2013年02月12日

V50、V25の臨床的意義と検査上のポイント2

Q:肺機能検査での、V50、V25の臨床的意義や検査時の注意点を教えてください。

V50やV25が使われる場面は気流閉塞、特に末梢気道における気流閉塞を表現するときです。末梢気道、つまり肺胞から出てすぐの気道が閉塞すると、呼出を開始してすぐに呼気流速がガクンと低下します。


そのため、フローボリューム曲線は下に凸のカーブを描きます。


図3 末梢気道における気流閉塞所見.JPG


フローボリューム曲線が下に凸になってくるとV50が低下し、さらにV25はもっと低下します。V50やV25は健常人であってもばらつきが大きく、正常範囲であるかどうかの評価は難しいため、この「下に凸度合い」の指標としてはV50やV25単独ではなく、V50/ V25をよく使います。


図2 V50とV25.JPG


図のように正常肺においてV50/ V25は理論上2のハズですが、フローボリューム曲線が下に凸になってくるとV50の低下よりも V25の低下が著しくなり、V50/ V25が増加してきます。日本呼吸器学会によるCOPDガイドラインでは、V50/ V25の増大(3以上)などが末梢気道での気流閉塞を示す、としています。


従って、V50やV25の臨床的意義は、各々の数値よりも主にV50/ V25による「下に凸の度合い」を見ることになります。


フローボリューム曲線は、手技的にうまく吹けたかどうかも含めてその全体的なパターン(形)の認識が重要です。下に凸かどうかは形を見ていただければおわかり頂けると思いますが、参考値としてV50/ V25が3以上に上昇しているかどうかを見るとよいでしょう。


* Medical Technology41巻8号「臨床検査Q&A」に改変の上掲載予定

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2013年02月08日

V50、V25の臨床的意義と検査上のポイント

ここ最近、執筆依頼を頂くことが増えてきました。ありがたいお話ですし、できる限りお引き受けしなくてはならないとは思っているのですが、現在ブログ書籍化がタイトなスケジュールで進行していることもあり、いくつかのお話をお断り、あるいは順延させていただかざるを得なくなっておりまして、大変心苦しく思っております。


そんな中、少し前に頂いた執筆依頼については、そろそろ締め切りも近く、書き始めなくてはなりませんので、ちょっと準備に取りかかりたいと思います(レントゲン道場も途中なんですが、それはさておき…汗)。よければお付き合いください。




Q:肺機能検査での、V50、V25の臨床的意義や検査時の注意点を教えてください。


まずは、フローボリューム曲線のすべてをご覧ください。


努力肺活量、1秒量などを測定する時に得られる、フローボリューム曲線。


息をいっぱいに吸い込んでから、思い切り吐き出しますと、呼気流速(フロー)は一瞬でピークに達し、その後は残っている肺容量に比例しながら(一次関数的に)だんだん低下し、残り容量が0になった時点で流速も0になります。


そんな機序で、健常者のフローボリューム曲線は以下のようなカタチになります。


図1 フローボリューム曲線.JPG


このフローボリューム曲線において、V50(Vの上に・がついていて、「ブイドットごじゅう」と読みます)とは、肺の中に肺活量の50%の空気が残っている時点での呼気流速をいい、

V25(Vの上に・がついていて、「ブイドットにじゅうご」と読みます)とは、空気量が肺活量の25%になった時点での流速をいいます。


上で書いたとおり、フローは「残っている肺容量に比例しながら低下する」わけですから、原理的にはV50はピークフローの50%の流速、V25はピークの25%の流速、となります。


図2 V50とV25.JPG


ですから、原理的に正常肺では、V50をV25で割った数値(V50/V25)はほぼ2になるはずで、実際にそうなっています。


* Medical Technology41巻8号「臨床検査Q&A」に改変の上掲載予定

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2012年05月02日

なぜポリクリにおいて、こんなカタチのフローボリューム曲線が散見されるのか

ウチではポリクリで回ってきた学生さんに、必ず肺機能検査をやってもらっています。本だけの知識ではなく、実際にやってもらうことで、より深く理解してもらうためです。


肺機能は努力、あるいはやり方にある程度依存するところがあるので、本来患者さんで肺機能を測定する場合は、何度かやってコツを掴んでいただいて、最良の値をとるのが常。


といって、4〜6人いる学生さん、全員に何度もやっていただくわけにもいかず。
1人1回ずつとさせていただいております。


ということで、ぶっつけ本番となってしまい、うまく吹けない症例?も散見されます。


スライド83.jpg


これは…?


フローが上下していますね。


患者さんでこれであれば、


「咳き込んだ」


可能性を考えます。


しかし、ポリクリの場では…




特にフローボリューム曲線のように、努力にかなり依存するものは、曲線の解釈が重要であります。


1秒率などの「数字」だけをみて70%を下回っていても、きちんと吹けていない結果の数字であれば、それは「病気である」ことを意味しません。


しっかり吹けたのかどうかは、曲線を見ればすぐにわかります。もちろんウチでもそうですが、しっかりした検査技師さんのおられるところであれば、患者さんが変な吹き方をすればやり直し!となります。

でもそうでない場合、自分でやる場合などもあります。
フローボリューム曲線を見て、きちんと解釈できるようになっておきたいものですね。


長くなりましたが、このシリーズはいったん終わります。


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2012年05月01日

なぜ男子学生諸君のフローボリューム曲線は、こんなカタチが多いのか

ウチではポリクリで回ってきた学生さんに、必ず肺機能をやってもらっています。


肺機能は努力、あるいはやり方にある程度依存するところがあるので、本来患者さんで肺機能を測定する場合は、何度かやってコツを掴んでいただいて、最良の値をとります。


とはいえ、4〜6人いる学生さん、全員に何度もやっていただくわけにもいかず。
1人1回ずつとさせていただいております。


ということで、ぶっつけ本番となってしまい、うまく吹けない症例?も散見されます。
多いのが…


スライド80.jpg


のような曲線。
どうして、このようなカタチになるのでしょうか。


これはもう、最初の一瞬でドン!とフローが立ち上がる、そのときの思い切りが足りないから。


きちんと吹ければ


スライド82.JPG


のように、最初の一瞬でウーッ!とフローが立ち上がるわけですが、なんとなく、

ーッ

みたいな感じで吹かれると、ピークが立ち上がらず、てっぺんが丸っこくなってしまうのです。

ポリクリでは、「優柔不断型曲線」と呼ばれています…。


スライド81.jpg

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2012年04月26日

なぜ肺線維症患者さんのフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか

肺線維症。
肺が、線維化によって硬くなります。そのため、主に伸びにくくなるのです。
あー、肺線維症の機序っつーかメカニズム、やってませんね−。Figureがなかなか難しいんですね…(汗)。


ともかく、線維症の肺は…


  • 周り(胸膜直下)が硬くなる

  • そのため、肺の伸び縮み(特に「伸び」)が妨げられる

  • つまり、肺活量は低下する

  • 肺胞領域の線維化のため、細気管支が拡張し、末梢気道の抵抗が減る



最後のところ、また近々解説いたしますが、とりあえず今は、そういうもんだと思ってください。「肺活量の低下」と、「末梢気道の抵抗が減る」ところが、肺線維症のフローボリューム曲線のカタチを特徴付けます。


スライド59.JPG


通常の肺よりも、線維症の肺は小さい。


スライド70.JPG


そこで、肺活量は通常、こんな感じですが…


スライド71.JPG


少なくなります。


スライド72.JPG


肺活量が小さくなる、ということは、最初の一瞬で出てくる空気量(≒最初の一瞬のフロー)は健常者よりも少なくなり、フローボリューム曲線の最初の立ち上がり、ピークフローは、健常者よりも下がります。


スライド73.JPG


スライド74.JPG


それ以降、末梢の空気が出てくる相のフローで、気道抵抗が健常者と同じであれば、そこから描かれる曲線はまっすぐ、図の点線のようになるはずです。


いつものように、50%息を吐いた状態を考えますと…。


スライド75.JPG


フローも本来、ピークの50%になるはず。


スライド76.JPG


しかし、最初に書いたとおり、末梢気道は拡張しており、抵抗は減るのです。すると、フローはピークの50%まで落ちない、ということになります。


スライド77.JPG


そしてその後は、徐々にではありますが「本来の」フローボリューム曲線に近づき、最終的には容量=0となった時点(最大呼気位)でフローも0になるのです。ですから、この場合のフローボリューム曲線は、上向きに凸の曲線になります…。


スライド78.JPG


最終的には、こんなカタチの曲線になるのですね。


スライド79.JPG


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2012年04月25日

なぜ気管〜上気道狭窄のフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか

しばしば国試などで問われる、気管〜上気道狭窄。
これについて考えましょう。


普通の肺との違いは…


スライド59.JPG


スライド60.JPG


上の方の気道のどこかに、狭い部分があるわけです。
狭くなっているため、その部分を通れる空気の速度には、上限(「ある速度」)があるのです。


スライド61.JPG


こういう例でのフローボリューム曲線、まず、最初の一瞬で出てくる空気からして、「ある速度」以上は出ません。そのため、ピークフローがまず頭打ちになります。


スライド63.JPG


その後も、本来であれば描かれるであろう、「ある速度」以上の領域の本来のフローボリューム曲線(図の点線)の間中、フローは「ある速度」を超えることはありません。


スライド64.JPG


スライド65.JPG


そして、本来のフローボリューム曲線が「ある速度」と交わるあたりまで息を吐きますと、それ以降は本来のフローボリューム曲線の通りに描かれていくわけです。


スライド66.JPG


最終的には、このような曲線になります。


スライド67.JPG


ちょっとあっさりしてますか?
今日はポリクリなどが長引いたので、この辺で。

キーワードは「お腹いっぱい」

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2012年04月24日

ではなぜCOPD患者さんのフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか2

前回の話では、まだ50点。
まあ、フローボリューム曲線のカタチとしては、それでいいのですが。


肺活量、残気量、というものを考えなくてはなりません。


フローボリューム曲線のグラフ上では、おおよそここに当たります。


スライド52.JPG


残気量というのは、息をいっぱいに吐いたときに、なお肺の中に残っている空気でした。
COPDになると、息を吐いたときに、吐ききれない空気=残気量が増えてきます。


その分、肺に空気の固まりができている、と考えるとわかりやすいでしょうか(実際は少し違いますが…)。


スライド53.JPG


ともかくその分、残気量が増加する(その分、最大呼気位は左にずれます)。
そして肺活量(図の赤矢印=最大吸気位と最大呼気位の差)も減少します。


スライド54.JPG


肺活量が小さくなる、ということは、最初の一瞬で出てくる空気量も減るわけです。それに最初の一瞬で肺に陽圧をかけても、ぐにゃぐにゃの肺はすぐには縮みません。かけた陽圧は、中にしっかり伝わりません。


スライド42.JPG


そんなわけで、最初に出てくる空気の量(≒最初の一瞬のフロー)は健常者よりも少なくなり、フローボリューム曲線の最初の立ち上がり、ピークは、健常者よりも下がります。


スライド55.JPG


つまり、ピークフローが低下するのです。


次の瞬間、末梢の空気が出てくる相のフローを考えましょう。


スライド43.JPG


肺気腫が進行すると、細気管支を支えていた肺胞(の壁に存在する弾性繊維)が消失し、呼気時に細気管支は支えを失い、ぺちゃんこに閉塞するのです。結果、呼気時に気道抵抗が生じます。


スライド44.JPG


なぜ呼気抵抗のある人のフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか2で考えたように、呼気抵抗がありますと、次の瞬間、フローボリューム曲線はガクンと、急峻に低下しますね。


たとえば25%の空気を呼出した段階では、ピークの3/4のフローよりもフローは低下してしまいます。


スライド56.JPG


そしてその後は、頑張って息を吹き続けることで、徐々にではありますが「本来の」フローボリューム曲線に近づき、最終的には容量=0となった時点(最大呼気位)でフローも0になるのです。ここでも、下向きに凸の曲線になります…


スライド57.JPG


…というわけで、COPD患者さんのフローボリューム曲線は、健常者のフローボリューム曲線より小さく、下に凸で、全体的に左よりのカタチになるのです。


スライド58.JPG


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2012年04月23日

ではなぜCOPD患者さんのフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか1

フローボリューム曲線のお話に戻ります。
COPD患者さんのフローボリューム曲線は、こんなカタチでしたね。


スライド39.JPG


なぜ、こうなるか、メカニズムを考えてみましょう。


COPD(肺気腫)患者さんの肺は、こんなふうに肺の中に穴が開いています。


スライド40.JPG


見方を変えると、肺の中に空気の固まり?が入っているようですね。これを見て、(顕微鏡とかのなかった)昔の人は、の中に空の固まり(瘍)ができる病気じゃ〜!といい出しまして、肺気腫、という言葉ができたわけです。


肺気腫になりますと、肺が穴だらけになるわけで、肺がグニャグニャ、ふにゃふにゃになります。すると肺は弾力がなくなり、伸びやすく、縮みにくくなります。こういう状態を肺のコンプライアンス増加、といいます。


この状態の肺で、例によって思いっきり息を吐きます。そのときには、肺に思いっきり胸壁、横隔膜から陽圧がかかるのですが、


スライド41.JPG


最初の一瞬で肺に陽圧をかけても、ぐにゃぐにゃの肺はすぐには縮みません。かけた陽圧は、中にしっかり伝わりません。


スライド42.JPG


そんなわけで、最初に出てくる空気の量(≒最初の一瞬のフロー)は健常者よりも少なくなり、フローボリューム曲線の最初の立ち上がり、ピークは、健常者よりも下がります。


スライド45.JPG


つまり、ピークフローが低下するのです。


スライド46.JPG


ということで、最初に出てくる空気の量(≒最初の一瞬のフロー)が健常者よりも少なくなりました。
その後スムーズに息を吐き続ければ、そのまままっすぐストンと行くはずですが…。


スライド47.JPG


次の瞬間のフローを考えましょう。
次の瞬間とは、末梢の空気が出てくる相です。


スライド43.JPG


肺気腫が進行すると、細気管支を支えていた肺胞(の壁に存在する弾性繊維)が消失し、呼気時に細気管支は支えを失い、ぺちゃんこに閉塞するのです。結果、呼気時に気道抵抗が生じます。


スライド44.JPG


なぜ呼気抵抗のある人のフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか2で考えたように、呼気抵抗がありますと、次の瞬間、フローボリューム曲線はガクンと、急峻に低下しますね。


たとえば25%の空気を呼出した段階では…


スライド48.JPG


25%減のスピード、つまり、ピークの3/4のフローにには…


スライド49.JPG


なりません。気道抵抗があると、フローはその抵抗によって、ガクンと低下しますから、25%の空気を呼出した段階で、ピークの3/4のフローよりもフローは低下してしまいます。


スライド50.JPG


そしてその後は、頑張って息を吹き続けることで、徐々にではありますが「本来の」フローボリューム曲線に近づき、最終的には容量=0となった時点(最大呼気位)でフローも0になるのです。ここでも、下向きに凸の曲線になります…


スライド51.JPG


ん?

これでいいですか?


ちょっと待ったー(古い、てか前にもやりましたね…)!


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2012年04月20日

なぜ呼気抵抗のある人のフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか2

健常な方であれば、思いっきり息を吹きますと、フローは一瞬でピークに達した後、残存している空気に量に比例して、徐々に低下していきます。


たとえば25%の空気を呼出した段階では、25%減のスピード、つまり、ピークの3/4のフローになります。


スライド35.JPG


ところが、気道抵抗があると、フローはその抵抗によって、ガクンと低下しますから…。
25%の空気を呼出した段階で、ピークの3/4のフローよりもフローは低下してしまいます。


スライド36.JPG


そしてその後は、頑張って息を吹き続けることで、徐々にではありますが「本来の」フローボリューム曲線に近づき、最終的には容量=0となった時点(最大呼気位)でフローも0になるのです。


スライド37.JPG


そういうわけで、呼気抵抗のある人のフローボリューム曲線は、こんなカタチ…


スライド38.JPG


下向きに凸の曲線、になるのです。


このようになる原因ですが、最も良くあるのは、痰が絡んだ場合。
たとえば、重喫煙者で、COPDにまで至っていない方でも、こんなカタチになります。

あと、喘息で、慢性的に末梢気道狭窄があるような方でもこんな感じになります。


それでは、気になるのは、COPDの患者さんだとどうなのか。

それは…(続く)


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2012年04月19日

なぜ呼気抵抗のある人のフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか1

昨日までに書いたとおり、健常者のフローボリューム曲線は、図のようになります。


スライド28.JPG


ここで、末梢気道のどこかで引っかかりのある人が息を思いっきり吹くときのことを考えましょう。


あ〜あ〜〜〜気道のどこかに〜何かが〜あるから〜抵抗が〜

(何のメロディーだとしっくり来るでしょう?)


スライド29.JPG


…思いっきり息を吹く、最初の瞬間に出てくる空気は、気管や主気管支といった中枢の気道に元々あった空気です。


スライド30.JPG


そして次の瞬間、肺胞の空気が、末梢気道を通って出てきます。


スライド31.JPG


ここで、末梢の気道に何らかの抵抗があると…


スライド32.JPG


肺胞から出ようとする空気は、いきなり出鼻をくじかれ、なかなか出られないという事態に陥ります。


フローボリューム曲線を見てみましょう。


まず、気管や主気管支といった中枢の気道に元々あった空気が出る、最初の瞬間。
ここでは抵抗はありませんので、ピークフローまでは一直線にフローが立ち上がります。


スライド33.JPG


しかし、次の瞬間、


スライド32.JPG


フローは気道の抵抗によって、ガクンと低下します。
本来であれば、たとえば25%の空気を吐いて、肺内に75%分の空気が残っているところだと、


スライド34.JPG


フローもピークの75%、となるはずでしたね(ハテ?という方は、昨日の記事をお読みください)。


スライド35.JPG


ところが、気道抵抗があると、フローはその抵抗によって、ガクンと低下しますから…。

その後どうなるでしょうか。考えてみてください。
ここがわかると、異常なパターンはスイスイわかるはず。

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2012年04月18日

なぜフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか3

安静により測定された肺活量に対し、空気を頑張って、無理矢理押し出して測定する、努力して呼出する肺活量測定を考えましょう。


安静肺活量に対して、努力肺活量、と呼ばれるものです。


大きく息を吸うまでは安静肺活量と同じです。


スライド17.JPG


最大吸気位から、最大限の努力でもって、思いっきり息を吹きます。肺の中に入っている空気を、できる限り早く吐きだしてしまいましょう、という感じです。


いっぱいに息を吸い込んだ状態から、思いっきり息を吐きますと、流速は一気に高まりますね。


スライド20.JPG


実際は、思いっきり息を吐くと、瞬時に最高の流速になります。
フローボリューム曲線は、一瞬で立ち上がります。


スライド21.JPG


この一瞬で到達する流速(フローのピーク)を、ピークフローといいます。


スライド23.JPG


で、ここからがミソなのですが、その、最大吸気位(肺の100%の容量分、空気が入っています)で思い切り息を吹く、そのときの流速と、50%程度息を吐き出した、(肺の50%の容量だけ空気が入っている)状態での流速は、どのくらい違うのでしょうか。


スライド22.JPG


流速というのは、単位時間あたりに流れる空気の量です。頑張り(上の図の矢印)は一定であります。
これは、素直に考えていただいて、残っている空気に比例する、と思いましょう。


残っている空気が減ってくれば、単位時間あたり出て行く空気も減る。


たとえば空気が半分出て行った、肺の50%の容量だけ空気が入っている状態(赤矢印の先端)での流速は…


スライド24.JPG


最大吸気位(100%容量)で吐く空気の流速の50%になります。


スライド25.JPG


つまり、肺の50%の容量だけ空気が入っている状態での流速は、ピークフローの1/2、ということです。


同様に、肺の25%の容量だけ空気が入っている状態での流速は、ピークフローの1/4。


スライド26.JPG


最終、全部空気を吐き出してしまった、最大呼気位(肺の0%、空気が入っている状態)では、流速は0になるわけです。


スライド27.JPG


まとめますと、最大呼気位から一気に、頑張って息を吐くと、一瞬でピーク(フロー)に到達し、その後は一次関数的に(直線的に)フローは減弱し、息を吐ききったときにちょうどフローは0になる、ということです。


スライド28.JPG


たぶんこれで大丈夫だと思うのですが…わかりにくければご質問ください。

これを踏まえて、明日からは、異常なパターンをとるメカニズムを考えましょう。

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2012年04月17日

なぜフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか2

安静換気によって、いわゆる一回換気量分の換気をすると、フローボリューム曲線上は図のようにくるくる回る円に近い図形が描かれることになります。


スライド15.JPG


次に、ゆっくり、息を大きく吸い込んで、大きく吐く、普通の(安静)肺活量測定を考えましょう。

普通の換気から限度いっぱいに息を吸い込むと、グラフ上描かれていた円(楕円)は、大きく左にふくらみます。


スライド16.JPG


スライド17.JPG


このときに到達した左端、もうこれ以上吸えない、という点を最大吸気位といいます。

その後、息を吐いていきますと、グラフ上の楕円は右にもふくらんでいきます。


スライド18.JPG


このときに到達した右端、もうこれ以上吐けない、という点を最大呼気位といいます。

今回描かれた楕円の右端から左端まで、つまり、最大呼気位と最大吸気位の差を肺活量といい、実際に肺胞内に出入りできる空気の量を表します。


スライド19.JPG


この測定方法は、空気を無理矢理押し出してはいませんので、(安静)肺活量、と呼んでいます。

安静に対するものとしては、強制、努力、という文字を連想してください。

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2012年04月16日

なぜフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか1

フローボリューム曲線、最初に見たときにはナンノコッチャラわかりませんでした。
そういう人は多いのではないでしょうか。


学生さんに教えていても、当初はやはり皆さん、ナンノコッチャラわからん、という顔をされていました。なんとか、最近ようやく、あー、そういうことか、という顔をしていただけるようになってきました。


そういうわけで、無謀にも?web上で授業を再現してみたいと思います。



まずフローボリューム曲線の描かれ方なんですが、このグラフの取っつきにくいところは、どこにも時間軸がないことなのです。


スライド11.JPG


図の縦軸は吸気、あるいは呼気の流速で、横軸は肺内空気の容量を表します。
流速=フロー、容量=ボリューム、ということで、フロー・ボリューム曲線、というわけです。


縦軸では呼気は上に、吸気は下に向かい、スピードが速くなるとより上(下)にいきます。また、横軸で左方に行くほど肺内の空気が多く、右方に行くほど肺内の空気が少ないことを表します。

そこで、普通に(頑張らずに、安静に)息を吸ったときの様子を考えます。


スライド12.JPG


普通に吸うと、ある程度の流速が入って…


スライド13.JPG


ある程度吸い終わると流速は0になり、吸気は終わります。

その後普通に息を吐きますと…、


スライド14.JPG


ある程度の流速になった後、元の位置に戻ります。

ですから、安静換気をしばらく続けると、フローボリューム曲線上はくるくる回る円に近い図形が描かれることになるのです。


スライド15.JPG

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