2014年06月16日

第83回日本呼吸器学会地方会「腫瘍3」セッション予習3

6月28日に開かれる第83回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「腫瘍3」セッション座長を務めることとなりました。予習の続きです。


■ 当院でクリゾチニブを使用した肺癌症例の検討

概要
クリゾチニブを使用した10例の使用経験。投与期間中央値は76日、評価可能な9例中6例が病勢制御され、制御期間中央値は187日(68−673日)であった。副作用は7例に見られ、うち6例は休薬を要した。


所感
ウチではまだALK陽性が1例で、なかなかクリゾチニブを使えていませんが、使用感は悪くなかったです。この発表では6例が休薬を要する副作用を呈した、ということですが、最終的に投薬を中止するに至ったのは6例で、うち3例が病勢進行のため、ということですので、必ずしも副作用が大きな問題となる、ということではないようです。


やはり多く症例を経験されている施設のご経験は貴重なものですがら、実際使用されての感触を承りたいと思います。



■ DIC治療中にヘパリン起因性血小板減少症を発症した肺腺癌の一例

概要
思考力低下とふらつきを主訴に脳神経外科受診、肺腺癌の多発性脳転移と診断された。全脳照射を施行中、意識障害増悪し、癌性心膜炎とDICも発症した。DICに対してヘパリンを投与したところ、著明な血小板低下を認めた。ヘパリン投与を中止したところ血小板数は回復し、抗HIT抗体は強陽性であった。その後胃管よりエルロチニブを投与したところ意識状態は改善し、原発巣、脳転移ともに腫瘍は縮小した。


所感
ポイントがどこなのか、抄録を見ただけでは判然としませんが、タイトルからするとヘパリン起因性血小板減少症(HIT)が珍しい、ということでしょうか。腺癌でDICで、それでHIT、というところがポイントなのかもしれませんが、1つ1つの事象としてはそれほどまれな出来事ではなさそうですので、文献的考察を含めた検討がポイントになりそうです。いずれにしても、当日のご発表でどのようにまとめられるか、拝見したいと思います。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:36 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2014年06月15日

第83回日本呼吸器学会地方会「腫瘍3」セッション予習2

6月28日に開かれる第83回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「腫瘍3」セッション座長を務めることとなりました。今日もあれこれ忙しかったのですが、予習を少しだけやってみました。


■ Bevacizumabを含む化学療法が脳転移病巣に奏効した進行肺腺癌の1例

概要
初診時脳転移ありStageWの肺腺癌症例に対しサイバーナイフ施行後CDDP+PEM2コース投与したが、脳転移新病変を認め増悪と判定した。2次治療としてCBDCA+PTX+Bevacizumabを投与したところ脳転移病巣は縮小し、脳出血などの毒性も認めなかった。


所感
当初脳転移があったらほとんど禁忌、みたいな扱いだったBevacizumabですが、それほど脳転移病変のトラブルは経験されていないようです。それでも、「大手を振って〜」というのとはまだ違う、微妙な扱いになっているように思います。


「慎重投与」を外すということになると、確たるエビデンスを必要とします。まだ今は蓄積の時期でしょうか。


また、実際使用していての疑問は、効果がある症例とない症例があるという点です。確かに脳転移にも効いたように見えることもあるのですが…効果が期待できる症例かどうか、予見することはできないものでしょうか。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:54 | Comment(2) | 学会・研究会見聞録

2014年06月13日

第83回日本呼吸器学会地方会「腫瘍3」セッション予習1

6月28日に開かれる第83回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「腫瘍3」セッション座長を務めることとなりました。例によって、「その他」に近いセッションになります(//∇//)


何が気になるかって、どんな服装でいったものか、ということです。例年夏の地方会はメッチャ暑いので、クールビズにさせて頂くことが多いのですが…座長でもあり、上着はあった方がいいかと思ったり、遠いので荷物になるかとも思ったり。


姫路であるからか、演題は若干少ないようですが、逆にいつも精力的に学会など参加されている姫路の先生方には敬意を表します。閑話休題、恒例の予習にお付き合いいただきたいと思います。



■ 胸壁軟骨肉腫の一例

概要
中年女性。3年前から検診胸部X線写真で右肋骨骨折を指摘されていたが放置。本年は同様の右肋骨骨折と左肺の陰影を指摘されて受診。右肋骨の腫瘤と左肺結節、左肺動脈に塞栓を認めた。胸壁原発の軟骨肉腫と診断した。


所感
軟骨肉腫がまれである上に胸壁原発もまれですので、文献に基づいた考察といってもなかなか難しいですね…。やはり確認したいのは転移が生じる前に診断できなかったのか、ということになるかと。



■ 肺癌が原因のバゾプレシン分泌過剰症(SIADH)に対してV2受容体拮抗剤であるトルバプタンを使用した2例

概要
本邦で使用可能なV2受容体拮抗剤モザバプタン塩酸塩とトルバプタンの2種類がある。SIADHへの保険適応は前者のみで、希少疾患治療薬であることから煩雑な手続きや制限がつきものである。今回SIADHの2症例にトルバプタンを使用したが問題はなかった。


所感
サムスカレジスタードマーク(トルバプタン)が発売されたとき、私も同じことを考えました。しかしウチでは保険適応外の使用はかなりハードルが高く、SIADH症例もそれほど多くないことから、昔ながらの治療を行っていました。もちろんエビデンスの問題、メーカーの考え方などの理由ははあるのでしょうが、モザバプタン塩酸塩とトルバプタンの違いがどこにあるのか、今後保険適応拡大にあたっての課題は何か、などを議論できればと思います。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 17:15 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2014年03月22日

2014 NSCLC Treatment Forum in Nagoya見聞録

昨日行ってきたのは上記の会です。


イーライリリーの会だったのですが、アリムタのことではなくEGFR変異陽性のNSCLCに対する化学療法の方針について、がメインテーマでした。


EGFR変異陽性のNSCLCの一次治療に関する世の中の趨勢はTKIが優先なんですね。


でも何人かの先生は(前に出てしゃべっている先生方の中でも)、それぞれの考え方でプラチナダブレットを優先させておられる。T病院のT先生もダブレット優先されると聞いて、(私自身もプラチナダブレット優先派なので)ちょっとうれしかったです。


TKI優先時に問題になるPDの時の対処、RECIST PDかClinical PDか、どの時点で切り替えるか、という議論も、ウチのカンファレンスでもしばしば議論になるところですが、自分の考えが現在あるエビデンスに照らし合わせて妥当な考え方をしていることを再確認。やはり皆さん、患者さんとの対話の中で、患者さん一人一人にとって最適な解は何か、真剣に考えておられることがよくわかりました。


TKIと従来からの化学療法における耐性の概念、新しい研究デザインの考え方など、興味深かったです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:17 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2014年02月22日

滋賀医科大学呼吸循環器内科湖筍会第28回定期総会特別講演見聞録

先週の土曜日の話でいささか旧聞ではありますが、滋賀医科大学呼吸循環器内科(湖筍会)の定期総会(いわゆる同門会)で、退官される三ツ浪教授による特別講演がありました。聴講していていろいろと思うところがありましたので、備忘のため記しておこうと思います。


■学生による診療所実習を行ったところ、診療所の先生方から「良かった」「若い人が来るとやりがいがある」などのフィードバックがあった。

私も思うんですけど、若い人ってエネルギーがあるんですね。で、いろんなきっかけでそのエネルギーに火がつくと、すごいパワーを発揮する。これを見ているとすごくこちらの萎びた身体にもやる気がもらえる気がする…のです。


また、診療所の先生方は医師1人で診療されていることが多いとなりますと、いろいろとしんどいことが多いんじゃないか、と思うのです。私自身、一人で診療していて「?」と思うときに、誰かと言葉を交わして…ということがあります。それが若い先生で返事がもらえなくても、口に出してしゃべるだけで自分の中に「回答」が出てきたりするものです。誰か聴いてくれる人がいるだけでいい、みたいな。


もちろん看護師さんや他のスタッフの方もおられるでしょうが、なんというか立場的にお話ししにくい事柄もあるでしょう。


診療上難しいことがあって悩んでいても、普段はそれをなかなか出せないのが、学生相手だとしゃべられたりするかもしれません。


それとやはり「教える」ことによって自分での理解が深まる、ということも私自身が常に実感していることです。私のように体系立てて物事を学んでいないものが、少しはモノがわかるようになったのは、「教える」ことをはじめてからなのですね。それまでは本当に、イイカゲンな知識しかもっていませんでした。


ですから、ある程度のキャリアを持つ方は、どんどん若手に教えて頂きたい、と思っているのです。診療所の先生方も、そのようなことからポジティブなご感想を下さっているのかもしれません。



■理想の総合診療は、一次〜二次あたりまで総診で診て、二次以上の診療を専門科に引き渡す、というものになる。

そうですね…総合診療部の盛んなところは、大体スゴイ有名な先生がいて、その方に惹かれて多くの若い人が集まる、みたいな感じでスタッフの多い印象があります。


それで救急部門を(救急と合併した形で)一手に引き受け、さまざまな症例をある程度まで対応、その後専門医に引き継ぐ、みたいな形のところが多い印象があります。そうなると、たいていのことはそこでやってしまう、出来てしまうということになり、やる気のある若い先生たちには人気があるようです。


ウチでは、まあ、諸事情というヤツで、そうはいかなかった、ということです。



■家庭医は英米で既に1つの専門医という扱い。日本でもようやくこうなった。

日本では今までのところ、病院勤務の専門医がそれなりの年齢になったら開業して、家庭医のようなことをする、という流れであったわけですが、実は家庭医には特別な専門的スキルが必要で、研修で会得した医師が家庭医になることが出来る、とのことです。


何となく開業していろいろあるうちに何となくいろいろな知識を身につけて…みたいなことで、体系的に学ぶ機会がないと、例えば○○県には呼吸器の知識のある家庭医は少ない、のような事態になりかねないわけですね。



■仕事にモチベーションが保てないと辞めていくことになる。

非常に重要な視点であります。多少しんどくても、やはり仕事に楽しさ、やりがいを感じられることが人の幸せに通じるもの。仕事がつまらなければ、人生つまらないですね。ここの工夫も本当に大事ですね。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 13:32 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2014年02月16日

第23回月輪呼吸器疾患研究会見聞録

12日夜、第23回月輪呼吸器疾患研究会が開催されました。


毎回、会の規模に見合わない?、高名な先生方をお招きして開催され、大変ありがたい機会となっております。D日本S友製薬さんには感謝しております。本来の研究会とはこのように、聴衆のニーズにあったものを淡々と継続すべきものだと思います。他社さんにも見習って欲しいものです。


閑話休題。今回は、

「胸腺腫」個別化治療の確立をめざして

というタイトルで、名古屋市立大学大学院医学研究科 腫瘍・免疫外科学の准教授 矢野 智紀先生にお話を頂きました。


呼吸器内科医としてはなかなか勉強する機会のない胸腺腫。特に外科の先生がしっかり診ていただいている施設だと、内科医は疎遠になりがちじゃないかと思うのですが、矢野先生には基本的な、基礎的なところから現在の治療の考え方まで、興味深く教えていただきました。


ご存じの方も多いかもしれませんが、名古屋市立大学第二外科の先代教授は、かの正岡分類(胸腺腫の病期分類)を作られた正岡昭先生なのですね。つまり胸腺腫のメッカ。そういう症例の多い、また研究も熱心にされている施設の先生のお話はやっぱり面白い。


正岡昭先生、二代目の藤井先生に関する意外な一面のお話も大変興味深かったのですが、やはり胸腺腫の位置づけ、治療の考え方を基礎的な側面から教えていただけたのが良かったです。


胸腺腫は腫瘍細胞と非腫瘍性のリンパ球がさまざまな比率で混じっている独特の腫瘍ですので、程度の差はあれ「悪性」である、それゆえに必ず切除すべきなのです。


また、重症筋無力症(Myasthenia Gravis:MG)との合併が必ず言われていますが、胸腺腫を合併しているMGと合併していないMGは状況が異なっているとのことです。合併していない方は胸腺腫でなくても過形成があり、そこでB細胞が増殖し、骨髄など他の器官で抗体を産生している。したがって、過形成のあるところを全部とる拡大胸腺切除術でvolume reductionを図るのが理に叶っているとのこと。


浸潤型胸腺腫の術前化学療法として、骨髄抑制などのないステロイドパルスをよく使われているというのは、根拠を含めてなるほど納得でした。


他にもいろいろと興味深いお話を頂けてよかったです。矢野先生、ありがとうございました。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:27 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2014年01月20日

Asthma symposium見聞録2

大林浩幸先生による「吸入指導」「医療、医薬連携」のお話をもう少し。



・どこの薬局に行っても同じ吸入指導が受けられる、ということのメリットは計り知れない。行く場所によって言うことが違うと、患者さんのモチベーションは低下してしまう。

・よい吸入指導とは「見ざる、聞かざる、言わざる」の逆である。患者さんを見て、患者さんのお話をよくよく聴いて、(患者さんの状況にあった吸入を考えて)よくお話しすること、これが大事。

・統一検定試験を行い、実技を取り入れることで認定薬剤師を認定する委員会を立ち上げた。テキストは寄付を集めて出版した。

・当初全国でスキルを統一しようと製薬メーカーに働きかけたこともあったが、今では各地域性もあるとのことで、地域ごとに認定、という形式にしている。

・デバイスは工業機械の特許で守られている。そのおかげでなかなか後発品が出ない。なので、無理やり感?のあるデバイスが出たりする。

・一般医家に対する啓蒙はどうしたか。まず講演会を毎月やる。有名人をたくさん呼ぶ。不便なところにはこちらから出向いて、各地区を回ることで参加率を上げる。参加者はドクターだけでなく、薬剤師さん、看護師さん、理学療法士さん、MRさんも会社のバッジを外して(会社の垣根を越えて)参加される。

・基本を何度も繰り返す。基本的なことは簡単なんだ、ということを紹介し、そこを越えたら専門医に紹介して頂く。結果、どこの医療機関からでも同じような処方をされるようになった。

・認定をとりたい薬剤師の方は熱意があるので、一緒に物事をやるとどんどん進む。そしてその薬剤師の方から一般医家の先生方にいろいろな情報がフィードバックされる、という好循環を生む。
(内容ここまで)


特に本編終了後の、委員会や講演会の立ち上げに関わるお話が、とても参考になりました。
大林先生、本当にありがとうございました。


滋賀でも、以前大林先生と一緒にやっておられた小熊先生を中心に、同様の基準で「滋賀吸入療法連携フォーラム」を立ち上げ、多くの熱心な薬剤師さんが集っておられるようです。これからのフォーラムの発展を祈って止みません。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 17:56 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2014年01月17日

Asthma symposium見聞録

昨日はAsthma symposiumという、メーカー主催の会に参加してきました。


子供が小さい間は、仕事以外の会には極力参加を控えていましたが、子供も2歳を超え、何となく参加要件がゆるんできたので、これからは外に出て勉強せねば、と思っています。


ということで、会への参加要件は「仕事」「話を聞きたい講師の先生」「若手にとって役に立つ講演への引率」としておきます。


MRさんへの私信みたいになってしまったので、話を戻します。今回の目玉は、東濃地区の喘息診療をお一人で立て直されたといっても過言ではない、大林浩幸先生による「吸入指導」「医療、医薬連携」のお話でした。


多くの興味深いお話を聞かせていただきましたが、印象深かったのは、「熱意」。たくさんの患者さんと向き合って、吸入指導をし、確認をしてこられた方ならではの事例をたくさん紹介頂きました。


あまり具体的なことをかくのはどうかとも思いますので(詳しくは書籍とDVDをご覧下さい、とのこと)、吸入指導で大事な精神と、お話を伺って感じたことを備忘的に書いてみます。



・とにもかくにも、吸入を続ければ喘息は必ず良くなる。

・逆に、喘息が悪くなるのは吸入を怠ったときである。

・ゆえに、医療者はチームを組んで、患者さんが吸入を続けられるよう支援すべきである。

・初診患者さんが、思ったほど喘息が良くなっていないときは、必ず吸入出来ているかどうかを確認する。多くの場合、出来ていないのである。

・喘息死の多くは高齢者であるが、吸入ステロイドが吸えていないのも一因ではないか。

・メーカー製の指導箋にはいくつかの「ピットフォール」がある。できが良くないとか失敗とかいう意味ではなく、文字通りの「落とし穴」である。1つは静止画で動きがないことによる勘違い、もう一つはキレイなお姉さんに目を奪われることによる。

・ずっと吸入を続けている患者さんのコントロールが悪化したときに、投薬を上乗せされがちであるが、吸入指導の確認で良くなる事例も少なくない。

・薬の分類は、患者さんにとってはデバイス側からの分類の方が分かりやすい。回転型かプッシュ型か。

・確認するときには、出来ないことをチェックする。


まだまだ続きます。後半はいろいろなシステムを作る上でのお話も。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 17:25 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年12月09日

滋賀IPF研究会見聞録「特発性間質性肺炎の診断と治療のUP to date」2

@IPFをしっかり同定すること(続き)
Aステロイドを使うべき例を見極めること

前回HRCTにおけるUIPパターンの特徴(ATSガイドラインに掲載されているもの)をご紹介しましたが、さらに付け加えてご紹介いただいた所見。


・しばしば蜂巣肺とtraction bronchiectasisの異同が問題になるが、胸膜面に(嚢胞によって)凸凹が見られる場合それは蜂巣肺、胸膜面がなめらかな場合、肺末梢の変化はないと解釈できるのでtraction bronchiectasisと考えている。


・1円玉程度の狭い範囲に正常、網状影、蜂巣肺が同居していたら、それがheterogeneietyである。


また、1時点で診断を決めてしまうのではなく、経過での悪化や、治療反応性など、「時間」を勘案して診断を考えるようにしている、とのことでした。確かにHRCTで当初診断に迷うことや、病理で初期診断を決めても後に膠原病が出てくることもあり、「決めつけてしまわない」ことがカギかとも思いました。



ステロイドを使うべき例は、前回挙げた「HRCTにおけるUIPに矛盾するパターン」を参考にします。また、「膠原病や血管炎のにおい」がしたら、ステロイド+免疫抑制剤を積極的に使う、とも言われていて、大いに賛同しました。


ピルフェニドンについては、本来IPFの軽症、中等症の時期から使いたい、ということで、導入の基準として%VC>70%、労作時SpO2 <90%の症例で、特定疾患申請をして使われているとのこと。また、NSIPでも、線維化が進行している症例では効果が見られたこともあるようです。



B肺癌の発症、急性増悪を起こしやすいことに注意する。

結局のところIPF患者さんが亡くなる原因の多くは肺癌発症か、急性増悪です。これは実感としても、統計上も確かなことです。


特に急性増悪の多くは冬場に起こっていることから、「如何に冬を越すか」が大切である、ということをおっしゃっておられて、これも共感しました。そもそも冬は血管収縮しやすいことがあるからか、皆さん調子が悪くなられる。


そこへ感冒が加わり、ドッと急性増悪。↓↓↓


急性増悪の治療はどこも共通で、パルス、CsA、IVCY、それに施設によってはPMXと。リコモジュリンも試験的に使われることがあるようです。


ということで復習完了。明日からまた、診断手順に戻ります。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:34 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年12月06日

滋賀IPF研究会見聞録「特発性間質性肺炎の診断と治療のUP to date」

昨日は第4回滋賀IPF研究会という、まあ何というかマニアックというか…な会に参加してきました。


賢明な読者の方はおわかりと思いますが、シオノギ主催の会です。( ̄▽ ̄;)


そこでウチの新人Y先生が発表デビュー戦を飾り、堂々とハキハキと発表して頂きました。デビュー戦としては申し分なかったと思います。




その後特別講演として神奈川県立循環器呼吸器病センター副院長の小倉高志先生による、「特発性間質性肺炎の診断と治療のUP to date」と題した熱演を拝聴しました。


流石に、多くの症例を診ておられる、VATsもたくさんしておられる小倉先生だけに、特発性間質性肺炎診療を考える上で大切なこと、これまで何となく思っていたことを明確に言語化して頂き、とてもスッキリしました。いくつか備忘のため、メモに私見を交えてoutputしておきます。


■特発性間質性肺炎診療で大切な基本戦略

  • IPFをしっかり同定すること

  • ステロイドを使うべき例を見極めること

  • 肺癌の発症、急性増悪を起こしやすいことに注意する。



@IPFをしっかり同定すること

小倉先生は特発性間質性肺炎(IIPs)であれば早期からVATsを施行され組織学的情報も含めて評価されています。しかしなかなかそれはハードルが高いことも確か。


それゆえに、2011年版ATSガイドラインで挙げられているHRCTパターン別の読影がやはり重要になってきます。



*HRCTにおけるUIPパターン(4つの所見全てを満たす)

  • 胸膜直下、肺底部優位の分布

  • 網状影

  • 蜂巣肺(traction bronchiectasisはあってもなくても)

  • UIPパターンに矛盾する所見がない(後述)




*HRCTにおけるUIPの可能性ありパターン(3つの所見全てを満たす)

  • 胸膜直下、肺底部優位の分布

  • 網状影

  • UIPパターンに矛盾する所見がない(後述)


要するに蜂巣肺がないと、UIPパターンとは断言できない、ということですね。逆に蜂巣肺がなくても、分布などからUIPの可能性あり、とすることがあるってことにもなります。



*HRCTにおけるUIPに矛盾するパターン(7つの所見いずれかがある)

  • 上〜中肺優位の分布

  • 気管支血管束周囲の分布

  • 広範囲のすりガラス陰影(範囲が網状影の範囲より大きい)

  • 小粒状影が豊富に見られる(両側、上葉優位)

  • 不連続の嚢胞(多数、両側、蜂巣肺から離れた場所に存在)

  • びまん性のモザイクパターン/エア・トラッピング(両側、3葉以上に存在)

  • 肺区域や葉に拡がるコンソリデーション


これらの所見のいずれもUIPでは見られない所見です。問題になるのが3番目のすりガラス陰影(の範囲)で、ここの解釈が放射線科医の先生でも若干ずれることがある、と言われていました。


実際問題、これだけ厳密にHRCTでUIPパターンと判断しても、組織を見てみると異なっていた、という事例は少なからずあり、それゆえに病理組織を見ているのだ、という論理には説得力があります。


逆に、IPFでない症例を如何にピックアップするか、というところにからめて、以下のようなこともご紹介いただきました。


  • IPFでKL-6>3,000はあまりない。chronic HPや他の疾患を考えるべき。

  • 50歳以下の間質性肺炎は必ず2次性、を考える。特にIPFは老化の面もあり、高齢者の疾患である。

  • 胸膜下線状影curved linear shadowは細気管支の病変を表すので、膠原病や吸入物質による間質性肺炎を示唆する。



2次性のところでは、特にchronic HPにおける詳細な病歴聴取の重要性を説かれました。
鳩糞によるものでは、自宅から300mのところにある鳩小屋が原因であった例を挙げ、自宅から1km以内!の鳩小屋はチェックするようにしている、とのことでした。


他にクジャクの剥製で発症した例もあるそうです。住居関連では治療に難渋した例も紹介いただきました。


…まだまだご紹介したいので、もう少し続きます。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 17:31 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年11月29日

第82回日本呼吸器学会地方会「稀少肺疾患・その他」セッション予習5

■胸水貯留を呈したIgG4関連肺疾患の一例

概要
80歳代男性。顎下線腫脹あり、生検、血清IgG4高値よりIgG4関連ミクリッツ病と診断した。間質性肺炎像の悪化と左胸水が出現したため気管支鏡と胸腔穿刺を施行した。気管支肺胞洗浄液、胸水共にIgG4分画が高値であったためIgG4関連肺疾患と診断しPSL30mg/日開始。顎下線、胸水、間質性肺炎の改善を見た。


所感
IgG4関連疾患の報告は増えていますが、疾患の特徴として腫瘤形成、というところがあり、肺の間質性陰影や胸水の報告は少ないようです。


おそらくポイントは、肺病変は何であろうか、というところになるでしょう。IgG4がその場所に多い(BALF、胸水)、という点をもって診断しても良いのか。原則は病理における浸潤をみることですが、好酸球増多症のように「その場所に多い」ことが診断根拠になるのか。これはお詳しい先生のご意見を伺いたいですね。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:13 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

第82回日本呼吸器学会地方会「稀少肺疾患・その他」セッション予習4

■18歳で発見された先天性嚢胞性腺腫様奇形の一例

概要
10代男性。感冒様症状に続いて高熱、頭痛あり、精査の結果CTで右下葉の多発嚢胞と浸潤影を認めた。初回は抗菌薬加療で軽快したが、その後発熱を繰り返したため右下葉切除術を行い、病理所見より先天性嚢胞性腺腫様奇形と診断した。小児期でない発症例は少数である。


所感
う〜ん。そうですかあ…貴重な症例ですね。なんか発表後の、会場の静けさが想像できます…。


考察するところとすれば、、本症例が生後すぐは無症状であったにもかかわらずこのタイミングで症状が出たことについて、何らかの評価が必要かなとも思います。


ということで、短いですけれども今日はこの辺にして、広島呼吸器カンファレンスに行ってきます…と思ったら、行く前に更新できませんでした。というわけで、取り急ぎ木曜日の分、更新です。後ほど本日の分を更新します。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 09:44 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年11月27日

第82回日本呼吸器学会地方会「稀少肺疾患・その他」セッション予習3

■亜急性の進行を呈した肺胞蛋白症の一例

概要
60歳代女性。咳嗽を主訴に受診。当初慢性過敏性肺臓炎を疑い気管支鏡施行されるが診断に至らず。半年後呼吸困難症状悪化しステロイド+免疫抑制薬開始されたが改善に乏しく、気管支鏡検査を再検した。結果、肺胞蛋白症と診断し、肺胞洗浄を施行して症状、画像所見は改善した。


所感
この演題で問題となるのは、1回目の気管支鏡で診断できなかったのか、ということでしょうね。


画像上疑うような所見ではなかったのか、軽度であったため「米のとぎ汁」が還ってこなかったのか、手技の問題があったのか。


慢性過敏性肺臓炎を疑われたということは、鳥やその他、吸入抗原の生活歴があったということでしょうか。そのあたりの診断過程がきちんとなされていたのかどうかが気になります。



■近畿地区で発見した肺胞微石症剖検例の発見動機、長期経過の検討

概要
4例の検討。同胞発生、両親血族結婚、本症遺伝子変異検査が有用、病理像は一部骨化。


所感
もうこちらは全く経験のない疾患の貴重なご報告になります。地方会のこんな片隅で発表頂くのが申し訳ないところです。せめてセッションの最後にして、思う存分お話し頂きたいところなのですが…セッションのど真ん中で進行がタイトになってしまうのが申し訳ないです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 15:22 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年11月26日

第82回日本呼吸器学会地方会「稀少肺疾患・その他」セッション予習2

■肺炎治療後遷延する両側肺野浸潤陰影で診断に至った肺胞蛋白症の一例

概要
40歳代男性。発熱と息苦しさを主訴に受診。胸部X線写真で両側浸潤影、WBC、CRP上昇、尿中肺炎球菌抗原陽性であり肺炎と診断した。抗菌薬点滴で症状、検査所見改善し退院したが、その後長期間両側浸潤影が残存した。KL-6高値より肺胞蛋白症を疑い、BAL、TBLB施行し肺胞蛋白症と診断した。


所感
この発表の売りがどこになるのかが問題ですね。症例が少し若めであるぐらいでしょうか。教訓として肺炎を見たら肺胞蛋白症を疑うべし、とはならないと思うのです。頻度的に少なすぎる。本症例は肺胞蛋白症のみでは無症状と考えられるため、どの時点で疑うべきであったか、という話にはなるのでしょうが…特に発見動機として珍しいとも思えません。


この症例からどのような考察をされていくのかが腕の見せ所、ですね。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:01 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年11月25日

第82回日本呼吸器学会地方会「稀少肺疾患・その他」セッション予習

12月7日に開かれる第82回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「稀少肺疾患・その他」セッション座長を務めることとなりました。今回はお決まりの指定席(「稀少肺疾患・その他」)に戻った感があります。例によって、予習にお付き合いいただきたいと思います。


■胸水の原因精査に苦慮した、黄色爪症候群の一例

概要
胸水精査で紹介された中年女性。片側滲出性胸水であったが胸水検査では特異的所見を得られなかった。両側下腿浮腫、黄色爪より黄色爪症候群と診断された。


所感
胸水を採ってみたものの、特段診断に結びつく所見が得られなかった、というケースはしばしば経験されます。そういうとき、どのような鑑別疾患を挙げるべきか、しばしば悩みどころがあるものです。


黄色爪症候群は比較的稀な疾患で、リンパ管の発達不全の機序があるようですが、成因などはわかっていないようです。黄色爪、リンパ浮腫、胸水(呼吸器病変)を3徴とし、少なくとも2つの存在が必要です。


胸水採取では特段診断に結びつく所見が得られなかった、そのときの鑑別疾患にこれも入れる必要があるのでしょうか。Pleural diseasesにも「まれである。1986年までの報告数は97症例。」としてあり、それ以上あまり多くの事柄が掲載されていませんでしたが、どの程度の頻度で見られるものか、どういう所見が見られたら疑うべきか、というようなことをシェアできればいいなと思います。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:53 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年11月17日

肺聴診セミナー見聞録

そういうわけで、昨日は肺聴診セミナーに行って参りました。


肺音研究会というものの存在も知らなかった私ですが、呼吸器学会からのご案内で今年は京都でその研究会が開催されること、そして関連するセミナーが同時に開催されることを知りました。


まともに聴診教育を受けたとは言えない私、やはりこの機会に「その道の権威」の先生方に教えを請うべきであろう、と考えて、行楽シーズンまっただ中の京都に行って参りました。


1日掛けてみっちりと、いろいろな勉強が出来た貴重なひとときでした。また診断手順ガイドやそれ以外の記事にもフィードバックさせていきたいところですが、とりあえずの振り返りを。



■自分の理解で良かった点を確認できた。

連続音−wheezes
    rhonchi
断続音−coarse crackles
    fine crackles

の分類法の歴史、それと機序について学びました。自分の理解がほぼ権威先生方の統一見解と一致していることが確認できてホッとしました。



■新しい知見

ちゃんと勉強していなかったのが良くないのですが、声音振盪の理屈、肺内での音の伝搬を勉強できて、肺炎での身体所見や胸水での身体所見が変化してくる理屈が理解できたのでスッキリしました。



■どうしても主観的になるところがある、ということがわかった。

異常呼吸音を聞いて、「これを何と表現しますか?」と参加者に問うコーナーがあったのですが、まあ参加者が少しばらけるのは良いとしても、権威の先生方の見解が時に不一致を見ていたのが、何ともいえない微妙な雰囲気でした。



■プレゼンテーションスキルの大切さを実感。

今回のように数名の先生方に登壇いただく会ですと、プレゼンの差が歴然としてきますね。もって他山の石と為すべし、自分が受講する立場で「聞きやすさ」「わかりやすさ」を追求することが大切だなーと肝に銘じました。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 20:02 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年09月21日

第16回滋賀呼吸器感染症研究会見聞録2

19日の表記の会、最後に特別講演を大阪市立大学臨床感染制御学 掛屋 弘先生にお越し頂き、「呼吸器真菌症の治療戦略〜したたかなアスペルギルスとどう戦うか、その現状と課題〜」と銘打って1時間あまり、お話を頂きました。


いつも思うのですが、本当にスゴイ先生はお話が上手。専門にやっておられる、最新の知見をご存じであるのみならず、話のつかみ、展開の中で聴衆の興味を引くデータを挿入されて飽きない工夫をされていました。そんなわけで、本編のお話以外にも興味深いお話は多々ありました。



(以下、講演内容の覚え)
・日本初の侵襲性肺アスペルギルス症の診断確定例(剖検例)は、第5福竜丸で水爆実験の放射線を浴びた方。


・人は1日、数百〜数千個のアスペルギルス胞子を吸入しているが、普通の免疫能があれば発症することは少なく、免疫能のレベルによって病型も異なる。


・侵襲性肺アスペルギルス症は今でも診断が問題になる。βDグルカンは非特異的で偽陽性が多く、ガラクトマンナン抗原も偽陽性がある。CTでのhaloやcrescent signも特異的ではない。結局は生検など、とにかく菌体を得るのがベストだが…。


・結局はやはり、アスペルギルス症を生じうる状態かどうか、ここから入ることになる。そして臨床所見があうかどうか、そのあたりで、empiricに治療を開始せざるを得ない、ということになる。


・ガラクトマンナン抗原はアイスクリームを食べすぎて疑陽性になることもある。また、ガラクトマンナン抗原価の推移を治療効果の指標としない。


・アスペルギローマのcrescentと侵襲性肺アスペルギルス症のcrescentは異なるもの。アスペルギローマの方はモコモコ生えてきたカビの菌塊で、侵襲性の方は壊死した肺組織である。当初halo sign(周囲に出血)を呈し、その後壊死によりair crescent signに変化する。
(講演内容ここまで)


本当はもっともっと専門的なお話もありましたが、臨床にすぐフィードバックできるところをピックアップしました。


掛屋先生のお話で、元居られた某大学では教授に「どこそこに行きなさい」と言われたら、返事は意外な2つしかない、というエピソードも面白かったです。古き佳き?時代を思い起こさせるエピソードでした。掛屋先生、ありがとうございました。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 23:06 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年09月20日

第16回滋賀呼吸器感染症研究会見聞録

昨日、上記の会に行って参りました。本来、家庭の事情で平日夜のこういう会にはとっても出にくいのですが、(しかも前日じゃんけん大会をずっと見ていて子供の寝かしつけに参加しなかったこともあり…( ̄▽ ̄;))それでも行って参りました。


内容が盛りだくさんで、面白かった、行ってよかったです。この会は毎回人選が巧みなんですよねー。こちら共催頂いているのはD日本S友さんですが、こういう宣伝色の薄い?会をやって頂けるのには頭が下がります。無理かもしれませんが、末永く続けて頂きたいと念願します。


■1つめは「滋賀県におけるP.aeruginosaのサーベイランス報告について」。


コレもいろいろと思うところはありましたが、具体的なことはここでは書きません。まあ使ったら効かなくなるよね〜、を再認識しましたが、かなりヤバイ抗菌薬も出てきていますね…。



■2つめは「グラム染色から見える呼吸器病態所見」。AIORCOIDの相原先生による、「培養よりも、グラム染色が多くを物語る」というお話。何となくぼんやりと思っていたことを形にしてくださった、という感じ。


1つのポイントとしては、おそらく肺炎の原因菌は(昨今では特に)嫌気性菌が少なからずあるけれども、普通に培養したのでは生えてこない。それで「原因菌不明」にされている例があるが、グラム染色標本を見れば、誤嚥とか嫌気性菌とかはわかるものだ、というお話。若い先生には是非知っておいて頂きたいことです。


2つめのポイントは、検査技師さんと医師とはもっとコミュニケーションを取るべき、というもの。何となく結果を返して何となく見るのではなく、疑問があったら聞く、問題があれば突き返す(!?)、できれば症例カンファレンスを開く、そうしたことで検査報告のレベルを上げていかなければならない、そんなお話でした。


他にも、塗抹標本で感染症かどうかがわかる、多重感染がわかる、治療効果が迅速にわかる、などなど若手の先生方、技師さんにとって示唆に富んだお話をいろいろと聞かせていただきました。特別講演はまた明日にご紹介します。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:21 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年07月28日

第41回Shiga Chest Disease Conference見聞録

木曜日、表記の会に参加してきました。諸事情?でなかなかこの手の会には参加出来かねるのですが、長崎大学の教授になられた福岡順也先生による特別講演の魅力にはあらがえず、子供の入浴、歯磨きを放ったらかして、ついフラフラと参加してしまいました。


その特別講演、表題が

CPFE and LDCTD-ILD, Do they actually exist?”

という刺激的なもので、いつもながら、病理の先生であるのに臨床にぐぐっと踏み込まれた、大いに私見を交えられた、でも、だからこそ、大変興味深いお話でした。


「これを言うと怒られるのですが」「コルビーが言ってました」「このK先生のペーパーをrejectし続けてたのがK先生で…」などなどのエピソードトークも面白かったです。


若い先生方もちらほら居られたのですが、ちょっと大人向けのお話で、「難しかったです」との感想がちらほら。そうですね。私ぐらいでちょうど楽しめたんじゃないかなーと思いました。


間質性肺炎を考える上で、特発性群と膠原病群(LDCTD-ILD)、さらに喫煙が関与してきたCPFEをどう考えていくか、現在進行形で大変悩ましいところなのですね。


いろいろな標本、データを見せてくださったのですが、一口で言うと、病理の側からUIP病変は確実にあると。で、それはステロイドやその他の介入が無効な、いわば悪性に近い疾患で、それを種々の要素が修飾しているのではないか、という大変クリアーな考え方です。


いやもう、それでいいでしょ、って感じ。病理学、形態学上の議論にいささか辟易していた昨今、かなり魅力的でした。


また、以前入局宣言をしてくださっていたN先生が市立N病院から参加されていました。「再来年(3年目)にはお世話になります」、「こちらもちゃんと机を用意しておきます」と相思相愛を再確認。うれしいことですね。ホント、励みになります。


N先生にも確認されたのですが、なんかいろいろな噂?があるのですが、私はずっと滋賀医大にいますからね。「戻りたいけど、長尾先生いるのかな?」という心配はご無用です。どんどん戻ってきてください(笑)。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 10:24 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年07月13日

上級医・指導医として(猛省)

今日はかねて予告の通り、第81回日本呼吸器学会近畿地方会に参加し、「間質性肺炎2」セッションにて座長をしてきました。そのときのことです。


とある演題で私(座長)が演者の先生に質問をしたんですね。で、上級医の先生がそれに回答された。その場はそれで終わったのですが…。


後ほど責任者の先生が私のところに来られ、先ほどは不在であったと前置きされ、私の質問に関して他の自験例も引用されながら、丁寧に回答頂きました。


いや〜上級医、指導医の鑑ですね。見習わねば。と思っていたら、ウチの若手?の発表で大粗相が。



ウチの症例ではなく、若手の異動前の症例。予演もやって突っ込んでおいたところ。「あー、それはこういうことで…」と言われてそうかそうか、と安心していたら…あれれ、質問に対して、予演の時に言ってたのと違うことを答えるじゃあ〜りませんか。


ウチの症例でもないのに(しかも異動前の上司もいる前で)、「そうではなくて…」とも言えず。いったいどうすればよかったか…。もっと打ち合わせをしておくべきだったか…。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 22:32 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年07月10日

第81回日本呼吸器学会地方会「間質性肺炎2」セッション予習4

7月13日に開かれる第81回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「間質性肺炎2」セッション座長を務めることとなり、予習中。お付き合いいただけましたら幸いです。


■漢方薬多剤による薬剤性肺障害の1例

呼吸困難を主訴に来院、両肺野にすりガラス影を認め、KL-6 2013、SP-D 233と上昇。BALFリンパ球増加とCD4/8低下、TBLBでは非特異的胞隔炎のみ。ステロイド内服で改善し、DLSTで3剤の漢方薬共に陽性、1剤が偽陽性。また、好塩基球活性化試験でもそれに相関する結果を得た、という症例です。


小柴胡湯に代表されるように、漢方薬による、あるいは関連があると考えられる間質性肺炎は決して少なくないと考えられますが、診断自体は結構困難です。


例えば小柴胡湯は、それ自体がリンパ球刺激能を有していて、「DLST陽性」は全く当てにならない。おそらくそのあたりを克服されようということで好塩基球活性化試験も試みられたのかと思いますが、漢方薬における好塩基球活性化試験の位置づけに関しては不勉強で存じませんので、そのあたりも教えていただきたいところです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:44 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年07月09日

第81回日本呼吸器学会地方会「間質性肺炎2」セッション予習3

7月13日に開かれる第81回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「間質性肺炎2」セッション座長を務めることとなり、予習中。お付き合いいただけましたら幸いです。


■免疫抑制剤MTX治療中に発症した薬剤性肺障害と思われるRAの一例

治療開始時より両側肺底部に陰影を認め、MTX+PSL5mg開始したRA症例。経過中MTX増量後に咳、痰、息切れの訴えありすりガラス影の増強を認め、MTX中止しPSL25mgに増量したところ陰影は消退した、という報告です。


RAに合併した間質性肺炎症例はそう珍しいものではありませんが、いつも問題になるのは、「それは、RA肺か、薬剤性か」ということで、根拠をもって「こちらだ」と言い切るのはしばしば勇気が必要です。タイトルからして、「薬剤性と思われる」にはそれなりの根拠があるようで、その根拠が一つの考察ポイントになるでしょう。


そもそも間質性陰影を合併したRA症例は治療に苦慮することが多いものです。生物学的製剤、MTXさえも間質性肺炎には具合が良くない。サラゾスルファピリジンやタクロリムス、そして結局は、(最近はRAに使われなくなっている)ステロイドを使わざるを得ないこともしばしばです。


本症例では当初両側肺底部に陰影を認めていたところでMTX+PSL5mgを開始されていますが、この薬剤チョイスの理由もお聞きしたいところです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:24 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年07月08日

第81回日本呼吸器学会地方会「間質性肺炎2」セッション予習2

7月13日に開かれる第81回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「間質性肺炎2」セッション座長を務めることとなり、予習中。お付き合いいただけましたら幸いです。


今回は本当に、座長の力量を問われる様な演題が多く、どうしたものかと焦っております。


■間質性肺炎患者の繰り返し入院症例に関する検討

BAL液の細胞組成、血清マーカー、呼吸機能、画像パターンなどから、その後の繰り返し入院や予後について予測可能かどうかを後方視的に検討されたもの。


17症例について検討され、特に統計学的に有意な所見は得られなかった、とのことです。


このようなネガティブデータから何を教訓として得るかは今後の解析、検討に重要なことだと思います。いわゆる「失敗」から何を学ぶか、ということと精神は同じですね(もちろん「失敗」ではありませんが)。


そもそもの研究動機は、BAL中の好中球分画とその後の急性増悪とに相関はないか、ということのようで、これは急性増悪、あるいはDADに好中球が関与している、という機序を考えると当然の疑問であります。


個人的には急性増悪が「起こる前」に動きがなかった好中球が「起こった後」に上昇しているのであれば、好中球は「結果」であって、「要因」ではないのかもしれない、と思うわけですが、じゃあその他にどういった要因が考えられるか。


例えば急性増悪は感染を契機に起こることが多い。とすると、感染が起こりそうな要因を予見することは可能であるか?という疑問が出てきますね。そのあたりを議論できると面白いかもしれません。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:08 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年07月06日

京滋COPD講演会2013/07/05

facebookには既に書きましたが、木曜日の夜、表記の会に行って参りました。


家庭の事情( ̄▽ ̄;)もあり、あまり平日の夜、このような会には行かないのですが、今回は留学先の長であるJames C. Hogg先生がわざわざ来られる、ということで万難を排して参加した次第です。


この先生、リサーチセンター(UBC James Hogg Research Center)にご自身の名前が付くぐらいの方で、ということは偉大、かつ結構な高齢(私がいた頃既に定年…)なのですが、今もってバリバリの現役研究者、というスゴイ方。


今回もタイトルが「Pathogenesis of COPD」ということだったので、普通だったら過去の自身の研究を絡めて総論的な話をするところじゃないですか。それが、もう最初から「今やってる」研究の話一色で、「若いな〜」と感銘を受けました。


そうなんです。見た目もほとんど変わっていないし、本当に楽しそうに研究のことを話される。当に「The scientist」やな〜、と思いました。やはり常に新しいことをやり続けてるから歳をとらないんでしょうね。


講演後にお話しさせていただいたのですが、禿げネタが結構受けるということ、それと「textbookを書いたのか。いい本だったら英語でも出したら」と言われたことが印象的でした。なるほど。なんかいろいろな意味で元気を頂いてしまった、そんな京都の夜でした。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 13:18 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年07月05日

第81回日本呼吸器学会地方会「間質性肺炎2」セッション予習

7月13日に開かれる第81回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「間質性肺炎2」セッション座長を務めることとなりました。例によって、予習にお付き合いいただきたいと思います。


今回は抄録の到着がほとんど間際である昨日だったので、ちょっと焦っております。また、結構座長の力量を問われる様な演題が多く、さらに焦っております。



■CPFE合併肺癌術後に急性増悪した一例

CPFEに合併した肺癌(StageTA)に対して肺葉切除を施行したところ、急性増悪を来した、という症例報告です。


これまでに報告されている間質性肺炎合併肺癌の手術成績では10%以内の急性増悪があるようですが、喫煙と組織型ではUIPがリスク因子、とは言われています。


CPFEは比較的新しい概念であり、肺癌のリスクもあれば上記の「喫煙と線維化」というリスク因子も満たす、ということで症例の集積が期待されるところ。


発表される施設はおそらく症例を多数経験されていると思いますから、どのようにまとめられるか楽しみです。



■抗Interleukin-6受容体抗体により肺病変が改善した多中心性キャッスルマン病の1例

IL-6や抗Interleukin-6受容体抗体であるトシリズマブに関する基礎研究や他施設研究を数多く出されている大学からの1例報告です。


効果があることはわかっていて、保険適応も取れている薬剤の「効果があった」という1例報告は、症例の少ない施設ならわかりますが、ナゼ今???と?がたくさんついたりします。


当日あっと驚く情報がもたらされるのでしょうか。緊張しますね…。多中心性キャッスルマン病は最近当院でも経験があり、ステロイド投与で落ち着いていますが、どんな感じで経過するのか、というあたりを拝見しようと思います。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 19:09 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2013年04月20日

日本呼吸器学会に参加してきました。

毎度のことですが、諸事情から日帰りで、慌ただしい滞在でしたが、いくつか興味深い講演を拝聴することが出来ました。また日を改めてご紹介できればと思います。


そして、書籍コーナー!


いや、実は以前にも少し思っていたのですが、「やさしイイ呼吸器教室」発売記念イベントというか、購入いただいた方に感謝の粗品やサインなど…と思っていたのですが…。


なんと、書籍コーナー(書店)がいくつも!ありまして。各地に分散されて置かれていました。
あちこちコソコソと見て回っていたのですが…


2013-04-20gakkai 004.JPG


おー、こんなPOPを作っていただいてます!


2013-04-20gakkai 006.JPG


売れ行きベスト5、に入れていただきました。感謝です。


2013-04-20gakkai 003.JPG


こちらの書店では第10位。ありがたや〜。


数名購入いただいていた現場を目撃しましたが、こちらからお声をかけて「はぁ?」となってもなー、となんだかためらわれ、モジモジしっぱなしでした。(._.`)
ご期待くださっていた方は申し訳ございませんでした。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 22:36 | Comment(2) | 学会・研究会見聞録

2012年12月19日

第80回日本呼吸器学会地方会見聞録・膠原病セッション

先日の地方会では、前回に引き続き、膠原病のセッションで槇野先生に色々教えていただきました。
備忘のため、学んだ内容をシェアさせていただきたいと思います。


■RAに伴うOPやIPについて

アザチオプリン(イムラン)はIPやOPへの効果はほとんど期待できない。


MTX、Bio(生物学的製剤)はRAの肺病変に対して無効である。


RA-OPはPSLが必ず効くので、一旦落ち着いたら治療を終了し、再燃したら再投与、という形でよい。予防、という意味でダラダラステロイドなどをいくべきではない。



■ループス肺臓炎(SLE肺炎)について

SLE肺炎はまれである。SLEに対してPSLを投与していれば、SLE肺炎が生じるはずがない。もし治療中に肺炎(のみならず他臓器の病変も)が発症したのであれば、薬をのんでいなかった可能性がある。


SLEは診断されれば速やかに治療開始され、治療すると治るために、治療中にその他の臓器病変を見ることはほとんど無い。


SLE極期には出血傾向が強いため、気道内に出血が見られた所見はSLE肺病変に合致する。



と、このあたりで、地方会の振り返りは終わりたいと思います。
明日から、頂いていたご質問にお答えします。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:59 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2012年12月18日

第80回日本呼吸器学会地方会見聞録・インフルエンザと合併する肺炎診療

先日の地方会でも、色々と勉強させていただきました。
備忘のため、学んだ内容をシェアさせていただきたいと思います。


大阪大学医学部付属病院 感染制御部の関雅文先生によりますランチョンセミナーで、インフルエンザと合併する肺炎診療について勉強しました。



インフルエンザと肺炎が合併する割合は、医師会のデータで0.82%、ということなのですが、65歳〜79歳ではこの割合が2.06%、そして80歳以上になりますと、13.3%と激増するそうです。


スペイン風邪では数千万人が亡くなったとされていますが、後からその死因を確認したところ、やはり細菌感染、特に肺炎球菌、溶連菌、ブドウ球菌が原因菌として多く見られたとのことです。


これは2009年のパンデミックH1N1の時も同様の傾向があり、死因の80%が細菌感染で、特に米国の報告ではCA(community acquired)−MRSAが全例、ということもあったようです。日本ではCA-MRSAはまだ多くありませんが、そのうちに問題になることでしょう。


これまでにもインフルエンザ感染後のブドウ球菌、ということは言われていましたが、やはりそれを裏付けるデータが出ていましたね。示された症例は壊死性肺炎、というか、肺膿瘍であり、普通の表現型の肺炎ではなかった点も特筆すべきでしょう。


インフルエンザ+細菌による二次感染の場合、ウイルス感染単独、あるいは細菌感染単独のケースと比較して、ウイルス+細菌、という相加的な影響ではなく、ウイルス×細菌、という相乗的な影響がありますから、特に基礎疾患がある患者さんの場合にはリスクが高い、ということになります。


しかしながら基礎疾患がある場合に「予防的に」抗菌薬を使用すべき、というエビデンスはなく、マクロライド少量長期投与は必ず耐性を誘導することからやめておいた方がよい、という見解でした。


一方インフルエンザウイルスそのものによる肺炎は、ウイルスそのものの毒性、ということではなくサイトカインストームといった言葉で語られる過剰免疫の惹起がその本体であるようで、さまざまな検討をされていました。


一つ印象深かったのは、ウイルスによる肺炎は治るのも早く、肺水腫の要素が大きいのではないか、というお話。脳症でも血管透過性亢進が見られる、というデータもあり、そちらからのアプローチも今後可能になるかもしれません。



あと、タミフル(オセルタミビル)に関して。


日本は山ほどタミフルを使っていて、それが諸外国から(耐性の問題などで)非難されている部分もあったのですが、世間?の論調は変わってきております。


2009パンデミックの際に、日本だけ亡くなった方の割合が断然低かったことから、(特に「新型」ウイルスに対して)タミフル早期使用のメリットを世界に示したのは記憶に新しいところです。


それだけではなく、タミフル耐性株の出現頻度がタミフル使用量と必ずしも相関しないというデータも出て参りました。タミフルを全然使用していない地域で結構見られたりするのです。


タミフルは5日分処方されることが多いと思いますが、5日飲みきらないとウイルスは排除されません。しかし、患者さんの20%は、4日以下しか飲まれないそうです。途中でやめてしまわれるのですね。こういうことが耐性化に関わってくるのかもしれません。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:06 | Comment(3) | 学会・研究会見聞録

2012年12月17日

学会場でのモラルというかマナーというか、ルールというか。

そういうわけで一昨日の学会では、アワードセッションの座長をやったわけですが、アワードの性格上、そのセッションが終わってから審議を行い、最優秀演題と優秀演題を選出し発表する段取りであったわけです。


そのため、セッションの冒頭で「ご自分の発表が終わっても残っておいてください。最後に発表がありますから。」とアナウンスをしたわけですね。


そこで改めて思ったのですが、特にここ最近、ご自分の発表が終わったらさっさと出て行く発表者(およびその関係者)が多いのが目に付きますね。


私がはじめて発表したウン十年前、上級医からは「自分の発表が終わっても出て行ってはダメだ。ホッとして外の空気を吸いたい気持ちはわかるが、少なくともそのセッションが終わるまではその場にいるように。」と指導を受けました。


それはもちろん、すぐに次の演題が始まることから、人が動くと発表の邪魔になる、ということが大きいのですが、それ以外にも自分が勉強して発表した、同じジャンルの他の発表を見ることでより多くの学びを得る、という点、さらにそういう、色々と勉強した(建前の)場で質問をもすることで、さらに成長することが期待される、という面も無視できません。


それがどうも昨今では、ご自分の発表が終わったらそそくさと席を立つ、何だったら上級医とおぼしき方々も団体でがやがやと席を立つ。結構名のある施設の有名な先生方でもそんな感じであったりする風潮にあるようです。


それで、質問に立たれるのもその分野の権威の先生というか、そういう先生に限られていて、そのご発言は勉強になることも多いのですが、何となく雰囲気が硬直化しているような、そんな気もしておりました。


それを踏まえて、自分の時のアナウンスでは「本来ご自分の発表が終わられてもセッションが終わるまでは席を立たないのが建前…」と口を滑らせてしまったのですが、そこで起きた苦笑いは、私と同じことを思っておられる先生方もおられるのかなーと、少し意を強くしました。


若い先生方の育成のために、どんどん質問をしてもらいたい、若いうちのそういう経験は一生残りますから、是非ご自分の発表が終わっても残っておかれて、関連分野の発表に対して積極的に参加してもらいたい、そう思っています。


一昨日もそう呼びかけたところ何人かの若手の先生が質問されて、「活発な論議」になったのではないかな−と思っています。今後も、そういう感じでいきたいものです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 13:06 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2012年12月16日

今週の活動報告・第80回日本呼吸器学会地方会・その後

昨日開かれた第80回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「医学生・研修医アワード」セッションの審査員、および座長を仰せつかりました。


なにせ初めての試みで、審査の基準などどうするのだろう?と若干不安を抱えての当日でしたが、主催されている神戸大の先生がきっちりとした採点基準をご説明くださって、迷うことなく審査ができました。本当にお世話になりました。


上位陣はなかなかの激戦で、私が関与した二つのセッションのいずれでも同点者が出るという結果に。


うち一つは昨日(今日)報告いたしましたとおりウチの先生が絡んでいましたものですから、意見を聞かれましても、(奥ゆかしい私としましては)「いや、まあ、その…(モジモジ)」みたいな感じでありまして。


最終的には抄録段階での評価で決める、となり、めでたく受賞と相成りました。何度も申しますが、公正、かつ厳正な審査の結果であります!K先生と直接指導してくれたN先生に心からおめでとうと(昨日)言いました。



その後打ち上げに中華のお店に移動。しかし、ポートライナーからどえらく混雑。三宮駅に降り立つと、駅の中から大混雑。ポスターを見て「あっ…!」


そう、ルミナリエだったんですね。思い出せば結婚前に一度行って「二度と行くものか」と思った、あのルミナリエの場に居合わせることになろうとは…。もちろん現場には行ってませんが、とにかく駅近辺は大混雑。店も混雑。帰りの電車も大混雑でさんざんでした。


お土産に神戸のケーキを…と思ったのですが、大雨もあってウロウロする気にならずパンだけ買って帰りましたがこれまたおいしかったです。


そして中華もとっても良かったです。詳しくはfacebookにて。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 23:16 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2012年12月14日

第80回日本呼吸器学会地方会「医学生・研修医アワード」セッション予習

12月15日に開かれる第80回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「医学生・研修医アワード」セッション予習です。


今日は審査員をやるセッションの予習。

■アレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)に対して気管支鏡による粘液栓子除去が有効であった一例

概要
50歳代女性。ABPMの診断で吸入ステロイド、CAM、ITCZ内服していたが、発熱、低酸素血症(SpO2 91%)、PEF低下(180L/分)あり、ABPMの増悪と考え入院加療となった。内服PSL0.5mg/kg使用したが改善なく、粘液栓を気管支鏡下に除去した。するとPEFが180→300、SpO2 97%まで改善した。


所感
ウチでもABPMの難治例を診ていますが、粘液栓を機械的に除去してもすぐまた溜まるんじゃないか、と思っていました。文献的考察と長期的に見てどうなのかを教えていただきたいと思います。



■非特異的胸膜炎から発症した顕微鏡的多発血管炎の一例

概要
80歳代男性。労作時息切れあり近医受診し、両側浸潤影および両側胸水を指摘された。当科紹介され胸腔鏡施行したが非特異的胸膜炎との診断であった。その後腎機能が急速に悪化し、MPO-ANCA高値も判明、MPAと診断された。胸膜炎で発症したMPAはまれである。


所感
発症様式がまれである、というだけでは何とも。先行する胸膜炎の臨床的意義、胸膜炎合併例の臨床的特徴などに踏み込んでいただきたいと思います。



この後、ウチの症例を挟んで…。


■骨髄異形成症候群(MDS)に肺胞蛋白症を合併した一例

概要
50歳代男性。MDS経過観察中。健診胸部レントゲン写真で浸潤影を指摘され肺炎の診断で入院。骨髄検査でAMLに移行しており、肺炎治療を行ったが最終的に永眠された。剖検で肺胞蛋白症とアスペルギルス症が認められた。


所感
SLEに肺胞蛋白症とアスペルギルス症を認めた症例の経験があります。アスペルギルスは結果なのか原因なのか?



■肺胞蛋白症の治療を通して呼吸管理におけるNasal high flow systemの有用性を認めた一例

概要
30歳代男性。抗GM-CSF抗体陽性、VATSにて確定診断を得た。PaO2>80torrと良好であったが自覚症状が高度であるためNasal high flow system(NHFS)使用下に反復区域洗浄を施行し安全に施行し得た。


所感
NHFSはウチでも珍重していまして、何か演題を出そうかなと思っていたのですが…やっぱり出ましたね。これまでPAPで肺胞洗浄をする際には挿管人工呼吸管理下で行われることが多かったと思いますが、今後はNHFSが主流になっていくのでしょうか。そのための要件はどんなことが挙げられるのかを伺いたいところです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:12 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2012年12月13日

第80回日本呼吸器学会地方会「医学生・研修医アワード」セッション予習

12月15日に開かれる第80回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「医学生・研修医アワード」セッション予習です。


■横紋筋融解症による急性腎不全を合併し、血液透析を必要としたレジオネラ肺炎の一例

概要
50歳代男性。発熱と意識障害を主訴に来院。炎症反応、CPK高値、肝障害、腎障害あり尿中レジオネラ抗原陽性からレジオネラ肺炎と診断した。CTRXおよびAZM投与しつつ、腎機能悪化に対し血液透析を行い回復した。


所感
腎不全を合併したレジオネラ肺炎の救命例です。治療はともかく、診断のところがポイントにはなるかと思います。次の症例もレジオネラなので、併せて考えることになるでしょうか。



■医療・介護関連肺炎(NHCAP)として発症したレジオネラ肺炎の1例

概要
80歳代男性。ふらつきを主訴とし近医受診、肺炎との診断で紹介となった。認知症とPS3からNHCAPと診断し、ガイドラインのB群として誤嚥の要素を鑑みSBT/ABPCを投与した。その後レジオネラ尿中抗原陽性と判明し、CPFX+AZMを投与したが入院5日目に永眠された。


所感
認知があり、症状の出方が非典型的であったであろうレジオネラ肺炎にどこまで迫れるのか、また、治療はどこまでできるのかが論点となるでしょう。また、尿中抗原陰性であった場合にはどこまで診断に迫れるのかも興味深いところです。


また、本症例のようにNHCAPの要素がある症例では、感染経路も問題となるでしょう。



■腎移植後に胸部多発空洞性病変を認めたクリプトコッカス症合併の一例

概要
60歳代男性。腎移植後2年経過。高熱、多発空洞影あり髄液中抗原陽性と気管支鏡で菌体を認めたことよりクリプトコッカス症と診断。FLCZで治療開始したが髄液所見悪化し、L-AMBに変更し軽快した。しかしCre 7.6と上昇傾向を認める。


所感
画像がわかりませんが、ポイントは診断ということになりましょうか。移植後の腎機能も芳しくないようであり、今後の方針も知りたいところです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:45 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2012年12月12日

第80回日本呼吸器学会地方会「医学生・研修医アワード」セッション予習

12月15日に開かれる第80回日本呼吸器学会近畿地方会にて、「医学生・研修医アワード」セッション座長と審査員を務めることとなりました。例によって、予習にお付き合いいただきたいと思います。


勝手ながら自分が座長をするところから見て参ります。


■サバ寿司による窒息を契機に発症した陰圧性肺胞出血の1例

概要
ワーファリン内服中、食事中窒息し、吸引処置後胸部CTで両全肺野のびまん性網状影が見られた。気管挿管後の気管支鏡で両肺にびまん性の出血があり、上記診断となった。誤嚥による陰圧性肺水腫の報告が散見されており、陰圧性肺水腫から肺胞出血を来したと考えられる。


所感
陰圧性肺水腫の報告自体はそれほど多くないものの、今後超高齢化の進行に伴って誤嚥、窒息を契機とする陰圧性肺水腫は増加すると考えられる、というところの議論をどのように文献的に考察されるかが見どころです。


そもそも全身麻酔患者の抜管後、喉頭痙攣などに引き続いて観察された病態であり、今後どの程度増加すると見込まれるのか、窒息、誤嚥した患者さんでどの程度の割合で起こると見込まれるのかが論点でしょうか。



■前立腺癌に対する抗アンドロゲン療法により発症した薬剤性間質性肺炎の1例

概要
8ヶ月前に前立腺癌に対しビカルタミド内服およびリュープロレイン皮下注を開始された。1ヶ月前から乾性咳嗽が出現し、CTにて両側びまん性のすりガラス陰影を認め、BALFリンパ球増多、CD4/8上昇、BALFのDLSTでビカルタミド520%と陽性であり、同薬による薬剤性間質性肺炎と診断した。


所感
ビカルタミド使用中に間質性肺炎を来した症例で、BALFのDLSTで確定診断しえた症例ははじめてとのことです。なぜはじめてなのかという点の考察、今後同様の症例でもBALFでDLSTをすべきなのかに関しての指針などをお示しいただきたいところです。


また、抗アンドロゲン製剤としての反応の可能性もあるようで、今後の前立腺癌治療の方針についてはどうすればいいのかも教えていただきたいと思います。



■広範囲の肺野病変を認めた若年Mycobacterium kansasiiの一例

概要
小児喘息以外に基礎疾患のない33歳男性が著明な低栄養とやせを呈し、Mycobacterium kansasii症と診断された。INH、RFP、EB、CAM4剤で治療開始後高熱が持続した。


所感
Mycobacterium kansasii症は肺に基礎疾患がある例が40%程度あり、胸部レントゲン写真で正常でも粉塵吸入歴や重喫煙歴があったりすることがあるようです。本症例ではやはり「なぜ」発病したかの機序をどこまで考察できるかがポイントかと思います。


また、関連しますが、栄養状態の改善はどこまで可能であったか、つまり当初の状態がどこまで可逆的であったのか、そういうところを文献的考察と絡めていただけるといいんじゃないでしょうか。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:45 | Comment(2) | 学会・研究会見聞録

2012年07月20日

第79回日本呼吸器学会近畿地方会・第109回日本結核病学会近畿地方会見聞録2

6月30日に開催された上記地方会ですが、「膠原病」セッションに演題を出して長い時間その部屋にいたため、いろいろとそちら方面の勉強ができました。
備忘のため、学んだことを記録しておきます。


■血管炎の分類と名称について

やはり 多発血管炎性肉芽腫症glanulomatosis with polyangiitis:GPAという名前に変わっていくようです。Wegener氏がナチにかかわった、というのが理由のようですが、その手のどさくさに紛れて、様々な人体実験的なことが行われてきたことも確かであり、今更名称変更というのも不自然な気がします。


それはさておき、ANCA関連血管炎はANCA associated vasculitisでAAV、その中に含まれるのが、顕微鏡的多発血管炎microscopic polyangiitis:MPA、そしてWegener肉芽腫症がGPA、Churg-Strauss syndromeが元アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)なんですけど好酸球の浸潤する病態が強調されて好酸球性多発血管炎性肉芽腫症eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA、となります。ああややこしい。


これらの疾患は、疾患ごとにかなり特徴的な臨床像を持っており、現在の診断基準はそのあたりをうまくすくい上げているなーと感じます。


以前に書いたとおり、Wegener肉芽腫症(GPA)はE→L→Kの順に症状が出てくるとか、EGPAでは喘息が先行するとか、病歴などにも特徴があります。


また、治療反応性でも、MPAは抑え込みに成功すると落ち着く一方、GPAでは抑え込んだと思っていても、手をゆるめると再燃してしまうため注意が必要です。


もちろん、症例によってはそれらのoverlapであったり、断定できない、ということもままあり、そういう場合にはAAVとしているようです。


症例発表で好酸球増多を来したANCA関連肺胞出血の一例、がありました。この症例、診断基準としてはEGPAのものを満たしてしまいますが、腎病変や肺胞出血はEGPAでは普通来さないので、もっと適切な疾患名を当てはめるべき、と考えるのが自然である、という議論があり、自分の考え方にしっくり来たのがうれしかったです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 12:21 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2012年07月19日

第79回日本呼吸器学会近畿地方会・第109回日本結核病学会近畿地方会見聞録1

6月30日に開催された上記地方会ですが、「膠原病」セッションに演題を出して長い時間その部屋にいたため、いろいろとそちら方面の勉強ができました。特に膠原病にお詳しい大阪医科大学の槇野先生には、患者さんをたくさん診ておられる先生ならではの解説を頂けました。


いくつか備忘のため、学んだことを記録しておきます。


■RAに伴う胸水、胸膜炎の活動性は関節症状の活動性と並行しない、と言われることもあるが、実際は何が起こっているか。

臓器症状は臓器によって要求する治療のレベルが異なり、胸水を抑える治療をすると、関節痛も抑えられてしまう、ということにすぎない。

RA症例において長い経過の胸水を診たことがない、その理由は、他の臓器障害に対して治療を行うことで、胸水が消えるからかもしれない。

胸膜の線維化を予防、治療するために、PSL全身投与、PSL胸腔内投与、剥皮術などが考えられる。


■当科からの症例(SLEに合併した蛋白漏出性胃腸症)に関連して

SLEに合併した蛋白漏出性胃腸症を「証明」することは少ない。SLEは診断されれば速やかに治療開始され、治療すると治るために、それと気づかれることは少ないが、結構ある病態ではないか、と考える場面はあるとのこと。


■膠原病、血管炎、間質性肺炎などに対する血漿交換のタイミング

ステロイドパルス、エンドキサンパルスへの反応がよければ考えない。

反応が悪い、あるいは、2週後にANCAが半減していなければ血漿交換を行う。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 12:53 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2012年07月01日

第79回日本呼吸器学会近畿地方会・第109回日本結核病学会近畿地方会見聞録

昨日の地方会で、NHCAP(nursing and healthcare-associated pneumonia)のガイドラインの作成に携わられた、筑波大学の寺本先生のお話を拝聴しました。


前回の地方会では、大阪大学感染制御部の朝野先生のお話がありましたが、同じガイドラインの委員の先生でも、お立場、というかバックグラウンドによって、お話のベクトルが随分違っていて、かなり興味深かったです。


朝野先生はもう、微生物、病原体、あるいは検査の方面からお話を進めておられたのに対し、寺本先生は嚥下、誤嚥に焦点を当てたお話でした。


その中でも印象的であったのは、やはりガイドラインの骨子である、「どこまで治療するのか」論。いくつか備忘のため、覚え書きを拾ってみると…


  • イギリスでは、食べられない≒生きられない、であり、口からものを食べられない高齢者に胃瘻をするような文化はない。

  • William Osler曰く、「肺炎は老人の(安らかな死亡をもたらす)友」。

  • 口腔内容物の不顕性誤嚥は、高齢者ではありふれたものである。

  • とはいえ、原因菌は肺炎球菌が多い。現に肺炎球菌ワクチン接種で、肺炎の発症率が半減している。

  • 明らかな障害のない脳梗塞既往患者でも肺炎リスクは10倍になっている。

  • 誤嚥性肺炎は結局のところ、純粋な感染症とは言えず、治療も、感染症治療、すなわち抗菌薬治療だけでは不十分である。

  • 嚥下リハビリは、誤嚥の量を減らすが誤嚥内容物の質がよくないため、肺炎予防効果は認められていない。一方、口腔ケアは、誤嚥内容物の量を減らさなくても、質がよくなるので肺炎予防のエビデンスが出てきている。

  • 口腔ケアに加え、口の乾燥はよくないため、口腔乾燥を来す薬剤をやめることも必要で、のどを使うという意味では発声、つまりおしゃべりをしたり歌を歌ったりすることも嚥下訓練になる



誤嚥の程度が強い場合、抗菌薬を使っていったん炎症所見が治まっても、抗菌薬をやめると再燃する、ということがしばしば経験されます。その場合にどうするのか、などなど、実地医家の先生方を含め、熱い質疑応答がなされていました。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 22:30 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2012年02月19日

PETについて(呼吸機能イメージング研究会)1

先日開催いたしました、呼吸機能イメージング研究会のMeet the Expertsより。

会場係をさせて頂いた都合で、PETに関するお話を伺いました。講師は横浜市立大学放射線科の立石先生…の予定が、演者の変更がありました。


基礎的なところからお話し頂いたのですが、私も恥ずかしながらちゃんとわかっていなかった点が多く、勉強になりましたので、備忘のために記したいと思います。


FDGが集積しやすい場所(臓器)は、

  • 細胞増殖速度が速い

  • 細胞密度が高い

  • 未分化な組織である

  • 糖代謝が亢進している

  • 嫌気性代謝が盛んである


ところである、といわれています。


特に病気でなくても、生理的に集積する臓器は、上の条件を満たす


  • 心臓

  • 唾液腺

  • 肝臓


と、FDGが排泄される経路である腎・尿路系

また、激しい運動をすると筋に集積することから検査中は安静に、発声をするとのどに沈着することから検査中はしゃべらないようにします。
それと、血糖が高いと筋に集積するため、5−6時間絶食が必要です。糖尿病のある方は、注意が必要です。



集積の強さを表す数値はSUVといいます。
これは、投与したRIが全身に均等に分布したときの線量を1として、その場所の線量の強さを表す数値で、相対的な指標になります。

多くの場合、その場所の最高の数値、SUVmaxを用いて評価しますが、あくまで数値は相対的なものであり、経過での変化を評価するには向いていません。


通常は、注射1時間後と2時間後を測定します。1時間後から2時間後にかけてSUV上昇が見られれば悪性、低下すれば良性である、との報告もあるようですが、実際はoverlapもあり、なかなか言い切れるものではないとのことです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 21:47 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2011年12月04日

呼吸器科診療にたずさわる女性医師支援を考えるフォーラム

昨日の呼吸器学会近畿地方会、演題の変更などあり、もたもたしましたが、座長はなんとか終わりました。


その前の午前中に、「呼吸器科診療にたずさわる女性医師支援を考えるフォーラム」があり、私はなぜかワーキンググループの一員になっているため、参加してきました。


全国調査、学生アンケート、実際に専門病院で働いている女性医師の事例などが紹介されたわけですが…。
なかなかいろいろな意味で難しい会だったように見えました。


たとえば学生さんへのアンケートで、「将来のことをどう考えますか?」「専門医をとる気はありますか?」「学位をとる気はありますか?」と質問があるとします。女子の学生さんは「専門医をとる気はあるが、学位をとる気は減る」みたいな結果に。


N先生がやっていた質的研究を隣で見ていただけですが、アンケートは選択肢の作り方でどうにでもなる可能性があり、もう少し違う設問を作るために、質的研究が必要な気がしました。


私もキャリアを経るにつれて将来に対する考え方が変わってきています。男性でもそうであり、女性医師が、キャリアを経て、あるいは子供さんができて、子供さんがああなってこうなって、その都度考えが修正されていくことは間違いなく、学生の時期の考え方がどこまであてになるかも難しいところです。


で、女性に対する支援となっていますが、この視点がそもそも「女性(だけ)が子育てをする」という観点であり、男性の支援は考えていただけないのか、と、私なんぞは思うわけです。


うちは0歳〜9歳の4人いますので、もうそれはかなりかかわらざるを得ない、家で休むなんてことは夢のまた夢、であります。4人目生まれて以降は研究会の類もすべてお断り。しかもおとなしくて手のかからない子ならまだしも、自己主張が強く、手のかかる連中です…。
と書いていたら、その連中が邪魔しに来ました。それではこの辺で。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 17:28 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2011年12月03日

呼吸器学会近畿地方会「胸膜・縦隔疾患U」予習3・膵管胸腔瘻を確認し得た膵性胸水の1例・組織学的に中皮腫が否定され良性石綿胸水にて経過2年後、悪性中皮腫が発症した1例

■ 膵管胸腔瘻を確認し得た膵性胸水の1例

70歳代女性、膵炎にて加療中にアミラーゼ高値の右胸水を認め、検査で膵管胸腔瘻を確認し、手術で改善した。


…という症例です。右胸水の鑑別には必ず膵疾患を含める必要があり、アミラーゼ測定も行いますが、実際そういう症例にお目にかかることは少ないので、所見や画像をぜひ拝見したいところです。


問題になるのは機序のところと頻度、治療に関してでしょうか。膵臓がらみの機序で起こる以外にはあまりなさそうですので、診断に苦慮することは少ないように思うのですが。




■ 組織学的に中皮腫が否定され良性石綿胸水にて経過2年後、悪性中皮腫が発症した1例

胸腔鏡でいったん良性石綿胸水と診断され経過観察中に胸膜肥厚増大を認め、開胸胸膜生検で中皮腫と診断された。


…という症例です。

「良性(悪性じゃない)」の診断は結構難しいですね。特にこういう症例を見るとそう
思います。初診時に実際悪性ではなかったのか。どこまで診断を詰めるべきであったのか。画像診断や胸腔鏡の限界、そのあたりをdiscussionしたいところですね。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 01:11 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2011年12月02日

呼吸器学会近畿地方会「胸膜・縦隔疾患U」予習2・神経線維腫症1型に合併した縦隔原発の悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)の1例・左胸水貯留を認め、IgG4関連疾患・結核性胸膜炎との鑑別に苦慮した、リンパ形質細胞性リンパ腫の1例

■ 神経線維腫症1型に合併した縦隔原発の悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)の1例

30歳代女性、肺野の腫瘤影を摘出したところMPNSTであった。


…という症例ですが、なかなかdiscussionが難しいですね。「はぁそうですか」で終わってしまいそうな。
タイトルからすると、神経線維腫症1型(NF1=Recklinghausen病)はあったようですから、そもそもMPNSTのリスクはあったと考えられるのですが、診断に至った詳しい経緯が知りたいところです。

それとやはり治療と経過が気になりますね。




■ 左胸水貯留を認め、IgG4関連疾患・結核性胸膜炎との鑑別に苦慮した、リンパ形質細胞性リンパ腫の1例

70歳代女性、左胸水あり、後腹膜腫瘤を認めた。IgG/IgG4/IgM/sIL-2R高値であり、QFT陽性もあったことから診断に苦慮されたが、骨髄生検でリンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)と診断された。胸腔鏡下生検でLPLの胸膜浸潤を認めた。


…という症例です。

また出ましたね、QFT(笑)。この症例では、やはり診断の手順が問題になるような気がします。リンパ増殖性疾患の診断をどういう順番でつけるか。どのようにやれば回り道せずに診断できるか、そのあたりじゃないでしょうか。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 10:06 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2011年12月01日

呼吸器学会近畿地方会「胸膜・縦隔疾患U」予習1・胸腔内悪性黒色腫の稀な1例・primary effusion lymphomaの一例

■ 胸腔内悪性黒色腫の稀な1例

70歳代男性、胸水精査目的に胸腔鏡検査を施行したところ、胸腔内に多発する茶褐色の隆起性病変を認め、組織生検より悪性黒色腫と診断された。


…という症例です。
まあ、呼吸器をやっていて、悪性黒色腫を見る機会はあまりありませんので詳しくはないのですが、胸腔内に悪性黒色腫を見ることは滅多にないでしょう。ぜひ胸腔鏡所見を拝見したいと思います。


稀な病態であることはいいのですが、それではdiscussionになりません。まずは診断。悪性黒色腫を疑うようなポイントはあるのか。

まれである以上にdiscussionするべきポイントとしては、やはり治療かと思います。
抄録にはありませんが、治療をどう行われたのか。

基本は拡大切除と放射線、それにインターフェロンαというところだと思いますが、なかなか困難そうで、そのあたりの治療経過に注目です。




■ primary effusion lymphomaの一例

60歳代男性、胸水あり、胸腔穿刺を繰り返していたところ、胸水細胞が異形性を増し、CD20陽性となったことから診断。


…という症例です。

そもそもprimary effusion lymphoma(PEL)とはなんぞや?と思われる方も多いでしょう。元々AIDS関連リンパ腫としての疾患概念で、HHV-8感染との関連が判明しています。カポジ肉腫や多中心性Castleman病なんかもそうです。


でもこの症例はnon-AIDSなんですね。non-AIDSでどういった症例がPELになるのか、実は結構多いのか、どういうときに疑うべきか。
滲出性胸水の診断がつかない、ということもしばしば経験するわけで、細胞診すべて免疫染色をすべきか…。

表面マーカーではCD45陽性が多いようですが、CD20陽性で診断していいのか。
EBウイルス感染の合併が多いようですが、それはあったのか。

いろいろ疑問はありますが、発表者の先生はしっかりされた方ですから、きちんとそのあたりも考察してくださるでしょう。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 09:45 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2011年11月30日

第78回日本呼吸器学会近畿地方会で座長をやります。

来る12月3日に大阪で開かれる、第78回日本呼吸器学会近畿地方会で、一般演題の座長を仰せつかりました。


セッションは、「胸膜・縦隔疾患U」であります。


これがかなりのやむごとなき先生であれば、その先生の専門領域の座長に指名されるわけですが、私のような下っ端は、だいたいあまり同年代の専門家の方が居なさそうな、希少疾患系のところにはめ込まれる感じです(しかもその中でも、TではなくてUというのが、いかにも珍しい疾患が集まったセッションだったりします)。


これまでにも、「肺循環・肺高血圧」「稀な症例2(これも1ではなくて2)」「ウェゲナー肉芽腫症」と、稀少なところを歴任して参りました。今回も、演題をみると、ある意味なかなか手強そうなラインナップであります。


  • 胸腔内悪性黒色腫の稀な1例

  • primary effusion lymphomaの一例

  • 神経線維腫症1型に合併した縦隔原発の悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)の1例

  • 左胸水貯留を認め、IgG4関連疾患・結核性胸膜炎との鑑別に苦慮した、リンパ形質細胞性リンパ腫の1例

  • 膵管胸腔瘻を確認し得た膵性胸水の1例

  • 組織学的に中皮腫が否定され良性石綿胸水にて経過2年後、悪性中皮腫が発症した1例



(以上すべて原文のまま)


H先生 に見せていただいた「How to make a good presentation(よい発表のやり方)」みたいな本がありました。
「座長のやり方」みたいな項目もあって、まずはじめに「会場の場所を確認」みたいなところから始まっていたのが結構目から鱗というか、驚きでした。


その本によると、「座長の専門分野を知る、座長の書いた論文を読む」というのも、発表者には必要である、てなことらしいですが、地方会レベルですと、上に書いたように、あまり当てはまらないかもしれませんね。


閑話休題、座長としては演題の予習をしておく必要がありますので、よろしければおつきあいください。
万が一発表者の先生がご覧になっていたら、何かの参考にはなるでしょう。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 13:37 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2011年09月17日

滋賀呼吸器感染症研究会

木曜日に、K先生が発表される、ということで行ってみました…が、K先生の発表には遅れてしまいました。ゴメンナサイ、K先生。でも後のケーキはおいしかったですね!


しかし特別講演、杏林大学感染症科教授の小林先生による、インフルエンザのお話はおもしろかったです。


抗インフルエンザウイルスの開発に関わっておられるとのことで、基礎的、学問的なお話から、新薬のウラ話まで、興味深く拝聴いたしました。


新薬の話はここではできないのですが、2つほどトピックのお裾分けを。


■H5ウイルスは呼吸不全と下痢を来しやすく、劇症型となりやすいが、その理由はレセプターが肺胞細胞や小腸に局在し、ウイルスが肺局所や腸に感染をしやすいから。

季節型ウイルスのレセプターは上気道に局在するため、そちらの症状が出やすい。


■冬に昨年流行したインフルエンザウイルスが溶け込んだ氷がとけた水を飲んだ渡り鳥が渡ってきて、糞をばらまくことでその年の流行が始まる。


いずれもなるほど〜という感じですね。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 11:32 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2011年02月17日

花粉症診療の現状と今後の展望

昨日は、とある研究会で上記の講演を聴いてきました。
講演されたのは、本学の耳鼻科、清水教授です。
普段なかなか聴けない、興味深いトピックが色々ありました。

若い先生方の参考と備忘のため、ポイントを箇条書きで残しておきます。
盛りだくさんの内容で、メモがきっちり取れなかったのが残念です。


花粉症の知識

世界三大花粉症

・イネ科(牧草)イギリス 1819年に報告
・ブタクサ アメリカ 1872年
・スギ 日本 1963年

スギは日本固有の針葉樹であり、スギ花粉症は日本固有の疾患である。
スギは花粉量が多く、飛散距離が長く、飛散期間も長い→影響が大きい

スギ花粉症患者さんの6-8割がヒノキ花粉症であるが、ヒノキは花芽の開く期間が短く、そのときに雨が降ると飛ばないなど、スギとの違いがある。

眼のかゆみはスギ花粉症の特徴で、ハウスダストによる鼻炎では起こらない。

小児アレルギー性鼻炎の低年齢化が問題となっている。
小児の花粉症には自然寛解がない。


治療薬について

Th2サイトカイン抑制薬(IPD)、トロンボキサンA2阻害薬(ベガ、ドメナン、ブロニカ、バイナス)、ロイコトリエン拮抗薬(オノン、キプレス、シングレア、アコレート)は、眠気や抗コリン作用がないので使いやすいが、即効性がなく、ある程度連用しないと効果を発揮しない。

Th2サイトカイン抑制薬(IPD)は、好酸球の増える病態、例えば、好酸球性中耳炎などにも有効。

トロンボキサンA2阻害-PGD2受容体拮抗薬(バイナス)、ロイコトリエン拮抗薬は、鼻汁だけでなく鼻閉にも有効。

第一世代抗ヒスタミン薬は、眠気や抗コリン作用などの副作用に対し、効果が限られており、現在ではもはや使われない。

(第一世代抗ヒスタミン薬について、具体的に商品名を挙げて、これは効く、効かないというお話もあったのですが、ここでは公表を控えておきます。)

点鼻ステロイドは眼症状にも効果がある。
点鼻後数秒間上を向いて、鼻呼吸する。

全身ステロイドを使うときは、セレスタミン1-2錠、あるいは、プレドニンを1-2錠という使い方。セレスタミンは抗ヒスタミン薬を含んでいるため、よく使われる。

アタラックス→ジルテック→ザイザルと進化してきた。

特に鼻閉が強いときには手術療法が選択されることもある。
下鼻甲介切除術:入院要。効果は長期間続く。
レーザーによる粘膜焼勺術:外来で施行可能だが、効果持続は短い。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 11:33 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2010年12月13日

胸水ヒアルロン酸のカットオフ値

ひき続き、三浦先生のご講演より。

胸水を採取したときに、ヒアルロン酸を測定したりすることがあるかと思います。
中皮腫で上昇すると言われているものですね。
教科書とかマニュアルを見ると「測定すべし」と書いてあったりします。

しかし、正常値、というか、異常とのカットオフ値、というのが、
意外にどこにも載っていなかったりするのです。

4万(ng/ml)とかいう数字が返ってきても、多そうだけど、
一体どうなのか。
結構これは知られておらず、間違って認識している方も多い、とのこと。

カットオフ値は

100,000ng/ml(10万ナノグラム/ml)

だそうです。勉強になりました。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:00 | Comment(2) | 学会・研究会見聞録

2010年12月12日

胸膜プラーク(斑)について

三浦先生の講演から、備忘のために学んだことを。

アスベスト暴露でできる胸膜プラーク(斑)は、
血流のある壁側胸膜にできます。

臓側胸膜は血流に乏しいのでできません。

リンパ流入口でない、肺尖部やCP角付近にはできません。

結核性胸膜炎のあとの胸膜石灰化は、
肺尖やCP角にもできますし、
壁側胸膜、臓側胸膜両方にあるので、二重に見えます。

胸膜プラークは20年以上の曝露で生じます。
量にはあまり関係なく、年数が問題です。

その存在は「アスベスト曝露したという証拠」
にはなりますが、これだけでは病気ではありません。

いわゆる国からの補償は、認定された疾患(中皮腫や石綿肺他)を
発症していることが必要です。

それらの疾患は、曝露の年数に加えて
どのくらいの量曝露していたかが重要になってくるのです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 22:39 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2010年12月11日

石綿肺のスペシャリスト

今日は、呼吸器学会の地方会でした。
うちからの3題は、皆の努力の甲斐あって無難に?終わりました。

ランチョンセミナーで、横須賀市立うわまち病院の三浦先生によるご講演があり、
あまりにも印象深かったのでご紹介したいと思います。


横須賀は造船の町で、アスベストをそこら中でいっぱい使っており、
症例が豊富である、というお話から始まりまして。

とにかく、「豊富な臨床経験」という言葉がぴったりの、
患者さんをたくさん見ている方にしか語り得ない
大変興味深いお話がたくさん拝聴できました。


私の持論として、
「臨床医は、たくさん患者さんを見ている方がえらい」
というものがありますが、
(もちろん、私などはまだまだなのですが、目指すところとして)
こういう先生こそが、
「一流の臨床医」といえるのではないか、
おこがましくも、このように思った次第です。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 23:51 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録