長くなってしまいましたが、そもそもこの吸入療法特集を開始するきっかけとなった、F先生の質問を思い出してみましょう。そのF先生は、もたもた書いている間に、次のローテート科に行ってしまわれましたが…。
「病棟で使える吸入薬にはどのような種類があって、僕たちでも1st call時に使える薬はどんなのがあって、どんな風に使ったらいいですか。」
というご質問でした。
種類についてはこれまでに長々と書いて参りました。それで、研修医諸君のために、1st call
で使える薬とその使い方を挙げてみましょう。
基本的に、ほとんど副作用がなく、安全なのは去痰薬。まあまあ大丈夫で、しっかり効くのがβ2刺激薬です。痰が多いときには去痰薬を使いますし、気道をしっかり拡張させたいときにはβ2刺激薬を使います。
これらを、生食に混ぜてネブライザー吸入。生食の量は、ジェット式なら数ml、超音波式なら10〜20ml、というところです。その病棟でだいたいトータル何mlでやっているか、確認して同じくらいの量でやりましょう。
たとえば、術後の患者さんで、痰が固くて、切れにくくて困る、とcallされたら…
ムコフィリン吸入液 1回2ml
ビソルボン 1回2ml
のどちらかを、生食18mlに混ぜて、超音波ネブライザーで吸入、という風に行います。
喘息発作患者さんの時は、最近では
メプチン吸入液0.01% 1回0.3ml、または0.5mlの1アンプル
を使うことが多いんじゃないでしょうか。
それを、数mlの生食で溶いて、ジェットネブライザーで吸入して頂きます。
COPDで急性増悪、痰も切れにくい、なんていうときには、
メプチン吸入液1アンプル
ビソルボン2ml
生食適当量
を混合してネブライザー吸入して頂くと良いでしょう。
いずれの場合でも、病歴をよく確認して使うのは当たり前です。β2刺激薬を使うと動悸が激しくて、使用を見合わせているケースもあるのです。痰をあまり増やさない方がいい、という場合もあるでしょう。そのあたりは裁量が必要ですが、基本的な考え方はこんなところです。
ということで、しっかり適応を見定めた上で、吸入療法を使い分けてみてください。
吸入療法を最初から読む
2012年02月06日
2012年02月03日
吸入薬の種類・使い方各論6・抗アレルギー薬・呼吸器官用吸入薬溶解剤
■抗アレルギー薬
以前は小児を中心に結構使われていた抗アレルギー薬ですが、吸入ステロイドの効果と安全性が確立して以降、小児でも使用は減っています。
インタール吸入液1% 2mL 1回2mlを1日3〜4回(安定期には1日3回まで)
一般名をクロモグリク酸ナトリウム(Disodium cromoglycate:DSCG)といい、DSCGと呼ばれることが多いようです。本来の使い方としては、速効性は期待できず、定期的に発作予防目的で使用します。
古くから使われている薬で、副作用が少ないため、吸入ステロイド普及以前には頻用されていました。今でも、小児科では結構使われているようです。また、β刺激薬と混合OKなので、発作時にβ刺激薬と混合して吸入して頂くこともあります。
メプチン吸入液0.3〜0.5ml
インタール吸入液2mL
以上を混合し、ジェットネブライザーで反復吸入する。
(用量は成人量です)
ただし、インタールはビソルボンとは配合禁忌です。あくまでβ刺激薬との混合に限って使用します。また、小児科で強い発作時に使われるイソプロテレノールとの配合もダメですが、イソプロテレノール吸入はそもそも保険適応外の治療であり、ここでは取り上げません。
■呼吸器官用吸入薬溶解剤
要するに、生食と同じことで、薬を溶かしやすくする「溶剤」です。
アレベール吸入用溶解液0.125% 1回1〜5mlを呼吸器官用薬に用時混合
少量のβ刺激薬をネブライザー吸入する際に、0.3mlとかだとあまりにも少ないため、少し水分量を増やす目的で使われます。注意点としてはビソルボンとの配合禁忌。
ビソルボン、使いにくっ…。
吸入療法を最初から読む
以前は小児を中心に結構使われていた抗アレルギー薬ですが、吸入ステロイドの効果と安全性が確立して以降、小児でも使用は減っています。
インタール吸入液1% 2mL 1回2mlを1日3〜4回(安定期には1日3回まで)
一般名をクロモグリク酸ナトリウム(Disodium cromoglycate:DSCG)といい、DSCGと呼ばれることが多いようです。本来の使い方としては、速効性は期待できず、定期的に発作予防目的で使用します。
古くから使われている薬で、副作用が少ないため、吸入ステロイド普及以前には頻用されていました。今でも、小児科では結構使われているようです。また、β刺激薬と混合OKなので、発作時にβ刺激薬と混合して吸入して頂くこともあります。
メプチン吸入液0.3〜0.5ml
インタール吸入液2mL
以上を混合し、ジェットネブライザーで反復吸入する。
(用量は成人量です)
ただし、インタールはビソルボンとは配合禁忌です。あくまでβ刺激薬との混合に限って使用します。また、小児科で強い発作時に使われるイソプロテレノールとの配合もダメですが、イソプロテレノール吸入はそもそも保険適応外の治療であり、ここでは取り上げません。
■呼吸器官用吸入薬溶解剤
要するに、生食と同じことで、薬を溶かしやすくする「溶剤」です。
アレベール吸入用溶解液0.125% 1回1〜5mlを呼吸器官用薬に用時混合
少量のβ刺激薬をネブライザー吸入する際に、0.3mlとかだとあまりにも少ないため、少し水分量を増やす目的で使われます。注意点としてはビソルボンとの配合禁忌。
ビソルボン、使いにくっ…。
吸入療法を最初から読む
posted by 長尾大志 at 10:08
| Comment(0)
| 吸入療法
2012年02月02日
吸入薬の種類・使い方各論5・吸入ステロイド薬
強力な抗炎症効果と少ない副作用で、今や喘息治療に欠かせない存在の、吸入ステロイド。救急の現場ではなく維持期に用います。
具体的な薬剤名、使用法としては、
■ネブライザー吸入を行うもの
パルミコート吸入液
これは懸濁液と言って、元から薬剤を溶媒に溶いたものを小分けし、密封したものです。1回使い切りで、開封したら全て使います。最初からいい具合に配合しているため、生食などで薄めることもしません。そのままネブライザーに入れて、吸入します。
成人の通常量は、0.5mgを1日2回または1mgを1日1回、最高1日2mgまで使えます。小児では0.25mgを1日2回または0.5mgを1日1回、最高1日1mgです。
ネブライザー吸入を行える吸入ステロイドはが現段階でこれだけです。元々は定量噴霧器で吸入することが困難な小児に向けて発売となったものですが、その後吸入手技が難しい高齢患者さんなど、成人にも用いることが可能になりました。
■定量噴霧器として使うもの
フルタイド
パルミコート
オルベスコ
キュバール
当院採用のものでこれだけあり、他にもあります。用法、用量には幅があるため、詳しくはガイドラインなどを参考にすべきです。
使い分けなどはweb喘息講座・吸入ステロイドを、β刺激薬との合剤についてはweb喘息講座・吸入ステロイドと合剤を参照してください。
吸入療法を最初から読む
具体的な薬剤名、使用法としては、
■ネブライザー吸入を行うもの
パルミコート吸入液
これは懸濁液と言って、元から薬剤を溶媒に溶いたものを小分けし、密封したものです。1回使い切りで、開封したら全て使います。最初からいい具合に配合しているため、生食などで薄めることもしません。そのままネブライザーに入れて、吸入します。
成人の通常量は、0.5mgを1日2回または1mgを1日1回、最高1日2mgまで使えます。小児では0.25mgを1日2回または0.5mgを1日1回、最高1日1mgです。
ネブライザー吸入を行える吸入ステロイドはが現段階でこれだけです。元々は定量噴霧器で吸入することが困難な小児に向けて発売となったものですが、その後吸入手技が難しい高齢患者さんなど、成人にも用いることが可能になりました。
■定量噴霧器として使うもの
フルタイド
パルミコート
オルベスコ
キュバール
当院採用のものでこれだけあり、他にもあります。用法、用量には幅があるため、詳しくはガイドラインなどを参考にすべきです。
使い分けなどはweb喘息講座・吸入ステロイドを、β刺激薬との合剤についてはweb喘息講座・吸入ステロイドと合剤を参照してください。
吸入療法を最初から読む
posted by 長尾大志 at 13:10
| Comment(0)
| 吸入療法
2012年02月01日
吸入薬の種類・使い方各論4・抗コリン薬(気管支拡張薬)
抗コリン薬もβ刺激薬同様、気管支拡張薬で、随分以前から使われている古い薬です。
喘息における気管支収縮はβ受容体によるところが大きいため、喘息治療において抗コリン薬の出番は、β刺激薬が無効な時に少し出番があるか、といった程度です。
一方でCOPDの気管支収縮は、結構迷走神経系による、ということがわかってきました。以前は作用時間の短い抗コリン薬しかなく、効果も限定的だったのですが、10年ほど前から長時間作用する抗コリン薬(スピリーバ)が発売され、COPD維持期に定期的に使われて、大きな効果をあげています。
アトロベントエロゾル 1回1〜2吸入を1日3〜4回
テルシガン 1回1〜2吸入を1日3回
この2剤はpMDIです。作用時間が短く、多数回使用する必要がありますし、効果もそれほど強くありません。
スピリーバ
これはDPIと、レスピマットというpMDIに似た形式の定量噴霧器があります。
DPIはカプセルに穴を開けて、中の粉を吸う方式で、1回1吸入、1日1回、レスピマットは1回2吸入、1日1回です。いずれも、速効性を期待するものではなく、COPDの維持期に定期使用するものです。
吸入療法を最初から読む
喘息における気管支収縮はβ受容体によるところが大きいため、喘息治療において抗コリン薬の出番は、β刺激薬が無効な時に少し出番があるか、といった程度です。
一方でCOPDの気管支収縮は、結構迷走神経系による、ということがわかってきました。以前は作用時間の短い抗コリン薬しかなく、効果も限定的だったのですが、10年ほど前から長時間作用する抗コリン薬(スピリーバ)が発売され、COPD維持期に定期的に使われて、大きな効果をあげています。
アトロベントエロゾル 1回1〜2吸入を1日3〜4回
テルシガン 1回1〜2吸入を1日3回
この2剤はpMDIです。作用時間が短く、多数回使用する必要がありますし、効果もそれほど強くありません。
スピリーバ
これはDPIと、レスピマットというpMDIに似た形式の定量噴霧器があります。
DPIはカプセルに穴を開けて、中の粉を吸う方式で、1回1吸入、1日1回、レスピマットは1回2吸入、1日1回です。いずれも、速効性を期待するものではなく、COPDの維持期に定期使用するものです。
吸入療法を最初から読む
posted by 長尾大志 at 16:51
| Comment(0)
| 吸入療法
2012年01月31日
吸入薬の種類・使い方各論3・β刺激薬(気管支拡張薬)
β刺激薬は気管支拡張薬の代表で、正式にはβ2受容体を刺激する、β2刺激薬といいます。
そのうち、作用時間が短くて速効性のある、短時間作用性β2刺激薬(short-acting beta 2 agonist:SABA)は喘息の薬として、随分以前から使われています。
SABAは速効性にすぐれることから、喘息やCOPDといった気道が収縮する疾患の発作時、急性期に使用されてきました。
具体的な薬剤名、使用法としては、
■ネブライザー吸入を行うもの
アロテック吸入液 1回0.2〜0.5ml
ベネトリン吸入液0.5% 1回0.3〜0.5ml
メプチン吸入液0.01% 1回0.3ml、または0.5mlの1アンプル
(いずれも、用量は成人量です)
それぞれ1回量を、「適当量」の生理食塩水、または溶解液に溶いて、ネブライザーで吸入、という感じですが、ネブライザーの方式、あるいは機種によって「適当量」は異なります。だいたい溶解した液の総量が何ml、という感じで推奨されているので、それに従って量を決めます。
喘息で入院となった方には、上の1回量を定期的に1日3〜4回吸入、としたり、発作時に吸入、としたりします。救急外来で繰り返し吸入、という使い方もします。
■定量噴霧器として使うもの
メプチンエアー 1回2吸入
メプチンクリックヘラー 1回2吸入
サルタノールインヘラー 1回2吸入
メプチンの定量噴霧器には、加圧噴霧式定量吸入器(pressurezed metered-dose inhaler:pMDI、しゅっと、ガスが噴射されるタイプ=メプチンエアー)と、ドライパウダー定量吸入器(dry powder inhaler:DPI、微量の粉を吸い込むタイプ=メプチンクリックへラー)の2種類があります。
サルタノールを含め、いずれも、成人だと1回2吸入(発作時噸用、あるいは1日4回まで)、小児はその半分、1回1吸入が目安です。他院ではメプチンキッドエアーという、小児用量の製品もあります。
なお、ベネトリン=サルタノール=サルブタモール(一般名)です。
最近では、普段から発作予防に(吸入ステロイドと併用して)使える、長時間作用型β2刺激薬(long-acting beta 2 agonist:LABA)が開発され、喘息のコントロールが便利になりました。
とは言っても、喘息治療の柱は吸入ステロイドで、LABAはあくまで「症状をコントロールするために、吸入ステロイドの補助薬として使用する」という位置づけです。LABA単独では喘息を悪化させるため、使用してはなりません。
そういうわけで待ち望まれていた吸入ステロイドとLABAの合剤が、今では広く使用されています。詳しくはweb喘息講座・吸入ステロイドと合剤を参照してください。
COPDなんかですと、吸入ステロイドは必須ではないため、むしろLABA単剤で用いられたり、抗コリン薬と用いられたりすることもありますが、最近ではこちらも合剤が増えてきています。
pMDIは噴射用のガスにフロンガスを使っていた、ということから、最近開発された新しい薬ではDPIが採用されていることが多いのですが、LABAも例外ではありません。
セレベント 1回1吸入 1日2回
オンブレス 1回1吸入 1日1回
いずれもDPIです。救急の現場で使われることはないと思っておいていいでしょう。
吸入療法を最初から読む
そのうち、作用時間が短くて速効性のある、短時間作用性β2刺激薬(short-acting beta 2 agonist:SABA)は喘息の薬として、随分以前から使われています。
SABAは速効性にすぐれることから、喘息やCOPDといった気道が収縮する疾患の発作時、急性期に使用されてきました。
具体的な薬剤名、使用法としては、
■ネブライザー吸入を行うもの
アロテック吸入液 1回0.2〜0.5ml
ベネトリン吸入液0.5% 1回0.3〜0.5ml
メプチン吸入液0.01% 1回0.3ml、または0.5mlの1アンプル
(いずれも、用量は成人量です)
それぞれ1回量を、「適当量」の生理食塩水、または溶解液に溶いて、ネブライザーで吸入、という感じですが、ネブライザーの方式、あるいは機種によって「適当量」は異なります。だいたい溶解した液の総量が何ml、という感じで推奨されているので、それに従って量を決めます。
喘息で入院となった方には、上の1回量を定期的に1日3〜4回吸入、としたり、発作時に吸入、としたりします。救急外来で繰り返し吸入、という使い方もします。
■定量噴霧器として使うもの
メプチンエアー 1回2吸入
メプチンクリックヘラー 1回2吸入
サルタノールインヘラー 1回2吸入
メプチンの定量噴霧器には、加圧噴霧式定量吸入器(pressurezed metered-dose inhaler:pMDI、しゅっと、ガスが噴射されるタイプ=メプチンエアー)と、ドライパウダー定量吸入器(dry powder inhaler:DPI、微量の粉を吸い込むタイプ=メプチンクリックへラー)の2種類があります。
サルタノールを含め、いずれも、成人だと1回2吸入(発作時噸用、あるいは1日4回まで)、小児はその半分、1回1吸入が目安です。他院ではメプチンキッドエアーという、小児用量の製品もあります。
なお、ベネトリン=サルタノール=サルブタモール(一般名)です。
最近では、普段から発作予防に(吸入ステロイドと併用して)使える、長時間作用型β2刺激薬(long-acting beta 2 agonist:LABA)が開発され、喘息のコントロールが便利になりました。
とは言っても、喘息治療の柱は吸入ステロイドで、LABAはあくまで「症状をコントロールするために、吸入ステロイドの補助薬として使用する」という位置づけです。LABA単独では喘息を悪化させるため、使用してはなりません。
そういうわけで待ち望まれていた吸入ステロイドとLABAの合剤が、今では広く使用されています。詳しくはweb喘息講座・吸入ステロイドと合剤を参照してください。
COPDなんかですと、吸入ステロイドは必須ではないため、むしろLABA単剤で用いられたり、抗コリン薬と用いられたりすることもありますが、最近ではこちらも合剤が増えてきています。
pMDIは噴射用のガスにフロンガスを使っていた、ということから、最近開発された新しい薬ではDPIが採用されていることが多いのですが、LABAも例外ではありません。
セレベント 1回1吸入 1日2回
オンブレス 1回1吸入 1日1回
いずれもDPIです。救急の現場で使われることはないと思っておいていいでしょう。
吸入療法を最初から読む
posted by 長尾大志 at 18:35
| Comment(0)
| 吸入療法
2012年01月30日
吸入薬の種類・使い方各論2・去痰薬
去痰薬とは文字通り、去痰作用のある薬剤です。
痰の粘調度を下げる、痰を溶解させる、などの効果が謳われています。内服薬と注射薬、そして吸入薬があり、いずれも相当以前から使われている、古い薬です。
それだけに、現在の基準に照らし合わせるとエビデンス不足というものもあるようです。
最近の基準でエビデンスをきっちり出しているのは、いくつかの内服薬が中心で、安定期に定期的に使用することでCOPD患者さんの増悪頻度を減少させた、とされています。
まあ薬価が安いこともあり、メーカーもあまりエビデンス構築に注力していない、というのが実情のようです。
吸入薬に関しては、主に術後の無気肺予防に使われているのではないかと思いますが、喘息やCOPDの発作時、悪化時に使われているのも見かけます。
具体的な薬剤、使用法ですが、
ムコフィリン吸入液 1回1〜4ml
ビソルボン 1回2ml
(いずれも、用量は成人量です)
これらの原液を「適当量」の生理食塩水に溶いて、ネブライザーで吸入、という感じですが、ネブライザーの方式、あるいは機種によって「適当量」は異なります。だいたい溶解した液の総量が何ml、という感じで推奨されているので、それに従って量を決めます。
基本的には痰を切りやすくする、というのが目標ですから、痰の粘調度を下げる目的で多量の水が気道内に入る超音波ネブライザーを使われるケースが多いように思います。
さほど効果も副作用もない(言っちゃった…)薬ではありますが、注意すべき点を2つ。
いずれも、気管支喘息で気道が過敏になっている状態下では、添加物が気道反応を誘発して、気管支痙攣、大発作につながることがあります。
ですから、最近では喘息発作時にはあまり使用されなくなっています。
また、ビソルボンは、後日出てくる溶解剤であるアレベールと配合禁忌となっています。
吸入療法を最初から読む
痰の粘調度を下げる、痰を溶解させる、などの効果が謳われています。内服薬と注射薬、そして吸入薬があり、いずれも相当以前から使われている、古い薬です。
それだけに、現在の基準に照らし合わせるとエビデンス不足というものもあるようです。
最近の基準でエビデンスをきっちり出しているのは、いくつかの内服薬が中心で、安定期に定期的に使用することでCOPD患者さんの増悪頻度を減少させた、とされています。
まあ薬価が安いこともあり、メーカーもあまりエビデンス構築に注力していない、というのが実情のようです。
吸入薬に関しては、主に術後の無気肺予防に使われているのではないかと思いますが、喘息やCOPDの発作時、悪化時に使われているのも見かけます。
具体的な薬剤、使用法ですが、
ムコフィリン吸入液 1回1〜4ml
ビソルボン 1回2ml
(いずれも、用量は成人量です)
これらの原液を「適当量」の生理食塩水に溶いて、ネブライザーで吸入、という感じですが、ネブライザーの方式、あるいは機種によって「適当量」は異なります。だいたい溶解した液の総量が何ml、という感じで推奨されているので、それに従って量を決めます。
基本的には痰を切りやすくする、というのが目標ですから、痰の粘調度を下げる目的で多量の水が気道内に入る超音波ネブライザーを使われるケースが多いように思います。
さほど効果も副作用もない(言っちゃった…)薬ではありますが、注意すべき点を2つ。
いずれも、気管支喘息で気道が過敏になっている状態下では、添加物が気道反応を誘発して、気管支痙攣、大発作につながることがあります。
ですから、最近では喘息発作時にはあまり使用されなくなっています。
また、ビソルボンは、後日出てくる溶解剤であるアレベールと配合禁忌となっています。
吸入療法を最初から読む
posted by 長尾大志 at 12:42
| Comment(0)
| 吸入療法
2012年01月27日
吸入薬の種類・使い方各論1
総論はこのくらいにして、各論に入っていきます。とりあえず、当院採用の薬剤を例に使い方などを述べていこうと思います。
作用・薬効別に分類しますと…。
あたりに分けられます。
■去痰薬
文字通り、去痰作用のある薬剤です。痰の粘調度を下げる、痰を溶解させる、などの効果が謳われています。相当以前から使われていて、現在の基準に照らし合わせるとエビデンス不足というものもあるようです。
主に術後の無気肺予防に使われているのではないかと思いますが、喘息やCOPDの発作時、悪化時に使われているのも見かけます。
ムコフィリン吸入液20% 17.62%2mL
ビソルボン
■β刺激薬(気管支拡張薬)
β刺激薬は気管支拡張薬の代表で、随分以前から使われている古い薬です。即効性にすぐれることから、喘息やCOPDといった気道が収縮する疾患の救急現場で使用されてきました。
そのような使われ方をするのは、作用時間が短くて即効性のある、短時間作用性β刺激薬と呼ばれる薬剤群ですが、最近では、普段から発作予防に(吸入ステロイドと併用して)使える、長時間作用型β刺激薬が開発され、喘息のコントロールが便利になりました。
アロテック吸入液
ベネトリン吸入液0.5%
サルタノールインヘラー100μg 0.16%13.5mL
メプチン吸入液0.01%
メプチンエアー10μg 0.0143%5mL
メプチンクリックヘラー10μg 2mg
セレベント
オンブレス
■抗コリン薬(気管支拡張薬)
抗コリン薬もβ刺激薬同様、気管支拡張薬で、随分以前から使われている古い薬です。喘息における気管支収縮はβ受容体によるところが大きいため、喘息治療において抗コリン薬の出番は、β刺激薬が無効な時に少し出番があるか、といった程度です。
一方でCOPDの気管支収縮は、結構迷走神経系による、ということがわかってきまして、長時間作用するスピリーバがCOPD維持期に定期的に使われて、大きな効果をあげています。
アトロベントエロゾル
テルシガン
スピリーバ
■吸入ステロイド薬
強力な抗炎症効果と少ない副作用で、今や喘息治療に欠かせない存在の、吸入ステロイド。救急の現場ではなく維持期に用います。ネブライザーに対応した吸入液は小児や吸入手技が難しい患者さんに用いられています。
パルミコート吸入液
フルタイド
パルミコート
オルベスコ
キュバール
■抗アレルギー薬
以前は小児を中心に結構使われていた抗アレルギー薬ですが、吸入ステロイドの効果と安全性が確立して、小児でも使用は減っています。
インタール吸入液1% 2mL
■呼吸器官用吸入薬溶解剤
要するに、薬を溶かしやすくする「溶剤」です。
アレベール吸入用溶解液0.125%
ということで、本当の?各論は、来週以降に…。
吸入療法を最初から読む
作用・薬効別に分類しますと…。
- 去痰薬
- β刺激薬(気管支拡張薬)
- 抗コリン薬(気管支拡張薬)
- 吸入ステロイド薬
- 抗アレルギー薬
- 呼吸器官用吸入薬溶解剤
あたりに分けられます。
■去痰薬
文字通り、去痰作用のある薬剤です。痰の粘調度を下げる、痰を溶解させる、などの効果が謳われています。相当以前から使われていて、現在の基準に照らし合わせるとエビデンス不足というものもあるようです。
主に術後の無気肺予防に使われているのではないかと思いますが、喘息やCOPDの発作時、悪化時に使われているのも見かけます。
ムコフィリン吸入液20% 17.62%2mL
ビソルボン
■β刺激薬(気管支拡張薬)
β刺激薬は気管支拡張薬の代表で、随分以前から使われている古い薬です。即効性にすぐれることから、喘息やCOPDといった気道が収縮する疾患の救急現場で使用されてきました。
そのような使われ方をするのは、作用時間が短くて即効性のある、短時間作用性β刺激薬と呼ばれる薬剤群ですが、最近では、普段から発作予防に(吸入ステロイドと併用して)使える、長時間作用型β刺激薬が開発され、喘息のコントロールが便利になりました。
アロテック吸入液
ベネトリン吸入液0.5%
サルタノールインヘラー100μg 0.16%13.5mL
メプチン吸入液0.01%
メプチンエアー10μg 0.0143%5mL
メプチンクリックヘラー10μg 2mg
セレベント
オンブレス
■抗コリン薬(気管支拡張薬)
抗コリン薬もβ刺激薬同様、気管支拡張薬で、随分以前から使われている古い薬です。喘息における気管支収縮はβ受容体によるところが大きいため、喘息治療において抗コリン薬の出番は、β刺激薬が無効な時に少し出番があるか、といった程度です。
一方でCOPDの気管支収縮は、結構迷走神経系による、ということがわかってきまして、長時間作用するスピリーバがCOPD維持期に定期的に使われて、大きな効果をあげています。
アトロベントエロゾル
テルシガン
スピリーバ
■吸入ステロイド薬
強力な抗炎症効果と少ない副作用で、今や喘息治療に欠かせない存在の、吸入ステロイド。救急の現場ではなく維持期に用います。ネブライザーに対応した吸入液は小児や吸入手技が難しい患者さんに用いられています。
パルミコート吸入液
フルタイド
パルミコート
オルベスコ
キュバール
■抗アレルギー薬
以前は小児を中心に結構使われていた抗アレルギー薬ですが、吸入ステロイドの効果と安全性が確立して、小児でも使用は減っています。
インタール吸入液1% 2mL
■呼吸器官用吸入薬溶解剤
要するに、薬を溶かしやすくする「溶剤」です。
アレベール吸入用溶解液0.125%
ということで、本当の?各論は、来週以降に…。
吸入療法を最初から読む
posted by 長尾大志 at 12:11
| Comment(2)
| 吸入療法
2012年01月26日
吸入薬の種類・使い方・気道内に薬剤をdeliveryする手段として、ネブライザーか定量噴霧器か、どちらを選択するか3
ネブライザーと定量噴霧器について、誤解を恐れずに違いを並べてみると、次のようになります。
■デバイスが簡単なものか、大層なものか
これはもうそのままですが、ネブライザーは電源が必要であることと、ある程度の大きさがあるため携帯に不向きである一方、定量噴霧器はその逆で携帯が容易です。
また、ネブライザーは機器を購入する必要があり、それが数万円するため費用負担の点でもハードルがあるわけです。
ですから通院中の患者さんが家で吸入するという目的であれば、まずは定量噴霧器を使用することを考えます。
対して、救急受診時や入院中など、病院や医院、施設などに置いておくものとしては、ネブライザーで良いわけです。
■1回で吸入するか、何回かの呼吸で吸入するか
定量噴霧器は、1プッシュ、あるいは1吸入では、およそ1回の吸気にあわせて薬剤を吸い込むことになります。ですから、うまく同調できない患者さんや吸気の弱い乳幼児、大きく吸えない発作時などには、きちんと薬剤が体内に入らない可能性もあるのです。
もちろんきちんと吸えれば、決められた一回量が体内に入っているだろう、と見込むことができます。
また、吸入器具によって独特の手技があり、一通りの説明をして、きちんと患者さんが理解していただけたかを確認して…とやっていると、結構時間と手間がかかります。
それに対してネブライザーは、数分〜十数分かけてゆっくりと、普通の呼吸をしながら何度も何度も、少しずつ薬剤を吸うことになりますので、ある程度の量は体内に入ることが見込まれます。患者さんにとっては、あまり無理することなく、楽な呼吸をしながら吸うことができます。
特に、手技を必要とするわけではありませんので、手軽にやって頂けるのもメリットです。
逆に、息を吸ったり吐いたりするわけですから、霧となって出てきた薬剤のすべてを吸入しているわけではなく、「ある程度」しか体内には入らない、ということになります。
それと、ある程度時間がかかるということも、特に即効性を期待したい場面ではデメリットかもしれません。
■気道内に水が入るか、入らないか
ネブライザーは一昨日も書いたとおり、ある程度の水分と薬剤を吸入することになります。たとえば気道が乾燥していて、痰が粘調になって切れにくい、という場合には、痰が水っぽくなって、切れやすくなるのもメリットです。
一方で、喘息発作や痰が多量に存在する場面だと、特に超音波ネブライザーで多量の水分を気道内に投入することで、却って痰の量を増やすことになり、具合が悪いこともあるのです。
定量噴霧器であれば、このようなことにはなりません。
以上のようなメリット、デメリットを踏まえてデバイスを選択します。まあいろいろなことを考えてやっているわけですが、特に喘息治療において、ネブライザーを使う際にはジェット式が広く使われている、ということは覚えておきましょう。
吸入療法を最初から読む
- デバイスが簡単なものか、大層なものか
- 1回で吸入するか、何回かの呼吸で吸入するか
- 気道内に水が入るか、入らないか
■デバイスが簡単なものか、大層なものか
これはもうそのままですが、ネブライザーは電源が必要であることと、ある程度の大きさがあるため携帯に不向きである一方、定量噴霧器はその逆で携帯が容易です。
また、ネブライザーは機器を購入する必要があり、それが数万円するため費用負担の点でもハードルがあるわけです。
ですから通院中の患者さんが家で吸入するという目的であれば、まずは定量噴霧器を使用することを考えます。
対して、救急受診時や入院中など、病院や医院、施設などに置いておくものとしては、ネブライザーで良いわけです。
■1回で吸入するか、何回かの呼吸で吸入するか
定量噴霧器は、1プッシュ、あるいは1吸入では、およそ1回の吸気にあわせて薬剤を吸い込むことになります。ですから、うまく同調できない患者さんや吸気の弱い乳幼児、大きく吸えない発作時などには、きちんと薬剤が体内に入らない可能性もあるのです。
もちろんきちんと吸えれば、決められた一回量が体内に入っているだろう、と見込むことができます。
また、吸入器具によって独特の手技があり、一通りの説明をして、きちんと患者さんが理解していただけたかを確認して…とやっていると、結構時間と手間がかかります。
それに対してネブライザーは、数分〜十数分かけてゆっくりと、普通の呼吸をしながら何度も何度も、少しずつ薬剤を吸うことになりますので、ある程度の量は体内に入ることが見込まれます。患者さんにとっては、あまり無理することなく、楽な呼吸をしながら吸うことができます。
特に、手技を必要とするわけではありませんので、手軽にやって頂けるのもメリットです。
逆に、息を吸ったり吐いたりするわけですから、霧となって出てきた薬剤のすべてを吸入しているわけではなく、「ある程度」しか体内には入らない、ということになります。
それと、ある程度時間がかかるということも、特に即効性を期待したい場面ではデメリットかもしれません。
■気道内に水が入るか、入らないか
ネブライザーは一昨日も書いたとおり、ある程度の水分と薬剤を吸入することになります。たとえば気道が乾燥していて、痰が粘調になって切れにくい、という場合には、痰が水っぽくなって、切れやすくなるのもメリットです。
一方で、喘息発作や痰が多量に存在する場面だと、特に超音波ネブライザーで多量の水分を気道内に投入することで、却って痰の量を増やすことになり、具合が悪いこともあるのです。
定量噴霧器であれば、このようなことにはなりません。
以上のようなメリット、デメリットを踏まえてデバイスを選択します。まあいろいろなことを考えてやっているわけですが、特に喘息治療において、ネブライザーを使う際にはジェット式が広く使われている、ということは覚えておきましょう。
吸入療法を最初から読む
posted by 長尾大志 at 18:59
| Comment(0)
| 吸入療法
2012年01月25日
吸入薬の種類・使い方・気道内に薬剤をdeliveryする手段として、ネブライザーか定量噴霧器か、どちらを選択するか2
定量噴霧器(吸入補助器具)とは、薬剤を1回に一定量吸入することのできる器具です。
器具自体は手のひらに収まるほどの大きさで、その中に(ものにもよりますが)1ヶ月分程度の吸入薬が最初から入っています。
ネブライザーと異なり電源も不要であり、手頃な大きさで携帯もできます。
定量噴霧器には、大きく分けて2種類あります。
1つは、スプレーと同じで、ガスを噴射し、それに薬剤を乗せて吸入するもの。押すと一回分の薬剤がスプレーされる、というイメージです。
もう1つは、粉状の薬剤をそのまま吸い込むもの。一回分の薬剤を装填し、吸い込む、という感じで使います。
前者を加圧噴霧式定量吸入器(pressurezed metered-dose inhaler:pMDI)、後者をドライパウダー定量吸入器(dry powder inhaler:DPI)と呼びます。
電源不要で手頃な大きさという点から、どちらかと言えば外来、家庭で使われることが多いものですが、救急の場でも喘息発作の時には、pMDIでβ刺激薬を繰り返し吸入、てなこともよく行います。
pMDIとDPIの違いは吸入手技にあります。pMDIはプシューッとガス状の薬剤が出ますから、その出方に合わせて吸い込まないと、きっちりと薬剤が体内に入りません。そのため、スペーサーという、噴霧したガスをいったんためておいて、あとで吸い込むような器具もあるのですが、これが結構大きくて、面倒くさかったりします。
DPIは口にくわえて吸い込めばいいので、自分のタイミング?で吸えます。しかしその一方で、ある程度しっかり吸い込む力がないと薬剤が体内に入りません。ですから、乳幼児や低肺機能のCOPD患者さんには向かない面もあります。
各々メリット、デメリットありますが、最近の、特に吸入ステロイド薬はほとんどDPIであり、比較的旧式のβ刺激薬はpMDIが多い、というところもあります。以上は総論であり、各論は後日。
吸入療法を最初から読む
器具自体は手のひらに収まるほどの大きさで、その中に(ものにもよりますが)1ヶ月分程度の吸入薬が最初から入っています。
ネブライザーと異なり電源も不要であり、手頃な大きさで携帯もできます。
定量噴霧器には、大きく分けて2種類あります。
1つは、スプレーと同じで、ガスを噴射し、それに薬剤を乗せて吸入するもの。押すと一回分の薬剤がスプレーされる、というイメージです。
もう1つは、粉状の薬剤をそのまま吸い込むもの。一回分の薬剤を装填し、吸い込む、という感じで使います。
前者を加圧噴霧式定量吸入器(pressurezed metered-dose inhaler:pMDI)、後者をドライパウダー定量吸入器(dry powder inhaler:DPI)と呼びます。
電源不要で手頃な大きさという点から、どちらかと言えば外来、家庭で使われることが多いものですが、救急の場でも喘息発作の時には、pMDIでβ刺激薬を繰り返し吸入、てなこともよく行います。
pMDIとDPIの違いは吸入手技にあります。pMDIはプシューッとガス状の薬剤が出ますから、その出方に合わせて吸い込まないと、きっちりと薬剤が体内に入りません。そのため、スペーサーという、噴霧したガスをいったんためておいて、あとで吸い込むような器具もあるのですが、これが結構大きくて、面倒くさかったりします。
DPIは口にくわえて吸い込めばいいので、自分のタイミング?で吸えます。しかしその一方で、ある程度しっかり吸い込む力がないと薬剤が体内に入りません。ですから、乳幼児や低肺機能のCOPD患者さんには向かない面もあります。
各々メリット、デメリットありますが、最近の、特に吸入ステロイド薬はほとんどDPIであり、比較的旧式のβ刺激薬はpMDIが多い、というところもあります。以上は総論であり、各論は後日。
吸入療法を最初から読む
posted by 長尾大志 at 16:55
| Comment(0)
| 吸入療法
2012年01月24日
吸入薬の種類・使い方・気道内に薬剤をdeliveryする手段として、ネブライザーか定量噴霧器か、どちらを選択するか1
昨日書いたように、薬剤を気道内にdeliveryする手段としては、ネブライザーによるものと定量噴霧器によるものがあります。
ネブライザーとは、薬液を生理食塩水などで薄めたものから、細かい水滴を作り、その細かい水滴に乗せて薬剤を気道内に運ぶものです。吸入には数分間以上かかり、その間は安静呼吸をして頂きます。
方式がいくつかあるのですが、一般的に機種によって少しずつ薬液の適量が異なるため、施設でお使いの機種の仕様を確認しておく必要があります。
そのためか、多くの施設では「約束処方」なるセットが定められていて、「β刺激薬を使いたかったら<吸入−@>を」、みたいな感じになっています。
ネブライザーの方式には、大きく分けて2種類あります。ジェット式と超音波式です。
ジェット式はコンプレッサーを用いて空気を噴射し、霧吹きの原理で細かい水滴を噴霧するものです。コンプレッサーがある、という点で、装置が大がかりになり、「ブルルーーーン」みたいな騒音を発しますから、夜中に使いづらい、などの制約があります。
しかしながら、少量の噴霧が可能であったり、薬剤の変性が少なかったりする点などから、喘息治療には適しているとされています。
超音波式は高周波で発生させた水滴を噴霧するもので、比較的多量の水分を気道内に到達させることができますから、痰が粘調で切れにくい、痰の喀出を促したい、という方に適しています。音も静かで、夜中にも使えます。
ですから、外科の病棟などに配置されているのはたいがいこれだったりします。
ただし、振動によって水滴を発生させることから、薬液が温度で変性したり、濃度が変わったり、少量の液を正確な量噴霧するのには適していない、という点が問題です。
吸入療法を最初から読む
ネブライザーとは、薬液を生理食塩水などで薄めたものから、細かい水滴を作り、その細かい水滴に乗せて薬剤を気道内に運ぶものです。吸入には数分間以上かかり、その間は安静呼吸をして頂きます。
方式がいくつかあるのですが、一般的に機種によって少しずつ薬液の適量が異なるため、施設でお使いの機種の仕様を確認しておく必要があります。
そのためか、多くの施設では「約束処方」なるセットが定められていて、「β刺激薬を使いたかったら<吸入−@>を」、みたいな感じになっています。
ネブライザーの方式には、大きく分けて2種類あります。ジェット式と超音波式です。
ジェット式はコンプレッサーを用いて空気を噴射し、霧吹きの原理で細かい水滴を噴霧するものです。コンプレッサーがある、という点で、装置が大がかりになり、「ブルルーーーン」みたいな騒音を発しますから、夜中に使いづらい、などの制約があります。
しかしながら、少量の噴霧が可能であったり、薬剤の変性が少なかったりする点などから、喘息治療には適しているとされています。
超音波式は高周波で発生させた水滴を噴霧するもので、比較的多量の水分を気道内に到達させることができますから、痰が粘調で切れにくい、痰の喀出を促したい、という方に適しています。音も静かで、夜中にも使えます。
ですから、外科の病棟などに配置されているのはたいがいこれだったりします。
ただし、振動によって水滴を発生させることから、薬液が温度で変性したり、濃度が変わったり、少量の液を正確な量噴霧するのには適していない、という点が問題です。
吸入療法を最初から読む
posted by 長尾大志 at 18:18
| Comment(0)
| 吸入療法
2012年01月23日
吸入薬の種類・使い方
今うちをローテートしてくださっているF先生から、「病棟で使える吸入薬にはどのような種類があって、僕たちでも1st call時に使える薬はどんなのがあって、どんな風に使ったらいいですか。」という感じのご質問を頂きましたので、この機会にまとめてみます。
呼吸器の領域で使われる吸入薬には、作用で大きく分けると気道拡張系の薬と痰の喀出補助系の薬があります。
それらを気道内にdeliveryする手段として、ネブライザーによるものと吸入補助器具(定量噴霧器)によるものがあるわけです。
まず、吸入薬の作用別分類は、以下の通りです。
気管支拡張作用を持つものは、主にβ刺激薬、抗コリン薬。
気道炎症抑制効果のあるものは、ステロイド薬、抗アレルギー薬。
そして、去痰作用のあるものは、いわゆる去痰薬と呼ばれます。
これらがどのように使い分けられるか、ですが、喘息やCOPDの発作時、悪化時のように、気管支を拡張させる必要がある場合には当然気管支拡張作用のある薬剤が選択され、喘息の非発作時のように、気道炎症を抑制するべき場面であれば、気道炎症抑制効果を持つ薬剤が選択されます。
ちなみに、β刺激薬、抗コリン薬いずれも気管支拡張効果がありますが、即効性にすぐれるのはβ刺激薬で、救急の現場で使用されるのはほとんどがβ刺激薬です。
抗コリン薬の出番は、COPDの維持期に定期的に使われることがほとんどで、急性期ではβ刺激薬が無効な時に少し出番があるか、といった程度です。
喘息非発作時に使用する薬剤は、もうほとんどが吸入ステロイドで、抗アレルギー吸入薬は小児で細々と?使われているだけです。
去痰薬は、主に術後の無気肺予防に使われているのではないかと思いますが、喘息やCOPDの発作時、悪化時に使われているのも見かけます。
あまりこれといってエビデンスもなく、何となく病棟のしきたり通りに約束処方なんかを使われることも多い吸入療法、吸入薬ですが、少し勉強してみましょう。
吸入療法を最初から読む
呼吸器の領域で使われる吸入薬には、作用で大きく分けると気道拡張系の薬と痰の喀出補助系の薬があります。
それらを気道内にdeliveryする手段として、ネブライザーによるものと吸入補助器具(定量噴霧器)によるものがあるわけです。
まず、吸入薬の作用別分類は、以下の通りです。
- 気管支拡張作用を持つもの
- 気道炎症抑制効果のあるもの
- 去痰作用のあるもの
気管支拡張作用を持つものは、主にβ刺激薬、抗コリン薬。
気道炎症抑制効果のあるものは、ステロイド薬、抗アレルギー薬。
そして、去痰作用のあるものは、いわゆる去痰薬と呼ばれます。
これらがどのように使い分けられるか、ですが、喘息やCOPDの発作時、悪化時のように、気管支を拡張させる必要がある場合には当然気管支拡張作用のある薬剤が選択され、喘息の非発作時のように、気道炎症を抑制するべき場面であれば、気道炎症抑制効果を持つ薬剤が選択されます。
ちなみに、β刺激薬、抗コリン薬いずれも気管支拡張効果がありますが、即効性にすぐれるのはβ刺激薬で、救急の現場で使用されるのはほとんどがβ刺激薬です。
抗コリン薬の出番は、COPDの維持期に定期的に使われることがほとんどで、急性期ではβ刺激薬が無効な時に少し出番があるか、といった程度です。
喘息非発作時に使用する薬剤は、もうほとんどが吸入ステロイドで、抗アレルギー吸入薬は小児で細々と?使われているだけです。
去痰薬は、主に術後の無気肺予防に使われているのではないかと思いますが、喘息やCOPDの発作時、悪化時に使われているのも見かけます。
あまりこれといってエビデンスもなく、何となく病棟のしきたり通りに約束処方なんかを使われることも多い吸入療法、吸入薬ですが、少し勉強してみましょう。
吸入療法を最初から読む
posted by 長尾大志 at 14:47
| Comment(0)
| 吸入療法