2021年02月26日

第115回医師国家試験問題解説17 こちらも出題の意図…診断のノイズ

115F63
83歳の男性。食欲が低下し元気がないため妻とともに来院した。
現病歴: 約5年前から物忘れが目立ち、Alzheimer型認知症と診断されていた。1年前から記憶の低下がさらに進行し、5分前のことも忘れていることが多かった。同居する妻によると、2週前に38℃の発熱があったが市販の総合感冒薬を内服して解熱したという。その頃から家でうとうとしながら座っていることが増え、食事量も半分くらいに減った。1週前、通い慣れている施設から家へ帰る道が初めて分からなくなった。昨日トイレ動作にも介助を要するようになったため、他院において緊急で頭部単純CTを行ったが、異常はなかった。本人は特に苦痛を訴えないが、妻によると3日前から喀痰がみられるという。
既往歴: 糖尿病でDPP-4阻害薬を服用中である。
生活歴: 喫煙は20本/日を40年間。飲酒は機会飲酒。妻と2人暮らし。 家族歴: 父母とも老衰で死亡。
現症: 意識レベルはJCST-2。身長165cm、体重60kg。体温37.0℃。脈拍96/分、整。血圧106/60mmHg。呼吸数22/分。SpO₂ 94%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音に異常を認めない。右下背部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。瞳孔と眼球運動とに異常を認めない。腱反射は正常で運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。
検査所見: 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に赤血球、白血球を認めない。血液所見:赤血球 370万、Hb 12.0 g/dL、Ht 36%、白血球 11,300 (好中球 79%、好酸球 1%、好塩基球 0%、単球 6%、リンパ球13%)、血小板26万。血液生化学所見: 総蛋白7.5g/dL、アルブミン 3.5g/dL、AST22U/L、ALT 11U/L、ALP 217U/L (基準115~359)、γ-GT 29U/L (基準8~50)、アミラーゼ 94U/L (基準37-160)、尿素窒素 29mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、血糖 140mg/dL、HbA1c 6.8% (基準4.6~6.2)、Na 136mEq/L、K 4.6mEq/L、CI 96mEq/L、Ca 8.2 mg/dL。CRP 20mg/dL。
次に行うべき検査はどれか。
a 頭部MRI
b 腰椎穿刺
c 腹部造影CT
d 胸部エックス線撮影
e 上部消化管内視鏡検査

これは、まあまあノイズの多い病歴で。何を答えさせたかったのかなあ、と作問者になったつもりで考えてみますと、やはりノイズの多い「実臨床の現場」における臨床推論の型を身につけろ、ということでしょうかね。

Alzheimer型認知症があって意識障害悪化、他院で頭部単純CT異常なし、とまあ、ありがちな情報でノイズが多くなっております。そうはいっても呼吸数22回、SpO2低下、coarse cracklesを聴取する、と肺炎dを思わせる所見をしっかり拾うことができれば、それでいいのかもしれませんね…。

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2021年02月25日

第115回医師国家試験問題解説16 出題の意図??

115F40
74歳の男性。1週前に大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁置換術を施行した。術後経過は良好で退院を目指し、一般病棟でリハビリテーションに励んでいた。昨日から食欲不振があり、今朝から息切れと全身倦怠感を訴えている。意識は清明。体温36.7℃。脈拍100/分、整。血圧94/74mmHg。呼吸数18/分。SpO₂98 % (room air)。眼瞼結膜は軽度貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。頸静脈怒張を認める。心音は減弱。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、胸部正中に手術痕を認める。血液所見:赤血球352万、Hb10.7 g/dL、Ht31%、白血球8,700、血小板10万。血液生化学所見:アルブミン3.3g/dL、総ビリルビン1.2mg/dL、AST 31 U/L、ALT52U/L、LD331 U/L (基準120〜245) 、CK50U/L (基準30〜140)、尿素窒素30mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、Na136mEq/L、K5.1mEq/L、Cl99 mEq/L。CRP1.2 mg/dL。胸部エックス線写真及び胸部単純CTを別に示す。
症状に最も関連している病態はどれか。
a 気胸
b 貧血
c 縦隔炎
d 胸水貯留
e 心嚢液貯留

こちら、写真がないと何のことやら…?という感じですが、こちらへの引用は控えておきますので、自力でご覧ください…といっても、写真がすべて、の問題ではあります。

写真で見えるのは胸水と心嚢液です。大動脈弁置換術後の患者さんで、術後しばらく経過が順調であったものの、息切れと全身倦怠感が生じてきたと。ごく軽度の貧血がありますが、それだけでこの症状が来るとは考えにくい…。

キーワードとして頸静脈怒張・心音減弱があるというところですので、症状と考え合わせるとここは心不全かなと。胸水は少量で、症状が出るとは考えにくいですね。まあちょっと出題の意図がイマイチよくわからないのですが…。この程度の胸水ではあまり症状は出ない、ということを現場で見ておけよ、心嚢水がたまるとこの程度でも症状が出ることを知っておけよ、ってことなのでしょうか…??

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2021年02月24日

第115回医師国家試験問題解説15 計算問題

115F7
呼吸機能検査を行ったところ、肺活量 4,200 mL、1秒量 3,200 mL、努力性肺活量 4,000 mL、予測肺活量 3,900 mL、予測1秒量 3,000 mLであった。
1秒率(FEV1%)を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には小数第1位を四捨五入すること。
a 70
b 71
c 80
d 82
e 107

割り算です。この手の頻出計算問題は式を覚えておくしかありませんね。A-aDO2とかP/FとかAGとか肺気量分画とか。覚えておいてくださいませませ。

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2021年02月23日

第115回医師国家試験問題解説14 聞き覚えのない言葉にビビらないこと!

115E37
23歳の男性。咳嗽および血痰を主訴に来院した。3日前から乾性咳嗽が出現し、激しくせき込むようになった。今朝、咳嗽時に少量の血痰が1回出現したため心配になって受診した。悪心や嘔吐はなく、食欲良好で体重減少や盗汗はない。結核曝露歴や最近1か月の海外渡航歴はない。既往歴に特記すべきことはなく、喫煙歴と飲酒歴はない。意識は清明。診察中には咳嗽が時々出るが血痰は出ていない。身長160cm、体重72kg。体温36.1℃。脈拍72/分、整。血圧122/58mmHg。呼吸数12/分。口腔内と咽頭に異常はなく、頸部リンパ節腫脹を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。
この時点で最も事前確率の高い疾患はどれか。
a 肺癌
b 気管支喘息
c 急性気管支炎
d Goodpasture症候群
e 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症〈Churg-Strauss症候群〉

事前確率…苦手意識を持っている人もおられるかもしれません。感度とか特異度とか尤度比とか。しかし、臨床推論を考えるうえでは、避けては通れない概念ですし、一度は馴染んでおかれるのがよいかと。こういう「苦手だな」と思っている用語を見たときに、無意識に避けてしまったりして点が取れないのはもったいない…あ、私だけですか?それは失礼いたしました。

要は「この時点で最もそれっぽい疾患はどれか。」ってことですからね。こういう、臨床の現場で優先すべきは「頻度の高いもの」です。基礎疾患や暴露のない若年男性の急性、単回のepisode、バイタル他特記事項がない、ということで、急性気道感染症cを考えることになるでしょう。

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2021年02月22日

第115回医師国家試験問題解説13 乳び胸・結節の診断

今回も必ず取らなくてはならない問題ですね。

115D14
乳び胸の原因となるのはどれか。2つ選べ。
a 心不全
b 食道癌手術
c 細菌性胸膜炎
d 月経随伴性気胸
e 肺リンパ脈管筋腫症〈LAM〉

ここ最近は臨床問題のテイでよくお目にかかる乳び胸。一般問題では知識を問われますが、「乳び胸がどんなものか」わかっていれば解けそうですね。胸管から乳びが漏出するので、胸管が損傷する外傷や手術b、それに悪性腫瘍と、まれな疾患としてLAMeは頭に入っていてほしいですね。


115D27
74歳の女性。胸部エックス線で異常陰影を指摘され来院した。3年前に直腸癌に対する手術を施行され、経過観察中である。昨年は異常を指摘されていない。胸部エックス線写真及び胸部造影CTを別に示す(肺野の結節影)。
診断確定のために最も有用な検査はどれか。
a 胸部MRI
b 喀痰細胞診
c 腫瘍マーカー
d 気管支鏡検査
e 骨シンチグラフィ

結節影の診断確定です。これは絶対に生検dが必要です。最近ちょいちょい、アンチ腫瘍マーカー問題が出てきますが、これもそうかもしれません。厚労省も腫瘍マーカー健診には参っていて、苦々しく思っているのかもしれませんね…。「腫瘍マーカーは診断には使えない」というメッセージを医学生に植え付ける、大変大事なことだと思います。

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2021年02月21日

第115回医師国家試験問題解説12 睡眠時無呼吸症候群・膿胸

115D5
睡眠時無呼吸症候群の合併を疑わせるものとして誤っているのはどれか。
a 気胸の既往
b 昼間の眠気
c 頻回の夜間覚醒
d 治療反応性が不良な高血圧
e 夜間発症の心血管イベントの既往

常識的な一般問題です。必ず正解すべき。気胸は関係ないですね。a


115D7
急性膿胸の原因にならないのはどれか。
a 肺炎
b 胸部外傷
c 食道穿孔
d 肺線維症
e 降下性壊死性縦隔炎

これもあまりにもみえみえの問題ですね…。

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2021年02月20日

第115回医師国家試験問題解説11 頻出問題・癌疼痛の対処

115D17
76歳の男性。血痰と腰痛を主訴に来院した。1か月前から腰痛が出現し次第に増強し、3日前から喀痰に血液が混じるため受診した。喫煙は74歳まで20本/日を54年間。意識は清明。身長165cm、体重56kg。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧140/76mmHg。呼吸数16/分。SpO₂ 97%(room air)。食欲は良好。血液所見:赤血球420万、Hb 12.8g/dL、Ht 40%、白血球8,600、血小板42万。血液生化学所見:総蛋白 6.2 g/dL、アルブミン 3.6 g/dL、総ビ リルビン 0.7 mg/dL、AST 25 U/L、ALT 19 U/L、LD 343 U/L(基準 120~245)、尿素窒素 20 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL。胸部単純エックス線写真で右下肺野に5cm大の腫瘤を認める。全身の造影CTと気管支鏡下生検により腰椎転移を伴う進行肺扁平上皮癌と診断され薬物による抗癌治療の開始を検討中である。
現時点で行うべき疼痛対策として適切でないのはどれか。
a NSAID経口投与
b 塩酸モルヒネ皮下投与
c 骨転移への放射線照射
d アセトアミノフェン経口投与
e ビスホスホネート製剤静脈投与

WHO方式の三段階除痛(鎮痛)ラダー(最近また変わりましたが)、そして鎮痛薬使用の基本は頻出でした。

WHO方式の三段階除痛(鎮痛)ラダー
第一段階:軽度の痛み|非オピオイド鎮痛薬(NSAIDsやアセトアミノフェン)
第二段階:軽度から中等度の痛み|弱オピオイド(コデインやトラマドール)
第三段階:中等度から高度の痛み|強オピオイド(モルヒネ・フェンタニル・オキシコドン)

鎮痛薬使用の基本
@経口投与
A時刻を決めて規則正しく
B除痛ラダーにそって効力の順に
C患者ごとの個別の量で
Dその上で細かい配慮を

困ったことに2018年、WHOのガイドラインが変更になりまして。

7つの基本原則
@疼痛治療の目標
A包括的な評価
B安全性の保障
C薬物療法及び心理社会的・精神的ケアも含む
Dオピオイドを含む鎮痛薬はいずれの国でも使用されるべき
E鎮痛薬は「経口的に」「時刻を決めて」「患者ごとに」「細かい配慮をもって」投与
Fがん疼痛治療はがん治療の一部と考える

そのうえで推奨
鎮痛薬(アセトアミノフェン、NSAIDs、オピオイド)
鎮痛補助薬(ステロイド)
骨転移に対して(ビスホスホネート、放射線)

ということで、なんにしても原則から外れているbを選ぶことになります。ちなみに、骨転移への放射線照射やビスホスホネート製剤静脈投与は、骨転移の疼痛コントロール法として(いわゆる鎮痛薬以外の)標準的な治療とされていますので覚えておきましょう。

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2021年02月19日

第115回医師国家試験問題解説10 CTで肺区域はわかるようになっておくこと!

115C42
59歳の男性。肺がん検診で胸部異常陰影を指摘され来院した。胸部エックス線写真及び胸部単純CT(転載はしませんのでご自分で探していただければ)を別に示す。
病変の発生部位として正しいのはどれか。
a 右上葉
b 右中葉
c 右下葉
d 右胸膜
e 後縦隔

現場見ときなさいよ問題、胸部エックス線やCTで、「そこ」がどの区域にあたるのかは必ず知っておきたいところです。覚える方法としては「ブロンコ体操」を是非。

本問では異常陰影(結節)が葉間(無血管領域)の後ろにありますので、右の下葉にあることは間違いありません。この程度の解剖学的知識は必須ですので、「ブロンコ体操」を是非。大事なことなので二度言いました。

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2021年02月18日

第115回医師国家試験問題解説9 臨床問題の顔をした一般問題

115B38
59歳の女性。手指の腫脹を主訴に来院した。3週前から急に手指末節が腫脹し、爪甲が隆起し軽度の疼痛を伴うようになったため受診した。数日前から同様の症状が足趾にも生じてきた。関節痛はない。手指の写真(別冊No.5)を別に示す。
精査すべきなのはどれか。
a 子宮癌
b 腎癌
c 乳癌
d 肺癌
e 卵巣癌

ばち指の問題です。dですね。

115B39
68歳の男性。左肩痛を主訴に来院した。2か月前に左肩痛が出現し、増悪したため受診した。喫煙歴は30本/日を40年間、2年前から禁煙している。脈拍60/分、整。血圧120/88mmHg。呼吸数16/分。胸部エックス線写真(別冊No.6A)及び胸部造影CT(別冊No.68)を別に示す。経気管支肺生検で肺腺癌と診断された。
認める可能性が高いのはどれか。
a 左散瞳
b 顔面浮腫
c 左眼瞼下垂
d 左上肢の浮腫
e 左側の発汗増加

左pancoast症候群の問題です。一見臨床問題の顔をした、一般問題ですね。cです。

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2021年02月17日

第115回医師国家試験問題解説8 急性咳嗽の原因

115B15
急性咳嗽の原因として頻度が高いのはどれか。

a COPD
b 咳喘息
c 胃食道逆流症
d 副鼻腔気管支症候群
e マイコプラズマ肺炎

こちらも、出題の意図を今一つ測りかねると申しますか…。まあ、素直に考えて、急性咳嗽⇒急性感染症を選ぶということでよろしいでしょうかね。

例えば咳喘息だって、1回1回の発作は各々急性に生じるし、COPDも増悪時には急性に咳嗽・喀痰が出るわけで…逆にマイコは遷延性〜慢性咳嗽になるぞ…なんて言ってたら回答できませんかね。捻くれた大人の独り言でした。

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2021年02月16日

第115回医師国家試験問題解説7 キーワードだらけの間質性肺炎

115A37
47歳の男性。乾性咳嗽を主訴に来院した。2週前から夜間の微熱があり、1週前から出現してきた乾性咳嗽が増悪したため受診した。1年半前に原発性骨髄線維症に対して同種造血幹細胞移植を受けた。体温36.4℃。脈拍88/分、整。血圧110/62mmHg。呼吸数20/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球319万、Hb10.3 g/dL、Ht31%、網赤血球2.8%、白血球5,700(桿状核好中球3%、分葉核好中球80%、好酸球3%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球5%)、血小板21万。血液生化学所見:IgG 480mg/dL(基準960〜1,960)、IgA21mg/dL(基準110〜410)、IgM28mg/dL(基準65〜350)。CRP 3.2mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.39、PaCO₂ 44 Torr、PaO₂61 Torr、HCO₃⁻ 25mEq/L。誘発喀痰のMay-Giemsa染色では栄養帯を、Grocott染色では黒く染まるシストをそれぞれ検出した。胸部エックス線写真(別冊No12A)及び胸部CT(別冊No12B)を別に示す。
検査所見として正しいのはどれか。
a KL-6正常
b 尿中抗原の陽性
c β-D-グルカン高値
d 喀痰培養検査で原因微生物を同定
e 2週間後のペア血清で抗体価4倍以上の上昇

キーワードがふんだんにちりばめられています。原発性骨髄線維症に対して同種造血幹細胞移植、呼吸数20/分、心音と呼吸音とに異常を認めない、PaO₂61 Torrの低酸素血症、誘発喀痰のMay-Giemsa染色で栄養帯、Grocott染色では黒く染まるシストを検出した。まあ最後のところで十分ですね。画像はまあ、別になくても、ニューモシスチス肺炎。

正解:c

だけど…よく勉強されている人は、却って迷われたかもしれません…なぜか。

血液生化学所見でIgG 480mg/dL(基準960〜1,960)、IgA21mg/dL(基準110〜410)、IgM28mg/dL(基準65〜350)と液性免疫低下がドドーンと示されているのです。あれ?ニューモシスチス肺炎って、細胞性免疫低下時だよな…となってしまうと迷ったかも。

出題者の意図は私にはわかりません。サッパリわかりません。もちろん悪性腫瘍、特に血液悪性腫瘍、造血幹細胞移植後にニューモシスチス肺炎が合併しやすい、という事象を押さえておくことも必要かもしれませんし、「免疫」低下がある、ということを明示するために、数値として認識しやすいイムノグロブリン値を示されたのかもしれませんが、こういう問題が一度出てしまうと、液性免疫低下もニューモシスチス肺炎と関係あり、みたいにミスリードされてしまう未来がちょっと見えてしまうのですね。

病〇がみえる、とか、M〇Cの教科書とかにそういう記載が増えたり、となってしまうと、なんだかなあ、と思ってしまうのですが、考えすぎでしょうか…?

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2021年02月15日

第115回医師国家試験問題解説6 酸素投与器具と流量

115C4
酸素投与器具と流量の組合せで適切なのはどれか.
a 鼻カニューラ・・・・・・1L/分
b 鼻カニューラ・・・・・・7L/分
c フェイスマスク・・・・・・1L/分
d フェイスマスク・・・・・・3L/分
e リザーバー付マスク・・・・・・4L/分

さあ、今年はこちらできたか、という感じですね。何が?臨床実習で器具を見とけよ問題です。これまで酸素投与器具と流量が主役になったことがあったでしょうか?いやない。知らんけど。

ちなみに酸素投与器具については、こちらのブログでも何度か取り上げていますが、主に看護師さんに向けての記事で取り上げました。

鼻カニューラとマスクについて⇒
http://tnagao.sblo.jp/article/47770328.html
ローフローシステムについて⇒
http://tnagao.sblo.jp/article/182815853.html

ちなみにですが、「フェイスマスク」という言い方、こちらはあまり一般的な用語とは言えないと思います。日本呼吸器学会の「酸素療法マニュアル」では『簡易酸素マスク』となっておりますし、他には『シンプルマスク』などがいいのではないかと思います。というところで、一応常識問題、知っとけ問題ということのようです。わからん、という方はリンク先をご覧ください。

正解:a

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2021年02月14日

第115回医師国家試験問題解説5 急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎

これまで、急性好酸球性肺炎はしばしば臨床問題で出題されていましたが、慢性好酸球性肺炎が主役となったことはそれほど多くなかったように思います。

急性好酸球性肺炎は比較的病像がしっかり定まっていますね。若い男性がタバコを吸い始めたら、急性の経過で発熱と呼吸困難。胸部X線で両側が真っ白になって、胸部CTで肺水腫みたいな陰影が出てきて、両側胸水やカーリーB線なんかが出てきて、肺局所に好酸球は動員されているものの、末梢血の好酸球はむしろ正常と、典型的な要素が割とはっきりしています。過去問を数回やればつかめると思います。そういう意味で問題を作りやすい。逆にワンパターン、マンネリ化しているとも言えます。

それに対して、この慢性好酸球性肺炎というのは、疾患概念が定まっているような定まっていないような、急性と慢性という用語で対照的に語られることが多々ありますが、急性ほどがっちり定まっていないと思っています。

一応例えば、中年女性に多いとか、気管支肺胞洗浄で好酸球が増えている+末梢血の好酸球が上がっているとか、移動する浸潤影とか、もちろん慢性の経過である(=線維化が組織に生じている)とか、一応急性と対照的な考えとして語られる概念というのはあるのですが、ちょっとこれって本当に単一の疾患なのか?みたいなところがあるのです。

「好酸球が増える病態」というのはいろいろな原因で生じます。代表的なところで言いますと寄生虫、アレルギー(喘息、ABPMなど)、血管炎(EGPAなど)、それ以外に血液疾患、好酸球が増多して臓器障害を起こす、というところにフォーカスを当てた好酸球増多症候群(HES)という疾患概念があります。

一方臓器特異的な疾患概念として、特に肺局所に好酸球が浸潤してくる病態が多く、教科書的にPIE症候群(好酸球肺浸潤症候群:Pulmonary infiltration of eosinophilia)というくくりがあり、その中に急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎が含まれる、という分類をよく見かけると思います。

好酸球増多症候群、そういった「好酸球の増える、肺局所に浸潤してくる疾患」を含んだ、それこそ寄生虫や喘息も含めた、そういった分類の縦糸と横糸の絡み合いがややこしく、そういうグラデーションの中に存在するという意味で、個人的にはこのテの疾患は問題を作りにくいかなと思っていたのです…。

まあ、今回出題されてしまった以上、次の『病気がみえる』の改訂時には、もうガッツリと慢性好酸球性肺炎の項目が充実するんじゃないかな、と思います。まあややこしい分類を理解しなくても、上で申し上げたようないくつかの特徴、これらを押さえておけば、この問題を解くこと自体は難しいものではありません。

a 高齢者に多い.
 →中年女性です

b 喫煙が発症に関係する.
e 末梢血好酸球は正常である.
 →これらは急性好酸球性肺炎の特徴ですね。これだけでも、この症例は「急性」でないことがわかります。2つ正解があることになりますから。

d ステロイド抵抗性である.
 →ステロイドの反応性は良好です。「好酸球はステロイドですぐ逃げる」ってやつですね。

c 気管支喘息の合併が多い.
 →直接これを知らなくても、上の選択肢が誤りであることがわかれば、好酸球が増えるんだから、気管支喘息も合併するだろう、みたいな感じで解けるかと。

正解:c

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2021年02月13日

第115回医師国家試験問題解説4

115A46
54歳の女性.咳嗽と喀痰を主訴に来院した.喀痰は白色であり,発熱はなかった.自宅近くの診療所を受診し,胸部X線写真で異常陰影を指摘され,細菌性肺炎として抗菌薬の投与を受けたが陰影は増強したため紹介され受診した.3ヵ月前にも胸部X線写真で異常陰影を指摘されたが,症状が軽かったため経過観察したところ自然軽快したエピソードがあった.気管支鏡検査を施行し,気管支肺胞洗浄液中の好酸球は37%で,経気管支肺生検では好酸球浸潤を伴った肺胞隔壁の線維化病変を認めた.
この疾患について正しいのはどれか.
a 高齢者に多い.
b 喫煙が発症に関係する.
c 気管支喘息の合併が多い.
d ステロイド抵抗性である.
e 末梢血好酸球は正常である.

こちらもキーワードがちりばめられていて、ある程度過去問を解いていれば難しくはない、絶対に落とせない問題でしょう。

経過は慢性で、自然軽快というキーワードがあり、気管支肺胞洗浄で好酸球増多、肺政権でも好酸球浸潤があり、肺胞隔壁の線維化という、慢性の変化を思わせるワードが出てきています。肺胞内に好酸球浸潤が生じる、すなわち好酸球増多疾患ということで、慢性好酸球性肺炎を想起することはそれほど難しくはないでしょう。急性じゃないの?急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎は、全く違う疾患だと思っておきましょう。

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2021年02月12日

第115回医師国家試験問題解説3

夏型過敏性肺炎と分かれば、選択肢のうち誤っているのは、すぐわかりそうです。

a 入院で改善する.
→抗原回避、隔離で改善することはよく知られています。入院で改善する、ということ自体が診断の手掛かりになります。

b LDが高値である.
d KL-6が高値である.
→間質性肺炎で上昇する数値は過去にも頻出でした。これは知っておきましょう。あとはSP-A、SP-Dあたり。

c IgEが高値である.
e 気管支肺胞洗浄液でリンパ球増多を認める.
→こちらがまあ、キモといえばキモの問題。夏型過敏性肺炎はV型、W型アレルギーなので、リンパ球が増多となりますが、T型で増える好酸球やIgEは増えません。まあでもこれは一般問題レベルの話ですね…。一般問題を、臨床問題風にアレンジした、てな感じでしょうか。これは必ず正解しておきましょう。

正解:c

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2021年02月11日

第115回医師国家試験問題解説2

では問題文を順番に見ていきましょう。臨床問題の、呼吸困難を主訴とする症例では(臨床の現場に出る前に)必ず心得ておきたいポイントでもありますが、やはり病歴の中で経過というものは是非とも注目しておきたいところです。

この症例は、うまい具合に?一か月前という、割と微妙な、決して急性の経過ではない数字、かつ慢性でもない。この経過は、例えば過去問の、IPF(特発性肺線維症)の症例なんかですと数ヶ月という経過が多い、これが典型的な慢性の経過です。一方この症例は1ヶ月の経過で、1週間前に発熱が生じている、ということは症状が増えてきていると。

まあ症状には、波があるともっとわかりやすかったのかもしれません。2週間〜1か月の経過というのは微妙ですね…でも決して急性ではない。いわゆる細菌性肺炎ではないと思われます。ここが一つポイントになるかなと思いました。

で、ご丁寧に、タバコを吸ってないとかペット飼ってないとかは、キーワード的に言うとタバコなし→COPDを除外できる、ペットなし→ねわざわざ書くっていうのはどうなんでしょう。オーム病じゃないよ、鳥関連の過敏性肺炎でもないよということがおそらく言いたかったのかなと。まあ、とってもとってもとっても親切ですね。

で、ここから怒涛のキーワード攻撃。呼吸数24/分、SpO2 94%(room air)、胸部の聴診でfine crackles、ここでは肺が悪いことによる低酸素、聴診からは間質性肺炎を想起です。

で、築50年の木造建築、日当たりの悪い家に転居し、初めての夏であること、血液検査ではTrichosporon asahii特異抗体が陽性。これだけ並べてもらえたら、まあ夏型過敏性肺炎ですわね。

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2021年02月10日

第115回医師国家試験問題解説1

第115回医師国家試験、受験生の皆さんはお疲れさまでした。無事に終わりましたでしょうかね。SNSなんかを見ていると、時々エキセントリックな問題が見られたものの、取るべき問題は王道の問題が多く、ちゃんとやっている人は点が取れたのではないかという印象です。

さてこちらは、試験後の恒例、第115回医師国家試験問題の解答・解説づくりに励んでまいります。

115A19
63歳の男性.呼吸困難と発熱を主訴に来院した.1ヵ月前から乾性咳嗽があり,息苦しさが出現,次第に悪化してきたため受診した.1週前から37℃台前半の発熱が続いている.既往歴に特記すべきことはない.喫煙歴やペット飼育歴はない.昨年,築50年の木造建築,日当たりの悪い家に転居し,初めての夏である.体温37.7℃.呼吸数24/分.SpO2 94%(room air).胸部の聴診でわずかにfine cracklesを聴取する.胸部単純CTを別に示す.血液検査ではTrichosporon asahii特異抗体が陽性であった.

誤っているのはどれか.
a 入院で改善する.
b LDが高値である.
c IgEが高値である.
d KL-6が高値である.
e 気管支肺胞洗浄液でリンパ球増多を認める.

いやもうヒントが多すぎて、CT写真イランでしょ、って感じですね。割とサービスのいい問題だなと思いました。これでもかこれでもか、というぐらいヒントが出されています。最近の国試はどうなんでしょう、正解すべき問題においては間違えようのない問題作りを目指されているのかもしれませんね。

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2021年02月05日

第115回医師国家試験対策講座 肺癌の化学療法2

こちらは以前収録した動画ですが、第115回医師国家試験の呼吸器分野対策として、何かのお役に立てれば、ということで国試までの期間限定で公開します。ていうか、間、に、合、わ、ん…

小細胞肺癌の治療について述べています。

https://youtu.be/i_ktzrFVaPo

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2021年02月04日

第115回医師国家試験対策講座 肺癌の化学療法1

こちらは以前収録した動画ですが、第115回医師国家試験の呼吸器分野対策として、何かのお役に立てれば、ということで国試までの期間限定で公開します。

肺癌の化学療法に関しては、毎月のように新製品が出て論文が出てガイドラインが書き換わって…という現状ですから、細かいところを問う問題は出ない!…と確信しておりますが、考え方の根幹はぜひとも理解しておきたいところです。

https://youtu.be/M7N9K6FOrPk

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2021年02月03日

第115回医師国家試験対策講座 気胸

こちらは以前収録した動画ですが、第115回医師国家試験の呼吸器分野対策として、何かのお役に立てれば、ということで国試までの期間限定で公開します。

気胸の基礎的なことと、重要事項を一発で覚えられる魔法のキーワードについて述べています。

https://youtu.be/PJNnv9RBo5Y

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2021年02月02日

第115回医師国家試験対策講座 肺結核5

先日、第115回医師国家試験の呼吸器分野対策講座として行いました「肺結核の基礎的な理屈から治療まで」、国試直前ではありますが、何かのお役に立てれば、ということで国試までの期間限定で公開します。

第5回は肺結核の治療について述べています。結核シリーズはいったんこちらで終わりです。

https://youtu.be/x2mZ4R5zDu0

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2021年02月01日

第115回医師国家試験対策講座 肺結核4−2

先日、第115回医師国家試験の呼吸器分野対策講座として行いました「肺結核の基礎的な理屈から治療まで」、国試直前ではありますが、何かのお役に立てれば、ということで国試までの期間限定で公開します。

第4回の後半は昨今何かと話題のワクチンと、誤解している人がとっってても多い、IGRAについて取り上げました。どうぞご覧ください。

https://youtu.be/D_FFIPwIYZ8

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2021年01月31日

第115回医師国家試験対策講座 肺結核4−1

第115回医師国家試験呼吸器分野対策講座として行いました「肺結核の基礎的な理屈から治療まで」、国試直前ではありますが、何かのお役に立てれば、ということで国試までの期間限定で公開します。

第4回の前半は、一次結核と結核発症の危険因子について述べています。

https://youtu.be/t2E0_YbV15k

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2021年01月30日

第115回医師国家試験対策講座 肺結核3

第115回医師国家試験呼吸器分野対策講座として行いました「肺結核の基礎的な理屈から治療まで」、国試直前ではありますが、何かのお役に立てれば、ということで国試までの期間限定で公開します。

第3回は感染と発病の違い・喀痰検査について取り上げています。

https://youtu.be/6jISU8N8tiI

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2021年01月29日

第115回医師国家試験対策講座 肺結核2‐2

先日、第115回医師国家試験の呼吸器分野対策講座として行いました「肺結核の基礎的な理屈から治療まで」、国試直前ではありますが、何かのお役に立てれば、ということで国試までの期間限定で公開します。

第2回の後半は発病から結核菌がばらまかれるまでを考えてみます。

https://youtu.be/rC_RCVbiASg

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2021年01月28日

第115回医師国家試験対策講座 肺結核2

先日、第115回医師国家試験の呼吸器分野対策講座として行いました「肺結核の基礎的な理屈から治療まで」、国試直前ではありますが、何かのお役に立てれば、ということで国試までの期間限定で公開しますので、よろしければご利用ください。

第2回の前半は結核菌の立場になって物事を考えてみます。

https://youtu.be/bTbuJwrqYeM

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2021年01月27日

第115回医師国家試験対策講座 肺結核1

先日、第115回医師国家試験の呼吸器分野対策講座として「肺結核の基礎的な理屈から治療まで」を取り上げて、収録までしたのですが、動画を公開するのを完全に忘れておりました。

国試までの期間限定で公開しますので、よろしければご利用ください。 第1回は導入、疫学編です。

https://youtu.be/zfzJQrKGwrg

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2021年01月13日

第115回医師国家試験対策講座 予想問題 チェストドレーンバック

第115回医師国家試験、呼吸器分野対策講座動画、期間限定で公開します。

今回も予想問題です。この器具、見たことありますか?見たことない方は一度見ておきましょう。5年生より下の学年の方は、実習を回る時にぜひとも見ておいてください。

皆さんの健闘をお祈りしております!
https://youtu.be/I5kGis5qzE4

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2021年01月12日

第115回医師国家試験対策講座 予想問題 気管支鏡所見

島根大学の学生さん有志に行なった、第115回医師国家試験、呼吸器分野対策講座動画、期間限定で公開します。

今回は予想問題です。気管支鏡に限らず、内視鏡で見える内腔の所見、「実習にちゃんと出て見とけよ」という問題がこれから続々と出題されると予想します。一度見ておきましょう。5年生より下の学年の方は、実習を回る時にこういうことに気を付けて見ておきたいですね。

皆さんの健闘をお祈りしております!
https://youtu.be/Xj6z-y7FWyk

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2021年01月11日

第115回医師国家試験対策講座 結核について

先日島根大学の学生さん有志に行なった、第115回医師国家試験の呼吸器分野対策講座動画、期間限定で公開しますので、よろしければご利用ください。

今回は結核を取り上げます。結核もこれ頻出かつ必須です。なぜなら現場に出たときに、絶対に知っておかないといけないから。感染・伝染という意味では公衆衛生的にも問題になりますし、診断の遅れ(Doctor's delay)はあってはならないことです。必ず問われる、いくつかポイントがありますのでぜひ知っておきましょう。

皆さんの健闘をお祈りしております!
https://youtu.be/eyagEHjpEcM

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2021年01月10日

第115回医師国家試験対策講座 普通じゃない肺炎

先日行なった第115回医師国家試験の呼吸器分野対策講座動画、期間限定で公開しますので、よろしければご利用ください。

今回は普通じゃない肺炎を取り上げます。普通じゃないけど頻出です。なぜなら現場に出たときに、絶対に知っておかないといけないから。いくつかポイントがありますのでぜひ知っておきましょう。

皆さんの健闘をお祈りしております!
https://youtu.be/DODar7K3eKU

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2021年01月09日

第115回医師国家試験対策講座 インフルエンザ桿菌・肺炎球菌の耐性パターン/A-DROPとqSOFAについて

先日島根大学の学生さん有志に行なった、第115回医師国家試験の呼吸器分野対策講座動画、期間限定で公開しますので、よろしければご利用ください。

今回はちょっとマニアック?な、インフルエンザ桿菌・肺炎球菌の耐性パターンについて取り上げます。ちょっとややこしいのですが、一度動画をご覧いただいて、頭の片隅においておかれるといいと思います。

後半ではA-DROPとqSOFAについて取り上げました。肺炎業界を代表?して、皆さんに謝ることがありますのでこちらもご覧いただければ。

皆さんの健闘をお祈りしております!
https://youtu.be/8d3m7XLs4IY

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2021年01月08日

第115回医師国家試験対策講座 喀痰グラム染色を見る

いよいよ近づいてまいりました第115回医師国家試験。受験される医学生の皆さん、お疲れ様です。今年はとにかく感染対策に注意し、受験せずしてまた来年、とならないよう気を付けてください。

先日島根大学の学生さん有志に行なった、呼吸器分野の国家試験対策講座動画、(編集などはできておりませんが…汗)期間限定で公開しますので、よろしければご利用ください。

今回1つ目の動画ではグラム染色の、「これぐらいは問われる」というところを解説しています。
https://youtu.be/sCsZQq_P8Qs

2つ目の動画では、細菌が何か、ということまでいかなくても、「これぐらいは問われる」というところを解説しています。後半はもう少し複雑な喀痰所見ですが、これも「見方」「考え方」をお伝えしたいと思って提示しました。
https://youtu.be/AyoYz5YnFJ8

皆さんの健闘をお祈りしております!

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2021年01月06日

今年もやります!第115回医師国家試験対策講座 これって肺炎?

いよいよ近づいてまいりました第115回医師国家試験。受験される医学生の皆さん、お疲れ様です。今年はとにかく感染対策に注意し、受験せずしてまた来年、とならないよう気を付けてください。

さて先日、島根大学の学生さん有志に、呼吸器分野を中心に国家試験対策講座をいたしました。動画収録しましたので、(編集などはできておりませんが…汗)全国の受験生の皆さんにもお役立ていただけるよう、動画をいくつか期間限定で公開します。

カテゴリは「過去問つまずきポイント」となっておりますが、必ずしも過去問でなく、予想問題も含みます。よろしければご利用ください。皆さんの健闘をお祈りしております!

動画はこちらから⇒
https://youtu.be/X1WpYIUT7Og

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2020年07月22日

医師国家試験対策症例問題症例問題・診断

呼吸器領域で「病歴が特徴的・特異的で、病歴から診断名を引っ張り出してくるべきもの」は、それほど多くありません。国家試験対策には、このあたりの疾患を熟知しておく必要があります(し、臨床の現場でも典型的な症例においてはピーンと来る必要があります)。

病歴の中から、特徴的な言葉を取り出してみましょう。

難治性喘息でかかりつけ。
脚から大腿に掛けて、境界比較的明瞭な浸潤性紅斑としびれ感が出現。
湿疹の悪化と下腿に紫斑が出現した。
歩行に膝がおれて、足があがりにくい、長時間たてないといった症状が出現した。

呼吸器の疾患にしては、呼吸器の症状に乏しいですね。まあ、そういう方向から考えるのは邪道ですが…。

(難治性)喘息に始まり、皮膚症状、神経症状(つまり多彩な症状)と来れば…あとは発熱や関節痛などがあれば、血管炎を想起して頂きたいところです。血管炎の中でGPAとEGPAは、診断基準にも「経過」が記されているとおり、かなり典型的な経過をとることが多いので、必ず知っておきたいところ。本症例は年齢が少し典型的とは言いがたいのですがANCA陽性、皮膚生検からEGPAと診断されました。

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2020年03月06日

第114回医師国家試験問題速報解説15

114F17
気管支喘息患者で日内変動を認めるのはどれか.
a 残気量
b 肺活量
c 肺拡散能
d 1回換気量
e ピークフロー


気管支喘息症例においては、変動性があるのが疾患の特徴であり、ガイドラインの定義にも「変動性を持った気道狭窄(中略)で特徴付けられる疾患」との文言があります。つまりこの問題は、肺機能のうちどの要素の変動性が気管支喘息の特徴か、ということを問われています。

選択肢の中ではe ピークフローが閉塞性障害、つまり気道狭窄の指標となりますから、これを選択することになります。

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2020年02月28日

第114回医師国家試験問題速報解説10

114D63
A 65-year-old woman was diagnosed with stage TB right lung cancer.She underwent right lower lobectomy with lymph node dissection for the cancer.She developed a milky white pleural effusion of 860mL,which was drained after starting meals on the first postoperative day.
Which pleural effusion test should be performed for a definitive diagnosis?
a Protein
b Bacteria
c Triglyceride
d Malignant cells
e White blood cells

でました。完全英文問題。こちらも心臓に悪そう。ギョッとした受験生諸氏も多いのではないでしょうか。

まあでも、こちらは和文だと簡単な問題です。英文もしっかり腰を据えれば平易です。要は、「肺癌で葉切後、乳白色の胸水が大量に出てきた。何を測定しますか?」ってことで、乳び胸ですからc Triglycerideとなります。

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2020年02月27日

第114回医師国家試験問題速報解説9

114D59
65歳の女性.胸痛を主訴に来院した.1ヵ月前から右胸痛を自覚していたが改善しないため受診した.13年前に右乳癌で手術の既往がある.30年前から建設業に従事していた.呼吸音は右下胸部で減弱,胸部の打診で右背側に濁音を認めた.胸部X線写真(別冊),胸部造影CT(別冊)及びFDG-PET/CT(別冊)を別に示す.胸腔鏡下生検を施行した結果,カルレチニン免疫組織染色が陽性である悪性細胞を認めた.

この患者で高値を示すのはどれか.
a 胸水ヒアルロン酸
b 胸水トリグリセリド
c 血清α-フェトプロテイン〈AFP〉
d 胸水アデノシンデアミナーゼ〈ADA〉
e 血清アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉

カルレチニン免疫組織染色…カルレチニン…ナニソレ??うわああああ(混乱)となった方もおられるかも。心臓に悪い?問題です。

現段階では病みえにもイヤーノートにもカルレチニンの記載は見当たりませんが、そのうち記載されるようになるでしょう。いやそれでも、今でしょ!今解けるのかって問題で。

まあでも、胸部X線写真、胸部CTでは胸水と胸膜肥厚像のみ、PETでも胸膜に集積あるのみ、となりましたら、やはり中皮腫、であればa 胸水ヒアルロン酸だろう、ということで回答には何とかたどり着かれるのでは?

もっといえば、選択肢に挙がっている物質で、胸部疾患がらみのものは、他にはdのADAくらいですから、結核を示唆する情報がない⇒中皮腫、でたどり着けるかもしれませんね。

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2020年02月25日

第114回医師国家試験問題速報解説8

114D56
42歳の男性.喘嗚を主訴に来院した.幼児期に気管支喘息を発症したが,12歳以降は喘息発作もなく過ごしていた.半年前から再び発作が生じるようになったため受診した.アレルギー性鼻炎の既往はない.吸入副腎皮質ステロイド薬,吸入長時間作用性β2刺激薬,吸入長時間作用性抗コリン薬,ロイコトリエン受容体拮抗薬,テオフィリン徐放薬で治療したところ最近症状が落ち着き,減薬を考慮している.血液所見:赤血球430万,Hb 14.5g/dL,白血球7,800(分葉核好中球63%,好酸球10%,好塩基球1%,単球5%,リンパ球21%),血小板25万.特異的IgE抗体は全て陰性.
治療方針として,中止すべきでないのはどれか.
a テオフィリン徐放薬
b 吸入副腎皮質ステロイド薬
c 吸入長時間作用性β2刺激薬
d 吸入長時間作用性抗コリン薬
e ロイコトリエン受容体拮抗薬

これは正解してください。これまでは「治療に必要なものは」みたいな問いだったのを、寛解状態になったときに中止していくシチュエーションで若干ひねっておりますが、要は「治療のキーになる薬はどれか」ってことで、b 吸入副腎皮質ステロイド薬で決まりです。

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2020年02月21日

第114回医師国家試験問題速報解説7

114D44
気胸なんだから、もうドレナージ入れましょうよ、脱気しましょうよ、っていう話じゃないかなと思ったのですが、さらに検査をすると。検査するんですか?とおそらく多くの学生さんは思われたんではないでしょうか。

これ、現場の呼吸器内科医や救急医だったら何か検査するのかな?なんて深読みをされて墓穴を掘った方もおられたりするかもしれませんね…。まぁ百歩譲って検査をするとして、この五つの選択肢の中で選ぶとすればa胸部CTしかないと思います。もうそれでいいと思います。

なぜに気胸で喀痰細胞診や負荷心電図、それに気管支鏡が必要なのか。この辺は論外。呼吸機能検査に至っては禁忌肢と言ってもいいかもしれません。申し訳ありませんが本当に意図が分からない問題です。

例えば、これが高齢の重喫煙者だったり、気胸を繰り返していたり、胸部の既往歴があったりで、癒着が疑われる、ドレーンを入れる際にどこから入れるかをCTで確認する、ということはあると思います。でも本症例は20歳女性で素直な気胸のように見える。それでCTはどうなんでしょうか?

この問題を過去問として解くことになるこれからの受験生の皆さん。『病○がみえる』や『イ○ーノート』などに「気胸の場合胸部CTを撮影する」と記載されることになると思います。それで勉強する皆さんが、気胸といえばCTという短絡思考に陥ってしまわないか、ちょっと心配です…。

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2020年02月20日

第114回医師国家試験問題速報解説6

114D44
20歳の女性.右胸痛を主訴に来院した.昨日夕方,急に右胸痛と呼吸困難を自覚し本日増悪したため受診した.呼吸数22/分.SpO2 95%(room air).右胸部の呼吸音が対側と比べ減弱している.胸部X線写真(国試参照)を別に示す.

次に行うべき検査はどれか.
a 胸部CT
b 喀痰細胞診
c 負荷心電図
d 気管支鏡検査
e 呼吸機能検査

イヤこれは…胸部X線写真は、完全に気胸なのですよ。で、次何する?って…

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2020年02月18日

第114回医師国家試験問題速報解説5

114C38
68歳の男性.労作時の呼吸困難を主訴に来院した.2年前から階段の昇降ですぐに呼吸困難が出現するようになったという.1年前から食欲もなく,半年間で体重が4kg減少したため,心配になり受診した.喫煙歴は30本/日を45年間.3年前から禁煙している.身長165cm,体重47kg.胸部X線写真で両側肺野に著明な透過性亢進を認め,胸部CTで両肺に低吸収域を認めた.呼吸機能検査で閉塞性障害を認めCOPDと診断された.
栄養療法の方針として適切でないのはどれか.
a 塩分の過剰摂取を避ける.
b 1回の食事摂取量を減らす.
c 炭水化物主体の食事にする.
d 十分なエネルギー量を摂取する.
e 分岐鎖アミノ酸の摂取を心掛ける.

COPDの栄養療法は、基礎的なところをおさえておくしかないですが、以前から特に目新しいこともありません。カロリー・タンパク不足になってサルコペニア、フレイルになる。心不全の合併もよくある、1回にたくさん食べると胃が張って呼吸に影響が来るし、消化にエネルギーを使い消耗します。分岐鎖アミノ酸はわれわれもそうですがCOPD患者さんでは特に有効です。

ということでc炭水化物主体ではなく、タンパクや脂質(カロリーが高い)もしっかり摂るよう指導するのが基本です。


これから島根に向かいます。嵐を呼ぶ男ならぬ吹雪を呼ぶ男、となりかけましたが、なんとか飛行機は飛んでそうで安堵です。

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2020年02月17日

第114回医師国家試験問題速報解説4

114C62
この問題は一体何を問いたかったのか…。

肺炎に対する、抗菌薬治療の効果を判定するポイントとして、まず「患者さんの所へ行け。行って熱を測って、呼吸状態を見て、身体診察所見を取れ」ということが言われていますが、そういうことを問うた問題なのだろうかと思います。

白血球・CRP、ましてや胸部X線写真などの検査所見は、治療効果の反映が上記の身体所見よりも遅く、かつ他の要素に左右され、評価を誤る可能性もあります。

何より患者さんの所に行く。これを研修医の先生には徹底して身につけてほしいものです。出題者の先生がそういう意図を持ってこの問題を作成されたのであれば、大変喜ばしいことではありますが、残念ながら日本のガイドラインには「治療効果判定に呼吸数を見ろ」とはまだ記載されていない現状があり、ちょっと解説を作るときに苦労しました。

答えとしては、まあa呼吸数を見たらいいんですけれども、呼吸数は肺炎の診断にあたってのqSOFAの所にしか記載されていないので、ちょっと苦しい解説になっています(まあどこかの解説書で書いておりますので、よろしければまたご覧ください)。ガイドラインには明確に記載されていないんですが、上にも述べたように、抗菌薬の効果が出れば、翌日にも呼吸数は減少して効果が実感される、というのは現場ではよく知られていることです。

ですから、臨床実習で一度でも肺炎患者さんを見れば、まあそれで解ける問題だということになりますし、今後『病気が○える』とか『○ヤーノート』みたいな書籍には必ず記載されるでしょうから、この問題の功績は大きいと感じています。結果的に、出題委員の先生あっぱれ、ということですね。

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2020年02月14日

第114回医師国家試験問題速報解説3

114C61
次の、この患者の状態はどれか.2つ選べ、っちゅう問題ですが、これがいまいち意図がわからない。要するにこれらの病態(菌血症、敗血症、多臓器不全、敗血症性ショック、播種性血管内凝固〈DIC〉)の定義を知っておけ、そういうことなんでしょうか。

『成人肺炎診療ガイドライン2017』では、それまでの成人肺炎診療ガイドラインにはなかったqSOFAという新しいスコアリングが取り入れられ、敗血症を疑う根拠になっています。それを知っておくように、と注意喚起をするための問題かもしれませんが、ただ単にそれだけにすると問題としてシンプルすぎてしまうので、他の要素を取り入れて複数の病態の定義を知っておく、という問題に変更した、そのような印象がありますね。

まあ選択肢で、血液培養でKlebsiella pneumoniaeを検出していることから、菌血症はあるでしょうし、qSOFA2点(血圧78/40mmHg.呼吸数28/分)なのですから、敗血症も考えられます。それで終わり。

あとの選択肢は、そもそも評価するに足る情報すら与えられていませんので、問答無用で選択からは外れると思います。あ、敗血症性ショックは、あれですね。十分な輸液しても血圧が回復しない、っちゅうアレですね。だからわざわざわざとらしく「輸液したら云々」が問題文に入っているのですね。

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2020年02月13日

第114回医師国家試験問題速報解説2

114C60
まず診断ですが、46歳、虫垂炎術後2日目から発熱です。診察では、胸部「だけ」に異常所見(呼吸音左下胸部で減弱,coarse crackles聴取)。さらにご丁寧に、「腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.腹部の手術創部に異常を認めない.背部に叩打痛を認めない.」とあります。実臨床ではともかく、この時点で診断はa肺炎、で決まりです。

胸部X線写真、いよいよ「シルエットサインを駆使しないと異常を指摘できない」問題が出て参りました。これは下行大動脈と横隔膜がシルエット陽性なので、そこがわかっている方は問題ありませんが、結構わからなかった人も居られたよう。レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室は国試対策に必携と言えるでしょう(笑。

ということで、胸部X線写真からも肺炎であることは明らかです。

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2020年02月12日

第114回医師国家試験問題速報解説1

今年も医師国家試験が終了しました。今年はインフルエンザに加えてコロナ問題がありましたが、受験生の皆さんはご無事で終了されたでしょうか。とにもかくにもお疲れさまです。

さて例年通り、試験問題の解答解説作りのお仕事がございますので、早速「呼吸器」の問題を見て参りましょう。


C60〜62
次の文を読み,60〜62の問いに答えよ.
46歳の女性.急性虫垂炎の手術のため入院中である.
現病歴:3日前に急性虫垂炎のため虫垂切除術を施行した.昨日から38.0℃の発熱を認めているため,本日の朝に診察を行った.
既往歴:特記すべきことはない.
生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない.
家族歴:父親が膵癌のため68歳で死亡.
現症:意識レベルはJCST-1,GCS15(E4V5M6).身長155cm,体重48kg.体温37.2℃.脈拍112/分,整.血圧78/40mmHg.呼吸数28/分.SpO2 94%(room air).頸部リンパ節に腫脹を認めない.心音に異常を認めない.呼吸音は左下胸部で減弱し,coarse cracklesを聴取する.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.腹部の手術創部に異常を認めない.背部に叩打痛を認めない.両下腿に浮腫を認める.
検査所見:血液所見:赤血球388万,Hb 11.2g/dL,Ht 36%,白血球9,800(桿状核好中球39%,分葉核好中球45%,好酸球3%,好塩基球2%,単球4%,リンパ球7%),血小板18万,Dダイマー3.4μg/mL(基準1.0以下).血液生化学所見:総蛋白6.5g/dL,アルブミン2.9g/dL,尿素窒素21mg/dL,クレアチニン1.2mg/dL,Na 139mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 108mEq/L.CRP 12mg/dL,乳酸14mg/dL(基準5〜20).胸部X線写真を別に示す(各自で検索、ご覧ください).血液培養2セットからKlebsiella pneumoniaeが検出された.

C60
診断として最も考えられるのはどれか.
a 肺炎
b 腎盂腎炎
c 創部感染
d 急性胆管炎
e 化膿性脊椎炎


C61
酸素投与とともに,生理食塩液1,500mLを輸液したところ,体温38.1℃,脈拍96/分,整.血圧112/64mmHg,呼吸数24/分,SpO2 97%(鼻カニューラ3L/分酸素投与下)となった.
この患者の状態はどれか.2つ選べ.
a 菌血症
b 敗血症
c 多臓器不全
d 敗血症性ショック
e 播種性血管内凝固〈DIC〉


C62
抗菌薬治療を開始した.
効果判定にまず用いるべき指標はどれか.
a 呼吸数の減少
b 下腿浮腫の消失
c CRP値の正常化
d 白血球数の正常化
e Dダイマーの正常化


この問題は、一体何を狙った問題なのか、にわかには判然としませんでした。まあ、よくよく考えてみると、狙いはわからなくもないのですが…。

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2020年02月08日

第114回医師国家試験 #国試呼吸器これだけは

今日からいよいよ第114回医師国家試験。世の中新型コロナで大騒ぎですが、今回の国試にはまず出ないので受験生の皆さんは、とにかく基本の『インフルエンザに対する対策』をしっかりとって受験に臨んで欲しいですね。二重の意味で。

明日に向けて、見ておいて欲しいところ(というか、今日の問題は情弱にてまだ見られておりません)

血ガスの解釈:
A-aDO2、アニオンギャップの計算、アシドーシス、アルカローシス、解釈と対策まで、必ず出来るように。P/F比の計算も出来るようにね!

その流れでARDS(軽症・中等症・重症)の定義とARDSの原因も見ておきましょう。最近の出題では(大きな)術後が多いですね。

ARDSの定義
侵襲や呼吸器症状(出現/増悪)から
1週間以内の経過である、呼吸不全(PaO2/FIO2≦300)を伴う胸部X線写真上両側性の陰影
*胸水、無気肺、結節(腫瘤)では陰影のすべてを説明出来ない
*心不全、輸液過剰では呼吸不全の原因を説明出来ない

P/F比による分類
軽症(mild)|P/F比が201〜300(PEEP、CPAP≧5cmH2O下にて)
中等症(moderate)|P/F比が101〜200(PEEP≧5cmH2O下にて)
重症(severe)|P/F比が100以下(PEEP≧5cmH2O下にて)

ARDSの原因
感染症・敗血症
有毒ガス・薬剤
溺水
誤嚥
熱傷・多発外傷
脂肪塞栓症候群
肺挫傷


肺癌の化学療法も、ガイドラインの変更がじゃんじゃんある領域なので、必ずおさえておきたいですね。
とはいえ、最先端の、コロコロ変わっているところじゃなく、もう少し大元の「遺伝子変異」と「PD-L1」をおさえておきたいところです。

たとえば、68歳男性、W期非小細胞肺癌,EGFR遺伝子変異陽性(エクソン19欠失),PS 2,PD-L1≧50%症例に対する最適な一次治療は何か、みたいな問題ですね。

W期非小細胞肺癌の化学療法、ややこしいですが、大原則を理解しておくこと。まず遺伝子変異の有無を確認し、PD-L1は遺伝子変異陰性例での検討になります。


肺炎も、ガイドラインの改訂が2017年ですから、イイ頃合いですね。重症度の把握(A-DROP/qSOFA)と抗菌薬の選択はスイスイ出来るようにしておきたいですね。I-ROADはHAPの取り扱いがややこしくなったので、いささか重要度は下がりましたが、「出題されません」とは言い切れず。

A-DROPの5項目は、いずれも市中肺炎の予後予測因子。各項目、当てはまると1点。
A:Age(年齢) 男性≧70歳、女性≧75歳
D:Dehydration(脱水) BUN≧21または脱水
R:Respiration(呼吸)SpO2≦90%
O:Orientation(意識障害)
P:Pressure(血圧) 収縮期≦90mmHg

A-DROPの合計得点が何点かで、入院適応が決まります。
0点:軽症→外来治療可
1-2点:中等症→外来、または入院治療
3点以上:重症→入院治療
4点以上→ICU

A-DROPのD:Dehydration(脱水)、この期に及んでで知らない人は、Dassui(脱水)でいいです。無理しないで。

qSOFA(quick Sequential Organ Failure Assessment)スコア。
呼吸数≧22/分
意識レベルの変容
収縮期血圧≦100mmHg
2点以上は敗血症の疑いあり、ということになります。

qSOFAスコアは、働き始めて救急当直する、となったときに絶対必要。救急の現場で呼吸数をみる、意識レベルの「ちょっとした」変容にも目を配る、ということが大事です。ということを踏まえて、出題可能性は高いと思います。

あと、市中肺炎⇒喀痰グラム染色でグラム陽性双球菌⇒ペニシリン、の黄金パターンは必ずおさえておきましょう。もし余力があれば、「温泉」のキーワード無しでレジオネラ肺炎の診断が出来るか、レジオネラ肺炎の特徴(肺外臓器にいろいろ症状のある重症かつβラクタムが無効な肺炎)を眺めておくと良いかも。


それから肺結核も、根強く出題。過去問をやっていれば『臭う』臨床問題はわかると思います。診断には必ず喀痰をはじめとする『検体』からの菌検出が必要。IGRAや胸水ADAでは診断出来ません。

結核の特徴は、「対処」を問われる問題が多いことですね。しかしこの辺は、特に新たな事項はないので、これまでの過去問をしっかりやっていれば対応できるでしょう。


COPD診断と治療のためのガイドラインが2018年に第5版に改訂されたので、出題の頃合いだと思います。ポイントはACO問題、こちらも2018年に「手引き」が出たので、そこのところ(診断/治療)と、治療薬がスッキリ整理されたところ。他は学生さんレベルだと、第4版から大きな違いはないかも。

COPDの治療薬はLAMA(長時間作用性抗コリン薬)が第1選択です。LAMAが使えないときはLABA(長時間作用性β2刺激薬)。単独で効果が不足であればLAMA/LABA合剤へ。ICS(吸入ステロイド)は喘息病態合併のときに使う、となりました。

問題はACO(Asthma and COPD Overlap:喘息とCOPDのオーバーラップ)の診断ですが、これは2018年に『喘息とCOPDのオーバーラップ診断と治療の手引き2018』が出ておりますので、出題されても文句は言えません。ACOだったらまず吸入ステロイド(ICS)を加える、というかICSから。

ACO(Asthma and COPD Overlap)の診断基準。〜喘息の特徴
@変動性・発作性
A40歳以前に喘息
BFeNO>35ppb
@〜B3項目のうち2項目あれば喘息あり、1項目の場合、以下の2項目以上を満たせばOK
アレルギー性鼻炎
気道可逆性
末梢血好酸球高値
IgE高値

ACO(Asthma and COPD Overlap)の診断基準。〜COPDの特徴
@喫煙歴(10pack-years以上)または大気汚染曝露
A胸部CTで気腫性変化(低吸収域)を認める
B拡散障害
@〜Bのうちいずれか1項目あればCOPDありと考える
COPDの特徴、かつ喘息の特徴を満たすものをACOとする。

要するに、COPDかな、と思っても、
@変動性・発作性
A40歳以前に喘息
BFeNO>35ppb
@〜B3項目のうち2項目を満たしたら吸入ステロイドを使う、ってことです。


気管支喘息のガイドラインも2018年に新しくなってますが、これは大して変わっておりません。LAMAが最重症でなくても使えるようになったのと、最重症で抗体製剤が加わったくらい。ここは専門医試験レベルかなあ。

アスピリン喘息は以前から国試で頻出ですね。やはり「知っておかないと訴えられるレベルのヤツ」は必須です。


あと、特発性肺線維症(IPF)の治療ガイドラインが2017年。特記事項としては、IPFだったら抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)、それ以外の間質性肺炎だったらステロイド(+免疫抑制薬)。IPFにステロイドは禁忌肢になる勢いです。

特発性肺線維症(IPF)の診断はHRCT必須ですから、CTで蜂巣肺があって、捻髪音を聴取してKL-6高値で、原因が特になければ自信を持って抗線維化薬を選びましょう。


皆さんがこれまでの勉強の成果を十分発揮されんことをお祈りしています。今日は早く寝ましょう!もう寝てるか!

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2019年02月15日

第113回医師国家試験問題速報解説3

あともう少しだけおつきあい下さい。


D72
50歳の男性.胸痛を主訴に来院した.4ヵ月前から胸痛を自覚し,次第に増強するため受診した.18歳から現在まで造船業に従事している.胸水から悪性細胞が認められたが,組織型は不明である.胸部X線写真(胸水),胸部造影CT(胸水と胸膜肥厚)及びPET/CT(胸膜面に集積あり)を別に示す.


組織型を決定するために適切なのはどれか.2つ選べ.
a 胸腔鏡下生検
b 縦隔鏡下生検
c CTガイド下生検
d 気管支内視鏡下生検
e 上部消化管内視鏡下生検


この問題は、画像があった方がいいかもしれないですね(画像については他所でご確認ください…)。この問題のミソは、そういうわけで画像なんですが、画像上胸水も溜まってるんですが、胸膜の肥厚がしっかりあって、PETでも胸膜面だけに集積があるという所見です。

造船業というキーワードからは中皮腫が出てくるかもしれません。まあ中皮腫が出てこなくても、この問題に関しては画像からきちんと考えると正解に至ることは難しくないでしょう。

胸膜面というのは気管支内腔からアプローチする気管支内視鏡ではアプローチがなかなか難しい。特に中皮腫とかの場合には、やはり胸膜側からのアプローチ、すなわち外からCT ガイド下で針生検をするとか、胸腔鏡で生検をするとかでないと難しいということになります。

正解:a,c



E8
聴診所見と呼吸器疾患の組合せで誤っているのはどれか.
a stridor・・・・・・肺サルコイドーシス
b wheezes・・・・・・喘息
c friction rub・・・・・・結核性胸膜炎
d fine crackles・・・・・・間質性肺炎
e coarse crackles・・・・・・細菌性肺炎


聴診所見に関する基本的な知識を問う問題です。難しいのはfriction rub(胸膜摩擦音)ぐらいですかね。

friction rubは、胸膜炎の時に聞かれる胸膜がギュッギュッと擦れる音です。stridorというのは上気道の狭窄で起こる、吸気時の大きな連続性の雑音になります。

サルコイドーシスでも縦隔リンパ節がもりもりもりもり腫れていて、気管が狭窄するような場合には聞こえたりするのかもしれませんが、ここでは肺サルコイドーシスと書いてあるので、中枢気道の狭窄はないと考えていいでしょう。逆に言うと、肺という文字がなければ、この問題はややこしい問題になった可能性があります。

正解:a



E50〜51
次の文を読み,50,51の問いに答えよ.
79歳の男性.咳嗽と呼吸困難を主訴に来院した.
現病歴:半年前から咳嗽と労作時の息切れを自覚するようになった.市販の鎮咳薬を服用して様子をみていたが,症状は持続していた.3日前から咳嗽の増加と呼吸困難の悪化とを自覚したため受診した.
既往歴:高血圧症.
生活歴:喫煙は15本/日を35年間.55歳で禁煙.飲酒は機会飲酒.
家族歴:特記すべきことはない.
現症:身長162cm,体重59kg.体温36.5℃.脈拍68/分,整.血圧140/90mmHg.呼吸数22/分.SpO2 91%(room air).眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない.心音に異常を認めない.呼吸音は背側下胸部中心にfine cracklesを聴取する.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.
検査所見:血液所見:赤血球403万,Hb 12.8g/dL,Ht 31%,白血球7,700,血小板18万.血液生化学所見:AST 24U/L,ALT 11U/L,LD 442U/L(基準176〜353),γ-GTP 16U/L(基準8〜50),尿素窒素14mg/dL,クレアチニン0.5mg/dL,尿酸8.8mg/dL,Na 141mEq/L,K 3.9mEq/L,Cl 105mEq/L,KL-6 1,300U/mL(基準500未満).CRP 0.3mg/dL.胸部CT(網状影・蜂巣肺)を別に示す.


E50
診断に有用でないのはどれか.
a 肺生検
b 高分解能CT
c スパイロメトリ
d 気管支肺胞洗浄
e 気道過敏性試験


この問題も画像がある方がいい問題かと思いますが、まあfine cracklesを聴取して、KL-6が高い、蜂巣肺を認識するということから、肺線維症の存在を考えるわけですが、やたらと気道過敏性を推してくるのはどういうわけでしょうか。

気道過敏性試験は喘息の時に行う試験です。ある刺激に対して気道が過敏に反応するかどうかを見る試験ですので、肺線維症の時には関係ありません。

肺生検というのは微妙な選択肢になるかもしれません。特発性肺線維症の診断に用いることはあまりないかと思いますが、本来ガイドライン上、原理主義的には肺生検をしろということになっていますので、この問題を作った先生はひょっとするとそっち系の先生かもしれないですね…。

正解:e



E51
認められる可能性が高いのはどれか.
a 高CO2血症
b 一秒率の低下
c 肺拡散能低下
d A-aDO2値の低下
e 気道過敏性の亢進


肺線維症で認められるのは肺拡散能低下とAaDO2の開大になります。

正解:c



F38
COPDでみられるのはどれか.2つ選べ.
a 残気量増加
b 拡散能上昇
c A-aDO2開大
d 血清KL-6上昇
e fine crackles聴取


これはもうご挨拶ですね。ご挨拶は簡単に済ませましょう。笑

正解:a, c

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2019年02月14日

第113回医師国家試験問題速報解説2

続いてもう少し。


C26
70歳の男性.労作時の呼吸困難を主訴に来院した.10年前から労作時の呼吸困難を自覚していたが,徐々に増強したため受診した.喘鳴の自覚はない.喫煙は40本/日を50年間.脈拍72/分,整.血圧128/74mmHg.呼吸数16/分.心音と呼吸音とに異常を認めない.呼吸機能検査では1秒率の低下を認め,β2刺激薬の吸入で1秒率低下の改善を認めなかった.胸部X線写真及び胸部CT(過膨張・気腫所見)を別に示す.

対応として適切でないのはどれか.
a 禁煙指導
b 23価肺炎球菌ワクチン接種
c インフルエンザワクチン接種
d 長時間作用性抗コリン薬投与
e ロイコトリエン受容体拮抗薬投与


典型的な経過と典型的な画像でCOPDの診断は容易だったと思います。挨拶代わりの問題ですね。必ず正解しなくてはなりません。

安定期COPDの管理で必要なことが挙げられていますが、ロイコトリエン受容体拮抗薬だけは喘息の治療薬です。

正解:e



C49
70歳の男性.肺癌の治療で入院中である.肺癌にて右肺下葉切除術,縦隔リンパ節郭清術が施行された.術後1日目に食事を開始し,術後2日目に約1,000mLの白色混濁した胸水が胸腔ドレーンから排出された.胸水中トリグリセリド150mg/dL.
対応として適切なのはどれか.2つ選べ.
a 高脂肪食
b 胃管挿入
c 胸管結紮術
d 完全静脈栄養
e 胸腔ドレーン追加挿入


時々出ますね、乳び胸。本例では術後、白色胸水、胸水中トリグリセリド高値とキーワードをこれでもかと出されていて、今後の布石が打たれています。今後診断は難しくなっていくカモカモ。

正解:c,d



D6
成人で喘息の増悪をきたす可能性が最も高い薬剤はどれか.
a 利尿薬
b β遮断薬
c ヒスタミンH1受容体拮抗薬
d 塩基性非ステロイド性抗炎症薬
e アンジオテンシンU受容体拮抗薬


これもご挨拶問題です。喘息の治療薬がβ2刺激薬なので、β遮断薬は喘息を悪化させるはず…ですね。

正解:b



D15
右肺尖に発生した肺癌の患者に,右側のみ眼瞼下垂を認める.
他にみられる可能性が高い徴候はどれか.2つ選べ.
a 嗄声
b 右縮瞳
c 顔面浮腫
d 右眼球突出
e 右半顔発汗低下


Horner症候群もちょいちょい出題されていますね。やはり典型的症状が数個ある、という病態はマルチョイ問題にしやすいのでしょう。

正解:b,e



D19
65歳の男性.胸部X線写真で右中肺野に異常陰影を指摘されて受診した.5年前から間質性肺炎を指摘されている.1年前に急性増悪で入院し,その後,外来で副腎皮質ステロイドの内服治療を受けていたが,ここ1年は症状が安定していたため,自己判断で内服を中断し受診していなかった.喫煙は20本/日を40年間.5年前から禁煙していたが,6ヵ月前から喫煙を再開していた.胸部単純CTで右肺上葉に腫瘤影を認め,経気管支肺生検で肺扁平上皮癌と診断された.全身検索の結果,右肺門部リンパ節転移を認めたが,それ以外には転移を認めなかった.体温36.6℃.脈拍76/分,整.血圧132/76mmHg.呼吸数12/分.SpO2 95%(room air).両側胸部でfine cracklesを聴取する.呼吸機能検査:VC 3.5L,FEV1 2.2L.心電図,心エコー検査で異常を認めない.胸部X線写真(結節影)及び胸部単純CT(結節影と網状影)を別に示す.患者に手術の選択肢もあることを説明したところ手術を希望した.

この患者の周術期について適切でないのはどれか.
a 術後早期離床を行う.
b 術前に禁煙指導を行う.
c 術前から酸素療法を行う.
d 術後間質性肺炎急性増悪のリスクがある.
e 術後在宅酸素療法が必要になるリスクがある.


こういう、臨床の現場的な問題が増えてきていますね。現状ではちゃんと考えれば、そんなに無理難題ではないと思います。本例ではSpO2が95%と十分保たれているので、術前から酸素療法を行う必然性はないってことですね。

正解:c



D31
50歳の女性.発熱と呼吸困難を主訴に受診した.半年前に血痰を認め,胸部X線で左下肺野に空洞を形成する肺アスペルギルス症と診断された.抗真菌薬で加療されていたが,血痰が軽快しないために,2週間前に左肺下葉切除術が施行され,1週間前に退院した.昨日から発熱,呼吸困難を自覚したため,救急外来を受診した.20歳時に肺結核の治療歴がある.体温38.7℃.脈拍120/分,整.血圧102/60mmHg.呼吸数24/分.SpO2 94%(room air).胸部X線写真(ニボーを伴う胸水)を別に示す.

行うべき処置はどれか.
a 心囊穿刺
b 陽圧呼吸管理
c 胸腔鏡下手術
d 胸腔ドレナージ
e 副腎皮質ステロイド投与


術後高熱、低酸素ありニボー+胸水、術後の膿胸とかいう話です。とするとドレナージしかありません。

正解:d

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2019年02月13日

第113回医師国家試験問題速報解説1

今年も医師国家試験が終了しました。インフルエンザの大流行や極寒など、ハードルがいくつかありましたが、受験生の皆さんはご無事で終了されたでしょうか。とにもかくにもお疲れさまです。


さて例年通り、試験問題の解答解説作りのお仕事がございますので、早速「呼吸器」のところをみて参りましょう。


A4
EGFR遺伝子変異陽性,遠隔転移を有する進行肺腺癌に対する初回治療で,分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)の副作用として頻度が高いのはどれか.
a 貧血
b 皮膚障害
c 1型糖尿病
d 好中球減少
e 血小板減少


EGFR遺伝子変異陽性例に対する、分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)に関する出題はすっかりおなじみとなりました。毎年改定される、肺癌診療ガイドラインに踏み込んだような内容はなかなか出題できませんが、この問題のように基本的な副作用などを問う出題はこれからも基本事項として出てくると思われますので、是非押さえておきましょう。

覚え方としては、EGFRというのは上皮成長因子受容体ですので、これを阻害するということは上皮の細胞分裂も阻害する、つまり上皮に関与する副作用が出やすいと理解しておくといいと思います。

正解:b



C46
71歳の女性.労作時呼吸困難の増悪を主訴に来院した.約10年前にCOPDと診断された.1年前からU型呼吸不全をきたしたため在宅酸素療法(1L/分)を行っている.前回外来診察時には呼吸数 20/分,SpO2 94%(鼻カニューラ1L/分 酸素投与下)であった.数日前より労作時呼吸困難が悪化したため,家族に付き添われて受診した.外来待合室で30分くらい前から居眠りをしていた.付き添いの家族が呼びかけに応答しないことに気付いて,看護師に声をかけた.脈拍104/分,整.血圧144/92mmHg.呼吸数8/分.SpO2 91%.吸入酸素量を確認したところ,5L/分であった.家族によると,タクシーを降りてから待合室まで歩行したところ,呼吸が苦しくなったので本人が酸素量を増やしたとのことであった.
現時点で必要ないのはどれか.
a 静脈路確保
b 気管挿管の準備
c 動脈血ガス分析
d 心電図モニター装着
e リザーバー付マスクによる酸素投与


こちらも毎度おなじみ、COPDに関する出題です。COPDに関しては…

@安定期の肺機能や診断に関する出題
A急性期・増悪期の治療、いわゆるABCアプローチに関するもの
BU型呼吸不全を伴う症例の増悪時、CO2ナルコーシスに関する質問が多いと思います。

この問題でもCO2ナルコーシスに関する基本事項が問われていますので、必ず正解しておきたいところです。CO2ナルコーシスには酸素の過量投与は禁忌ですから、この問題を解くこと自体は特に問題ないと思いますが、こういう症例問題に、臨床の現場感を出す選択肢が少しずつ含まれつつあることには(来年以降)注意が必要ですね。

正解:e



F77〜79
次の文を読み,77〜79の問いに答えよ.
58歳の女性.血痰を主訴に来院した.
現病歴:数年前から咳嗽,喀痰および労作時呼吸困難を自覚していたが,喫煙習慣が原因と自己判断し受診はしていなかった.数日前から喀痰に鮮血が混じるようになったため受診した.
既往歴:20歳時に交通事故による右膝蓋骨骨折の手術を受けた.
生活歴:喫煙は20歳から55歳まで40本/日.飲酒は機会飲酒.
家族歴:特記すべきことはない.
現症:身長153cm,体重52kg.体温36.2℃.脈拍80/分,整.血圧132/74mmHg.呼吸数16/分.SpO2 97%(room air).眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない.右背部にcoarse cracklesを聴取する.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.表在リンパ節を触知しない.
検査所見:血液所見:赤血球350万,Hb 9.8g/dL,Ht 30%,白血球10,300,血小板30万.血液生化学所見:AST 19U/L,ALT 15U/L,LD 158U/L(基準176〜353),γ-GTP 16U/L(基準8〜50),総ビリルビン0.4mg/dL,総蛋白7.2g/dL,アルブミン3.8g/dL,尿酸2.9mg/dL,尿素窒素11mg/dL,クレアチニン0.5mg/dL,Na 140mEq/L,K 4.0mEq/L,Cl 105mEq/L,Ca 8.9mg/dL,Fe 20μg/dL,TIBC 231μg/dL(基準290〜390),フェリチン643ng/mL(基準20〜120),CEA 4.5ng/mL(基準5以下).CRP 1.4mg/dL.画像所見:上肺野(肺野条件),中肺野(縦隔条件),下肺野(肺野条件)及び上腹部の造影CT(上肺野には気腫性変化、中肺野ではリンパ節腫脹、下肺野では空洞を伴う腫瘤影、上腹部にも腫瘤影)を別に示す.呼吸機能所見:現在と20歳時の膝蓋骨骨折手術前のフローボリューム曲線(現在は下に凸、20歳時は正常)を別に示す.


F77
20歳時と比べた現在のフローボリューム曲線の所見として正しいのはどれか.
a V25の増加
b 残気量の低下
c 肺拡散能の上昇
d 努力性肺活量の低下
e ピークフローの上昇


フローボリューム曲線の解釈は毎年のように出題されていますので、これは必須でしょう。ただこの問題では、「閉塞性障害」を言い換えた表現が選択肢に上がっています。つまり今後は一口に「閉塞性障害」ではなく、このように項目を細分化した解釈を問われるようになるということで、今後の出題傾向には注意が必要です。

正解:d


F78
実施した生検の結果では,いずれも肺腺癌の所見であった.
患者に説明する内容として誤っているのはどれか.
a 治癒は困難である.
b 腫瘍の遺伝子検査が必要である.
c 薬物による抗癌治療が適応となる.
d セカンドオピニオンを受けることができる.
e 緩和ケアは抗癌治療が終了してから始める.


一般的な肺癌および癌全体の知識を問う問題です。なんか選択肢のジャンルがまちまちで、あまりいい?問題ではないように思います。a〜cは肺癌の話で、d,eは癌一般の話ですから。セカンドオピニオンの自由を保障することと、緩和ケアは治療早期から、症状があれば開始する、ということは知っておきましょう。

正解:e



F79
説明を聞いた患者は家族と相談してからの意思決定を希望し,1週間後の再受診を予定した.その再受診の前日に咳嗽の増加に伴い1回30〜50mL程度の喀血を連続して3回認めた.翌日の受診時,咳嗽を頻繁に認めるが喀血は認めず,喀痰には赤褐色の血液が付着している.脈拍104/分,整.血圧140/88mmHg.呼吸数12/分.SpO2 96%(room air).血液所見:赤血球339万,Hb 9.5g/dL,Ht 29%,白血球8,900,血小板29万.

対応としてまず行うのはどれか.
a 赤血球液-LR輸血
b 鎮咳薬投与
c 鉄剤投与
d 酸素投与
e 補液


これもちょっと凝りすぎかなあと思いました。臨床の現場では、こういうことがしばしばありますが、卒業時点で知っておかないといけないものか…?まあ知らなくても考えろってことなんでしょうけど。

結局のところ、前日咳嗽の増加に伴って喀血していて、受診当日には止血している。というところで、止血のポイントは「安静」ってことで、気道の安静を鎮咳薬で図るわけですが、結構議論がありそうです。

正解:b

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