2011年06月24日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・シルエット・サインを使う1・回答

この病変。


silhouette61.JPG


心陰影(左3〜4弓)は見えています。
これを、シルエット・サイン陰性といいます。


これは、心陰影を作る心臓の外縁と病変部が接していないことを表します。
心臓より前方には、スペースは限られていますので、この大きさの病変が
前方に入る余地はありません。したがって、後方にあると考えます。


この高さで後方、ということは、S6、S10にまたがる病変であるとわかります。
CTで確認してみましょう。確かに心臓とは接していませんね。


silhouette6CT.jpg


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posted by 長尾大志 at 08:36 | Comment(2) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年06月23日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる・シルエット・サインを使う1

まずは、よくあるところから。
異常影はどこにあるでしょう?


silhouette6.jpg


そう、ここですね。


silhouette61.JPG


この部位は、中肺野にあたります。

ちなみに、

肺尖:鎖骨より上
上肺野:鎖骨と第2肋骨(前方)の間 主にS1〜3が含まれます。
中肺野:第2肋骨(前方)と第4肋骨(前方)の間 主にS3、S6が含まれます。
下肺野:第4肋骨より下の部分 主に中葉、舌区とS6をのぞく下葉が含まれます。

となり、おおよそこんな感じになります。


silhouette123.jpg


では、シルエットサインは?
そして、この病変は主にSの何番にあるでしょうか?


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posted by 長尾大志 at 12:47 | Comment(2) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年06月22日

胸部レントゲン写真で、ここまでわかる1

CT全盛の昨今、胸部レントゲン写真の意義は少なく見積もられがちではありますが…。
例えば診療所であったりして、CTはすぐに撮れない、という環境もあるわけです。

また、CTにも弱点があります。
例えば肺の大きさ。

volume lossや反対に過膨張などの所見は、圧倒的に胸部正面写真がわかりやすいですね。


というわけで、胸部レントゲン写真で、ここまでわかるか!というところを何回かに分けて、見て参りましょう。



胸部レントゲンの見方、系統的な見方はポリクリやアドバンスでかなり繰り返していますので改めては書きませんが、大事なポイントをおさらいしておきましょう。


@骨軟部影の所見を見逃さない
以前にあったような所見にも注意します。本当に多くの情報が骨軟部影に隠されています。



Aシルエット・サインを使う
陰影があったときに、果たしてその陰影はどこにあるのか。
上、中、下肺野のどこにあるかとともに、シルエット・サインをうまく使うことでどのセグメント(1〜10に分かれている、例のやつ)を絞り込むことができます。



B正面像で見えるリンパ節
傍気管線、A-P window、気管分岐部は必ずチェックしましょう。



C縦隔や横隔膜の動きを見る
これらの動きから、肺容量の増減がわかります。


しばらく、これらのポイントに着目して症例を見ていきましょう。


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posted by 長尾大志 at 16:28 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年04月25日

縦隔の所見

縦隔を見るときに、ボーッと見ていては所見を見逃します。
各種の線を追いかけていきましょう。

こちらを見て下さい。


tracr1.jpg


わかりにくいかもしれませんが、このあたり。


tracr2.JPG


気管が追いにくい、無くなっているようにも見えます。

CTで見ると…


tracct1.jpg


3Dだと、こうなります。


trac3d.jpg


気管狭窄ですね。こういう所見もレントゲンで捉えることができるのです。
レントゲンに含まれているたくさんの情報を、最大限利用したいものですね。

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posted by 長尾大志 at 13:14 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる

2011年02月02日

骨軟部陰影、異常ありません。

「系統的レントゲン読影」小三J法とか、いろいろありますが、
その際に、決まり文句のようになっていませんか?
とりあえず言うとけ、みたいな。

「骨軟部陰影、異常ありません。」

いろいろと落とし穴があります。
例えばこの写真。

sawcr.jpg


軟部影おかしいですね。


頸部、左右非対称ですね。
ついでに縦隔は、気管のところがおかしい。

sawcr2.jpg


CT見てみましょう。

sawct.jpg


どーんとリンパ節。

気管のところは…

sawcttrac.jpg


気管の後ろになんかありますね。
気管とはシルエット陰性ですので、CT見なくてもわかりますね。

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posted by 長尾大志 at 13:52 | Comment(0) | 胸部X線写真で、ここまでわかる