…


他にも様々な、「合併症を起こしやすい」病態がありますから。


じゃあどうして、ここであえてオッカムの剃刀を持ちだしたか。それは、胸部画像の読影をする上で「楽しくて、勉強になる」からです。


画像で見られるいくつかの所見を整理・統合して一つの疾患を考える、という作業は、各疾患で見られる所見をまとめて振り返る機会になるとともに、謎解きの要素が多分にあり、知的好奇心が刺激されます。また、ビシッと筋の通った読影ができたときにはとっても気持ちよい。


もちろん見える所見の各々を説明出来る鑑別診断をたくさん挙げる、ということも必要ですが、まずは、見られる所見のすべてが1つの疾患で説明出来るかどうかを考えてみる。ちょっと意識してやってみましょう。

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posted by 長尾大志 at 14:45 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2017年03月21日

胸部画像読影のコツ1

非専門医の先生方の診療について、いろいろと込み入ってきましたので、ここらで小休止を入れまして、少し胸部X線写真やCTのことについて、最近ご質問を受けたことを中心にまとめていきたいと思います。



石灰化像

■ 胸膜班

胸膜面に沿って拡がる、大変輝度の高い石灰化病変(の痕)です。結核性胸膜炎の痕と、アスベスト吸入による胸膜斑(プラーク、plaque)とが原因の多くを占めます。厳密には、結核とアスベストでは石灰化の起こる場所が違うそうで、アスベストによる胸膜斑は血流のある壁側胸膜にできるといわれています。


CT像を模式図で書くとこんな感じですね。石灰化は縦隔条件でよくわかります。


スライド1.JPG


胸壁近くの胸膜が肥厚しています。肥厚した胸膜の、肺に近い方ではなくて胸壁に近い方(壁側胸膜)が石灰化のために白く見えるのです。実際のCTではこんな感じ。


スライド2.JPG


肥厚した胸膜の胸壁に近い方が、石灰化のために白く見えていますね。


この場所では結構X線が吸収されますから、胸部X線写真では高濃度に(白く)見えます。前から見ると結構広がりを持った、濃い陰影に見え、接線方向では、かなり濃い線として認識されます。こんな感じです。


スライド3.JPG


スライド4.JPG


拡がっている胸膜斑を前から見ると赤丸のように見え、横隔膜に沿った石灰化を接線方向から見たものが、赤矢印のように線として見えるのです。CTで見ると横隔膜に沿った石灰化はこんな風に見えます。


スライド5.JPG

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posted by 長尾大志 at 18:24 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2012年03月02日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・正面像でわかるリンパ節3・A-P window

正面像でわかるリンパ節シリーズ、2まで書いていたのに、3を書いていないことに今日気づきました。


というわけで、若干文脈には合いませんが、A-P windowについて。


A-Pwindowとは本来、AortaとPulmonary arteryの間の軟部組織を指す言葉で、そこが通常凹んで見えるところが突出してくることに(リンパ節腫脹などの)病的意義があるのです。


APwindow.jpg


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posted by 長尾大志 at 15:57 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年07月15日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・縦隔は思っている以上にやわやわ・患側へのshift2

縦隔って、この辺にあたります。


縦隔スライド1.JPG


中を管(血管や気管、食道)が通っている、ただの空間(パイプスペース)のことですから、臓器でも、構造物でもありません。

押されたり、引っ張られたりすると、容易に動くのですよ。


例えば、片側性に線維化を伴う病変があるとvolume lossが生じますから、縦隔は患側へshiftします。

ただ、その場合、病変は真っ白ではなく、すりガラスであったり、honeycombであったり、牽引性気管支拡張があったり、何かしらの所見があるはず。


例えば、放射線肺臓炎ですと…


縦隔スライド8.JPG
縦隔スライド9.JPG
こんなにもshiftするんですね。横隔膜も上がっています。病変部をCTで見ますと…


縦隔スライド10.JPG


こんな風(黄矢印)に、牽引性気管支拡張があり、線維化病変であることがわかります。


縦隔スライド11.JPG


こんな風に放射線を当てたんですね〜(緑色の線)。


ちょっと長くなりましたので、このシリーズはいったんお休みします。
また症例が集まってきましたらその都度再開します。


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posted by 長尾大志 at 09:22 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年07月14日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・縦隔は思っている以上にやわやわ・患側へのshift1

縦隔って、この辺にあたります。


縦隔スライド1.JPG


中を管(血管や気管、食道)が通っている、ただの空間(パイプスペース)のことですから、臓器でも、構造物でもありません。

押されたり、引っ張られたりすると、容易に動くのですよ。


例えば、無気肺。


縦隔スライド6.JPG
縦隔は患側へshiftします。
気管もそちらへ移動。


縦隔スライド7.JPG
逆に言えば、縦隔(気管)が患側へshiftしている、真っ白な領域は無気肺の可能性が高い、ということです。


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posted by 長尾大志 at 12:07 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年07月13日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・縦隔は思っている以上にやわやわ・健側へのshift2

縦隔って、この辺にあたります。


縦隔スライド1.JPG


中を管(血管や気管、食道)が通っている、ただの空間(パイプスペース)のことですから、臓器でも、構造物でもありません。

押されたり、引っ張られたりすると、容易に動くのですよ。


例えば緊張性気胸になると…。


縦隔スライド4.JPG
縦隔スライド5.JPG
縦隔は健側へshiftします。
気管もそちらへ移動。


逆に言えば、縦隔(気管)が健側へshiftしている気胸は、緊張性気胸ですから、迅速な対応が求められる、ということです。


こういう、volumeの変化を見るのは、CTよりも胸部単純レントゲン写真の方が得意ですね。


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posted by 長尾大志 at 08:24 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年07月12日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・縦隔は思っている以上にやわやわ・健側へのshift1

縦隔って、この辺にあたります。


縦隔スライド1.JPG


中を管(血管や気管、食道)が通っている、ただの空間(パイプスペース)のことですから、臓器でも、構造物でもありません。

押されたり、引っ張られたりすると、容易に動くのですよ。


例えば胸水がなみなみとたまると…。


縦隔スライド2.JPG
縦隔スライド3.JPG
縦隔は健側へshiftします。
気管もそちらへ移動。


逆に言えば、縦隔(気管)が健側へshiftしている、真っ白な領域は胸水の可能性が高い、ということです。


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posted by 長尾大志 at 18:17 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年07月11日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・横隔膜の位置

例えば、こういう陰影が…。


diaphragm1.jpg


こうなったとしたら、どのような変化が起こったのか、ということです。


diaphragm2.jpg


横隔膜がぐぐーっと上昇してきています。
両側性に肺が縮んできていることがわかります。


網状影があって、両側性に肺が縮んできている、とすると、肺線維症が考えられますね。


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posted by 長尾大志 at 10:20 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年07月08日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・正面像でわかるリンパ節2・傍気管線

縦隔に、傍気管線という線があります。
気管の右の壁が、右肺に接することでできる線です。


これが消失するということは、どういう意味があるか。


傍気管線.jpg


左が消失していますね。右ではハッキリ見えます。
CTを見てみましょう。


傍気管線CT.jpg


傍気管線が消失している=気管(の右側)に接する病変がある、ということです。


傍気管線CT2.jpg


○で囲んだ部分にリンパ節腫脹が見られます。
本来の傍気管線は<黄矢印>のように見えるはずですね。


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posted by 長尾大志 at 10:59 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年07月07日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・正面像でわかるリンパ節1・気管分岐部

この写真はどうでしょうか。


1stcarina.jpg


気管分岐部に注目。


1stcarina1.JPG


通常とは角度が異なりますね。

通常は内股分岐。


1stcarina2.JPG


このような、がに股分岐では、#7リンパ節の腫脹が疑われます。


1stcarinaCT.jpg


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posted by 長尾大志 at 08:21 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年07月05日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・シルエット・サインを使う5の回答

これらの病変。


silhouette51.JPG


心陰影(右2弓・左4弓)はぼやけています。シルエット・サイン陽性です。


これは、心陰影を作る心臓の外縁と病変部が接していることを表します。
右、左ともにS5の病変であるとわかります。

ちなみに右の病変には、よ〜く見るとTram Lineも見られます。


CTで確認してみましょう。


silhouette5CT1.jpg


silhouette5CT2.jpg


左舌区の浸潤影、右中葉には気管支拡張像(tram line)が見られますね。


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posted by 長尾大志 at 18:11 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年07月04日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・シルエット・サインを使う5

異常影はどこにあるでしょう?


silhouette5.jpg


心陰影の左右に見られます。


silhouette51.JPG


この2カ所について、シルエット・サインを適用しましょう。
病変が大きくないので、少しわかりにくいかもしれませんが。


これらの病変は主にSの何番にあるでしょうか?


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posted by 長尾大志 at 12:06 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年07月02日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・シルエット・サインを使う4の回答

これらの病変。


silhouetteko1.JPG


心陰影(右2弓)は見えています。シルエット・サイン陰性です。


これは、心陰影を作る心臓の外縁と病変部が接していないことを表します。
心臓より前方には、スペースは限られていますので、この大きさの病変が
前方に入る余地はありません。したがって、後方にあると考えます。


この高さで後方、ということは、右S10の病変であるとわかります。

もう1つは、横隔膜と陰性ですので、中葉、ないしはS10の病変であるとわかります。


CTで確認してみましょう。


silhouettekoCT1.jpg


silhouettekoCT2.jpg


いずれもS10の病変でした。


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posted by 長尾大志 at 10:11 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年07月01日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・シルエット・サインを使う4

異常影はどこにあるでしょう?


silhouetteko.jpg


3カ所くらいは見えますが、この2カ所について、シルエット・サインを適用しましょう。


silhouetteko1.JPG


1個は心陰影と重なっていますね〜。
これらの病変は主にSの何番にあるでしょうか?


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posted by 長尾大志 at 11:24 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年06月30日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・シルエット・サインを使う3の回答

この病変。


silhouette101.JPG


心陰影(左3〜4弓)は見えています。
これを、シルエット・サイン陰性といいます。


これは、心陰影を作る心臓の外縁と病変部が接していないことを表します。
心臓より前方には、スペースは限られていますので、この大きさの病変が
前方に入る余地はありません。したがって、後方にあると考えます。


加えて、横隔膜が見えています。
これもシルエット・サイン陰性。


横隔膜は主にS8と接していますので、S8には病変がないということがわかります。


さらに。

下行大動脈を見ると、ココで途切れています。シルエット・サイン陽性です。


silhouette102.JPG


ということで、心陰影、横隔膜には接していないが、下行大動脈に接している。すなわち、S10の病変であることがわかります。


側面像でも、このように背側にありますし、


silhouette10RL.jpg


CTでも、横隔膜ドームの後ろにある(接していない)ことがわかります。


silhouette10CT1.jpg


silhouette10CT2.jpg


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posted by 長尾大志 at 12:16 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年06月29日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・シルエット・サインを使う3

異常影はどこにあるでしょう?


silhouette10.jpg


そうです、これですね。


silhouette101.JPG


またまた、心陰影と重なっていますね〜。
左4弓以外にシルエットサインが使えるのは、どの線でしょうか?


そして、この病変は主にSの何番にあるでしょうか?



ちなみにこの部位は、下肺野にあたります。

繰り返しますが、

肺尖:鎖骨より上
上肺野:鎖骨と第2肋骨(前方)の間 主にS1〜3が含まれます。
中肺野:第2肋骨(前方)と第4肋骨(前方)の間 主にS3、S6が含まれます。
下肺野:第4肋骨より下の部分 主に中葉、舌区とS6をのぞく下葉が含まれます。

となり、おおよそこんな感じになります。


silhouette123.jpg


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posted by 長尾大志 at 07:49 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年06月28日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・シルエット・サインを使う2の回答

この病変。


silhouettemac1.JPG


心陰影(左3〜4弓)は見えています。
これを、シルエット・サイン陰性といいます。


これは、心陰影を作る心臓の外縁と病変部が接していないことを表します。
心臓より前方には、スペースは限られていますので、この大きさの病変が
前方に入る余地はありません。したがって、後方にあると考えます。


この高さで後方、ということは、S6、S10にまたがる病変であるとわかります。
CTで確認してみましょう。確かに心臓とは接していませんね。


silhouettemacCT.jpg


前回の問題と同じ場所でしたね。

割とよくあるところで、心陰影の裏になっていることから、注意を喚起する意味で同じ場所を取り上げました(決して、手抜きではありません!)。


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posted by 長尾大志 at 18:18 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年06月27日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・シルエット・サインを使う2

異常影はどこにあるでしょう?
何カ所かありますね。


silhouettemac.jpg


空洞があちこちに見られます。
心陰影と重なっているのがココ。


silhouettemac1.JPG


この部位は、中〜下肺野にあたります。

繰り返しますが、

肺尖:鎖骨より上
上肺野:鎖骨と第2肋骨(前方)の間 主にS1〜3が含まれます。
中肺野:第2肋骨(前方)と第4肋骨(前方)の間 主にS3、S6が含まれます。
下肺野:第4肋骨より下の部分 主に中葉、舌区とS6をのぞく下葉が含まれます。

となり、おおよそこんな感じになります。


silhouette123.jpg


では、本症例のシルエットサインは?
そして、この病変は主にSの何番にあるでしょうか?


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posted by 長尾大志 at 12:22 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる