で、しかも「コンソリデーション」。
ここへきていきなり「コンソリデーション」という用語が出てきて、面食らわれた方もおられるでしょうし、「やっと出てきたか」と胸をなで下ろされた?方もおられるかも知れません。
コンソリデーションは、「べたっと均質な、真っ白の陰影」を表す用語です。エアブロンコグラムが見られることも多いです。ん?浸潤影と同じじゃないの?と思われた方、その通りなのですが、ここで少し説明しておきます。
元々は「浸潤影」も「コンソリデーション」も、病理学から来た用語ですし、どちらもべたっとした、真っ白の陰影を指します。意味合いとして「浸潤=infiltrate」という言葉が、肺炎などの時に見られる細胞浸潤を指していたわけですが、それが胸部X線〜CT時代となって用語の混乱が見られた、ということで、もはや放射線科の先生方の間では「浸潤=infiltrate」という言葉は使わない、となってきているのです。
かのFleischner society用語集(Radiology 2008)にも、「infiltrateという用語はもはや勧められない。opacity(透過性低下)の方が好ましい。」と明記されています。
私を含めて(呼吸器)内科医の間では、まだまだ慣れ親しんだ「浸潤影」が使われていることも少なくないと思うのですが…放射線科の先生方は、もはや浸潤影とはおっしゃいませんね。
…てことで、斑状に分布するコンソリデーションとは、飛び飛びに複数存在する、べたっとした真っ白い陰影で、こんな感じです。


CTでは、飛び飛びに複数存在する「べたっとした白い陰影」がよくわかります。


OPパターンに特徴的なキーワードとして、
- コンソリデーションは自然軽快もある・移動する
- reversed halo sign
があります。
器質化肺炎の病変部は細胞浸潤や柔らかいポリープ様病変の形成が多く、自然軽快することがあります。また、ある箇所が軽快して他の部位に新たな病変が出現することもあり、あたかも病変が移動したような気がするので、「移動するコンソリデーション」みたいな言い方をするのですが、実際に移動するわけではありません(笑)。
それからreversed halo sign。これはそもそもhalo signが分からないと「ナンノコッチャ」なので、まずはhalo signの説明から。
haloとは暈(太陽に薄い雲がかかったときに、その周りに見られる光の輪)とか後光・光輪(聖像を囲む光の輪)といった意味で、胸部画像的には「中心の濃い陰影周囲に見えるすりガラス影」のことをいいます。

当初は侵襲性アスペルギルス症で報告され、特徴的、といわれたこともありましたが、その後多くの疾患で見られることがわかってきたために、最近ではことさらに特別扱いされることもなくなってきた気がします。


理屈としては中心部に血管が豊富、あるいは出血しやすい病変(濃厚な陰影)があり、その周囲に限局性に肺胞出血が生じてすりガラス影として見える、というものですが、他のhalo signを来す疾患(腫瘍など)では腫瘍細胞や炎症細胞の浸潤なども機序として考えられています。
で、reversed halo。これはhalo signの逆、つまりすりガラス影を濃厚なべったりした陰影が囲んでいるような所見です。

上の症例であればこんな感じで説明されます。

reversed halo signもhalo sign同様、当初COPに特異的、といわれていましたが、昨今では他の疾患でも報告されています。ただ、reversedという言葉が入っていて言えるとちょっとかっこいい?からか、よく使われているように思います。
posted by 長尾大志 at 16:50
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胸部X線写真で、ここまでわかる