2023年03月11日

第112回看護師国家試験解説・P98 COPD増悪時に起こること

いろいろと挟まった結果、問題からめっちゃ間があいてしまい、申し訳ございません。

問題としては要するに、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪と診断された患者さんに起こりうる症状で、最も注意が必要なのはどれか、ということでした。

1 貧血×⇒Hb 10.3 g/dLとやや低値ですが、貧血症状が生じるほどの低値ではありません。
2 便秘×⇒病棟内歩行、食事摂取が開始されていますから、今後便秘傾向は軽減するものと期待されます。
3 高血糖×⇒基礎疾患として糖尿病がなく、一週間程度の摂食低下がある状態で入院時空腹時血糖が98mg/dLであり、高血糖が生じる危険性は少ないと考えられます。
4 CO2ナルコーシス 〇⇒入院時の動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が58Torrで、二酸化炭素貯留傾向でした。COPDの急性増悪時、回復後もしばらくはCO2ナルコーシスの発生に注意が必要です。

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2023年03月10日

第112回看護師国家試験解説・P97 COPD増悪時の所見

選択肢を一つずつ見ていきましょう。

1 うつ熱とは熱中症のように,体熱の放散が妨げられ,体内に熱が蓄積することにより体温が上昇することで、本症例では関係ありません。

2 バイタルサインを見ると、血圧は138/88mmHgです。高血圧の定義は収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上です。

3 COPDの増悪時には呼気が延長します。知識を問う問題です。

4 身体所見で皮膚の所見に関しては言及されておりません。

正解は3ですね。

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2023年03月09日

第112回看護師国家試験解説・P97 COPD増悪時のあれこれ

Aさん(75歳男性)は一人暮らしで、妻とは5年前に死別し、子供はいない。57歳の時に慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断された。他に既往はない。20歳から喫煙していたが、今は禁煙している。エレベーターのないアパートの4階に住んでおり、家事動作時に息苦しさが出現することもあったが、日常生活動作(ADL)は自立していた。妻が亡くなってからは食事が不規則になり、インスタント食品ばかり食べていた。入浴はせず、週に1回シャワーを浴びていた。
1週前から日常生活動作(ADL)でも息苦しさが増強し、食欲がなく、ほとんど食事をしていなかったが、ジュースを500mL/日は飲んでいた。昨日の夕方に37.8℃の発熱があったため、本日かかりつけの病院を受診した。
受診時の身体所見:体温37.6℃、呼吸数24/分、脈拍94/分、血圧138/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)82%(room air)。動脈血液ガス分析(room air):動脈血酸素分圧(PaO2)45Torr、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)58Torr。
検査所見:赤血球420万/μL、Hb10.3g/dL、白血球9500/μL、総蛋白5.8g/dL、アルブミン3.4g/dL、空腹時血糖98mg/dL、CRP10.1mg/dL。
医師の診察の結果、Aさんは慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪と診断された。
このときのAさんの状態はどれか。
1 うつ熱
2 高血圧
3 呼気の延長
4 皮膚の掻痒感

問題文の長い3連問です。

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2023年03月06日

第112回看護師国家試験解説・A48 肺尖部の肺癌、といえば、頻出問題!

しばらくいろいろと挟まっておりましたが、まだ積み残しがございましたので、お付き合いください〜。

右肺尖部の肺癌の胸壁への浸潤による症状はどれか。
1 散瞳
2 構音障害
3 閉眼困難
4 上肢の疼痛

これも頻出、でしょうかね……。

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2023年03月01日

第112回看護師国家試験解説・A27 頻呼吸、といえば呼吸性アルカローシス!

まずは、せっかくですからこちらをご覧ください。

やさしイイ血液ガスの読み方基礎編⇒
https://youtu.be/ifsXBBLJOls

これでわかってしまうわけですが、頻呼吸になるとCO2(炭酸ガス=酸性物質)がどんどん排出され、酸が減るゆえに血液はアルカリ性に向かいます。これを呼吸性アルカローシス、というのです。

ちなみに他の選択肢ですが……

2 ヘマトクリットが基準値よりも高くなる多血になるのは、慢性的な低酸素状態が存在するときであり、急性の頻呼吸時には生じません。低酸素状態が持続するとエリスロポエチンの産生が亢進し、赤血球が増加するのです。

3 頻呼吸になると、多少動脈血酸素飽和度(SaO2)が上昇しますが、動脈血酸素飽和度(SaO2)は最高で100%であり、100%を超えることはありません。

4 換気量が増加すると動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)は低下します。

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2023年02月27日

第112回看護師国家試験解説・A27 コンサートで興奮し頻呼吸

健常な女子(15歳)が野外のコンサートで興奮し、頻呼吸を起こして倒れた。
この時の女子の体内の状態で正しいのはどれか。
1 アルカローシスである
2 ヘマトクリットが基準値よりも高い
3 動脈血酸素飽和度(SaO2)は100%を超えている
4 動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)は基準値よりも高い

こちら、血ガスの基本がわかっていれば易問ですね。

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2023年02月25日

第112回看護師国家試験解説・A3 ブリンクマン指数とpack-years/pack years

医師業界、論文を書こうとするともはやBrinkman〈ブリンクマン〉指数は使われず、pack-years/pack yearsが一般的になっておりますが、看護業界ではまだまだブリンクマン指数が使われておりますね。

ということで定義の問題。ブリンクマン指数は生涯喫煙量を定量化した指数で、喫煙が原因となる疾患のリスク評価に用いられるものです。

ブリンクマン指数=1日の平均喫煙本数×喫煙年数

一般的には、ブリンクマン指数が400を超えると肺癌のリスクが増加すると報告されていますし、他の疾患もリスクが増加するといわれています。

喫煙開始年齢が早いほど,肺癌のリスクが高くなるという報告はあり、家庭内に喫煙者がいたり、受動喫煙があるとさまざまな喫煙関連疾患が引き起こされます。しかしこれらはブリンクマン指数には入っていません。

過去にもほぼ同じ問題が出題されており、頻出問題のようですので、是非覚えておきましょう。


ちなみにpack-years/pack yearsの計算方法は……

pack-years/pack years(箱年)=1日の平均喫煙数×喫煙年数
1箱20本入り(世界共通?)ですから、pack-years/pack years=ブリンクマン指数÷20、となります。

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2023年02月24日

第112回看護師国家試験解説・A3 ブリンクマン指数

医師国家試験の後は、看護師国家試験があります。今年もそちらのお仕事も頂きました。やはりニュアンスが違いますね〜。

A3
喫煙指数(Brinkman〈ブリンクマン〉指数)を算出するために、喫煙年数の他に必要なのはどれか。
1 喫煙開始年齢
2 受動喫煙年数
3 家庭内の喫煙者数
4 1日の平均喫煙本数

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2023年02月21日

第117回医師国家試験解説・D58 昨年も同様の症状をきたす呼吸器疾患、といえば……

他分野の疾患はともかく、呼吸器疾患で、「昨年8月に咳嗽,呼吸困難および発熱症状で入院し,入院後治療せずに軽快し、また同一症状が再燃した」という病歴を呈するのは1つしかないように思います。

自然軽快後、繰り返しの病歴⇒アレルギー性疾患

でことで、まず考えるのは気管支喘息、となります。繰り返しの咳嗽、喘鳴、呼吸困難であれば、まずは気管支喘息を考えたい。

でも本症例は+発熱があります。発熱、つまり炎症がある。アレルギー性疾患で炎症、つまり肺炎、といえば……過敏性肺炎!という連想です。

ということで、所見として誤っているのは a KL-6低下 となります。

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2023年02月20日

第117回医師国家試験解説・D58 昨年も同様の症状、といえば?

57歳の女性.咳嗽,呼吸困難および発熱を主訴に来院した.昨年も8月に同様の症状で入院し,入院後治療せずに軽快している.1週間前から症状が増悪したため救急外来を受診した.体温37.8℃.脈拍92/分,整.血圧112/70mmHg.SpO2 92%(room air).呼吸音は両側でfine cracklesを聴取する.血液所見:赤血球335万,Hb 12.8g/dL,Ht 33%,白血球7,400,血小板15万.血液生化学所見:AST 25U/L,ALT 28U/L,LD 280U/L(基準120〜245),クレアチニン0.5mg/dL.CRP 5.8mg/dL.胸部単純CTで浸潤影,すりガラス陰影および小葉中心性陰影を認めた.

この患者の所見として誤っているのはどれか.
a KL-6低下
b 拘束性換気機能障害
c ツベルクリン反応陰転化
d 抗Trichosporon asahii抗体陽性
e 気管支肺胞洗浄液中CD4/CD8比低下

必ず取るべき問題、ですね!

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2023年02月16日

第117回医師国家試験解説・D56 非結核性抗酸菌症の診断と治療方針に物申す!?

昨日はもう実習と会議と人に会う用事で、いつの間にか終わっていました。

さてD56ですが、覚えておられますか?いろいろと言いたいことがあるのです……。

いやまずですね、診断のところなんですが、再掲しますと……

46歳の女性.血痰を主訴に来院した.約2年前から咳嗽と喀痰を自覚していた.徐々に喀痰が増え,2日前から血痰が出現したため受診した.(中略 診察所見)喀痰検査でZiehl-Neelsen染色が陽性であったが,結核菌PCR検査は陰性であった.血液検査で抗MAC〈Mycobacterium avium complex〉抗体が陽性であった.

胸部CTを見ると、まあ非結核性抗酸菌症かな、って感じの像ですね。

で、再度、診断の根拠ですが……

喀痰検査でZiehl-Neelsen染色が陽性であったが,結核菌PCR検査は陰性であった.血液検査で抗MAC〈Mycobacterium avium complex〉抗体が陽性であった

ここまでで喀痰からは一度もMACが検出されていない点にご注目ください。

現状、MACをはじめとする抗酸菌感染症の診断には、菌の検出が必要、という大原則があるわけです。そこをあえてこのような形式で出題する意図がもう、サッパリわかりません……。

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2023年02月13日

第117回医師国家試験解説・D56 46歳女性の血痰

46歳の女性.血痰を主訴に来院した.約2年前から咳嗽と喀痰を自覚していた.徐々に喀痰が増え,2日前から血痰が出現したため受診した.身長160cm,体重44kg.体温37.0℃.脈拍80/分,整.血圧124/72mmHg.呼吸数20/分.SpO2 98%(room air).右前胸部にrhonchiを聴取する.喀痰検査でZiehl-Neelsen染色が陽性であったが,結核菌PCR検査は陰性であった.血液検査で抗MAC〈Mycobacterium avium complex〉抗体が陽性であった.胸部単純CT(他所で参照ください ま、一部気管支拡張像のあるような粒状影です)を別に示す.

この患者で正しいのはどれか.
a 抗菌薬単剤治療を避ける.
b 治療は6ヵ月間が基本である.
c ヒトへ感染させる可能性がある.
d 菌が検出されたら直ちに治療を開始する.
e 土壌や水系などの自然環境には存在しない菌による.

これは一言、いや二言、三言、言いたいことがありますね……。

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2023年02月11日

第117回医師国家試験解説・D30 28歳の男性.発熱と咳嗽

28歳の男性.発熱と咳嗽を主訴に来院した.3日前から咳嗽があり,2日前から39℃の悪寒戦慄を伴う発熱が出現し,改善しないため受診した.既往歴に特記すべきことはない.喫煙歴はない.周りで同様の症状の人はいない.意識は清明.体温38.9℃.脈拍120/分,整.血圧120/70mmHg.呼吸数24/分.SpO2 97%(room air).右下肺野にcoarse cracklesを聴取する.胸部X線写真(他所で参照ください)と喀痰のGram染色標本(他所で参照ください)とを別に示す.

最も考えられるのはどれか.
a 肺結核
b 肺炎球菌肺炎
c レジオネラ肺炎
d クレブシエラ肺炎
e 黄色ブドウ球菌肺炎

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2023年02月10日

第117回医師国家試験解説・A46 縦隔気腫 解説

この問題はわかりやすい病歴、わかりやすいCT画像から診断自体は縦隔気腫であることはそれほど悩みどころではないと思います。ただ、治療の部分はおそらくこれまでにこういう選択肢で出題されたことがないため、(対策がなされていなかったようで)悩まれた方が多かったと聞いております。割れたみたいですね。

自然気胸の時は胸腔ドレナージが原則、みたいなところがありますから、縦隔気腫だと縦隔ドレナージになる?という発想もよく理解できるのですが、縦隔ドレナージというのはなかなか手技もハードルが高く、合併症も例えば逆行性感染を来して縦隔炎を起こしたりすると命に関わるような状態になり、そういう意味でもハードルの高い処置となっています。

縦隔気腫は多くの場合、安静にすることで自然軽快が期待されますので、この問題もaを選択していただきたいところです。今後year noteやQBに新たに項目が追加されるんだろうなあと思います。

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2023年02月09日

第117回医師国家試験解説・A46 17歳の男子.頸部の違和感

17歳の男子.頸部の違和感を主訴に来院した.部活動のサッカー中にボールで前胸部を強打し,その後しばらくして違和感を自覚した.生来健康である.意識は清明.体温36.4℃.脈拍80/分,整.血圧118/64mmHg.呼吸数16/分.SpO2 98%(room air).頸部に握雪感あり.肉眼上皮膚に異常を認めない.呼吸音に異常を認めない.胸部単純CT(他所で参照ください)を別に示す.

治療として適切なのはどれか.
a 入院安静
b 胸腔ドレナージ
c 縦隔ドレナージ
d 気管支拡張薬投与
e 副腎皮質ステロイド投与

これはしっかり取っておきたい問題か!と思いきや……

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2023年02月08日

第117回医師国家試験解説・A11 気管支喘息 解説

選択肢にもそれほど難しい(判断に迷う)事柄は含まれていないように思います。普通に?考えると…

喘息死はさすがに減っているでしょうし、
喘息は感染を契機に増悪することが多いですし、
吸入ステロイド薬と喫煙は相性が悪そうですし、
喘息の第一選択薬って吸入ステロイド薬でしょうし、
急性増悪時には短時間作用性β2刺激薬が第一選択だったよな〜

って感じではないでしょうか。てことでbかなと。

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2023年02月07日

第117回医師国家試験解説・A11 気管支喘息

この週末、第117回医師国家試験が行われました。受験生の皆さんはお疲れさまでした。幸い気象条件も余り荒れていなかったようで、大きなトラブルの発生は聞いておりません。皆様ご無事で終えられていれば幸いです。

さてこちらは、試験後の恒例、第117回医師国家試験問題の解答・解説づくりに励んでまいります。とはいえ、今日はちょっとそれどころではありませんが……。

117A11
気管支喘息について正しいのはどれか.
a 喘息死は増加傾向にある.
b 喘息増悪はウイルス感染後が最も多い.
c 吸入ステロイド薬は喫煙により作用が増強する.
d 抗IgE抗体はアトピー型喘息の第一選択薬である.
e 急性増悪時には長時間作用性β2刺激薬が第一選択である.


うん、まあまあ、標準的な問題といえるでしょうか。

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2023年02月04日

第117回医師国家試験、受験生の皆さん……は見てないか?

1日目が終わり、いろいろ思うところはあるでしょうが、ともかく明日に向けて体調を整えて早く寝ましょう。

リラックスできる画像を……と思ったが、飯テロ写真しかございません。

そういえば、昨日留学生さんと豆まきをしましたので、福は内〜〜ということでこちらを。

IMG_7953.jpg

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2023年01月10日

第117回医師国家試験対策講座 肺癌の化学療法1

こちらは以前滋賀医科大学在籍中に収録した動画ですが、第117回医師国家試験の呼吸器分野対策として、何かのお役に立てれば、ということで国試までの期間限定で公開します⇒
https://youtu.be/M7N9K6FOrPk


肺癌の化学療法に関しては、毎月のように新製品が出て論文が出てガイドラインが書き換わって…という現状ですから、細かいところを問う問題はなかなか出しにくいと思われますが、考え方の根幹はぜひとも理解しておきたいところです。

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2023年01月03日

第117回医師国家試験対策講座 予想問題

島根大学の学生さん有志に行なった、第117回医師国家試験、呼吸器分野対策講座動画、期間限定で公開しております。

今回も予想問題です。この器具、ちょっと時代の流れで、使っていないご施設も増えてそうなのですが、見たことありますか?見たことない方は一度見ておきましょう。5年生より下の学年の方は、実習を回る時にこの手の「器具」をぜひとも見ておいてください⇒
https://youtu.be/I5kGis5qzE4


申し訳ございませんが、新年早々(新年だから)、明日より数日間、更新は難しいかもしれませんので予め申し上げておきます。

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2022年12月29日

第117回医師国家試験対策講座 臨床実習で見ておくべきモノ、予想問題

島根大学の学生さん有志に行なった、第117回医師国家試験、呼吸器分野対策講座動画、期間限定で公開します。

今回は予想問題です。気管支鏡や○○器具など、「実習にちゃんと出て見とけよ」という問題がこれから続々と出題されると予想します。一度見ておくといいでしょう。5年生より下の学年の方は、実習を回る時にこういうことに気を付けて見ておきましょう。コメントが流れておりますのでそちらとのやり取り含めてお楽しみください⇒
https://youtu.be/Xj6z-y7FWyk

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2022年12月21日

第117回医師国家試験対策講座 結核について

以前島根大学の学生さん有志に行なった、第117回医師国家試験の呼吸器分野対策講座動画、期間限定で公開しますので、よろしければご利用ください。

今回は結核を取り上げます。結核もこれ頻出かつ必須です。なぜなら現場に出たときに、絶対に知っておかないといけないから。感染・伝染という点で公衆衛生的にも問題を作りやすいですし、診断の遅れ(Doctor's delay)は臨床的にもあってはならないことです。昨年の収録ですので動画内でコロナはあまり?みたいなことを言っておりますが、そこはちょっと無視してください。コロナ対策もしっかりしておきましょう……。

必ず問われる、いくつかポイントがありますのでぜひ知っておきましょう。コメントが流れておりますのでそちらとのやり取り含めてお楽しみください。⇒
https://youtu.be/eyagEHjpEcM

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2022年12月20日

第117回医師国家試験対策講座 普通じゃない、けど普通に出題される肺炎

以前島根大学の学生さん有志に行なった、第117回医師国家試験の呼吸器分野対策講座動画、期間限定で公開いたしますので、よろしければご利用ください。

今回は普通じゃない肺炎を取り上げます。普通じゃないけど頻出です。なぜなら現場に出たときに、絶対に知っておかないといけないから。いくつかポイントがありますのでぜひ知っておきましょう。コメントが流れておりますので、そちらとのやり取り含めてお楽しみください。⇒
https://youtu.be/DODar7K3eKU

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2022年12月19日

第117回医師国家試験対策講座 インフルエンザ桿菌・肺炎球菌の耐性パターン

以前島根大学の学生さん有志に行なった、第117回医師国家試験の呼吸器分野対策講座動画、期間限定で公開しますので、よろしければご利用ください。コメントが流れておりますのでそちらとのやり取り含めてお楽しみください。

今回はちょっとマニアック?な、インフルエンザ桿菌・肺炎球菌の耐性パターンについて取り上げます。ちょっとややこしいのですが、一度動画をご覧いただいて、頭の片隅においておかれるといいと思います。

後半ではA-DROPとqSOFAについて取り上げました。肺炎業界を代表?して、皆さんに謝ることがありますのでこちらもご覧いただければ。⇒

https://youtu.be/8d3m7XLs4IY

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2022年12月17日

第117回医師国家試験対策講座 喀痰グラム染色のヤマ2

いよいよ近づいてまいりました第117回医師国家試験。以前島根大学の学生さん有志に行なった、呼吸器分野の国家試験対策講座動画、期間限定で公開しますので、よろしければご利用ください。

今回はグラム染色の2回目です。細菌が何か、ということまでいかなくても、「これぐらいは問われる」というところを解説しています。コメントが流れておりますので、そちらとのやり取り含めてお楽しみください。
後半はもう少し複雑な喀痰所見ですが、これも「見方」「考え方」をお伝えしたいと思って提示しました。⇒
https://youtu.be/AyoYz5YnFJ8

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2022年12月16日

第117回医師国家試験対策講座 喀痰グラム染色のヤマ1

いよいよ近づいてまいりました第117回医師国家試験。以前島根大学の学生さん有志に行なった、呼吸器分野の国家試験対策講座動画、期間限定で公開しますので、よろしければご利用ください。

今回はグラム染色の、「これぐらいは問われる」というところを解説しています。コメントも流れておりますので、そちらとのやり取り含めてお楽しみください。⇒
https://youtu.be/sCsZQq_P8Qs

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2022年12月14日

第117回医師国家試験対策講座 肺以外の症状を呈する「肺」炎?

以前、島根大学の学生さん有志に、呼吸器分野国家試験対策講座をいたしました。こちらのトピックも取り上げ収録してみたのですが、とても一般公開できるものではありませんでしたので、昨年収録したこちらの動画を全国の受験生の皆さんにもお役立ていただけるよう、期間限定で公開します。

こちらのトピックは116回で見事に(笑)的中してしまったもの、例のキーワードは今後は外れるでしょうから、よろしければご利用ください。コメントスクリーン(*現在は作動しません)によるコメントが流れておりますので、そちらとのやり取り含めてお楽しみください。

https://youtu.be/X1WpYIUT7Og


いよいよ近づいてまいりました第117回医師国家試験。受験される医学生の皆さん、お疲れ様です。今年もとにかく感染対策に注意し、受験せずしてまた来年、とならないよう気を付けてください。皆さんの健闘をお祈りしております!

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2022年12月12日

第117回医師国家試験対策講座/第116回医師国家試験解説・D40 ABPM(allergic bronchopulmonary mycosis|アレルギー性気管支肺真菌症)

第117回医師国家試験対策講座にて、第116回医師国家試験の解説を収録しましたので公開いたします。
こちらの動画ではD40 ABPMについてのお話をしております。喘息といえば……のキーワードで語られるアノ疾患についても少し触れております。権利関係がよくわからないので、問題文の直接貼り付けはしておりませんので、皆様各自で問題をご覧いただきながら動画を見ていただきたいと思います。

途中、ちょっとギリギリな?発言が多々ございまして、かな〜り編集の手が加わっておりますこと、ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。今回2問取り上げましたが、ちょっと他の問題に関しては、編集も最初からあきらめるレベルで毒が含まれておりました……。

https://youtu.be/CRXMpAZ2jHE

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2022年12月11日

第117回医師国家試験対策講座/第116回医師国家試験解説・C12 胸水の分類2

第117回医師国家試験対策講座にて収録しました、第116回医師国家試験の解説、C12の後半では、滲出性胸水と漏出性胸水についてのお話から、滲出性胸水のさらなる鑑別、そして白血球の担当病原体まで話が及んでおります。こんな風に理解すると忘れにくいですよ〜という感じのお話です。

基本、学内向けにわかりやすさ重視でお話しておりますので、ツッコミはご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。

https://youtu.be/ibbKzUegIt8

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2022年12月10日

第117回医師国家試験対策講座/第116回医師国家試験解説・C12 胸水の分類1

というわけで、第117回医師国家試験対策講座にて行いました、第116回医師国家試験の解説を収録しましたので順次公開して参ります。

まずはこちらの動画。問題C12の解説、滲出性胸水と漏出性胸水についてお話しております。基本、学内向けにわかりやすさ重視でお話しておりますので、ツッコミはご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。

https://youtu.be/U9FcdApKZ38

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2022年02月16日

第111回看護師国家試験問題 寸評

というわけで、今年の医師国家試験問題解説は3問担当でした。

続けて第111回看護師国家試験の問題解説もやって参りましたが、こちらも既視感のある問題が2問。やはり過去問やりこみはこちらでも重要だなあ、と改めて実感しました。

111A18は呼吸パターンの波形?をみてチェーンストークス呼吸を選ぶ問題。これも頻出ですし絶対取りたいですね。

111P43で気になったのは、いまだ問題文に「肺気腫」という用語が使われている点。ご丁寧にpulmonary emphysemaのルビまで振ってあるんですが、問題作成者の先生は一体いつの時代の知識をもって問題作成されているのか…はたまた、いまだに国試の用語基準が変わっていないのか…とするとそっちの方が問題かも…と、いろいろ心配になるレベルの、かつCOPDに関して基礎レベルの知識を問う問題でした。

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2022年02月14日

第116回医師国家試験問題解説6 慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の呼吸機能について

116F4
慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の呼吸機能について正しいのはどれか.
a 残気量減少
b 1秒率>70%
c 肺拡散能増加
d 静肺コンプライアンス増加
e 上に凸のフローボリューム曲線

昨今の国試では、こういう、必修といいますか、基礎事項を問う、絶対に落としてはいけない問題と、新傾向の、落とす人もいるだろうけれども、よく考えるとわかるよね、という問題がはっきりしてきている印象です。基礎事項を問う問題はこれまで過去に何度も何度も、手を変え品を変え、同じような事柄が問われ続けているわけで、過去問をしっかりやりこんで確実に取っていかなくてはなりません。こちらもそういう問題になると思います。

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2022年02月13日

第116回医師国家試験問題解説5 パン工場に出勤したときに出る咳、職業性喘息

ちなみに職業性喘息でよく知られているものを挙げておきましょう。

動物の毛|獣医師やトリマー

海産物の殻や肉片|エビ・カニ食品業者

小麦粉|製パン業者や製麺業者

キノコの胞子|ビニールハウス内作業者

ラテックスゴム手袋|医療従事者

茶葉|製茶業者

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2022年02月12日

第116回医師国家試験問題解説4 パン工場に出勤したときに出る咳

今一度問題文を読んでみましょう。

38歳の女性.
3週間前から乾性咳嗽が出現するようになり改善しない.
夜間には落ち着いているが日中仕事中に咳が出る.
これまで喘息を指摘されたことはない.
18歳から花粉症を認めている.
1年前から製パン工房でパートとして平日週5日働いている.
週末,家にいるときには日中も症状がないが,月曜日に職場に行くと咳が出る.
喫煙歴はない.ペットは飼育していない.
体温35.2℃.呼吸数16/分.SpO2 96%(room air).
呼吸音に異常を認めない.
血液所見:赤血球360万,Hb 11.4g/dL,
白血球5,700(分葉核好中球56%,好酸球12%,好塩基球0%,リンパ球32%),
血小板32万.
CRP 0.2mg/dL.
胸部X線写真に異常を認めない.

まあキーワードしかございませんね。3週間前から続く乾性咳嗽ですので、定義上は遷延性咳嗽ということになります。これまで喘息を指摘されたことがないということですが、18歳から花粉症(アレルギー性疾患)がある38歳の女性ですから、喘息の初発は十分あると考えられます。

何より製パン工房に行った時に咳が出て、職場から離れると咳が出ないというのは、いかにも何らかの物質への曝露によるアレルギーと考えるのが自然です。ここで国試過去問に毒されていると、「(入院して)曝露から免れると改善する」という病歴からは過敏性肺炎が想起されると思いますが、過敏性肺炎にしては発熱というキーワードがなく、選択肢の検査を見渡してみても、過敏性肺炎で行われるような検査がひとつもありませんね。

今回の選択肢を見てみると、見事なほど気管支喘息(または咳喘息)を念頭に置いた検査等が選択肢に並んでいます。問題文を読まずに選択肢だけ見て仲間外れを探す、としても正解は導き出されるのではないでしょうか。

喘息という病態は、気管支が刺激に対して過敏になっていて狭窄する、それが可逆性があり、日内変動をする。もうこれでb、d、eは気管支喘息のための検査であると分かりますし、cIgE抗体が気管支喘息やアトピー性皮膚炎の時に有用な検査であることはご存知でしょう。

一方、a肺拡散能検査は「肺胞に障害があるとき」に肺胞における酸素の拡散能を見る検査(拡散能が低下しているかどうかを見る検査)であり、喘息のような気管支の障害が生じる疾患では有用ではありません。

実臨床の現場では、職場でのストレスによる心因性咳嗽という可能性もあるかもしれませんが、この問題では選択肢を眺めることで正解にたどり着くと思います。

今回この問題は、このような「暴露から免れた時に改善するアレルギー性疾患としての」気管支喘息をQBやイヤーノートに掲載するという意味で、意義深い問題になったと考えます。

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2022年02月11日

第116回医師国家試験問題解説3 パン工場に出勤したときに出る咳

116D35
38歳の女性.咳嗽を主訴に来院した.3週間前から乾性咳嗽が出現するようになり改善しない.夜間には落ち着いているが日中仕事中に咳が出る.これまで喘息を指摘されたことはない.18歳から花粉症を認めている.1年前から製パン工房でパートとして平日週5日働いている.週末,家にいるときには日中も症状がないが,月曜日に職場に行くと咳が出る.喫煙歴はない.ペットは飼育していない.体温35.2℃.呼吸数16/分.SpO2 96%(room air).呼吸音に異常を認めない.血液所見:赤血球360万,Hb 11.4g/dL,白血球5,700(分葉核好中球56%,好酸球12%,好塩基球0%,リンパ球32%),血小板32万.CRP 0.2mg/dL.胸部X線写真に異常を認めない.

診断に有用な検査として誤っているのはどれか.
a 肺拡散能検査
b 気道過敏性試験
c 特異的IgE抗体
d 気道可逆性試験
e ピークフロー日内変動

なんか特徴的な病歴ですねー。病歴はホンマに大事。

何が特徴的って、職場へ行くと咳が出るんですよね。で、週末家にいる時には日中も症状がない。これ以上特徴的な病歴はあるでしょうか?いや、ない。

で、おそらく国試対策をやっている皆さんは「職場に行ったら症状が出る=過敏性肺炎」な〜んて思われてるかもしれませんが、今回はその裏をかくかのような、見事なよくできた問題だと思いました。作成はあの先生かな〜。

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2022年02月10日

第116回医師国家試験問題解説2 滲出性胸水

いろいろ間に挟まってスミマセン。一昨日の続きです。

滲出性胸水は、炎症など何らかの病変が胸膜に存在し、そのためにその部位の血管透過性が亢進したり、破綻が生じたりして水が出てくるもの、ということで、

a 肺梗塞
b 肝硬変
c 急性膵炎
d 結核性胸膜炎
e 全身性エリテマトーデス

のうち、炎症などの病変ではないものはどれか、という問題に早変わり。これはb肝硬変によって、低アルブミン血症⇒血管内膠質浸透圧の低下によるしみだし、ということになりますね。

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2022年02月08日

第116回医師国家試験問題解説1 滲出性胸水

第116回医師国家試験、受験生の皆さんはお疲れさまでした。今年もコロナ禍でいろいろとストレスの多い受験であったかと思います。皆様ご無事で終えられていれば幸いです。卒業生の方からの情報によれば、とうとう例の問題が出題された、とのことで、島根大学および滋賀医科大学の卒業生の皆さんは皆さん解けたであろうと思います!!

さてこちらは、試験後の恒例、第116回医師国家試験問題の解答・解説づくりに励んでまいります。

116C12
滲出性胸水をきたす疾患に含まれないのはどれか.
a 肺梗塞
b 肝硬変
c 急性膵炎
d 結核性胸膜炎
e 全身性エリテマトーデス

まさか、「滲出性胸水を来たす疾患」を丸暗記してる人はいませんよね……。

漏出性胸水と滲出性胸水の違い・本質を知っておくべきかと思います。漏出性胸水は、主に圧力の差、静水圧や浸透圧といった圧力の差でもって滲み出してきた水で、シャバシャバ、うすくちの水になります。タンパクやアルブミンは少なく、LDHみたいな炎症や細胞破壊にまつわる物質もあまり含まれていない。逆に滲出性胸水は、炎症など何らかの病変が胸膜に存在し、そのためにその部位の血管透過性が亢進したり、破綻が生じたりして水が出てくるものになります。

ということでLightの基準では

蛋白:0.5>胸水中蛋白/血清蛋白
LDH:0.6>胸水中LDH/血清LDHまたは
 施設の血清LDHの正常上限の2/3以上
このうち1個でも満たせば、滲出性胸水

となっています。

さあ、ということで、答えは如何でしょうか……?

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2022年01月21日

第116回医師国家試験対策動画、公開(肺結核のしくみ、機序その他)

引き続き、第116回医師国家試験対策動画、公開して参ります。

第116回医師国家試験対策講座 肺結核1
https://youtu.be/zfzJQrKGwrg

第116回医師国家試験対策講座 肺結核2
https://youtu.be/bTbuJwrqYeM

第116回医師国家試験対策講座 肺結核2‐2
https://youtu.be/rC_RCVbiASg

第116回医師国家試験対策講座 肺結核3
https://youtu.be/6jISU8N8tiI

第116回医師国家試験対策講座 肺結核4−1
https://youtu.be/t2E0_YbV15k

第116回医師国家試験対策講座 肺結核4‐2
https://youtu.be/D_FFIPwIYZ8

第116回医師国家試験対策講座 肺結核5
https://youtu.be/x2mZ4R5zDu0

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2022年01月20日

第116回医師国家試験対策動画、公開開始しました。

今年も医師国家試験まで1か月を切り、いよいよ追い込みの時期かと思います。そこで昨年も公開していた、医師国家試験対策講座動画を期間限定で公開したいと思います。ちょっとタイミングが遅すぎる気がしないでもないですが、5年生の皆さんにもお役に立つといいかなあと思いますので、公開してみます。

第116回医師国家試験対策講座1 これって肺炎?
https://youtu.be/X1WpYIUT7Og

第116回医師国家試験対策講座2 喀痰グラム染色のヤマ1
https://youtu.be/sCsZQq_P8Qs

第116回医師国家試験対策講座3 喀痰グラム染色のヤマ2
https://youtu.be/AyoYz5YnFJ8

第116回医師国家試験対策講座4 インフルエンザ桿菌・肺炎球菌の耐性パターン
https://youtu.be/8d3m7XLs4IY

第116回医師国家試験対策講座5 普通じゃない肺炎
https://youtu.be/DODar7K3eKU

第116回医師国家試験対策講座6 結核について
https://youtu.be/eyagEHjpEcM

第116回医師国家試験対策講座7 予想問題
https://youtu.be/Xj6z-y7FWyk

第116回医師国家試験対策講座8 予想問題
https://youtu.be/I5kGis5qzE4

第116回医師国家試験対策講座9 気管支鏡の適応
https://youtu.be/NCncDCdtzqo

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2021年02月26日

第115回医師国家試験問題解説17 こちらも出題の意図…診断のノイズ

115F63
83歳の男性。食欲が低下し元気がないため妻とともに来院した。
現病歴: 約5年前から物忘れが目立ち、Alzheimer型認知症と診断されていた。1年前から記憶の低下がさらに進行し、5分前のことも忘れていることが多かった。同居する妻によると、2週前に38℃の発熱があったが市販の総合感冒薬を内服して解熱したという。その頃から家でうとうとしながら座っていることが増え、食事量も半分くらいに減った。1週前、通い慣れている施設から家へ帰る道が初めて分からなくなった。昨日トイレ動作にも介助を要するようになったため、他院において緊急で頭部単純CTを行ったが、異常はなかった。本人は特に苦痛を訴えないが、妻によると3日前から喀痰がみられるという。
既往歴: 糖尿病でDPP-4阻害薬を服用中である。
生活歴: 喫煙は20本/日を40年間。飲酒は機会飲酒。妻と2人暮らし。 家族歴: 父母とも老衰で死亡。
現症: 意識レベルはJCST-2。身長165cm、体重60kg。体温37.0℃。脈拍96/分、整。血圧106/60mmHg。呼吸数22/分。SpO₂ 94%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音に異常を認めない。右下背部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。瞳孔と眼球運動とに異常を認めない。腱反射は正常で運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。
検査所見: 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に赤血球、白血球を認めない。血液所見:赤血球 370万、Hb 12.0 g/dL、Ht 36%、白血球 11,300 (好中球 79%、好酸球 1%、好塩基球 0%、単球 6%、リンパ球13%)、血小板26万。血液生化学所見: 総蛋白7.5g/dL、アルブミン 3.5g/dL、AST22U/L、ALT 11U/L、ALP 217U/L (基準115~359)、γ-GT 29U/L (基準8~50)、アミラーゼ 94U/L (基準37-160)、尿素窒素 29mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、血糖 140mg/dL、HbA1c 6.8% (基準4.6~6.2)、Na 136mEq/L、K 4.6mEq/L、CI 96mEq/L、Ca 8.2 mg/dL。CRP 20mg/dL。
次に行うべき検査はどれか。
a 頭部MRI
b 腰椎穿刺
c 腹部造影CT
d 胸部エックス線撮影
e 上部消化管内視鏡検査

これは、まあまあノイズの多い病歴で。何を答えさせたかったのかなあ、と作問者になったつもりで考えてみますと、やはりノイズの多い「実臨床の現場」における臨床推論の型を身につけろ、ということでしょうかね。

Alzheimer型認知症があって意識障害悪化、他院で頭部単純CT異常なし、とまあ、ありがちな情報でノイズが多くなっております。そうはいっても呼吸数22回、SpO2低下、coarse cracklesを聴取する、と肺炎dを思わせる所見をしっかり拾うことができれば、それでいいのかもしれませんね…。

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2021年02月25日

第115回医師国家試験問題解説16 出題の意図??

115F40
74歳の男性。1週前に大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁置換術を施行した。術後経過は良好で退院を目指し、一般病棟でリハビリテーションに励んでいた。昨日から食欲不振があり、今朝から息切れと全身倦怠感を訴えている。意識は清明。体温36.7℃。脈拍100/分、整。血圧94/74mmHg。呼吸数18/分。SpO₂98 % (room air)。眼瞼結膜は軽度貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。頸静脈怒張を認める。心音は減弱。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、胸部正中に手術痕を認める。血液所見:赤血球352万、Hb10.7 g/dL、Ht31%、白血球8,700、血小板10万。血液生化学所見:アルブミン3.3g/dL、総ビリルビン1.2mg/dL、AST 31 U/L、ALT52U/L、LD331 U/L (基準120〜245) 、CK50U/L (基準30〜140)、尿素窒素30mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、Na136mEq/L、K5.1mEq/L、Cl99 mEq/L。CRP1.2 mg/dL。胸部エックス線写真及び胸部単純CTを別に示す。
症状に最も関連している病態はどれか。
a 気胸
b 貧血
c 縦隔炎
d 胸水貯留
e 心嚢液貯留

こちら、写真がないと何のことやら…?という感じですが、こちらへの引用は控えておきますので、自力でご覧ください…といっても、写真がすべて、の問題ではあります。

写真で見えるのは胸水と心嚢液です。大動脈弁置換術後の患者さんで、術後しばらく経過が順調であったものの、息切れと全身倦怠感が生じてきたと。ごく軽度の貧血がありますが、それだけでこの症状が来るとは考えにくい…。

キーワードとして頸静脈怒張・心音減弱があるというところですので、症状と考え合わせるとここは心不全かなと。胸水は少量で、症状が出るとは考えにくいですね。まあちょっと出題の意図がイマイチよくわからないのですが…。この程度の胸水ではあまり症状は出ない、ということを現場で見ておけよ、心嚢水がたまるとこの程度でも症状が出ることを知っておけよ、ってことなのでしょうか…??

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2021年02月24日

第115回医師国家試験問題解説15 計算問題

115F7
呼吸機能検査を行ったところ、肺活量 4,200 mL、1秒量 3,200 mL、努力性肺活量 4,000 mL、予測肺活量 3,900 mL、予測1秒量 3,000 mLであった。
1秒率(FEV1%)を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には小数第1位を四捨五入すること。
a 70
b 71
c 80
d 82
e 107

割り算です。この手の頻出計算問題は式を覚えておくしかありませんね。A-aDO2とかP/FとかAGとか肺気量分画とか。覚えておいてくださいませませ。

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2021年02月23日

第115回医師国家試験問題解説14 聞き覚えのない言葉にビビらないこと!

115E37
23歳の男性。咳嗽および血痰を主訴に来院した。3日前から乾性咳嗽が出現し、激しくせき込むようになった。今朝、咳嗽時に少量の血痰が1回出現したため心配になって受診した。悪心や嘔吐はなく、食欲良好で体重減少や盗汗はない。結核曝露歴や最近1か月の海外渡航歴はない。既往歴に特記すべきことはなく、喫煙歴と飲酒歴はない。意識は清明。診察中には咳嗽が時々出るが血痰は出ていない。身長160cm、体重72kg。体温36.1℃。脈拍72/分、整。血圧122/58mmHg。呼吸数12/分。口腔内と咽頭に異常はなく、頸部リンパ節腫脹を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。
この時点で最も事前確率の高い疾患はどれか。
a 肺癌
b 気管支喘息
c 急性気管支炎
d Goodpasture症候群
e 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症〈Churg-Strauss症候群〉

事前確率…苦手意識を持っている人もおられるかもしれません。感度とか特異度とか尤度比とか。しかし、臨床推論を考えるうえでは、避けては通れない概念ですし、一度は馴染んでおかれるのがよいかと。こういう「苦手だな」と思っている用語を見たときに、無意識に避けてしまったりして点が取れないのはもったいない…あ、私だけですか?それは失礼いたしました。

要は「この時点で最もそれっぽい疾患はどれか。」ってことですからね。こういう、臨床の現場で優先すべきは「頻度の高いもの」です。基礎疾患や暴露のない若年男性の急性、単回のepisode、バイタル他特記事項がない、ということで、急性気道感染症cを考えることになるでしょう。

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2021年02月22日

第115回医師国家試験問題解説13 乳び胸・結節の診断

今回も必ず取らなくてはならない問題ですね。

115D14
乳び胸の原因となるのはどれか。2つ選べ。
a 心不全
b 食道癌手術
c 細菌性胸膜炎
d 月経随伴性気胸
e 肺リンパ脈管筋腫症〈LAM〉

ここ最近は臨床問題のテイでよくお目にかかる乳び胸。一般問題では知識を問われますが、「乳び胸がどんなものか」わかっていれば解けそうですね。胸管から乳びが漏出するので、胸管が損傷する外傷や手術b、それに悪性腫瘍と、まれな疾患としてLAMeは頭に入っていてほしいですね。


115D27
74歳の女性。胸部エックス線で異常陰影を指摘され来院した。3年前に直腸癌に対する手術を施行され、経過観察中である。昨年は異常を指摘されていない。胸部エックス線写真及び胸部造影CTを別に示す(肺野の結節影)。
診断確定のために最も有用な検査はどれか。
a 胸部MRI
b 喀痰細胞診
c 腫瘍マーカー
d 気管支鏡検査
e 骨シンチグラフィ

結節影の診断確定です。これは絶対に生検dが必要です。最近ちょいちょい、アンチ腫瘍マーカー問題が出てきますが、これもそうかもしれません。厚労省も腫瘍マーカー健診には参っていて、苦々しく思っているのかもしれませんね…。「腫瘍マーカーは診断には使えない」というメッセージを医学生に植え付ける、大変大事なことだと思います。

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2021年02月21日

第115回医師国家試験問題解説12 睡眠時無呼吸症候群・膿胸

115D5
睡眠時無呼吸症候群の合併を疑わせるものとして誤っているのはどれか。
a 気胸の既往
b 昼間の眠気
c 頻回の夜間覚醒
d 治療反応性が不良な高血圧
e 夜間発症の心血管イベントの既往

常識的な一般問題です。必ず正解すべき。気胸は関係ないですね。a


115D7
急性膿胸の原因にならないのはどれか。
a 肺炎
b 胸部外傷
c 食道穿孔
d 肺線維症
e 降下性壊死性縦隔炎

これもあまりにもみえみえの問題ですね…。

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2021年02月20日

第115回医師国家試験問題解説11 頻出問題・癌疼痛の対処

115D17
76歳の男性。血痰と腰痛を主訴に来院した。1か月前から腰痛が出現し次第に増強し、3日前から喀痰に血液が混じるため受診した。喫煙は74歳まで20本/日を54年間。意識は清明。身長165cm、体重56kg。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧140/76mmHg。呼吸数16/分。SpO₂ 97%(room air)。食欲は良好。血液所見:赤血球420万、Hb 12.8g/dL、Ht 40%、白血球8,600、血小板42万。血液生化学所見:総蛋白 6.2 g/dL、アルブミン 3.6 g/dL、総ビ リルビン 0.7 mg/dL、AST 25 U/L、ALT 19 U/L、LD 343 U/L(基準 120~245)、尿素窒素 20 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL。胸部単純エックス線写真で右下肺野に5cm大の腫瘤を認める。全身の造影CTと気管支鏡下生検により腰椎転移を伴う進行肺扁平上皮癌と診断され薬物による抗癌治療の開始を検討中である。
現時点で行うべき疼痛対策として適切でないのはどれか。
a NSAID経口投与
b 塩酸モルヒネ皮下投与
c 骨転移への放射線照射
d アセトアミノフェン経口投与
e ビスホスホネート製剤静脈投与

WHO方式の三段階除痛(鎮痛)ラダー(最近また変わりましたが)、そして鎮痛薬使用の基本は頻出でした。

WHO方式の三段階除痛(鎮痛)ラダー
第一段階:軽度の痛み|非オピオイド鎮痛薬(NSAIDsやアセトアミノフェン)
第二段階:軽度から中等度の痛み|弱オピオイド(コデインやトラマドール)
第三段階:中等度から高度の痛み|強オピオイド(モルヒネ・フェンタニル・オキシコドン)

鎮痛薬使用の基本
@経口投与
A時刻を決めて規則正しく
B除痛ラダーにそって効力の順に
C患者ごとの個別の量で
Dその上で細かい配慮を

困ったことに2018年、WHOのガイドラインが変更になりまして。

7つの基本原則
@疼痛治療の目標
A包括的な評価
B安全性の保障
C薬物療法及び心理社会的・精神的ケアも含む
Dオピオイドを含む鎮痛薬はいずれの国でも使用されるべき
E鎮痛薬は「経口的に」「時刻を決めて」「患者ごとに」「細かい配慮をもって」投与
Fがん疼痛治療はがん治療の一部と考える

そのうえで推奨
鎮痛薬(アセトアミノフェン、NSAIDs、オピオイド)
鎮痛補助薬(ステロイド)
骨転移に対して(ビスホスホネート、放射線)

ということで、なんにしても原則から外れているbを選ぶことになります。ちなみに、骨転移への放射線照射やビスホスホネート製剤静脈投与は、骨転移の疼痛コントロール法として(いわゆる鎮痛薬以外の)標準的な治療とされていますので覚えておきましょう。

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2021年02月19日

第115回医師国家試験問題解説10 CTで肺区域はわかるようになっておくこと!

115C42
59歳の男性。肺がん検診で胸部異常陰影を指摘され来院した。胸部エックス線写真及び胸部単純CT(転載はしませんのでご自分で探していただければ)を別に示す。
病変の発生部位として正しいのはどれか。
a 右上葉
b 右中葉
c 右下葉
d 右胸膜
e 後縦隔

現場見ときなさいよ問題、胸部エックス線やCTで、「そこ」がどの区域にあたるのかは必ず知っておきたいところです。覚える方法としては「ブロンコ体操」を是非。

本問では異常陰影(結節)が葉間(無血管領域)の後ろにありますので、右の下葉にあることは間違いありません。この程度の解剖学的知識は必須ですので、「ブロンコ体操」を是非。大事なことなので二度言いました。

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2021年02月18日

第115回医師国家試験問題解説9 臨床問題の顔をした一般問題

115B38
59歳の女性。手指の腫脹を主訴に来院した。3週前から急に手指末節が腫脹し、爪甲が隆起し軽度の疼痛を伴うようになったため受診した。数日前から同様の症状が足趾にも生じてきた。関節痛はない。手指の写真(別冊No.5)を別に示す。
精査すべきなのはどれか。
a 子宮癌
b 腎癌
c 乳癌
d 肺癌
e 卵巣癌

ばち指の問題です。dですね。

115B39
68歳の男性。左肩痛を主訴に来院した。2か月前に左肩痛が出現し、増悪したため受診した。喫煙歴は30本/日を40年間、2年前から禁煙している。脈拍60/分、整。血圧120/88mmHg。呼吸数16/分。胸部エックス線写真(別冊No.6A)及び胸部造影CT(別冊No.68)を別に示す。経気管支肺生検で肺腺癌と診断された。
認める可能性が高いのはどれか。
a 左散瞳
b 顔面浮腫
c 左眼瞼下垂
d 左上肢の浮腫
e 左側の発汗増加

左pancoast症候群の問題です。一見臨床問題の顔をした、一般問題ですね。cです。

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2021年02月17日

第115回医師国家試験問題解説8 急性咳嗽の原因

115B15
急性咳嗽の原因として頻度が高いのはどれか。

a COPD
b 咳喘息
c 胃食道逆流症
d 副鼻腔気管支症候群
e マイコプラズマ肺炎

こちらも、出題の意図を今一つ測りかねると申しますか…。まあ、素直に考えて、急性咳嗽⇒急性感染症を選ぶということでよろしいでしょうかね。

例えば咳喘息だって、1回1回の発作は各々急性に生じるし、COPDも増悪時には急性に咳嗽・喀痰が出るわけで…逆にマイコは遷延性〜慢性咳嗽になるぞ…なんて言ってたら回答できませんかね。捻くれた大人の独り言でした。

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2021年02月16日

第115回医師国家試験問題解説7 キーワードだらけの間質性肺炎

115A37
47歳の男性。乾性咳嗽を主訴に来院した。2週前から夜間の微熱があり、1週前から出現してきた乾性咳嗽が増悪したため受診した。1年半前に原発性骨髄線維症に対して同種造血幹細胞移植を受けた。体温36.4℃。脈拍88/分、整。血圧110/62mmHg。呼吸数20/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球319万、Hb10.3 g/dL、Ht31%、網赤血球2.8%、白血球5,700(桿状核好中球3%、分葉核好中球80%、好酸球3%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球5%)、血小板21万。血液生化学所見:IgG 480mg/dL(基準960〜1,960)、IgA21mg/dL(基準110〜410)、IgM28mg/dL(基準65〜350)。CRP 3.2mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.39、PaCO₂ 44 Torr、PaO₂61 Torr、HCO₃⁻ 25mEq/L。誘発喀痰のMay-Giemsa染色では栄養帯を、Grocott染色では黒く染まるシストをそれぞれ検出した。胸部エックス線写真(別冊No12A)及び胸部CT(別冊No12B)を別に示す。
検査所見として正しいのはどれか。
a KL-6正常
b 尿中抗原の陽性
c β-D-グルカン高値
d 喀痰培養検査で原因微生物を同定
e 2週間後のペア血清で抗体価4倍以上の上昇

キーワードがふんだんにちりばめられています。原発性骨髄線維症に対して同種造血幹細胞移植、呼吸数20/分、心音と呼吸音とに異常を認めない、PaO₂61 Torrの低酸素血症、誘発喀痰のMay-Giemsa染色で栄養帯、Grocott染色では黒く染まるシストを検出した。まあ最後のところで十分ですね。画像はまあ、別になくても、ニューモシスチス肺炎。

正解:c

だけど…よく勉強されている人は、却って迷われたかもしれません…なぜか。

血液生化学所見でIgG 480mg/dL(基準960〜1,960)、IgA21mg/dL(基準110〜410)、IgM28mg/dL(基準65〜350)と液性免疫低下がドドーンと示されているのです。あれ?ニューモシスチス肺炎って、細胞性免疫低下時だよな…となってしまうと迷ったかも。

出題者の意図は私にはわかりません。サッパリわかりません。もちろん悪性腫瘍、特に血液悪性腫瘍、造血幹細胞移植後にニューモシスチス肺炎が合併しやすい、という事象を押さえておくことも必要かもしれませんし、「免疫」低下がある、ということを明示するために、数値として認識しやすいイムノグロブリン値を示されたのかもしれませんが、こういう問題が一度出てしまうと、液性免疫低下もニューモシスチス肺炎と関係あり、みたいにミスリードされてしまう未来がちょっと見えてしまうのですね。

病〇がみえる、とか、M〇Cの教科書とかにそういう記載が増えたり、となってしまうと、なんだかなあ、と思ってしまうのですが、考えすぎでしょうか…?

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